あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

TIF2012 リリスク夜のお散歩

私のリリスク初現場は、これでした。


lyrical school「おいでよ」 - YouTube

これは公式があげている動画ですが、検索すると他にももにゅもにゅです。もにゅもにゅ。


予定していたステージが破壊されてしまったことにより、ステージがなくなってしまったので、
急遽、代わりにサイファーをやるぞという情報が流れ、サイファーってなんだよ??と思いつつ、中庭で待機。
この年初めてTIFに参加し、破壊されてしまったステージで初めてのリリスクを見ることにしていた私は、ガッカリ感を抱きながら友人たちとだらだらと待機していたのでした。
リリスクはコンピレーションアルバムに載っていたのを聴いただけ。
もう夜だし疲れていたし、曲は一曲しか知らないし、メンバーの名前も知らない。
テンションは低飛行のまま待っていると、メンバーが現れた。
メンバーもここで何をするのかいまいち把握してないまま、え?なにするの??と暫くごにょごにょしていましたが、意を決したようにyumiとmarikoが先陣を切り、夜のお散歩がスタート。
メンバーも観客も手探りで、夕闇に紛れるように密やかに、まばらな拍手と足音と吐息がだんだん大きくまとまりを見せていく。
私はもう、わくわくがとまらなかった。
よくわかんないけど、なんだか凄いことがはじまるんだ!そこに今、私は立ち会っているんだ!
脳の芯から痺れるような、興奮。
予感というか確信にすがるように、手を打ち歌いながら歩き出す6人の女の子たちについていく。
20~30人くらい?のファンに囲まれて、夜の薄暗い中庭を歌いながら練り歩く背中を、見失わないように追っていた。
まさかの新曲「おいでよ」の初披露。
私は知らなかったけど、周りのファンの人が「ここで新曲かよ!」と笑いながら言っていたのが印象的だった。
メンバーは歌いながら、時折ファンを伺いながら、途切れるようで途切れず、夜に紛れたこのいたずらを楽しんでいた。
メンバーもスタッフも、そしてファンも偶然居合わせたひとも、みんな同じ顔をしていたように思う。
共犯者。
本当は(多分)いけないことをしているという、共犯者感覚。

HIPHOPに馴染みがなくて、関心ないというか正直敬遠してたのに、かわいい女の子たちが手拍子ひとつで目の前で歌ってくれただけで。客も演者もみんな同じ目線で、同じ空気まとって練り歩いただけで。
なのに、こんなに好きになった。急に大きな存在として目の前に現れた。

結局お散歩はスマイルガーデンをふたまわりし、短い挨拶の後「逃げろー!!」という言葉を残してメンバーは走って消えた。
恐らく時間にしたら15分くらいの短い時間だったが、これから何かが始まるという予感だけを残して。

これが初現場。好きにならないわけがない。

そのまま私は帰るのをやめて、急遽オールナイトイベント(その頃はオールナイトの部がTIFにあった)に出ることになったリリスクのステージを見届け、興奮を抱えたまま帰宅した。
凄い子達に出会ってしまった。
友人としつこいくらいこの話を繰り返しながら帰宅の途についた。
曲を覚えたわけじゃない、メンバーの名前や顔を覚えたわけじゃない。むしろ、顔なんて全然見てない。ただ、興奮していた。


その興奮を鮮やかに抱えたまま、もうじきあの子達に出会って三回目の夏がやってくる。

あの夜のサイファー(のようなもの)は、きっとまだ続いているのだ。