あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

THE THROTTLE 《 GOODBYE ON THE STREET 》によせて

 

 

 彼らが路上から姿を消す日が、ついに来た。

 

スロットルは9月にコネクトーンからメジャーファーストアルバム「LET’S GO TO THE END」を既にリリースしている。
ボーカルの高岩遼が所属しているSANABAGUN.の路上ライブの前例を知っているファンは、もうこれで彼らがずっと続けてきた路上ライブも終焉を迎えると予測していた。
がしかし現実は予想を反して、メジャー盤リリース後も(頻度はやや落としながらも)続き、高岩遼に「いつ終わるの?」と訊ねれば「年内はやるよ」という曖昧な返事が続いていた。
そしてついに、バンド側から「その日」が提示された。

 

明日2016年12月20日を持ってTHE THROTTLEは路上ライブを終わりにする。

 

『俺たちはプロの路上ミュージシャンじゃねえ』
そう彼が路上で口にするのを、何度聞いたことだろう。
時には自嘲気味に、時には咆哮するように。
でもその台詞を口にしているそこはきまっていつも薄汚い路上だった。
きもちが痛いほどわかるその気持ちを、私はただ一緒に飲み込むしかなかった。
ここで演奏しているだけでは暮らしてはいけないのだ。

彼らはこれからも音楽を続けるために、路上から姿を消すと決めたのだ。

2016/12/20
新宿駅南口
22時

出来るだけ沢山の人が集まるといいなと願う。
伝説になるくらいのステージになってほしい。なるべきだ。
最大級の感謝と祝福を込めて、拍手という花束で彼らに餞を送りたい。
今まで見たことが無いという人も、是非この機会に足を運んで欲しい。
もう、永遠に見ることは出来なくなるのだから。

 

繰り返す。
2016/12/20
22時

 

明日の夜は天気も味方する予報。
期待と幾ばくかの小銭を握って、新宿南口に集合しよう。
間違いなく、忘れられない夜になる。

Laika came back『confirms』 サイン会

◼青春のかたち


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口にするにはまだ少し抵抗がある『私の青春』という言葉、もしかたちにするとしたら、それは間違いなく車谷浩司さんその人のかたちを描くだろう。

 

ずっと子供のときから20年以上好きで、憧れて、そして同じだけ嫌って、あきらめて、でもやっぱり愛している人。初めてCD買ったのも、初めてライブいったのもこの人。そんな人生をかけてお慕いしている方に謁見し、まさか目の前でサインをいただくことができる日が来るとは。

 

長生きはしてみるものだ。

 

※ライブじゃなくて、ライブのあとのサイン会の話です。

 

彼との思い出はそれこそ(一方的に)山のようにあって、それを書き出すと軽く二万字越えると思うのではしょるけれども。今のようにアイドルもバンドマンもそれこそ和田アキ子さんまでファンと触れ合う特典会なんてやってるけれど、そんな特典会などなかった頃に出逢ったのが、車谷浩司さんでした。

 

初めて好きになったときは彼は現役高校生青春バンドで。そのあとデュオを組んでおしゃれ~なサウンドを奏で、のぞんでいなくても『ポスト渋谷系』とか呼ばれて。それもあっさり解散してソロプロジェクト始めたと思ったら、オルタナティブロックだかパンクロックだかわからぬが激しくジャカジャカとキッズがダイブしまくるライブから、急に与党やNATOがどうだのと歌い始め、ライブの前に動物愛護団体の演説が来たりTシャツに『私たちは全てのテロや報復行為に反対する』と書かれたり急に『コモエスタ!』と挨拶しながらkjと組んだり……なにがなんだか読んでもわからないと思うが私もわからないので安心して読み飛ばして欲しい。

 

まあとにかく形態も音楽性もファッションもバンバンに変化をしながら突き進んで急にソロプロジェクトもシングル発表数日前に終わらせてという激動の人が車谷浩司だった。その人が、また新しいソロプロジェクトを立ち上げたのが数年前。それが今の活動名『Laika came back』。

最初のアルバムは買ったけれど、穏やかなフォークソングは彼の声にとてもあっていてよかった。しかしなかなかワンマンもなくてそのうちに足が遠退き、実に六年ぶりに足を運んだライブで、当日まさかの『サイン会あります』のお知らせに私は引っくり返ったのだった。

 

逢える?

 

今までサイン会とかなかった(多分)ので、地方ではやってると聞いたこともあったけどまさか東京であるとは思わなかったので心臓が口から出そうになった。

まさか、まさかだよ!!!!

とにかく事前物販でアルバムを買い込む。慌てて家を出る前にレターセットを掴んできた。

今までの経験上、サインや握手の短い時間できもちなんて伝えられない。そんなスキルが自分に備わってないのははなからわかっていた。だから手紙を書こうと思ったのだ。

向かう電車内でスマホに下書きを打ち込み、会場で開演までの間に必死に便箋を埋めた。

 

ライブのあとから物語は始まる。

(ライブも滝に打たれるほどに素晴らしかった。これはまた別に書きます)

 

螺旋気味の階段の上に、車谷さんの姿を見つけた時は心臓が跳ねた。いる!さっきまでステージにいた人がいる。一段一段階段を上る度に近づく距離。近づいていいのが信じられない。前に並んだ友人の番が来た。彼女は別の会場で既に接触を済ませているので、朗らかに会話をしている。あ、笑ってる。笑いあってる。それだけのことが気が遠くなるほど羨ましかった。私は、車谷さんと、笑いあえるのだろうか。

 

友人がテーブルから離れると共に私は歩み出す。こんばんはだかありがとうございますだかの挨拶を車谷さんの唇が形作る。唇が目の前で動いているのに耳が認識しない。私に届いているのに言葉に変換できない。

ぐっと握りしめたアルバムを差し出すと少し笑って『どこに書きましょうか?』と優しく訊ねてくださり、アホな私は…お任せします……と蚊のなくような声で言うのが精一杯だった。この会話のシミュレーションもしてたのに!『どこに書きましょうか?』ともし聞かれたら『一番好きな曲のところにお願いします』というつもりだったのに。サインは簡単にさらさらとペンは進んでいく。ありがとうございますと言っている自分すら最早何処にいるのか遠い。あっ!手紙!!

『あの、お手紙を書いてきたので読んでください』

サインの手を止めずにしかし目線はちらりと手紙に走らせて『勿論。読ませていただきます』と穏やかに少し語尾の上がるいつもの話し方で頷いてくれた。会話が止まる。またも何も出てこない。

 

今まで沢山お金を払ってアイドルと接触してきたスキルなんの役にも立たないのかよ!!!!バカ!!!!新規から出直せバカ!!!!

