あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

Laika Came Back 「立冬の砌 」at.東京 日本基督教団 根津教会 2018/11/23


f:id:yurivsky:20181128184411j:image


f:id:yurivsky:20181128184457j:image

 いつもの足取りで彼は入室してきた。そう、私たちがよく知るあの軽やかな足取りで。片手にギターを携えて。


 進むだけで空気を切り取るような、背筋が気持ちよく伸びた背中。文字通りの意味で顔色を伺う、心配そうな顔たちへ向けて、ちょっと照れくさそうにしつつ小振りのアコギを抱える。元から色白だけど今日は一段と白いな、というのが正直な感想だった。


 深くしなやかなお辞儀と共に、一曲目が始まる。

 

 彼の演奏は「ひとり」だ。弾き語りではなく、ギターひとつで全てのパートを奏でる。弾き、こすり、叩き・・・この手元から生まれる音はもしかしたら無限なのかなあと思うくらい幽玄で多彩だ。足元に置かれたルーパーエフェクターを器用に使い、演奏していく。その日その時の音は車谷さんだけでなく私たちの息遣いまでも取り込めるような気さえして、いつも息を潜めて耳をすませてしまう。


 一曲ごとに、足元の機材を少しいじる間、拍手もせずに彼の準備を待つ時間が発生するのだけれど、この日はなんだかいつも以上に静謐で輪郭が濃いように思えたのは、そこが教会という神聖な場所だったからだろうか。段上には分厚い聖書が置かれ、白い壁によく映えていた。傍らに百合を中心に白い花ばかり活けられた大きな花瓶。花瓶の前で生まれる音の波動で空気が振動するのか、演奏中に時折強く百合が薫るのが印象的だった。

 

 ライカとしての持ち曲はほぼ演奏したのではないだろうか。手元に置かれたセットリストには、びっしりとタイトルが書かれていた。少ないMCの中で何度も「今日は僕の少ない親友たちの協力で開催することが出来た」と愛しそうに繰り返し「予定通り、削ることなく全て演奏することができました」と嬉しそうに笑う顔がまぶしかった。急病で直前のライブをキャンセルしたことについては一言も触れなかったが、ファンが心配しているのを知らないわけがない。その一言が全てを伝えてくれたと思う。

 

 オリジナル楽曲はいつものごとく素晴らしいけれど、今回は「この歌が好き過ぎて歌えなかった」とやや緊張気味に披露した、サイモン&ガーファンクル『スカボロー・フェア』、そして『アメイジング・グレイス』のカバー二曲に胸を打たれなかった人はいないのではないか。どちらもあまりに有名な曲であり、思い出や思い入れのある人もいるかも知れない。しかし、どこまでもまっすぐに高い天井へ吸い込まれるように伸びていく声は、車谷さんの平和への祈りと感謝の気持ちが痛いほどに伝わってきた。ただ彼のことを思い、今日この日を迎えられた幸せに感謝する気持ちで全身が満たされた。

 

 カバー曲を含め、圧倒的な空気にただ身を任せるしかなかったが、本編最後の『天空の彼方』、そしてアンコールの最後を締めた『駿馬』で涙を堪え切れなかった。なんて優しさに満ちた歌、そして場所なんだろう。

 

遠い日の涙 すっと流れた 運命が見えた

天空の彼方 天空の彼方 天空の彼方へ(天空の彼方)

 

もうそんなに もうそんなに 悲しまないで 

そうだほら その調子 

もう少しそのまま もう一息 

そうだ このまま進め(駿馬)

 

 思わず胸に手をあてていた自分に、そうかと気づく。この歌もまた祈りなのだ。

 

 拍手で送り出した後も、心がなかなか現実に戻れなかった。それは自分だけでなかったようで、会場のあちこちでも放心したように座っている人や、「現実に戻りたくない・・・」という声も聞こえた。

 激しいリズムや大きな音はなくても、耳目を集めることが出来るということをライカは教えてくれると思う。大きな声で放たれたメッセージは、強いパワーで確かに伝わりやすい。しかしそうではない手法だってあるはずだと、過不足なく手元まで届けられる音楽で、彼は言ってくれている気がする。車谷さんの手の中で生まれては消えていくはかない音へ集中し、彼の気持ちへそっと寄り添い寄り添われるような感覚。音楽を挟んで、演奏家と観客が近しい存在になれると感じる。完全にわかりあうことは出来なくても、音楽が間にあるときは同志になれるような、心地。こんな時間が持てるなら、世界はきっと少しは変わるのではと信じられるようなひとときだった。

 


 最後に買ったCDにサインを入れてもらい、最後に握手と「また逢いましょう」という言葉を貰った。人生の大半という長い間ずっと憧れている人と再会を約束できることの幸せな重みと、同じ時代を生きて巡り合えたことにまた感謝せずにはいられなかった。


 必ず、生きて、また逢いに行きます。

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」at. LIQUIDROOM 2018/11/10


f:id:yurivsky:20181112171215j:image

  自分にとって4回目のDATSワンマンライブへ行ってきた。

yurivsky.hatenablog.com

 WWWからWWW-X、そして前回は今年の5月にリキッドルーム。前回のワンマンと同じステージに挑む彼ら。ステージからはどう見えたのかはわからないけれど、客席からは変わったものと変わらないものがはっきりと見えたように思う。


