あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

Shiggy Jr.「That’s what I call Shiggy Jr.」at.赤坂マイナビBLITZ 2019/09/07

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 2019年を振り返って、どうしてもこれを残さないと終われないと思ったことがある。5年弱、すごく大切で愛情を注いだバンドが、場所が無くなってしまった話だ。
↓解散を受けて書いたブログ。

yurivsky.hatenablog.com

 2019年6月5日バンドの解散を知ってから、9月7日の解散ライブをなんとしても無事に最後まで見届けることを課して過ごしてきた。実際はこのことばかりに日々捕らわれていたわけでもない。ただ、ほぼ5年自分の大切な場所を支えてくれた人たちがいなくなってしまうのは、目を背けられないダメージだった。そして、発表から解散までこの最後の1回しかライブを見ることができないということが、良くも悪くもファンとして腹を括るしかないという覚悟になった。


 切ないのに、絶対にさみしくなるのに、それでもライブが来るのは楽しみだった。いつもシギーのライブのあとは「たのしかった!」という気持ちひとつ抱えて幸せに帰途に着けたからだ。この矛盾した気持ちを抱えながら、万端の準備をして当日を迎えた。


 ライブのTシャツを買って即トイレで着替えるなんて、いつ振りだろう。入場は何時も一緒にライブを並んで見ていた友人たちと連れ合って入るが、中でそれぞれの場所にわかれた。番号が遅かったので、後方しかし中央よりの段上でステージが全て見えるところに行けた。いつも運よく前方で見られていたので、こんな後ろで見るのは初めてだなと思う。更に時間が経つにつれどんどん混み合っていく会場を見ながら、シギーのライブをひとりで見るのは初めてだなと気づく。いつも行きたいライブにはひとりでどこへでも行くけれど、ここでは誘い合わなくてもいつも誰かと一緒だった。


 フロアの密度は増すばかりでいつドアが閉まるのかと思っていると、やや開演時間を過ぎてようやくドアが閉められた。ついに最後のライブがはじまる。はじまったら、終わってしまう。もう、次はない。



 そしてついに、照明が落ちた。最後の時間が始まった。

 

 
 いつも一番最初に飛び込んでくる諸石くんを筆頭に、ほんとうに何時も通りステージへひとりひとり駆け込んでくる。この瞬間がいつだって最高にわくわくした。もうこれが味わえないのかという気持ちをどうしても無視できない。そして一曲目は「Saturday night to Sunday morning」この曲始まりのライブ、今までもたくさんあったなあと思い出す。一番最初に出会ったときもそうだった気がしている。そして正に今は土曜の夜。そして何よりも今日の為のようなこの歌詞に打たれた。
 
今を噛み締めて
夢のような時を
二度と戻れない
一度きりのクルーヴで
 

  こんなに後ろなら絶対にメンバーにはわからないから、今日はもう涙を我慢するのはやめようと思った。泣いて恥ずかしいということも無い、今日で最後なのだから。まばたきする瞬間すらも惜しい。涙を流しながらもまぶたを伏せることはなかった。その時間が勿体無かった。最初で最後の後方から見るシギーは、初めて全体を満遍なく見たような気もした。でも最前で見るのと同じくらい、ずっと集中して見ていたなと思う。

 

 不思議なもので、しっとりとした曲より、明るく爽やかな曲の方が自然と涙腺を刺激された。シギーの曲はどれもキラキラしていて、女の子の跳ね上がるようなワクワク感がいつも心底眩しかった。ベースの森なっちゃんが弾く音にスラップが多いのも、打楽器のような跳ね上がるリズムを重ねることで、そのワクワクした気持ちを加速させていた気がしている。そのキラキラに、現実では味わえない憧れと謎の郷愁を見つけ出していた。なりたかった女の子、それがシギーの曲にはあった。
 