(あとで打ちのめされた事実ですが、当時はこんなことすら思い及ばずただあわあわしていた)

 

挙動不審者を前にサインを終えた車谷さんは穏やかに手を差し出してくださった。すらりと白く細い、でも私の手を包む大きな手。触れた。生きている!生きているんだ私たち…と思った。

体温は、熱は説得力だ。

私も車谷さんも生きている。同じ時代に生まれ、一方的な関係だけど出逢えた。お互い生き延びて出逢い続けていられた。その巡り合わせのなんと尊いことか。

 

『小学生の、頃から、ずっと、ファンです。これからも』

 

途切れ途切れにやっと言えた!!ずっと、ファンです。あなたのファンです。言葉にしたら三秒ですむことがずっと言えなかった。チャンスがなかった、作ろうともしなかった。でもずっと叫んでいた言葉。大事にしてきた言葉。積み重ねてきた時間。

 

やっと、私は初めて好きになったひとに、初めて視線を交わして、初めて触れて熱を交換しながら、一番伝えたかったことを直に言えたのだ。

 

穏やかに微笑んで、彼はまた『ありがとうございます』と口にした。それで終わりだった。恐らくお礼とまた会いにいきますということを口にすると(記憶が飛んでいる)彼は嬉しそうに頷き、私はそこを離れた。

 

車谷さんの手元に、私の手紙が残った。

私が確かに今日彼に逢った痕跡が。

 

終わってからは放心だった。普通、アイドルやバンドマンでも憧れの人と接触したらテンションがおかしくなってニヤニヤしたり体温が上がったりするのが常なのにこの日は違った。浅くなっていた呼吸が急に深くなったせいか、ちょっと眩暈がした。手のひらから車谷さんの熱が、車谷さんの感触が抜けていく。消えるというよりも抜けるという言葉が相応しかった。やっと埋めてくれた場所が急にまたさみしくなる。手を洗いたくない、痕跡を消したくないとこんなにこいねがったのは初めてだった。

 

儚い。これで終わり。

 

無理を言えばループも出来たのかもしれない。一番安いミュージックカードを掴んで彼の前へ積み上げれば、もっと長く話せたのかもしれない。それに近いことは別のところでいつもやっているのに、でもやろうとも思えなかった。いつもお金を払って正しいことだと思ってしていることが出来なかった。あの人が大切にしているものを、自分を刻んで世に出しているものを、彼が望まないかたちで乱暴に消費したくなかった。その事実が私を打ちのめした。

 

また逢いに行こう。

直ぐに、ではなく。無理もせず。

会いたくなったタイミングで、また。

その度にきっと私は何も伝えられないだろうけど、でも、また。

 

『あなたのファンです』

 

その言葉以上に私たちの間を正しく繋ぐ言葉を私は知らない。だからまた何度でも言おうと思う。伝えられる限り言おうと思う。何度言ってもけして消費されることのない、愛情をひたすらに注いでいこう。

 

生きてさえいれば、きっとまた逢える。

 


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"THE THROTTLE - Her Mom Said (No Music Video)" を YouTube で見る


THE THROTTLE - Her Mom Said (No Music Video) - YouTube

 

世界初無音ミュージックビデオ。

 

やりたいことがきちんと明確なMVは、予算をかけなくても美しく素晴らしいものができると教えてくれた。

ありのままに照らす照明が陰影を際立たせて、素材と楽曲の良さをシンプルに味わわせてくれる。まるで高岩遼の内面まで透かすかのように。

 

最早クリックひとつで聴けない音楽の方が少なくなっているような中、逆転の発想でこの状況に疑問を投げ出している…そこまで言ったら深読みかもしれない。

けれど、

音を重ねてうまくはまったときの快感は計り知れない。是非ひと手間かけて欲しい。

 

THE THROTTLE屈指の名曲がここにある。

「TAIGA DRAMA~HAKOBAN~」2016/8/17 at.下北沢garage

www.garage.or.jp

http://www.garage.or.jp/6322

イベント説明引用~

「TAIGA DRAMA~HAKOBAN~」とは、
谷本大河(SANABAGUN.)が生涯の中で出会ってきたマイメンとHAKOBANを組むっしょ☆的な流れで定期的に開催するイベントのことだぜピーポー。

メンバーは、
パリピサックス谷本大河☆、
パリピギターボーカル水野創太☆、
パリピドラム????☆、パリピラップ呂布☆☆☆その他パリピ☆
でライブするよ☆

フランスの文書くのが得意なロマン・ロランっていうパリピが自分で書いた「ジャン・クリストフ」を大河に例えてみたらやばくね?って発想から谷本大河の歴史を大きな時代の流れの中で捉えたらマジでヤバくね??ていう超ヤベーイベントのことを意味してるぽくてー、谷本大河が一年を通して開催するイベントのことを
「TAIGA DRAMA」というようになったらしいからみんなよろしくちょ☆ マーベラス

これを読んだ私→( ・∇・)……??

 

な に ひ と つ わ か ら な い !

 

わからないときはどうするの?そう、現場に行くしかないのです。

 

サナバガンでサックスを吹く、谷本大河くん主催のイベント「TAIGA DRAMA~HAKOBAN~」何をするのか誰が出るのかよくわからないまま足を運びました。

数日前にとあるイベントで大河くんに会ってその時に何をやるのか訊ねると『Twitterではうまく説明できないので、当日説明します』という返答でした。

その言葉の通りイベント冒頭で本人からイベント趣旨の発表が。

『イベントをやらないかといわれてまず思ったのが、クラブDJみたいなことを生バンドでやりたいということだった。ハコバンというその箱につくバンドというスタイルもこだわりたかった。

スタジオミュージシャンには技術的に及ばないかもしれないが、常にクリエイティブな刺激にさらされているミュージシャンが敢えて真っ向からカバーに取り組んだら新しいものが見えてくるかもしれない。知らない曲もあるかもしれないが、楽しんであとでDIGってくれたら嬉しい』(大意)

 

なるほどな、と思った。

 

私がずっと敬愛しているミュージシャンの石田ショーキチ氏も自身のライブでよくカバーを披露していた。私はオリジナルが沢山あるのになんでわざわざ毎回カバーやるのかと不思議に思っていた。そんなとき『素晴らしい音楽を後世に伝えていくのも音楽家の大切な務めだ』とMCで氏が話したとき目から鱗が落ちた。凄く納得できてそれからはカバーコーナーも楽しめるようになった。

なので、大河くんの試みは凄くいいなと感じた。そしてメンバーも彼の仲良しでこの試みに賛成した、前向きなメンバー。それぞれ異なるバンドで活躍している面々。それも新しい出会いと刺激になるだろうなと思うし、そのトライを見せてもらえるのも嬉しいなと思った。

そしてそれを見るそれぞれのファンにとっても、懐かしさを引き出したり新しい出会いになるのかもしれないと期待した。

 

結果、正直歌により出来のばらつきはあったけれど、それでも楽しそうにトライしている姿は見ているこちらも楽しかった。歌が上手いから演奏がすごいから好きになることは勿論ある。でもそこを超えた熱意や執着、喜びはこちらにダイレクトに伝わるし、その魅力は上手い下手とはまた違うところで存在するんだなと改めて感じた。

普段のライブでは見られない『挑戦している姿』がそこにきっちり存在したのも新鮮だった。

 

途中ビールも振る舞われ、アットホームな空気。ゲストも色々……賑やかにイベントは終了。

あっ、イベントの最初と最後にはオリジナルテーマの演奏もあり、それもかっこよかったです。

 

個人的に印象に残ったのは、水野創太さんが『天体観測』のイントロを奏でた瞬間に場内がわっと沸いたこと。ステージに駆け寄り踊る人たちを見て、年末のCDJで本家のBUMP OF CHICKENがこの曲のイントロを奏でた時、ロビーで下向いて座り込んでた人たちが一斉に顔をあげ、場内へ歌いながら駆け出したりその場で立ち上がって踊り出したりしていた姿を思い出した。

国民的な存在のバンドの有るべき姿として忘れられない光景。

 

私の好きなバンドたちもいつかそんな存在になって、いつかこんな光景をみせてくれるような一曲を生み出してくれたらと願わずにはいられない。

 

 

『ドルヲタがユニット作って相席居酒屋に行ってきた話』に影響されてボイメンストアで大盛り上がりした話

スマホから勢いで書いたので読みにくいです。細かい修正は追っていたします、ごめんなさい

 

a-yo.hatenablog.com

 

このブログのツイートが回ってきて即ブログを読みに行った。

じわじわとおた卒しつつあるもののまだドルおたに片足突っ込んでいる私。
私はアイドルは女性専門なのでそっちならばそこそこ知ってることもあるけれど、
男性グループは疎いのでここに書かれてるボイメンというグループのことは存じませんでした。ごめんなさい。