 今回は「Digital Analog Translation System Tour 2018」と銘打たれたツアーで、アルバムを携えて東名阪を巡った。そのラストが、前回のワンマンと同じステージだ。奇しくも、それが決まったときには予想もしなかった大きな変化がある。メンバーチェンジとそれに伴うポジションチェンジ。このワンマンに先駆けて行われた、AAAMYYYとのツーマンフリーライブでもボーカルのもんじょーくんが言っていたけど、新しいDATSのお披露目の意味が強くあった。自分たちのホームである東京でのワンマン、期待と気合が高まっているのはステージに現れた時のメンバーの表情から充分に伝わった。

 

 結果からいうと、またすごくDATSを好きになれるライブだった。新曲だけでなく、既存の耳馴染んだ曲たちからも、足元から静かに興奮が駆け上るような瞬間があった。あ、今「かっこいい」を更新したと何度も思った。一曲目『Mobile』のイントロが鮮やかに空気を変えていった。今までよりもドラムが強く出て、一打毎に鼓動が高まる。何度もライブで聞いている曲なのにまだこんなにドキドキできるのかと、DATSの楽曲の強度に改めて驚くばかりだった。

 

 当然アルバムの曲を中心にライブは進んでいくけれど、既発曲も新曲も差がなくフラットに新鮮に受け取れたのは、全ての曲をこのメンバーで改めてイチから作り上げたからだろう。それは想像がつかないくらい大変で努力と覚悟がいる作業だったと思うけれど、それが『格段にパワーアップしたと思う』と胸を張って言える自信に繋がってて頼もしく、同意しかなかった。過去の否定ではない、そこにはこのDATSという場所を絶対に残したいという懸命な想いの跡が見えるようだった。

 

 本当はもっとウエットな気持ちになるかと心配していたけど杞憂だった。きっと名古屋と大阪の反応がよくて、本人たちも不安よりも手応えを感じていたからじゃないだろうか。過去のワンマンで「目の前のあなたにいいねと言って貰いたい」と話していた言葉がよみがえる。改めてワンマンというかたちでファンへ挨拶できた喜びに溢れててよかった。

 

 今回は入場した時から場内が矢鱈暗くて、始まった時も客入れの延長からするりと始まった気がした。はける時もアンコールの時も、何もかもが地続きだった。客席もステージも継ぎ目がないようだった。そして、誰か一人にスポットが当たることもほとんどない。記憶の限りではメンバー紹介でソロをやった時くらいだ。四人がほぼ同列に並び、同じ明るさで照らされているのは、それがメンバーがDATSであろうとしている意思のように思えたし、客席もみんな、この集合体がDATSなんだといってくれているようだった。私が思うDATSの一番好きなところは集合体としてDATSであろうとしているところだ。だからライブでも踊らせてくれるというよりも、踊ることを選ばせてくれるように感じる。もしかしたら、そこに物足りなさを感じる人もいるかもしれないけれど、強引にエモーショナルに引きずり込まずに、観客に選択肢を与えてくれるのも、優しさであり『らしさ』なのではないか。ダンスミュージックだからって、踊ることを強制されなくていいし、考えることを放棄しなくていいのだ。「ここまでは連れて行くよ、ここから先は自分で考えて決めて。よかったら一緒に行こう」といってくれているようで心地がいい。


 今までは緻密に織り上げた布を纏わせる様な、みっしりとした音源をきちんとステージの上で再生することに努め、会場をきっちり満たすような印象だったのに、今回はかなり人の手・遊びの部分を感じる。ツアー&アルバムタイトル通り「デジタル」と「アナログ」を行き来しつつ、観客との空気を読みながらライブを作ることに喜びを感じているのではないか。だから前は打楽器のセッションタイムが凄く特別なアトラクションに感じたけど、今回はそこへ入るのがとても自然に思えた。どちらにしろ最高に心躍る時間なのは間違いない。なんであんなに心地いいんだろう、あの時間。ドラムの大井くんが芯となり、他のメンバーも次々と呼応していくシーンはライブの山場であり、個性が垣間見えて心に残った。


 DATSいいバンドだなーと再確認するようなワンマンだった。あっという間だった。かっこよくて、スタイリッシュで、熱い。ダンスミュージックなのに、丁寧。デジタルなダンスサウンドから、アコースティック…アナログの面が強くなっているのを感じた。ベースが強くなった。大井一彌くんのドラムが凄すぎた。あんなに多彩な音が出せるのか。手元を見ているだけで全然飽きない。近くにいても耳が痛くならない、バランスをすごくとられているのではと思う。

 アンコールでやった新曲、テンポの速いビートとそれを追いかけるギターが疾走感を生んでて気持ちよかった。「お前が世界を覗き込む時、誰かもお前を覗き込んでいる」って歌詞が印象的だった。リズムも強いけど、ギターがすごく映える曲。反り返るギターの吉田くんと、ベースのはやぴを交互に見てしまった。

 

 まだ余韻が体から抜けていかない、幸せな時間だった。

 

