及川光博「ダンディ・ダンディ」リリースイベントatラゾーナ川崎
ミッチーに逢いに行こう。
そう決めて、電車に乗った。
前日までは違うところへ行こうとしていたのだけど、親切な友人から「ラゾーナにミッチー来るよ!」と教えられ、直前まで散々悩んで迷ってウッアッウッウッアー!って舌噛みそうになりながら身支度。とりあえず、外へ出かける準備。
そもそもあんた、そんなにミッチー好きだったの?って聞かれそうだけど、もちろんヘビーに追いかけてはいないし、ライブも行った事はない。
ただ存在は好きで、一時期毎晩動画やDVDを見ていた時期があった。
私がアイドルに嵌るきっかけとなった、Perfumeに出会う直前の話。
動画サイトで見かけたライブがあまりにも素敵で、MVの振りコピをし、ライブ動画を見て、ライブに行くしかないな!というタイミングでPerfumeに夢中になってしまい結局行かずじまいだった。
「もうこんなチャンスはないかもしれない。今からでも間に合うし、川崎へ行こう」
駅に向かう道すがら、そう心に決めて電車へ飛び乗る。
かわいい女の子が好きでそこそこ観に行くけれど、きれいな男の人を観に行くことなんてほとんどない。妙にドキドキして心細くなってしまい、特典券は枯れてはいないだろうか。ひとりで行って見えるだろうか。あれこれ思いを巡らせては動画サイトを見ているうちに川崎到着。
ステージの周りは、もうかなりの人だかりでした。でも特典券はまだあったので、無事に購入。「名刺お渡し会」の整理番号をもらう。そこには「I」と記入されていた。
ツイッターで検索すると、どうやらアルファベット一字につき200名換算らしい。
てことは、この時点で私の前には少なくとも1600名のベイベーがいる計算である。
マジか。そらそうか。
カメラも沢山スタンバイしている。思ったよりもちゃんとしたイベントのようだ。
今までの経験を駆使し、動線を考慮して場所取りをする。
ステージ周りのブロックは一杯なので、通路を挟んだゾーンの最前で待機。
どうやら隣のベイベーも動線考慮組らしい。同志!と心の中で叫んでいると、司会のアナウンサーが出てきて、イベントスタート。
前説のようなおしゃべりがはじまるも、ミッチーの姿はない。
私がひっそりとまどっていると、司会がもうミッチーをステージに呼び込む流れに。
えっ、まだ来ていなくない?えっ、もう来てるの?イリュージョン?これがミッチロリン星人??
そのときだった。
通路を颯爽と。そう、颯爽としかいいようのない振る舞いでミッチーが歩いてくるではないか!
全身が固くなる。
目が覚めるような青い衣装を着て、大股で美しく歩んでくる。
背筋がすうっと伸びていて美しい。
ミッチーに気づいたベイベー達がこぞって声をかけると、完璧なスマイルと完璧な腕の角度でお手振りをしてくださる。
私は声が出せなかったけど、隣のベイベーのおかげでお手振りのご相伴に預かった。
膝が震えた。
ステージに登場したミッチーは、さっきまでの完璧としかいいようのない、ゆったりと堂々とした振る舞いを崩さずに、縁ある司会のお姉さんと軽快にトークをはじめた。
しかしステージ周りを見る視線に、少しだけ戸惑いの色が滲むように思う。
聞けば、このようなイベントは19年ぶり。デビューして20年(!!)になるそうなので、ほぼ初めての体験なのだとのこと。
そりゃそうか!
自分を見つめる目線に離れているとはいえ、このような環境では不慣れなわけです。だからこそ、余裕のある振る舞いの中に、戸惑いや初々しさが時折顔を覗かせるのだろう。
またその「ほつれ」加減が素晴らしい。意図していない、ミッチーのこんな表情なかなか見られるものではないのではと思う。
その証拠に、イベントの終わりにはもうこのような揺れる表情はほぼなくなってしまっていた。さすがに経験も豊かなので、環境への順応もお早いのでしょう。流石です王子!(臣下モード)
。
トークや告知を挟んで、ライブはリリースの二曲しか唄わなかった。
けれど、こんなにも満ち足りた気持ちになれたのは、軽妙なトークとファンへの気配り。及川光博という人柄がラゾーナ川崎に満ち満ちたからではないかと思う。
30分程度の時間はあっという間だったし、輝いていた。
ステージの端でお水を飲む姿さえ、神々しいような美しさだった。
とにかく、背筋が緩む瞬間がないのだ。
「人の視線を集める」ということに、及川光博は照れや恐れを抱かない。
抱いているかもしれないが、それを外には出さない。
ゆったりと余裕のある振る舞いと、キレのあるダンスの動きの対比も、見ていてとても心地いい。
サプライズでMVに出演しているダンディー坂野が登場した時、一瞬歌詞を飛ばしたが(これも貴重なほつれだろう)すぐにまた世界に戻ってこられた。
個人的にライブを見に行くのは、歌やダンスも目当てではあるが、その演者の振る舞いや言葉を聞きたいという方が大きい。
なのでわりと執着を持って、演者の放つ言葉を聞く方だけれど、ミッチーが最後に言った「キラキラしよう!」みたいな簡単な台詞に撃ち抜かれてしまい、この短い台詞が全くもって飛んでしまっている。
言葉を聞いた瞬間、うわっと血液が動いたのを感じた。
イベントが終わる頃にはすっかり翻弄され、この方から名刺を賜るなんて…と恐れ戦くわたくし。
長い長い待機時間の末、もう鍵閉め寸前で順番が来た。
お渡しはステージ上だったのだが、テントが張られていて光景は全く見えなかったので、ひたすら緊張しかない。
ミッチー王子と接触など畏れ多いと重いつつ、ドキドキしながら歩いていくと…薄暗いテントの中に、及川光博様はまっすぐに立っておられました。
お渡し会が始まってから二時間ほど、ずっとこの中でこの美しい立ち姿ていらしたのかと思うと、足が震えま・・・え・・・?
眼鏡をお召しになってますよねーーーー!!!!最高か!最高です!!
気が遠くなりかけましたが、力を振り絞ってとにかく見つめました。
及川光博様も、流石にお疲れのご様子でしたが、こちらを見ておられます。
短くお言葉を交わし、名刺を賜り一瞬で終わりました。
最後にニコッと微笑まれた瞬間を目の当たりに出来ただけで、自分を褒めたい。
神々しかった。
胸が一杯になりました。
帰りも、また美しいまま颯爽と歩んでいかれるお背中をみつめ、夢のひとときは終わり。
ああ、幸せだった。
当たり前のようにひとの視線を集めること。
愛情を受け止めること。
ひとの気持ちに動じないこと。
だけどそれを風景のように流さず、感謝を持って誠実に返すこと。
気を抜かず、美しく振舞うこと。
彼は、その与えられた美しさに甘えていない。
憧れと親しみやすさの絶妙なバランス。
スター。スターです、及川光博は。そうとしか言いようがない。
ベイベーたちは幸せ者だ。
あんな素敵な人を好きでいるのだもの。
迷ったけど接触の内容も忘れないようにきちんと書いておこう。
ゆ「…お疲れさまでした…」
ミッチー「ありがとう」
ゆ「ま、また、来てもいいですか…?」
ミッチー「もちろん(ニコッ)」
それではお聴きください。
及川光博で「死んでもいい」
死んでもいい
なんて思えちゃうくらいの
ときめきを僕にください
明日と引き換えに