しかしそんなことはあまり関係がないように感じた。
というのもこのブログの面白さは、ドルおた同士での相席居酒屋の体験レポという側面より、この方と推しの本田くんとの関係性が肝だと思ったからだ。
もっと言えば推しの本田くんとののろけ話だと思う。

 

『おたくは推しに似る』

 

これは私たちの世界でも古から言い伝えられてきた旧い呪文。
嗚呼そちらの世界でもですか、という気持ちで一杯になった。

私はあまり推しの芽依ちゃん(リリカルスクールという清純派RAPユニット)と似てないと思っているし、
むしろ足りないところや憧れを推すという力に変えていると思っているけれど、
それでも似ているねと言われるところはある。
しかもそれは芽依ちゃんが得意で見せてくるところではないところだったりするので、やはり何がしかの縁という物が間にあるのだなあとしみじみと感じる。

 

そういう推しとの不思議な因果含めた、推しになぞらえたユニット結成から相席屋の詳細なレポもとても面白かった。
でも私としてはどうしても、この事を推しの本田くんへ報告したときの話が一番気になった。

 

https://mobile.twitter.com/109sec/status/745563733036982274?ref_src=twsrc%5Etfw

 

本田くん!
も、本田くん最高最高!!

何が最高かって?


『推しがこんなに自分のこと心配してくれたら、もう一般男性のおたくになんてなれなくない?』


しかも相席屋に行ったきっかけはともかく、恋人探しとか出会いとかの目的よりも他のこと(ユニット組んだり攻略したり)が目的よりも先へ進む機動力としてあったであろうことも軽く見抜いてますよね…?
本田くんは『ただ飯』と言っていますが…。深読みかな。でもそんな感じがする。


もう一度言います。大事なことなので。


『推しがこんなに心配してくれて、おまけに自分の性格をわかってくれてたら…一般男性のおたくになんてなれなくないですか!!』

 

私もそこそこの期間芽依ちゃんのことを推してきて、大分私のことをわかってくれてるな…って思うことがあります。
それをお手紙に書いたらツーショの時に『私もね~、ゆりちゃんのこと結構わかってるって思ってるよ~』って言われて。
おたくとしてこれ以上の幸せってなかなかないんじゃないかって、あ、芽依ちゃんとの関係はもうここでかなり理想の形になれたんじゃないかって。
チェキ撮影&サイン会の後で、チェキ見つめながらちょっと泣いた。

 

 

芽依ちゃん以上に私のことをわかってくれる一般男性なんてこの先出会えるんだろうか。無理じゃないだろうか。

 

 

話が自分のことにそれてしまったけれど、婚活面白レポというよりも、推しとののろけや信頼関係としてこのブログを相当楽しく読ませていただきました。

 

あと!これはまた偶然なんですけど。
たまたまマルイに出店中のボイメンストアに出くわしてしまい(目的のフロアを間違えて、いつもの癖でアイドルイベントがあるフロアに行ったらボイメンの出店があった)友人と二人で『これは!』『あのブログの!!』『ボイメン!!』ってめっちゃ盛り上がって興奮してしまい、ショップのグッズを舐めるようにチェック(勿論、この時に『本田くん』もチェック)。

待ち合わせの友人たちを下に迎えに行ってからまた再度みんなで戻ってきて、グッズのほかにもポスターやサインコメント、来店日記まで全てを細かく見て回る。おたく友達の男性もいたのでかなり異色で目立つ形になってしまったが、でもめっちゃ堪能した。全員おたくだからサインコメントひとつでも色々妄想含めた考察をしてしまい、誰一人詳しいものがいないというのに小一時間ほど長居した。

そのくらい、そのくらい熱のあるブログだったんですよね。

 

人間どこで何かの誰かのきっかけになるかなんてわからないんだなって改めて実感。

 

その熱量にリスペクトを込めて、勝手にアンサーブログ書いてしまいました。
不愉快だったら本当にごめんなさい。

2015年12月7日 「T-GROOVE」スペシャルライブ

(下書きに途中で残っていたイベントメモ)

 

出演アーティストのCDを購入時にハガキが貰え、抽選に応募できるという言ってしまえば合同の販促イベント。

でもそれにしたってここにリリスクが呼んで貰えるのはなかなか凄いことだなあと思っていた。

しかしなかなかに先のことで応募するのも存在すらも忘れていたのだけど、急遽サナバガンがオープニングアクトとして参加すると決まったのでメジャーを買い増しして応募した。


このイベントの倍率がどんなものかわからなかったけど、現時点で追加ということはまあ当たるのではないかという目論見もあり。それが功を奏してか当選。これ、応募して外れた人はいないのでは?


とりあえずなんとかして開演間に合って、オープニングアクトから見れました。


わたしが見たいのは最初の二組と最後のRHYMESTERというタイテでしたが、イベント通じて楽しかった。
アイドルのおたくはCD積むのが日常だし、どう考えてもアウェイな場所なので助ける使命を感じたおたくたちが多く、早い時間でもかなりの顔見知りが居た。
サナバはどうかなあ?と思っていたけど、やはりサナバを見にきた!って感じの人は少なかった。
ただメンバーが出てきて楽器を鳴らし始めたらおっ、という空気になった。他に生バンド居ないしね。


テーマがおわったら、不意につかさくんが前に出てきた。これもまたえっ?みたいな空気があった。知ってる人はいつもの光景だけど、知らない人は『なんでまたMC増えんの』だよなあ(笑)で、真顔で三人がリズムを刻みだすのでそりゃあね、でもデパ地下めっちゃかっこいいので、手を上げないまでも体を揺らしだす人ちらほら出てきた。

居酒屋JAZZはがらっとまたかわって、タイトルどおりジャズボーカルがメインになるから、やはり耳目を集めるのに長けてるよなあってしみじみ。

最後は「人間」で賑やかに〆。ノリのいい観客はちゃんとコール&レスポンスしてた。

終わってから顔見知りのリリスクヘッズたちに「見たよサナバ!」「かっこよかったね」って声かけてもらえて俺歓喜

好き好きといってみるものだと思う。

TIF2015参加記録その② SKE48篇

(今更だけど去年のTIFでSKE見た感想が出てきたので追加) 

 

私は友人に一緒にチケットを購入してもらっていたので、待ち合わせてチケットを受け取る。そのままリストバンド交換列へ。なかなかに並んでいるけれど進みは早く、さくさくと交換できた。物販待機列が相当に伸びているのを横目で見つつ、スマイルガーデンまで足を伸ばす。

毎年、スマイルガーデンでオープニングを見てTIFを始めたいというこだわりがあり、待機しようと思ったが時間的にはまだ早いので、湾岸スタジオ入りするアイドルさんたちを見守る軍隊に加入(ただ玄関脇で佇んでいるだけ)。フェイントスターさん別嬪だったなあ。あと、!!!の娘さんたちは明るい。凄く元気。

スマイルガーデンでラジオ体操に参加しようと移動したら、偶々滅多に逢わないおた友達に遭遇し、そのままラジオ体操連番。去年のTIF振りの遭遇かもしれない。

バニビのレナちゃんがこの日最後のステージで「TIFでしか逢わない人とかいるでしょ?」といっていて、そんな人いないよと思ったけどまさにこのおたもだちがそうでした。

ラジオ体操はステージでアイドルさんたちが音頭を取って進むのですが、スマイルガーデンで密集して朝から太陽の下ラジオ体操をキメるおたくたちの姿は清清しい美しさでした。ジャンプでみんな一斉にマサイをキメ始めたのは笑いました。なんでそんなに元気なんだ、まだ9時半だぞ。ちなみに気温は30度超えてるぞ。