細かい感想をいくつか思うままに羅列。
・大井くんが「Dice」でシンバル外してスネアに直置きして叩いて、そのあとBメロでシャン!と音を出してシンバルを投げ捨てた時ひええええって声が出た。出るわ。
・もんじょーくん『おねがいします』を噛んでしまい『大事なところできめきれない…』と苦笑してるのも微笑ましかったな。もんじょーくんは素直でありのままでいるフロントマンで、その自然体なところが魅力的。

・「TOKYO」やらなかったな~。大阪・名古屋もしなかったようだ。聞きたかった。試聴会で「この歌が好き。東京の人間が作る東京の歌が他にないから」と話していたたくやくんと、それを聞いて照れ笑いしていたもんじょうくんを思い出した。

 

ナタリーの記事、写真も綺麗でかっこいいです。

セットリストもこちらから抜粋させていただきました。

新曲、早くタイトル知りたい。

natalie.mu

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」2018年11月10日 LIQUIDROOM セットリスト

01. Mobile
02. Memory
03. JAM
04. Netflicks
05. Alexa
06. Dice
07. Run
08. Health
09. 404
10. Interude
11. Session
12. 新曲(1)
13. 新曲(2)
14. Pin
15. Heart
16. Message
<アンコール>
17. 新曲(3)
18. Jane

各メンバーのツイート↓

 

 

 

 

www.youtube.com

King Gnu 1st ONE-MAN “Tokyo Rendez-Vous” @ WWW  2018/01/28


f:id:yurivsky:20180223131326j:image

 2017年9月。よくある数バンド出る平日の対バンイベントで、たまたま見たのがきっかけだった。セッティングで拡声器が運び込まれて目を引かれ、音を出したらそのかっこよさに度肝を抜かれた。あまりにびっくりし演奏中にトイレに行って心を落ち着かせたのをよく覚えている。すぐにまた見る機会があり、そこで完全に好きを確信する。翌月アルバムが発売されるとのことでそれを心待ちにしつつ、Play musicで配信されていた2曲を繰り返し再生。そうして待ち焦がれたアルバムに度肝を抜かれ、もう抜かれるものが無くなった頃にワンマンのチケットを取った。ワンマンが即日完売して、その追加公演すらも取り合いになった状況で迎えたワンマンライブ。期待しかない状況で当日を迎えた。もう取られるものはなにもない、あとは魂くらいかなどと思いながら向かう。

 

 個人的に大好きなハコWWWは、近くでは11月にDATSのワンマン公演(ソールドアウト)を見た場所。ここをワンマンで埋めるバンドはもれなくかっこいいと確信しているので(個人の感想です)、わくわくしていた。番号はそこそこ早かったので入場すると、段上と最前で半々くらい。自分も段上で見ることにする。ステージと高さが一緒で凄く好きな場所だ。目線の高さが同じだから演者を一層好きになれる。

 

 ステージには暗幕が下がり「KING GNU」のロゴが映し出されて、電車のアナウンスが流れている。高揚していたのでぼんやりしていたが、暫くするとこのアナウンスは山手線なのだと気づく。私たちは走り出した外回りの山手線に乗り込んでいるのだ。山手線は一周約1時間。オープンからスタートまでも1時間。成る程、電車はWWWのある渋谷を目指し、電車が渋谷に着くとライブが始まるのだなと気づく。では今日の一曲目はあの曲?という予想も。

 

 流石のソールドは伊達ではなく、時間を追うに連れて場内は混雑していく。足の踏み場もない満員電車のような場内は、まるであのMVのよう。でも決定的に違うのは、ここにいる人たちの期待と熱気だ。満員電車でそれを感じたことは今までに一度もない。

 

 そうこうしている内に私たちを乗せた山手線は渋谷へ到着した。ついに幕が上がる。

 

 期待をますます煽るようなオープニングを経て、予想通り「Tokyo-Rendez-Vous」のイントロへそのまま突っ込む。ワッと場内の温度が上がるのを肌で感じる。そのまま「FLASH!!!」(アルバム収録曲ではないけれどライブで披露している曲)、「Mc.Donald Romance」へと突入。「Catct!!!」もアルバム収録曲ではないけれど、ライブで以前やっていた(と思う、うろ覚え)。

 そして「あなたは蜃気楼」この歌が好き。超好き。打たれた。サビに入る前の「あなたが蜃気楼 に見えたの」の音節区切り方の部分がいつも鳥肌が立つような期待感を抱かせてくれる。多分アレンジは変わっている気がするけれど、この曲を初めて聴いたときのことを思い出した。きっとこの先聞くたびにあの日のロフトを思い出す。

 

 レコ発ワンマンライブとはいえ、持ち曲少ないのにどうするのかなと思ったが、Srv.Vinciの曲をや更に新曲を惜しげもなく出していく。ステージや客席の緊張を緩めるのんびりしたMCを挟みながら、ライブは中盤、ギターもベースもそれぞれアコギとウッドベースに持ち替えてセッション&アコースティックコーナーへ。ここがライブならではの楽しみがつまってて良かった…。スキルとリアルタイムに展開していくドキドキ感が楽しくて、拳を握ったり開いたりした。楽しすぎて記憶が一番薄い。

 

 

