あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

YAJICO GIRL「黒い海」(EP『沈百景』収録)


YAJICO GIRL - 黒い海 [Official Music Video]

 

このところずっと、毎日繰り返して聞いているのがYAJICO GIRL「黒い海」。ヤジコガール、と読みます。
『沈百景』というEPの一番最後に収録されているこの曲にハマってしまい、最近こればかり繰り返し聞いてる。
聴きたいアルバム沢山あるし他のも勿論聞くけど、気が付けばこれをまた一曲リピート再生している。
一曲に執着して何度も聞く人は依存症の気があると聞いたので、ここで気持ちを成仏させるために好きな理由を書いてリセットしたい。

多分この曲を最初に聞いたのは、9月のフェスのステージだったと思うけれど、その時はここまでハマらなかった。
メロディがさみしげなのにどこか明るくて、いい曲だな。くらいだった。
そのあと発売されたEPに収められて、聞いた時もそのくらいの熱量だった。
しかし先月末に行われた台風の日のインストアイベントで、ボーカルの四方くんがぼそぼそと話し出した「高校生の時の友達で組んだバンドが大きくなって、このまま友達が将来の仕事仲間になることについて悩んでいた」という話を聞いて、この日は演奏されなかったこの曲に一気に引き寄せられた。
帰り道に沈百景を再生して、うん、間違いなくあの話はこの曲に繋がってるよなあ…と腑に落ちた。

そして、この曲がEPの最後にある理由も。


そこからずっとと魅入られたように繰り返して聴いている。何十回も繰り返しても、褪せない強度がある曲だなと思う。
途中でもう終わりかな?と思うくらい長く続くたっぷりとした間奏が好きだ。
タイトルのように、海辺にいるような気持ちになれる。静かな、黒い海に。
 

歌詞を読んだ。
美しいから是非、通して読んでほしいなと思う。
高校の友達で組んだバンドが、大学生になって本格的に活動してみて、オーディションに勝ち進んで、事務所に所属して。
でもまだ学生だから、恐らくそこまで劇的に世界が変わるような環境の変化がある訳でもなくて(想像ですが)。
その希望と不安とに挟まれたその心情を、難しい言葉もなく素直に綴っている。
関西の学生としての生活は、ある意味できっと彼らを守っているけれど、それでもゆっくりとじわじわと変わっていく時の流れは、実は残酷なまでに彼らに不安として焼き付いているのではないか。

歌詞に「不安」なんて一言も出てこないのに、こんなに瑞々しく不安を綴れるワードセンスは凄い。
曲も他のものと比べて落ち着いていて、魅力のピカピカしているポップなギターも聞こえない。
でも、ちゃんと他の曲と地続きだなあと感じる。
全体的に落ち着いていて、でも安易に不安に振り切れず、ちゃんと希望も描かれている。
だから何度も聴きたくなるんだろう。
 
今この時期にしか描けない絶妙なバランスだなあと思いながら、明日もまた再生してしまうのかもしれない。

 
MVも好き。自主制作とのことなので、是非。
 
『沈百景』に収録されている「サラバ」のこのMVが好き。かわいいので最後まで見てほしい。
やりたいことがすごくわかるMVはいい。
 
 
 

 

黒い海

黒い海

  • YAJICO GIRL
  • J-Pop
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

沈百景