オープニングをちらっとなめたあと、散会してそれぞれの場所へ。私もひとりゼップダイバーシティへ。

この日はどうしてもどうしてもSKEが見たかった。二年前に出たときは入場規制になったので、今年もそうなるであろうことを予想して朝一で。アイドリングNEOの終わり頃でそこそこ人が居たけれど、入れ替わりの波に乗じて前方の壁際のポジションへ。

そのままさんみゅ~、バクステ。どっちも初めて。

さんみゅ~ってこんなでしたっけ?衣装も音楽も、私が知ってるのとは違ってた。勘違いかしら…。

お待ちかね、SKEになると流石にひとがどっと溢れてきた。あ、これは規制かかったかもなあと思ってるうちにスタート。

 

最高でした。

 

多分私が見るW松井がいるステージはこれで最後だろうなあ。

二人ともチームを引っ張ってきた理由が手に取るようにわかるステージでした。

これが日本でトップを争うひとたちか。

惜しげなくヒットした曲を続けてぶつけてくるのも、出し惜しみ一切なし!という感じがして心地よい。浅いファンの私ですが、ほぼ知ってる曲ばかり。

そして今年も衣装替えを挟みつつ、大矢さんによるメンバー紹介とか、緩急つけつつ飽きさせない。

ごめんね、summer」がかかったときは思わず声が出た。このMVが大好きで…。

 

ごめんね、summer

まぶしい

その横顔を

見てたら

ハートにそっと触れたくなったよ珠理奈くーーーーん!!!涙

 

もうこの時点で来てよかった以外の感想がない。

 

涙擦りながら会場出たら、おなじように泣いて放心したような顔の友人に逢った。

私も同じ顔してるんだろうなと思ってお互いを恥じた。

 

TIF20168/5 行動記録その3

アイドルネッサンスのあともスカイステージは、PiiiiiiiN・ハコムス(ちょっと見ない間にオリメンが大人になってる!早い!!もうぽにょなんて呼べない!!)・KOTO(相変わらずキレキレのダンス)……と続いていく。初めて見た中ではプレイボールズが健康的なお色気があって良かった。水着の上に野球のユニフォーム羽織ってるのが…はあん。最初ダンサーで男性がステージ乗ったときには盛大に舌打ち噛ましたくなったけど、でも一生懸命煽ってくるので憎めず最後には好きになったぞ…。曲も良かった。

 

そして、本日何度目かのメインイベント…

 

リリカルスクールinスカイステージ

 

前もスカイステージはあったけど、夕暮れのこの時間に絶対絶対に観たかった…。

始まる前から期待感全開だったけど、リリスクはそれ以上の思い出をくれた。

去年はここにひなちゃんがいた。

ひめちゃんはいなかった。

今年はゆみちゃんが体調不良でいない。

あの日もここでphotographをやった。離れないようにぎゅっとくっついていた6人は今も私の中にいる。

上書きされるのではなく、また新たに思い出の一頁を増やしてくれてありがとう。

 

サマーファンデーションの彩夏ちゃんの

 

ずっと忘れないと思うんだ

 

「ずっと忘れない」って言い切るよりも、ずっとリアルに感じるこの夏。

 

 

そのあとX21・さんみゅーと余韻を楽しみ、スカイステージを後に。ドール行きたかったけど規制かかっていたのでホットステージに移動。

 

DJダイノジう~む。

 

TIFに、ホットステージに帰ってきたぞ!と気を吐くライムベリー。みりちゃんはもう悪がきの横顔が覗かなくなった。三年前のTIFでみりちゃんとツーショを撮った。今日はできないけどいつでもサインいれるからいってくださいね!って握らせてくれたチェキは今でも大切にしている。

 

同じくTIFにホットステージに戻ってきた!なハイパーヨーヨは、そんなことちらりとも漏らさず当たり前のように堂々とそこにいた。10年以上活動しているそのスキルと心意気が充分に伝わるステージだった。

ハイパーちゃんは大きなステージが似合う。

 

リリスクはこのステージでワンマンやったけど、少し引きから見たらこんな感じだったのかなと改めて。

『サマーファンデーション』の彩夏ちゃんのパート、何故かここでのほうが刺さった。彩夏ちゃんの歌の世界に入り込める強さを思う。

 

掟ポルシェ。さんのDJタイムで『ねーおにーちゃん!ねーおにーちゃん!』と流れてきたときは…なんか心の中の色んなものをとっちらかしてしまった…。そして当たり前のように6回目のねーおにーちゃん!のあとに渾身の「すきいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」を放ってしまった。

今のライムベリーと今のリリスクが踏んだこの直後のステージで『ヘイブラザー』は……ヤバイ…それに尽きる。説明できない…わかる人はいると思うけど、説明できないっすよね…。言語化はできるけど共有するにはそこを通ってないとわからないこともある…。ブレイズでのライムベリーワンマンを思い出しました…。掟さんすごい…。

待望の掟ビーンズも見られたので満足して離脱。お腹が空いていたのでフードコートでラーメン食べて帰宅。

 

 リリスクは扱いが本当に良くなったなあ。3日間通して、いやこの日だけ見てもいい時間にいいステージ使わせてもらってる。単純に出演がすごく増えてる。彩夏ちゃんのおかげだろうな。

結論『色々問題はあるけれどやっぱりスカイステージ』

 

TIF2016 8/5行動記録 その2

リリスクとcallmeコラボは個人的にこの日第二の目玉。
楽しみにしていたその期待以上のものがここにありました。
まず、リリスクがcallmeの衣装を着てきたのが!最高!!
私の好きなモザイクワンピを芽依ちゃんが着ている!しかも…ぽ・ぽ・ぽ…ポニテエエエエエ!!!!
芽依ちゃんの衣装をみもりんが着ている。しかも…ぽ・ぽ・ぽ…ポニテエエエエエ!!!!

最callmeここにきわまれり。ありがとな。

ライブの内容もよかった。
リリスクが長くメロディー部分を唄うのも、callmeがラップするのも新鮮な緊張感で。暑い中に爽やかさと真摯さがあってすごくいい。
お互いの楽曲のマッシュアップ高まった~~~!!!
彩夏ちゃんが三人の自己紹介RAP考えたのとかも最高にいいエピソード。

TIFってどうしても時間短いから攻め攻めの内容になりがちだけど、コラボはお互いの良さを充分に引き出す内容と、時間がゆったり穏やかで熱いいいステージでした。

 

リリスクもたまにはかわゆい衣装着て欲しい。切実。脱いだ時哀しかったわ。

 

 

終わり次第急いで移動してスカイステージへ。予想よりスムーズに昇れた。トイレでひといきついてから「さますと」。そしてお目当ての「志田サマー新井サマー」。


最高かよ!!


ひと夏のコラボユニットということで絶対にTIFで、しかも夏をテーマにしたユニットだからスカイステージで見たかった。
新井大天使ひとみ様が日本一可愛いという事実に間違いはなかったが、志田様もすさまじく可愛かった。二人揃って解像度が高い奇跡かよ。
二人とも踊れるし唄えるし可愛いし、何よりもお互いのことを好きという感じが伝わる尊さ。
この夏の天下はお二人に譲ります。

何より。


ひーちゃんやっぱアイドルやりたいんじゃん!佐竹さんよお~~~~~頼むよお~~~~!!!!

 

 

スカイステージ降りて、ドールファクトリーへ。待たずに入れた。ひめキュンの途中から入ってアリスインアリス。これはアイドルお宝くじで見たので是非生で見てみたかった…けど、ちょっと肩透かし。生うどんみたいな感じが私は好きみたい。

 

そして!待ってましたはっちゃけ隊!