 本編ラストは「サマーレイン・ダイバー」。この曲、ホーリーな気持ちになれるから好き。Vo.井口が一緒に歌ってほしいといい、観客も声を出し一緒に歌った。耳触りだけでなく、声に出した時にとても気持ちいい曲なのだとよくわかる。Gt&Vo.常田がインタビューで「一緒に口ずさめる曲にしたい」というようなことを言っていたのを思い出す。バンドとして大衆的な存在になりたいという気持ちは、こういうところにも表れているのかもしれない。

 

 アンコールは「Vinyl」。前も感じたのだが、この曲のイントロがかかると、観客の期待が急上昇し、熱を帯びるのが非常によくわかる。待ってました!感が段違い。こういうアンセムとして受け入れられる曲を持っているバンドは強いよなあと思う。観客の熱狂の山場をどこへ持っていくかがコントロールできるのは凄い武器だ。そして今回は、最後に一番の山を持ってきたのだと思う。

 

 思ったよりも長くやってくれ、バンドとしても今の全てを出し尽くしたという印象だった。初めてここまでの長尺のステージを見て感じたのは、どこか普通のバンドの常識から外れてるところが面白い。ファーストワンマンを即完売して、おまけに追加公演まで即完しているのだから、これからの決意表明とかそういうかっこいいMCのひとつもありそうなのになかった。そういうのがあると場が締まるし、観客も演者に感情移入しやすいから、軽い肩透かしと思ったのも正直なところだけれど、本当にステージでありのままで立っているのだなと思う。そしてこれが「らしさ」なのかもしれない。

 ライブではこういう時にこうして、こういうかっこいいことを言ってとか、そういうテンプレに乗っからない姿勢。というよりも、あまりそういうのを知らないのかもしれない。アンコールで物販のTシャツを着るか着ないかでもめた(というか、B新井がやる?と提案したら、新井以外が全員「そんなことしないでしょ~!」と否定して終わったらしい)というエピソードも、本当に他のバンドがそんなことしているなんて知らないんだろう。それも自然体すぎて面白い。

 

 ステージをどんどん踏んでこれから変わるかもしれないけれど、それは恐らく本人たちがそうしたくなったからするんだろう。終わった直後は、かっこよかったけど、でももっと夢中にさせることが出来るひとたちだよなあと思ったのも正直なところだった。でも、そういうステージングはこれからライブを沢山重ねる中で自然と磨かれていくだろうし、そんな変化までこれから目の当たりにできるなんて贅沢な瞬間に立ち会えてるんだなと思った。もうこのひと月で既に変わっているかもしれない。変わっている。アルバムの曲たちだって、どんどん育って別の曲みたいなのだから。これからどれだけ武器増やしてくんだろうかと、楽しみしかない。

 

 

ほんとに「今が焼きついた」凄くかっこいい写真ばかりでした。

絵になるバンドだなあ。リンクも貼っておきます。

 

eyescream.jp

 

本文中から、セットリスト抜粋させていただきます。

-セットリスト-
1.オープニング
2.Tokyo Rendez-Vous
3.FLASH!!!
4.McDonald Romance
5.Catch!!!
6.あなたは蜃気楼
7.Haroine
8.PPL
9.Hitman
10.It’s a small world
11.Diving to you
12.破裂
13.ロウラブ
14.Teenager forever
15.サマーレイン・ダイバー
-アンコール-
16.Vinyl

 追加公演も楽しみ。どんな変化を見せてくれるんだろう。

 

 最後に「あなたは蜃気楼」のMVが一足早く公開された。

曲のイメージとは違ってびっくりしたけど、大きなスクリーンで見られて嬉しかった。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 【ハミダシ】

 仕事が繁忙期で時間がなくてなかなか書けず、記憶がそのうち曖昧になってしまったから事実と違うところもあるかもしれません。後悔。

以下、自分の為の細かい覚書。

 

・印象に残ったほのぼのMC・アライグチハウス編

井口『今朝、気合いをいれる為に外で鬼殺しを浴びた』
新井和輝さん『理が鬼殺しの瓶を持って出てったのをドアの覗き窓から見てたら、腕にちょろちょろってかけて終わりにして戻ってきた』
井『だって!思ったより臭くて、あれ浴びてたら(wwwの)三段目くらいまで臭くなったと思う!!』

井口『(観客へ)今朝は何食べました…?俺はタコライスを食べました。昨日の残りの』
新井和輝さん『あれねー!俺がリクエストしたら作ってくれたんですよ、理の作るタコライス、俺好きで』

 

・新曲良かったなあ。早くもっと聞きたい。惜しみなく出してくる感じ挑戦的ですごくいい。「ダンスなんて踊れないけどあなたとなら踊りたい あなたのいる世界で私は生きていくの」みたいな歌詞の歌が残った。井口くんの声ってなんであんなにシームレスなんだろう。いろんな声域自由に動けて、辛そうじゃない。境目が滑らか。ちょっとウエットな部分を、対照的な常田くんの声で緩和というか均してて、そのバランスもいい。声が全く違うからいい、って何かのインタビューでも言っていた。

