あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」at. LIQUIDROOM 2018/11/10


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  自分にとって4回目のDATSワンマンライブへ行ってきた。

yurivsky.hatenablog.com

 WWWからWWW-X、そして前回は今年の5月にリキッドルーム。前回のワンマンと同じステージに挑む彼ら。ステージからはどう見えたのかはわからないけれど、客席からは変わったものと変わらないものがはっきりと見えたように思う。


 今回は「Digital Analog Translation System Tour 2018」と銘打たれたツアーで、アルバムを携えて東名阪を巡った。そのラストが、前回のワンマンと同じステージだ。奇しくも、それが決まったときには予想もしなかった大きな変化がある。メンバーチェンジとそれに伴うポジションチェンジ。このワンマンに先駆けて行われた、AAAMYYYとのツーマンフリーライブでもボーカルのもんじょーくんが言っていたけど、新しいDATSのお披露目の意味が強くあった。自分たちのホームである東京でのワンマン、期待と気合が高まっているのはステージに現れた時のメンバーの表情から充分に伝わった。

 

 結果からいうと、またすごくDATSを好きになれるライブだった。新曲だけでなく、既存の耳馴染んだ曲たちからも、足元から静かに興奮が駆け上るような瞬間があった。あ、今「かっこいい」を更新したと何度も思った。一曲目『Mobile』のイントロが鮮やかに空気を変えていった。今までよりもドラムが強く出て、一打毎に鼓動が高まる。何度もライブで聞いている曲なのにまだこんなにドキドキできるのかと、DATSの楽曲の強度に改めて驚くばかりだった。

 

 当然アルバムの曲を中心にライブは進んでいくけれど、既発曲も新曲も差がなくフラットに新鮮に受け取れたのは、全ての曲をこのメンバーで改めてイチから作り上げたからだろう。それは想像がつかないくらい大変で努力と覚悟がいる作業だったと思うけれど、それが『格段にパワーアップしたと思う』と胸を張って言える自信に繋がってて頼もしく、同意しかなかった。過去の否定ではない、そこにはこのDATSという場所を絶対に残したいという懸命な想いの跡が見えるようだった。

 

 本当はもっとウエットな気持ちになるかと心配していたけど杞憂だった。きっと名古屋と大阪の反応がよくて、本人たちも不安よりも手応えを感じていたからじゃないだろうか。過去のワンマンで「目の前のあなたにいいねと言って貰いたい」と話していた言葉がよみがえる。改めてワンマンというかたちでファンへ挨拶できた喜びに溢れててよかった。

 

 今回は入場した時から場内が矢鱈暗くて、始まった時も客入れの延長からするりと始まった気がした。はける時もアンコールの時も、何もかもが地続きだった。客席もステージも継ぎ目がないようだった。そして、誰か一人にスポットが当たることもほとんどない。記憶の限りではメンバー紹介でソロをやった時くらいだ。四人がほぼ同列に並び、同じ明るさで照らされているのは、それがメンバーがDATSであろうとしている意思のように思えたし、客席もみんな、この集合体がDATSなんだといってくれているようだった。私が思うDATSの一番好きなところは集合体としてDATSであろうとしているところだ。だからライブでも踊らせてくれるというよりも、踊ることを選ばせてくれるように感じる。もしかしたら、そこに物足りなさを感じる人もいるかもしれないけれど、強引にエモーショナルに引きずり込まずに、観客に選択肢を与えてくれるのも、優しさであり『らしさ』なのではないか。ダンスミュージックだからって、踊ることを強制されなくていいし、考えることを放棄しなくていいのだ。「ここまでは連れて行くよ、ここから先は自分で考えて決めて。よかったら一緒に行こう」といってくれているようで心地がいい。


 今までは緻密に織り上げた布を纏わせる様な、みっしりとした音源をきちんとステージの上で再生することに努め、会場をきっちり満たすような印象だったのに、今回はかなり人の手・遊びの部分を感じる。ツアー&アルバムタイトル通り「デジタル」と「アナログ」を行き来しつつ、観客との空気を読みながらライブを作ることに喜びを感じているのではないか。だから前は打楽器のセッションタイムが凄く特別なアトラクションに感じたけど、今回はそこへ入るのがとても自然に思えた。どちらにしろ最高に心躍る時間なのは間違いない。なんであんなに心地いいんだろう、あの時間。ドラムの大井くんが芯となり、他のメンバーも次々と呼応していくシーンはライブの山場であり、個性が垣間見えて心に残った。


 DATSいいバンドだなーと再確認するようなワンマンだった。あっという間だった。かっこよくて、スタイリッシュで、熱い。ダンスミュージックなのに、丁寧。デジタルなダンスサウンドから、アコースティック…アナログの面が強くなっているのを感じた。ベースが強くなった。大井一彌くんのドラムが凄すぎた。あんなに多彩な音が出せるのか。手元を見ているだけで全然飽きない。近くにいても耳が痛くならない、バランスをすごくとられているのではと思う。

 アンコールでやった新曲、テンポの速いビートとそれを追いかけるギターが疾走感を生んでて気持ちよかった。「お前が世界を覗き込む時、誰かもお前を覗き込んでいる」って歌詞が印象的だった。リズムも強いけど、ギターがすごく映える曲。反り返るギターの吉田くんと、ベースのはやぴを交互に見てしまった。

 

 まだ余韻が体から抜けていかない、幸せな時間だった。

 

細かい感想をいくつか思うままに羅列。
・大井くんが「Dice」でシンバル外してスネアに直置きして叩いて、そのあとBメロでシャン!と音を出してシンバルを投げ捨てた時ひええええって声が出た。出るわ。
・もんじょーくん『おねがいします』を噛んでしまい『大事なところできめきれない…』と苦笑してるのも微笑ましかったな。もんじょーくんは素直でありのままでいるフロントマンで、その自然体なところが魅力的。

・「TOKYO」やらなかったな~。大阪・名古屋もしなかったようだ。聞きたかった。試聴会で「この歌が好き。東京の人間が作る東京の歌が他にないから」と話していたたくやくんと、それを聞いて照れ笑いしていたもんじょうくんを思い出した。

 

ナタリーの記事、写真も綺麗でかっこいいです。

セットリストもこちらから抜粋させていただきました。

新曲、早くタイトル知りたい。

natalie.mu

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」2018年11月10日 LIQUIDROOM セットリスト

01. Mobile
02. Memory
03. JAM
04. Netflicks
05. Alexa
06. Dice
07. Run
08. Health
09. 404
10. Interude
11. Session
12. 新曲(1)
13. 新曲(2)
14. Pin
15. Heart
16. Message
<アンコール>
17. 新曲(3)
18. Jane

各メンバーのツイート↓

 

 

 

 

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