TIF初めてアイドルもさほど詳しくない友人連れていったけど楽しいといっていた。はっちゃけ隊は安定の楽しさがある!!

流石の貫禄で、自由に花道も使っててのびのびしてて見てて気持ちがいい。

全員サングラスしてて、最後だけ外すのズルい。きゅんとする。だんだん推しが決まってきてる。どうしよう危険。

 

外に出て私はひとりでダイバーシティでお金を下ろす。ひといきついてたら、また別の初めてTIF参加のお友だちが着いたというのでご挨拶する(一度しか会ったことないし何年ぶりかって感じ)。

放プリ以外は決まってないとのことなので、スカイステージにお誘いする。でもここで恒例の『TIF名物スカイステージエレベーター待ち』が発生。かなり待ったけどぎりぎりアイドルネッサンスまでに滑り込めた。

 

アイドルネッサンス最高かよ…最高だよ…。こよいちゃんの光るおでこで日焼けした。

まりんちゃんが力強くなっていたし、のあちゃんいつの間にこんな表情覚えたの!!ってなった。女の子は目を離すと直ぐに大人になっちゃう。

 『君の知らない物語』聞けなくて残念だったけど、夏の決心で夏をはじめられたから満足です。

 

長くなったのでここで。また続くかもしれません。

TIF2016 8/5行動記録 その1

例年であればTIFはスマイルガーデンの鍵開け(まるで戦場。地響きと砂煙の中オタクがステージ最前めがけてヨーイドンする)をステージ裏から覗いて意地悪な笑みを浮かべ、その後ラジオ体操でウオーミングアップを計るのが毎年恒例なのだが、今年はその予定を変えざるを得なかった。


何故か?


佐々木彩夏さんがソロで光臨するからだ。


私がアイドルにはまったきっかけはPerfumeだが、おDDが加速したのは完全にももクロ。そう、私はかつてスタダの犬でした。
チケットが取れないなどの様々な理由により現場を離れたが、けしてももクロを嫌いになったわけではなかった。平日だが休みが取れたこともあり、久し振りにあーりんのご尊顔を拝見しようと始発でお台場へ。


東京テレポート駅到着時刻、5:50。マジか。


並び始めたが既に暑さがしんどい。駅で落ち合った友人と、まずはリストバンド交換の列へ並ぶ。ざっと目視で300人くらい並んでいる。整理券も同じくらい(リストバンド持っていると直接こちらに並べる)。
おにぎりやふわっとろくりぃむわらびを食べながら「なんとか見れそうだね」と言い合うも、先が見えないのでそこはかとない不安に陥る。言葉少なに「もしこの先百田夏菜子さんがTIFに出ることになったら全力を尽くそうな」と誓い合う(二人とも百田さん推し)。

リストバンド交換列はひたすら伸びるが、動き始めたらスムーズ。二人の顔にも笑顔が戻るも束の間。ここから先が新しい地獄だった。

 

整理券列が全く動かない。

 

動いているはずなのにあまりにも遅々としている。その上全部の整理券交換を一列で並ばせているので、整理券がもらえるのかどうかの可能性すら見えない。これはしんどかった。どんどん気温は上がる。いい歳した大人(我々)の待機列の横を、いい歳した大人が通っていく。社会人出勤の時間帯である。地獄かーい!

 

あーりんはトップバッターなので、我々はギリセーフっぽいがこのままでは間に合わないのでは…?となったころ、やっと運営もそれに気づいたらしく別列の形成となった。貰えるんならもう整理番号などどうでもいいのだから(この時点で集合時間過ぎている)スタッフが券を持って列を辿っていけばいいのに。

実は並んでいる間気持ち悪くなり、もう今日は体調がアウトかもと思っていたが、ゲンキンなもので整理券を握り締めた瞬間からそんなことを忘れて元気に歩き出せた。アイドルとは偉大な原動力である。

 

新設のシップステージは元が駐車場なので隠れるところは一切なく、照り返しもアホほど酷かった。でもそんなことどうでもよかった。目視であーりんの表情が余裕で見える距離。Overtureも全力であーりんコールだ。Overtureとか脊髄反射で出るんだな。それどころか「だってあーりんなんだもーん」も「あーりんは反抗期」も全部唄えた。あーりんが出てきた瞬間に会場の空気が変わった。ひとりで横浜アリーナ埋める人は違う。

 

あーりんのパワーによりすっかり元気になった私は、この後「神宿」(赤の子がかわいい…元気でいい)「Ange☆Reve」(衣装が可愛い…)を挟んで「奥澤村」(勢いがある)「はちみつロケット」(全員可愛い)とスタダの洗礼を受け、終わる頃にはすっかり犬に出戻ったのでした。わんわん。


思ったよりも長文になったので一旦終わります。

 

【雑記】「それいぬ。正しい乙女になるために」

■それいぬ。正しい乙女になるために 嶽本野ばら

 

今じゃすっかり遠退いたけど私は読書の虫だった。

常に複数の本を並行して読み進め、ご飯を食べながら歯を磨きながら手から本を離さなかった(お風呂は濡らしそうだから極力持ち込まなかったけど濡れて捨ててもいい雑誌を持ち込んだりはしていた)。夢中になって読んだ愛しい時間だった。

読書好きというよりも活字中毒・活字依存の気があったのかもしれない。手持ち無沙汰の時は何でもよかった。辞書や電話帳、歯磨き粉のチューブの裏。とにかく目が活字を追っていると安心できた。

それがツイッターをはじめたらそっちに夢中になってしまい、本を開く頻度よりも断然画面をスクロールするほうが増えた。ツイッター中毒・ツイッター依存とは私のことです。間違いはございません。

 

そんな私の、本が繋ぐちょっとよい夏の出来事。

 

ライブやツイッターがきっかけで知り合うという縁は沢山あるけれど、最近15歳の双子の姉妹と出逢った。物凄い年の差があるけれど彼女たちは大人で、そりゃたまには年相応に青春の疼きに身をおいているところも見かけるけれどそれは当たり前のことだし、私だって不安定なところは当時もそしてこの歳で恥ずかしいほどある。そんなことよりも同じものを同じように愛せていることの方が私にとっては大事だった。友達っていったら向こうには嫌がられるかもしれないけれど、私は親愛なる気持ちでいる。

そんな彼女たちのひとりが、最近友達に勧められて嶽本野ばらに出逢ったという。それを聞いて私は心からいいな!と思った。

彼の作品を読んでいる人なら、15歳であの作品たちに出逢うことの幸せがわかると思う。

傑作に出会うのに年齢制限はないけれど、読み時に旬がある作品というのはある。彼の作品に出てくる清潔で孤高で美しくて、でも俗で意地悪でグロテスクな部分がきちんとある人たちを、一番ぴったり愛せるのって15歳なんじゃないかって思っていた。私が出逢ったときはそれを越えてしまっていたから余計に思うのかもしれない。ああ、もっと早くに出逢っていたかったなと読みながら心から思ったからだ。

 

お勧めの作品を聞かれて幾つかタイトルを挙げた。それを考えるだけで幸せな時間だった。それを読んでくれるはわからない。でも本が好きな人にとって、好ましい存在の人にそんなことを聞かれるって相手が思う以上に幸せな時間だ。

久し振りにそんな経験があり、クローゼットの片隅に何度も読み返した彼の文庫本を見つけて鞄に詰めたのは本当に偶然だった。旧くて綺麗とはとてもいえないその本はエッセイで、彼のデビュー作だ。もう15年前に出たその本を私は何度も読んだ。彼の彼らしい美学が沢山つまったその本。もう何年も開いていないのに何度引っ越しをしてもずっと手元においていた本。それを彼女に進呈しようと彼女に差し出したときの顔は忘れられない。タイトルを認めたとき、その年下のお友達は空気を染めるような驚きの顔を見せたのだ。

『探していたんです、どうしても見つからなくて』

ちょっと震えるような小さな声でそう言ってくれた。一冊の古本が若い彼女の頬の輝きを増した。この本は幸せな場所をまた見つけたのだ。

 

ねえ、少し出来すぎな物語ですよね。でも本当。これ自体がまるで嶽本野ばらの世界のようだ。自分と同じように彼女の手元にこれが永くあるようにとは願わない。本は所詮はモノだし、私の手元を離れたらどうされようといい。ただこの夏のほんのひとときだけ、柔らかいあの子の心に刺さる時間をもたらしてくれたら心から嬉しい。

拝啓 リリカルスクールmeiさん


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拝啓 芽依ちゃん 

ごきげんよう。
芽依ちゃんに出会った夏がまたやってきました。
芽依ちゃんと出会って5回目の夏。私と芽依ちゃんの5年目が始まります。

きゃー!!なんかおつきあいしてるみたい!!