 ライブを通してどれだけ泣いたのかもよくわからないけれど、ずっと泣いていたわけでもない。最初こそどう切り込んで行くか迷っていた池田のMCも、他のメンバーが突っ込んだり混ぜ返したりしてすぐにいつもどおりほのぼのとした空気で場内を笑顔にさせていた。男子メンバー三人も何時も通り。ああそうか。気持ちの整理が付いたんだ。前へ進むと決めた人は強い。
 
 一曲ごとに、その曲に紐づいた思い出が引き出されるのも、どんなにシギーの曲が自分の生活に浸透していたのかを思い知らされた。目の前のステージを焼き付けながらも、同時進行でその思い出にも思いを馳せた。
 
 いつもそんなことはあまりなかった、曲の入りのトチりとかも正直目立った。ああ、だって半年もずっとライブしてなかったもんな…としみじみした。ステージに立ち続けるってそれだけで凄いことなんだ。勿論、そんな失敗なんて流せるくらいすごくいいライブだった。でも本当のこといえば、前回のワンマンを満員の会場でたくさんの人に見て欲しかった。本当に素晴らしく明るく楽しく、完璧ないいものだったから。

 
 
 今回のライブタイトル「That’s what I call Shiggy Jr.」
”私が「シギージュニア」と呼んだもの”
なんだったんだろうな。ずっと考えていた。考えながらステージを見ていた。答えは今日わかるはずだから。正解なんて無いけど、自分なりの答えを持って帰りたかった。
 
私にとってそれは、「愛情」だったのではと思う。
愛情。沢山のステージから、リリースしてくれた楽曲から貰った愛情。

ライブの後のいつもより丁寧に世界を見たくなるような気持ち。
ポップミュージックは強くないとできないということ。
ステージに立つ4人の幸せそうな笑顔と信頼を寄せたまなざし。
ステージの下から勝手に寄せられる親愛のひとつひとつも、きちんと受け取ってくれる器の大きさ。
 
そんなものたち全部が愛情だったなと、今改めて静かに思います。
 
 しげくんがMCで「人はいつか死ぬし、バンドも死ぬ」って言い出した時は今日それ言うの率直過ぎん!?とたまげたけど、でもこの曲たちは残っていくんだよというのは本当だなと思ったし、更に「Shiggy Jr.は永遠になりました」と繋げたことは、そうか、このままずっとシギーを好きでいることは過去への執着ではないって思っていいんだなと、肯定してくれたんだなと受け取ることにしました。都合がいいけれど。
 
  1曲ごとに思い出が溢れるくらい、深く大切にしていた存在がなくなるなんてかなしいしさみしいけど、とにかく実感がない。何度書いても、書き直しても書き足しても全然しっくりこなくて、いくらでも書けるけれどまとまらない。言いたいことはただひとつだから。それは絶対に言えないけれど、もしここまで目を通してくれた人がいるなら伝わることでしょう。
 
 来年の手帳にはもう【Shiggy Jr.】の文字が増えないのが今でも信じられない。
でも最後までずっとメンがーが真摯でいてくれたから、池田智子・原田茂幸・森夏彦・諸石和馬の4人みんなが”Shiggy Jr.”であろうとしてくれたから、ずっと好きでいられた。そこが一番嬉しくて、大好きなところでした。だから、ずっと好きなまま永遠になりました。ありがとう。


【セットリスト】

Suturday night to Sunday morning
Summer time
D.A.Y.S.
誘惑のパーティー
GHOST PARTY

day trip
TOWN
スタート

baby I love you
二人のストーリー
your my girl
looking for you

Beautiful Life
ホットチリソース
oh,yeah
Juuuump!!
お手上げサイキクス
スペシャルセッション~
TUNE IN!!
恋したらベイベー
LISTEN THE MUSIC
ピュアなソルジャー

 

(アンコール)
約束
Keep on rainning

サンキュー

 

(Wアンコール)
Beat goes on
サマータイムラブ

 

 

 

 

 

 それじゃまたね。