せきくんのドラムは自由。あんなに立ち上がってしまう人を知らない。でもドラムは座って叩くべきって誰が決めたの?自由で、椅子の上に立って煽ったりしたって良いんだよね。新しい可能性をどんどん教えてくれてありがとう。あんなキュートを煮詰めたドラマー知らないよ~

・セッションはあるでしょうと期待していったけど、リズム隊のセッション楽しすぎてこの時間よ永遠なれ…と願った。新井和輝さんのベースソロがかっこよすぎてかたまってしまい、終わってからも暫くライブへ戻って来れなかった。覚悟していた3倍はかっこよかった。あとウッドベースを抱えた姿が神々しかった。表情含めて焼き付けようと目を凝らしたが、背後の照明がモロにぶつかる高さの為あまり見えなかったのが悔やまれる。しかしこれは直視したらよくないという神の采配なのかもしれない。ただ脳裏にはシルエットが焼きついている。新井和輝さんはベースだけでなく、MCアシストやステージ進行まで任されていた。バンマス。リズムを保ちながら低音を弾き分けつつ、バンド全体に指揮を出しているのは素晴らしい…。ステージの重心であり、いると演奏もトークも締まる…。KING GNUみんな演奏技術も素晴らしいけど、それをステージという場所へ載せる時にちゃんと客席へ届くように采配している……えらくないですか………えらいです……!!!!

 

DATS「Application Tour」at.WWW 2017/11/19

natalie.mu

全くDATS詳しくないのに、ノリでワンマンチケットを買ってしまった。しかも先行予約で。友達の猛プッシュにより、6月にやついフェスで初めて見てからイベントやフェスで3回ほど見た。かっこいい~センスあるなあ!とぼんやりした感想を抱いている程度なのに、ソールドしたワンマンへ行っていいのか。若干の申し訳なさを感じながら足を運んだ。

 

「Application」リリースを携えてのツアーなので、収録曲を中心に据えたステージ。サラウンドシステムを導入したという音響は、WWWでこんなにいい音聞こえるの?ということにびっくり。三段目にいたのに音圧が凄い。この日は風邪気味で耳の調子が悪かったので、ライブ用の耳栓をしてちょうどいい具合だった。

 

それと共に目を引いたのが照明。WWWで今まで沢山ライブは見てきたけれど、こんなふうに使える場所なのかと初めて知った。凝っている訳ではないのに印象に残る。メンバー4人の内誰かを際立たせるような演出ではなく、同じように照らし出し同じように闇に沈めるその照明は、DATSというバンドがひとつの共同体だと言外に伝えているようだった。そして何度も同じ明るさで客席も照らしだし、客席までも地続きなのだといわれてるような気がした。

 

音響と照明をきちんと味方につけた彼らは本当にかっこよかった。

 

とはいえ、アコースティックバージョンのアレンジの披露、そしてもんじょーくんがアコギを抱えて一人で唄ったり、ドラムのかずやくんが突然のスキル見せつけタイムを発動してきたりと、メンバーに焦点を当てて魅力を教えてくれるコーナーもあって楽しかった。早川くんとたくやくんも次は何か挑戦を見せてくれそう・・・今後に期待・・・!(他の場所では披露したのかな?)

 

もんじょーくんが「今までは不特定多数の人の共感を得ようとしてきたけど、今目の前にいるあなたにいいね!といってもらいたい」と話していたが、それはきっと言葉通りの意味ではなくて。今ここにいて彼らの目に映る客の奥に、その何倍ものお客さんがいること、それが見えている気がした。ツアーを通してツイートする言葉に熱が帯びていたのは、いろんな場所で出会った観客の熱が伝播していったのではないかと思う。

 

あとアンコールで「新しい目標が出来ました。DATSで武道館に立ちたい。ここにいる人と行きたい。(武道館に)立たせてください」と吐き出したそのまっすぐさに心を打たれた。クワトロでもリキッドでもない、この生の声が届く規模の会場をワンマンで埋めたバンドのかっこよさとか、決意のピュアさってなんでこんなに胸を打つのだろう。はたから見たらあちこちのフェスに呼ばれまくって海外も行って、順風満帆なバンドだって思っていたけど、苦しみながら真面目に向き合って、壁を越えて、メンバーみんながきちんとステージから客席を見渡すようになった。いいバンドだなと素直に思える。手弾が少ないのは発売が発表された新譜で補えるし、次が楽しみだ。

 

ロングセット全然見たことがないので細かい感想については言えないというか正直夢中で覚えてないのだけれど、単に今まで「クールでかっこいい音を鳴らしてるバンド」だったのに、この一時間半くらいで急に距離が縮まったように感じさせてくれるワンマンだった。こういうかっこいい音を出しているバンドはきっと他にも沢山ある、でもこの曲たちはDATSがやるから意味があると思わされ、気がつくと次回ワンマンのチケットを手にして帰路へついた。

YAJICO GIRL「黒い海」(EP『沈百景』収録)


YAJICO GIRL - 黒い海 [Official Music Video]

 