おつきあいで5年と考えたら、なかなかのものではありませんか?
そろそろ結婚してもいい頃です。

そうだ、いい機会だし、

芽依ちゃん、結婚しましょう。



盛大に話がずれました。
求婚したいわけではないのです。
そう、求婚よりも結婚がしたい。
いやそうではない。
芽依ちゃんと私の5年目が始まるって話です。あなたと出会ったTIFが明日から始まります。
偶然が重なって重なって起こった小さな奇跡。そういっても大袈裟ではない出会いが私と芽依ちゃんの間にはありました。TIFの夜のお散歩です。懐かしい。何もかもが奇跡のようなタイミングでした。メンバーの顔なんて見えない暗闇の中を一緒に練り歩きながら、はじめて出会ったあなたたちに一生懸命ついていきました。見えてないと思うけど、私はずっと笑っていたと思います。あの衝撃は忘れられません。
顔も名前も知らない子達と不思議な出会いをし、次の恐らく渋谷クロールのアウトストアライブで私はあなたに恋をしたと思うのです。が、ごめんなさい何一つ覚えてなぞいないのです。次のリリースイベントの個別サインの時、あなたの写真が出てこれにサインもらえる!って喜んだ記憶があります。だから、その間に私は芽依ちゃんのことを推すと決めたはずなのですが、理由はさっぱり覚えていません。あの夏で覚えているのは、サンシャインの噴水前であなたの頬をつたい流れる玉の汗の行方に気をとられていたことくらいです。あれは汗ではない、本当に美しさの結晶だった。
好きな子を好きになった瞬間くらい覚えとけよと過去の私に言いたい。
こんな不甲斐ない私ですが、恐らく人生で一番ファンレターをいいえ恋文を渡しているのは芽依ちゃんだし、初めてのツーショも芽依ちゃんに捧げてるしあとアイドルとバスツアーとかクリスマスパーティとか色々!!色々な体験を芽依ちゃんにさせてもらいました。芽依ちゃんがスノボやるって言わなかったら、私は絶対にあんなことしません。同じひとにワンシーズンに二回クリスマスカードを渡したりしません。そのくらい、芽依ちゃんの存在は私にとって『力』です。動く力、生きる力。
感謝しかないんです。

五年目という大切な節目を迎えるに辺り、普段から好きって伝えてるつもりだけどでもやっぱり伝えたくて筆をとりました。いや、本当に普通に手紙を書くつもりでした。でも下書いてみたらめちゃくちゃ重かったので、少しでも軽減すべく公開ラブレターにしました。あなたが読むかどうかなんてわかりません。でも読んでも読まなくても満足だし私の気持ちは変わらない。それだけは確かです。

アイドルとファンという形で、私はあなたに逢えて幸せです。沢山の芽依ちゃんの時間や気持ちを貰っています。それは握手やツーショの時間だけじゃない、あなたがステージに立つ時間も、ファンのために可愛くあろうとしてくれる手間も、喜ばせようとセトリを手書きしたり自撮りしてくれる時も、いつも私の長い手紙を読んでくれる時間だって私は芽依ちゃんの時間を貰ってるんです。それを思うと愛しい。本当に幸せになります。いつも上機嫌であろうとしている姿、周りを笑顔にしたいと願う力。本当に芽依ちゃんのパワーはかけがえのないものです。笑顔でいられる努力って、出来るようで出来ないことです。

どうか幸せになってください。アイドルとしてもひとりの女性としても。

これからも沢山の芽依ちゃんと過ごせますように。これからもずっと応援しています。

そして、
今生は仕方なく諦めますが、来世では結婚してください。

2016年8月 夏の風を感じた朝に


2016/4/20 Shiggy Jr. at.ビルボード東京

Q 今後ご覧になりたいアーティストをお聞かせください
Shiggy Jr.

 

そう書いたのは忘れもしない2/12。SANABAGUN.がこの企画でビルボードのステージに立った日。初めてビルボードへ足をはこんだ私は、その独特の会場の雰囲気にわくわくした。こんな落ち着いた雰囲気のステージで、いろんなバンドをここで見られたら幸せだろうなあと想像した。

その中で、一番に浮かんだのがShiggy Jr.だったのだ。

そしてその願いは、わりとあっさり2ヵ月後に叶うことになる。

 

わくわくとしたきもちを押さえ込みながら友人とおしゃべりしていると、カーテンが閉まりフロアの明かりが落とされる。
楽器隊が登場し、キーボードのウエッキーが鍵盤を撫でる。ゆっくりしっとりとしたメロディを奏でる。衣装もいつものカジュアルな感じではなく、少しだけフォーマルを取り入れた格好で、ドキドキ。
ボーカルの池田さんがステージに。かわいい!背中がくり抜かれたワンピース!天使の翼(肩甲骨のことです)の根本にほくろが!

このステージに立たせてくれてありがとう。ライブの始まりにステージから客席を見渡す池田さんはいつもそう言っているような気がしている。観客からも控えめながら待ち焦がれていたという空気がビルボードを満たす。Shiggy Jr.のビルボードライブは「サンキュー」からスタートした。

ライブを通じていえることはどの曲も普段のShiggy Jr.とは違う、このステージに似合うようにアレンジされたここだけのものだった。全体的にしっとりと、落ち着いたアレンジ。そう仕立て直されて改めて気づいたのは、池田さんの声が大きく張りのある声になっていたということだ。前に私は池田さんが唄うと世界が色づくという感想を書いたことがあるが、そのきらきら感はそのままに、でも楽器に負けないしっかりとした強さを手に入れていた。声の大きさはそのままボーカリストとしての説得力だなと思った。

「Keep on Reining」で特にそう感じた。もう音源とは全く違う声だな。

「意外とビルボードに合うんじゃないか?」というハードルを自らあげながら、ギターの原田くんがメインボーカルを取る「Your My Girl」。ワンマンツアーではそのレアな光景にみんなを喜ばせたけれど、今日はライブのなかの演出のひとつではなく、自信を持ってこういう側面を見せたいという気持ちが伝わってきた。ツアーではここで池田さんのお着替えタイムだったが、今日は池田さんがコーラスに回る。ふたりの声が美しく交差する。ため息が漏れた。漏らしたのは私。

 

このあと、次のりリースである「恋したらベイベーEP」の中から、大事な曲ですという紹介と共に「town」を披露し、前半のライブパートが終了した。

トーク部分はお笑い芸人のやついいちろうさんを招いて。前も思ったんだけど、なんでここのパートの進行を芸人さんに任せないんだろう。その方がいろいろスムーズに行きそうなのにな。芸人さんも困ってる感じがする。
トークはいろいろありましたが、我が軍(テーブル)は必死にLINELIVEのアプリを必死に起動しながらハートを連打しまくっておりました。なんでかって?ハートが5万になったら、ベースの森くんがバイト時代の制服に着替えると言うのです!(森くんはビルボードでご案内のバイトをしていたそう)
それが発表された瞬間から、我らは言葉交わさずとも心はひとつ。

 

夏彦!!絶対に絶対に着替えさせてるからな!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

余談ですが、好きな本人目の前にしてハート押しまくるのはめっっっっちゃ楽しかったです。これが課金制度敷いてたらわたくしやばたんでした。諭吉解かしてる可能性ありました。余談終わり。

めでたく目標数は達成し、後半パートはお着替えをして演奏することと相成ったのでした。

後半戦は前半よりもダンサブルな曲が多くて、座って聞いてるのが新鮮でもありもったいなくもあり……。でも「LISTEN TO THE MUSIC」で池田さんが全員を立たせてくれたので楽しく健康体操が出来ました。ステージからかけ降りてフロアを走ってる夏彦くんは輝いていたよ…。どうしたって思ったけど、あれはみんなをエスコートしてくれたんだろう(無理矢理な意味付け)
個人的には「baby I love you」が印象に残ってます。場所の空気もあいまって大変よかった…。

ステージ奥行きの関係?なのか、ドラムも奥でなくてセンターからやや下手よりだったので、諸石くんのドラムプレイも近くてメンバーとのアイコンタクトもかいまみえて嬉しかった。どこで誰を見てタイミングとってるのかとかそこまで見る必要は全くないんだけど、ファンは嬉しいっすよね…。


最後は「Saturday night to Sunday morning」この歌で締めるのはよくあるんだけど、やっぱり座りがいい。爽やかな心地のまま終われる。Shiggy Jr.を見たって余韻をもって終われることが出来ました。

まだね、あの余韻に浸れる。ほんとうに素敵な時間でした。

 

ビルボードのこの企画、無料だしなんでなん?って思ってるけど、ビルボードの敷居を下げてお客さんを招くこと(来たらすごく好きになる場所だから)と、若手のバンドにはLINELIVEでの放送で新規客を呼び寄せることもできるいいプロモーションなのかなと。音楽番組に出ることが難しい(そもそも数もない)くて、かといってフェスだとアピールできる層に限界はあるし。私も基本フェス好きではないのでよくわかる。ワンマンなら行こう!ってなるよね。

まだアーカイブも見られるので、見逃した人は是非この機会にどうぞ!

live.line.me

2014/3/2《リリカルスクールMV参加券争奪戦》リアルスコットランドヤード顛末記

ものすごく昔の日記が出てきたので、消えちゃう前に転載しておきます。

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昨日は、リリカルスクール(というRAPアイドルグループ)のPV撮影に行きました。
先着150名には、限定のTシャツプレゼントで、そりゃあみんな欲しいよね欲しいよね!

撮影場所も開始時間も発表されていましたが、その参加整理券の配布方法が「当日15時にツイッターで場所を発表します」とのこと。
撮影場所付近に待機場所がないのでこういう方法になったのです。

撮影場所は、渋谷の某クラブ。

なんだこの、リアル「スコットランドヤード」!

怪盗と探偵側に分かれて、怪盗を追い詰めたら探偵の勝ち。逃げ切れたら怪盗の勝ちという推理ゲーム


①ゲームとは違い、怪盗(配布スタッフ)は出現したら移動はしない
②ヒントはツイッターで配信される
③ゲームとは違い、探偵の移動手段は己の脚
④まあ、タクシーだろうとなんだろうと使うのは個人の自由
⑤探偵が何人いるかわからないけど多いのは確か

・・・さあ、どう、戦う?

アイドルオタとしてボードゲーマーとして負けられない戦い!

私の見立てとしては、撮影場所が渋谷なのでわざわざ電車移動を伴うような距離での配布はないとまず考えた。
賭けに出た人もいたが、この予想はまあ大半の人がしていた。
そりゃそうよね。

で、撮影場所付近はない。
わざわざ待機できないから券を配るので、その近所で配布したら意味がない。
リリカルスクールは、タワーレコードのアイドルレーベル所属なので、タワレコ渋谷で待機している人は本当に多かった。実際、ほとんどの人はここで待機していたようだ。

でもこれもないのではと考えた。
というか、それは一番つまらない展開だからして欲しくなかった。

私ならどこで配るか?

渋谷で、邪魔にならなくて、且つみんなが来やすい場所。
来れない、わからない場所では意味がない。客に来てくれないと、困るのはあちら側だからだ。

ハチ公かな?というのが私の予想でしたが、
もうひとつ、リリスクはマルイシティと縁があり、短期間SHOPを出していた8Fイベントスペースが実は怪しいんではないかと密かに踏んでいた。
可能性を見極めるべく、下見に行く。
空いている。場所は今、何もない。
可能性はある。
ただ、発表の10分前に見に行ったが、気配がない。オタもいない。
オタ(探偵)がいないのなら、わざわざ8階にいなくても勝機があるではないか!
ということで、マルイ1Fにて、タワレコ方面の挙動をにらみながら待機。
ここで、すぎやまさんとはるちゃんと合流し、共に待機。
発表時間の15時。TLに動きはなし。
・・・5分経過。
じれる・・・。
渋谷の町に動きは、ない。
・・・10分経過・・・。
動きがない。
・・・ここですぎやまさんが叫ぶ「餃子の王将裏、宮下公園!」
目の前の信号は青!!
走り出した。何も考えずにダッシュ。

少し前を全力疾走している影。
見覚えがある探偵(オタ)だ!
間違いねえ、とにかく、走れ!!!!


久し振りにここまでダッシュしたよ。


ということで、
はるちゃん3番。
ゆりさん4番。
すぎやまさん5番。

無事怪盗(スタッフ)から整理券を受け取り、限定Tシャツと最前列をもぎ取ったのでした。
最高のご褒美じゃない?


脱出ゲームって参加したことないので、あえて言わせてください。

脱出よりも、追い詰めるほうが興奮するぜ!!

異論は結構です。



2016/1/30 SWINGERZ旗揚げ公演 at.下北沢ガレージ

 SANABAGUN.、THE THROTTLEの高岩遼が率いる謎の集団「SWINGERZ」の旗揚げ公演に行った記録。いろいろありひとつき以上寝かせてしまい、いい加減間が抜けたのでどうしようかと迷うけれど記録として残しておく。このひとつきで追記したいことも増え書き直しも考えたけれど、新鮮な気持ちをとりあえず。長いけど。

 

「ステージの上では嘘はつけない」

私はステージの上に立つ人間ではないが、ステージを見るたびにこの言葉を思い出す。
ライブも芝居もそれは一緒で、努力の成果がそのまま出てしまう場所がステージだ。
ステージで特別な輝きや瞬発力を発揮するといっても、それは普段のたゆまぬ努力に裏打ちされたものしか出すことはできない。そう考えてきた。

だからこそ。

行けばわかると思った。そう、「SWINGERZ」という集団が何なのか。何を目指しているのかということが。


 上演前の劇場はいつもと景色も空気も変わっていた。
ステージの前方には椅子が30個ほど並べられている。その後ろに椅子に座れなかった人たちが立ち並ぶ。結構な人数が、いつものライブハウスとは違う佇まいに期待と不安を滲ませている。何が起こるのか誰も何も知らない。演劇をやるようだが果たしてそれがどういうものなのか。ちょっと異質な緊張感を破るかのように照明が落とされると、客席のドアを開いてSWINGERZの面々が登場。ステージへ歩み寄り一列に並んで顔見世をした。