このところずっと、毎日繰り返して聞いているのがYAJICO GIRL「黒い海」。ヤジコガール、と読みます。
『沈百景』というEPの一番最後に収録されているこの曲にハマってしまい、最近こればかり繰り返し聞いてる。
聴きたいアルバム沢山あるし他のも勿論聞くけど、気が付けばこれをまた一曲リピート再生している。
一曲に執着して何度も聞く人は依存症の気があると聞いたので、ここで気持ちを成仏させるために好きな理由を書いてリセットしたい。

多分この曲を最初に聞いたのは、9月のフェスのステージだったと思うけれど、その時はここまでハマらなかった。
メロディがさみしげなのにどこか明るくて、いい曲だな。くらいだった。
そのあと発売されたEPに収められて、聞いた時もそのくらいの熱量だった。
しかし先月末に行われた台風の日のインストアイベントで、ボーカルの四方くんがぼそぼそと話し出した「高校生の時の友達で組んだバンドが大きくなって、このまま友達が将来の仕事仲間になることについて悩んでいた」という話を聞いて、この日は演奏されなかったこの曲に一気に引き寄せられた。
帰り道に沈百景を再生して、うん、間違いなくあの話はこの曲に繋がってるよなあ…と腑に落ちた。

そして、この曲がEPの最後にある理由も。


そこからずっとと魅入られたように繰り返して聴いている。何十回も繰り返しても、褪せない強度がある曲だなと思う。
途中でもう終わりかな?と思うくらい長く続くたっぷりとした間奏が好きだ。
タイトルのように、海辺にいるような気持ちになれる。静かな、黒い海に。
 

歌詞を読んだ。
美しいから是非、通して読んでほしいなと思う。
高校の友達で組んだバンドが、大学生になって本格的に活動してみて、オーディションに勝ち進んで、事務所に所属して。
でもまだ学生だから、恐らくそこまで劇的に世界が変わるような環境の変化がある訳でもなくて(想像ですが)。
その希望と不安とに挟まれたその心情を、難しい言葉もなく素直に綴っている。
関西の学生としての生活は、ある意味できっと彼らを守っているけれど、それでもゆっくりとじわじわと変わっていく時の流れは、実は残酷なまでに彼らに不安として焼き付いているのではないか。

歌詞に「不安」なんて一言も出てこないのに、こんなに瑞々しく不安を綴れるワードセンスは凄い。
曲も他のものと比べて落ち着いていて、魅力のピカピカしているポップなギターも聞こえない。
でも、ちゃんと他の曲と地続きだなあと感じる。
全体的に落ち着いていて、でも安易に不安に振り切れず、ちゃんと希望も描かれている。
だから何度も聴きたくなるんだろう。
 
今この時期にしか描けない絶妙なバランスだなあと思いながら、明日もまた再生してしまうのかもしれない。

 
MVも好き。自主制作とのことなので、是非。
 
『沈百景』に収録されている「サラバ」のこのMVが好き。かわいいので最後まで見てほしい。
やりたいことがすごくわかるMVはいい。
 
 
 

 

黒い海

黒い海

  • YAJICO GIRL
  • J-Pop
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

沈百景

2017/9/4 GOMESS FREESTYLE LIVE「ゴメスの誕生日」at,下北沢THREE

 
f:id:yurivsky:20170907011546j:image

 

■「俺はラッパーになる、なった」GOMESS23歳の正にその一歩目を目撃した

 

GOMESSの誕生日イベントに行き始めて今年で三回目になる。

前回まではトークイベント(とはいえ、様々なジャンルからのゲストによるセッション有)だったが、今年は90分フリースタイルライブをやるという。

春のワンマンライブの感動もまだ焼き付いているので、期待を胸に会場へ向かう。

 

時間前に到着すると、すでに熱心なファンの人たちが並んでいた。しばし待って入場開始。入場時に謎のカセットテープが渡される。先着何名かで限定配布とのこと。

中身が気になるが古いラジカセは処分してしまったんだよなあ…と思いながら場内へ。

 

程よい人入りになってきた頃合いでイベントスタート。ステージの設えはシンプルだ。DJブースにDJ矢車が立ち、GOMESSの背中を見つめている。それだけ。

 

完全フリースタイルライブと銘打たれているとおり、マイクを握りしめたGOMESSは淀みなく言葉を生み出していく。吐き出していく。つないでいく。数曲していつの間にかトラックが止まっていることに気づく。表情が柔らかくなる。しかし言葉は止まらない。そうかここはMC部分なんだなと気づく。ビートに乗って繋がっていく言葉が気持ち良すぎて、言葉を追っているのに見失うことがしばしばあった。申し訳ないと内心恥ずかしく思っていたのだが、彼自身が「ディズニーは音楽が良すぎて、聞いているとただいい音楽だと思って涙が出ることがある」という話をしていて、ああこれでいいんだな思う。彼が吐き出し繋ぐ言葉は、大きなうねりとなって音に乗り、それこそが音楽なんだ。彼の世界に触れようと、必死に言葉の意味を追うのもいいだろう。でも、言葉をRAPを声を一つの【楽器】としてそれを楽しむのもまた正解なのだ。

 