 SWINGERZ代表の高岩遼が口を開く。
「一歩外出て街を見渡せば、くだらねえアホ面こいたバカばっかで、だからジジババにこの世代がなめられるんだろ。こいつはほおっちゃおけねえ。日本男児汚すわけにはいかねえ。まずは自身から気合を入れていく。そういう思想の下俺たちはこの青い旭日旗を掲げて集まった」
正直、わかるような、わからないような。つかみどころがない。
質問はあるか?という声がかかったので、見る前に無粋かなと思いつつ思い切ってそのものずばりをぶつけてみた。
「どうして演劇という表現形態を選んだのか?」
SWINGERZを俳優事務所にしたい月9に出るような俳優を出したい、と本気なのかどうなのかはぐらかす返答をしたあとに、高岩遼はまっすぐにこう答えた。「表現活動のひとつで、別にこれだけにこだわっていくつもりはないんです」

さあ、ついに幕が上がる。果たして何が見えるのだろうか。


 演目は「桃太郎」と「シンデレラ」と事前に出ていたが、まずは「桃太郎」からスタートした。

《桃太郎》
桃太郎 高岩遼
犬 山田健人
猿 田上良地
キジ 高橋紘
鬼1 工藤わたる
鬼2 谷本弾
鬼3 橋詰大智
(あらすじ)
桃太郎が鬼を制圧し世の中には平和が訪れた・・・わけではなかった。ひとつの争いがおさまれば、また別の諍いの種が芽吹く。桃太郎に毒入りのきび団子を食べさせたのは誰なのか。桃太郎の後釜を狙う犬・猿・きじか、それとも虐げられている恨みを抱えた鬼の犯行か。本当に悪い奴はどこにいるのか。


《シンデレラ》
湘南王子 熊田州吾
ひげ王子 谷本大河
じょんがら節王子 向後
チャーリー王子 高岩遼
ジェームス王子 隅垣元佐
シンデレラ 成田アリサ
(あらすじ)
王子たちが集まりなにやら揉めている。「誰がみんなの憧れの姫に求婚できる権利を持つか」その栄誉を賭けて王子たちが、それぞれいかに自分が姫に相応しいのか自己アピール合戦がはじまった。果たして勝利の女神は、いや姫は誰に微笑むのだろうか。そして姫は一体誰なのだろうか。


 見終えて一番の感想としては「あ、本当に演劇経験者皆無なんだ」という驚きだった。私は小劇場によく通っていた時期があり、少し劇団の制作のお手伝いなどもしていたことがある。とはいえ舞台製作に特に詳しくはない素人の目からしてもそれは明らかだった。
 例えば普通芝居は転換中に曲を流して観客の気を逸らしたり、バミリテープの端に蓄光テープなどを少し使って暗闇でもスムーズな転換が出来るようにしたりする。それが一切されていないところから見ても、本当に手探りで「演劇」に取り組んでいたんだなあということが伺える。とはいえそこを攻めたい気持ちは皆無だ。経験ゼロのところから公演を打ってみよう!というその心意気は素直に面白いと感じたし、むしろその勢いのみで走ってみることが今回の目的だったのかなと感じた。
 彼らの多くは駆け出しのミュージシャンとして、ステージで生きていこうとしている最中の人が多い。そんな人たちが敢えて本業の楽器を置き、ステージに立ってみる。普段はしない芝居をメインに据えて取り組んでみる。楽器を携え人前に出るのはみな手馴れているだろう。しかし仕事にしようと思うほど愛着と自信がある強みを、敢えて手離してステージに立つのは普段とは違う恐怖やとまどいがあったと思う。しかしそれを微塵も見せずに全員が堂々と芝居を楽しんでいた。その演技力に差はあれども正面から未経験の演技に取り組み、変に照れたりしている者は居ない。全員が自分の演技プランを考えたであろうその痕跡はしっかりと観客に伝わってきた。
 自分の与えられたこの役は、ここが魅力でしょう?そうステージからきちんと主張が聞えてきた。これは簡単なようでなかなか難しいことだと思う。これが出来ないと照れが出てしまう。演者が照れると客も照れる。ライブにしろ演劇にしろ些細なことからステージはほころびを持ってしまうことが往々にしてある。それを全く感じさせなかったのは、流石に普段から人前に立つ人たちだなあと感じた。というより、芝居を生業にしていない素人(と失礼ながら敢えて呼ばせていただく)と考えればこれが出来れば概ね成功であろう。客をしらけさせずその世界へぐっと引っ張り込んでいたのだから。
脚本の内容も、昔話を下地にしてアレンジを加えるというよくある手法ではあるが、そこに自分たちなりのアレンジをきちんと加えていた。『桃太郎』では圧倒的なリーダーとそれを取り囲む者たちの信頼関係をストーリ側から巧みにアプローチし、『シンデレラ』ではストーリよりも「演者がそこで自分をどうアピールするか」という自己演出というテーマについて取り組んでいた。二つを同じようにまとめることもできただろうがそれをせず、実験的に取り組む姿勢に前向きな意欲を感じた。

 ただもちろん課題がないわけではない。今後もし芝居を続けるとしたら、やはり最低限の演劇のセオリーは必要になる。先にちらりと述べたように、例えば転換で観客のきもちを離さないように最低限の時間で済むようにする工夫や、音楽をかけたりなどの工夫は必要だろう。ライブでもそうだがひとの気持ちは意外と些細なことでステージから離れていく。
 また演出についても同じで、自分たちが見せたいものを出すことは絶対に大切であるが、そればかりを押し通していくとおいてきぼりになる観客も出る。「浪漫維新」を掲げムーブメントを起こそうとしている彼らは内輪受けを狙っているのではないだろうから、自分たちが提示したいものをどう魅せていくか。輪の外に居る人をどうやって引っ張り込むのか。そこまで含めた「演出」の手腕が今後問われるのだろうなとも思えた。そしてそれは、SANABAGUN.やTHE THROTTLEが抱えている課題と同じなのかもしれない。
 だた、それを鑑みても尚見たものに期待を持たせてしまうのは、この集団を形成しているメンバーそれぞれが可能性と魅力を携えているからだ。それは努力では身につかない天性のものであり財産だ。ここからどう化けていくのか、進化の方向性も見えない分だけ期待も高まると素直に思う。

 

「SWINGERZとはなんなんだろうか?」
結局、見に行って余計にはぐらかされたようなところが大きい。これに手応えを感じてまた公演を重ねるのか、それともまた違う表現形態を探していくのか。月イチでメンバー個別に焦点を当てて作られる5分間の映像作品"FIVE MINUTES MORE" 、先日行われた『浪漫維新』の生配信でのトーク番組、また今後はフリーペーパーの発行なども予定していると聞いた。これらも全てSWINGERZ名義であることから鑑みても、演劇というステージに特にこだわりを持っているわけではないのだろう。
 ではこの取り組みはなんだったのだろうか?
私は『表現者がより沢山の武器を携えるための活動』であると感じた。
彼らはみなそれぞれの表現者としての強みを持っている。それこそそれで飯を食おうとするくらいなのだから自信と自分への期待もあるだろう。しかしそれに頼らずまた違う側面から、表現するという欲求や活動自体を見直し、自身の幅を広げていこうとしているのではないか。男の~云々前口上はあるにしろ、ひとつの姿勢を持って尚自分達を開拓していくその動きが、ひいては周りを巻き込んでいくことを目指しているのではないか。冒頭に高岩遼が『表現活動のひとつ』と述べたことはいつものはぐらかしではなくそのままの素直なきもちだ。どこに芽吹くかわからない、自分達の可能性を信じる自己鍛練の過程が、ライブハウスを飛び出して広がる様に刮目すべきだ。