序盤早々でテンションが上がったのか「今日は90分の予定だったけど楽しいから120分やる!」と宣言したとおり、全部で120分の長丁場だった。最後ステージを降りて客の中でマイクを握るGOMESSは叫び続けた「今は死にたいとか苦しいとか暗い歌ばかり歌っているけれど、いつか俺はお前の為に、お前たちの為に俺はRAPをする。お前は、お前が、変えるためのお前だ。お前はお前のためのお前だ。お前が見ている俺はお前の為に生かせ」確かに文字に起こしたら意味が伝わらないが、あの日あの会場にいた全員が、正しく彼の意図を汲めたのではないかと思う。大きな声ではっきりと、畳みかけるように何度も叩きつけられた「お前は」という言葉、吐き出されるたびに不思議と自分が肯定されていくきもちがした。

そんな風にGOMESSに集中していたら、言葉の終わりと同時にステージからドラムの音が叩きつけられたので死ぬほど驚いた。いつの間にか、ステージにはさっきまでなかったキーボードとドラムセットが運び込まれ、シケイダの二人が座っていた。まんまと思う壺にはまった…が、そのあと楽器をバックに嬉しそうにRAPするGOMESSを囲んで、終演を迎えたのだった。

 

フリースタイルだとどんなところがよかったかな説明するのが難しいけれど、GOMESSの神髄はその類稀な言葉のセンスとRAPスキルだと思っていたけれど、もしかしたら何よりも自己演出の才能のがあるのではと思わせるライブだった。思い返せば、春に二年ぶりに行われたワンマンライブでは、普段とは全く違う「自分は動かず、手にした本を朗読する態でライブをしていく」という演出でもその才能に驚いたのだった。

とにかく「情景」に関わった様々な演者がかわるがわるステージに出てくる中、静謐なシーンでもバタバタと場を踏み抜いていくのが中尾有伽だった。私は彼女のことが嫌いではないのに、この日は彼女の挙動にひどくイライラさせられた。たくさんのゲストの中で、彼女だけが不協和音、バグに感じて仕方なかった。ゲストは出ては引っ込んでいくのに、中尾だけは繰り返し出てきては場を踏み抜いていく。動かないGOMESSと対照的な動きを見せる。しかしライブの終盤で不意に腑に落ちた。今日の中尾は【GOMESS】なのだと。敢えて動きを封じたGOMESSの依り代としての中尾なのだと。これが演出意図のうえなのかどうかはわからないが、自然とそう思えた。必要だから自分の動きを制御し、その代わりのものを配置する。ライブを通じて芝居のようなまとまりを見せたこれが全て計算なのだとしたら、自分が意図した見せたい世界を客へ正しく届ける力、これこそが才能だと思ったのだった。

 

話が横道にそれたけれど、また新しい可能性を引き出している、23歳の門出に相応しいライブだった。

新しいアルバムの制作に着手するという計画も話に上がり、ますます楽しみだという気持ちでいっぱいになった帰り道だった。

 

最後に私がこの日持ち帰った言葉たちの中で、一番印象に残ったものを記しておく。

「たのしいことにつまんねえことを持ち込むな」

 

 

 

舞台「わたしの星」公開稽古見学記録


f:id:yurivsky:20170815003130j:image

こんばんは。「わたしの星」大好きベテラン女児(優しい比喩)です。
来たね、とうとう帰ってきたね「わたしの星」!!そう叫びながら三鷹のウキウキ通りを爆走したい。勿論そんな名前の通りはない。
しかし三鷹星のホールへ続く長い一本道を私はそう呼びたい。あの道は、幸せへ続く一本道なのだから。

まずは「わたしの星」とは何か?
http://www.mamagoto.org/wh2017.html

夏、未来、宇宙。

火星移住が進み、過疎化した地球に残された高校生たちは文化祭の準備に明け暮れていた。
夏休み最終日、スピカはたったひとりの同級生に転校を告げ、姿を消す。

片思い、叶わぬ夢、帰れない場所。
オーバー・ダビングされた思い出たちが宇宙の片隅で再生される。

星に引力があるように人にもきっと引力がある。
たとえどれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星

劇団ままごとが中心となり、現役高校生を集めて演劇の公演を打つというプロジェクトだ。
なんだ要するに高校演劇か、そう思った人ちょっと待って。
高校生が演じるから高校演劇なのだけど、プロの劇団が全面的にそれに関わり、三鷹市がサポートし、お金を取って一般公開する。
商業演劇と高校演劇どちらにも属さないちょっと不思議な所に立つ存在と言える。

高校演劇?商業演劇??と思った人はそこは重要ではないのでさくっと読み飛ばしてください。

とにかく、オーディションでキャストもスタッフ(厳密にはスタッフは演出と制作)も高校生を募り、夏の終わりに10日間の公演を打つ。
それが今月の半ばから終わりにかけて公開される。高校生たちがひと夏をかけた集大成の舞台が始まる。

これに私が撃ち抜かれたのが、三年前2014年の夏。

ままごとの芝居を見たのをきっかけに、このプロジェクトを知った。ままごとの芝居は初めて見てその演劇でしか出来ない表現方法が面白く、情報を追いかけていた。なので、情報が出た時点で「面白そうだし絶対に見よう」と決めていた。そんな時、公開稽古の情報をツイッターで見つけた。
たまたまその日何の予定もなかったので、軽い気持ちで公開稽古を見学し、そのままこの世界にずぽっとハマって何度も観劇しその日々を追いかけたのが3年前。
そんな思い出深い作品が再演されると聞いて喜ばないわけがない。ワクワクしながら赴いた。

公開稽古と銘打たれているが、特に何をしているという説明はない。
演出の柴幸男さんが中心となって、いつもの稽古風景を観客は見せてもらっているだけ。
場面の説明もない。
でもそれがすごく面白い。
見せてはもらえないところ、をそっと覗かせてもらっている感覚。
でも演者はむしろ今までは空っぽの客席へ向けて演じていたわけで、人が入った劇場はよい緊張感で満たされていた。
柴さんは勿論細かい芝居も見ているのだろうが、しきりとテンポを気にしている様子。
足音にまで指示を出していた。確かに演奏も入る劇なので、足音も演出の一部として使っているのはよくわかる。
柴さんが「いつもと(演技が)全然違う。このポテンシャルをいつも出してほしい」と笑いながら言っていた。やはり観客が入れば演者の気合も変わるのはどのジャンルも変わらないのだろう。

止めては繰り返す試行錯誤な前半部分の練習を見た後、休憩を挟んで軽い準備運動、冒頭から30分くらい通して見せてもらう。
いいところでストップがかかる。このチェザー動画(動画ではない)ずるい…ここまで来たら全部見たいよう…。
そして少しだけお客さんから募って質疑応答。

今回はないのかな…と私がおしりをもじもじしかけた瞬間、
「あ、RAPしてないや!しよう!!」という柴さんの一声。待ってました!!と拍手する私。
前回もしていたのですが、芝居のエチュードの一環として「自己紹介RAP」を個人で作り、発表していたのです。
前回はもちろんこんな試みを知らず、公開稽古で見せられて思い切り心つかまれたので本当に嬉しかった…!!
(ちなみに柴さんから提案されたキャストの反応は、前作の時のキャストと全く同じ反応で笑ってしまった)


ここまでが公開稽古の主な流れ。
以下は少々のネタバレを含む、公開稽古を見学しての感想と質疑応答のメモ。
観劇の邪魔になるものではないと思うけれど、観劇予定の方で少しも予備知識がいらないという方は読むのはやめとこう!






今回は前作とまずステージと客席の設えが大きく変わっていた。
中心に長方形のステージを据え、その長辺に当たる部分の両脇に客席が配置されている。
短辺の部分には上映中ずっとキャストが控えている。そして必要に応じて(見ていた限りでは全員がステージに乗っている時以外ずっと?)どこかしらで何かしらの楽器が鳴っている。ずっと曲を奏でているというわけではない。流れている曲に沿って、どこかで生音が鳴っている時間が多いと感じた。
だから、控えているキャストはステージを下りたからといってぼんやりとはしていられない。左右で視線を交わし、合図をし、ステージの上と呼吸を合わせて音を出す。
音楽劇といえばそうなのかもしれない。けれど、今まで見たことのある音楽劇のどれとも違う。
バンドのセッションに近いと思った。
バンドが演奏中、お互いの動きを見て兆しを掴んだり視線で会話しているような瞬間を見るのが大好物なアナタ(わたしのことです)にはお勧めです。見逃せない。
上映時間ずっとこの調子なのだとしたら、これはすごい。幕が開いたら気を抜ける瞬間がない。キャストの松尾くんが「フルマラソンを走っているよう」ってコメントしてたけど、正にそれ!これはスタミナ勝負だよなあと思うし、これを任せてみようと柴さんが思ったのだから、体力と胆力のある子たちなんだろうなと思う。

基本的には高校生の元気さを出している明るい舞台なので、前半は勢いよく笑いもあふれる。疾走感。いや、文字通りステージのキャストは走る。大人になったらこんなに誰かのために必死に走ること、なくなるよなあ。そう気づいて胸が少し痛む。鮮やかなスカートの裾が上品に翻るたび、その躍動感が高校生のリアルだったんだなあと遠い自分に思いを馳せる。

とにかく、いっぺんでキャストの子もスタッフの子も好きになってしまえる、応援したくなる公開稽古でした!最高!!夏最高!!!!「わたしの星」帰ってきてくれてありがとう!三年間ずっと待ってたよ。前作が好きすぎて今回はどうなのか正直不安があったけど、大丈夫。今回も絶対にいい舞台になるし、どっちがどうとかじゃなくて別の作品としてめちゃくちゃ愛せて記憶に残る舞台になると思います。
期待できるし、前作を見てないひとにもお勧めしたい。全身全霊で。
普段芝居を観ない人も、高校生たちのひと夏の10日間しかない世界を一度くらい共有してみてもいいんじゃないかなと思うのでした。




ここから下は更なるネタバレなので、とはいえ私だって今日さわりの部分をちらっと見ただけ。なのでどうなのかわからない推測を含めた部分。
これを知ったから印象が変わるのかっていわれたら大したことないと思うけど、まあ、ネタバレビタイチ嫌な人は以下の部分は回避してほしい。


まず、主な質疑応答のメモ。

・台詞は台本にあることだけを言っているのか
台本にあることを言っていて、演じていて良い台詞があれば台本に足して…を繰り返す。
台本通りやってもいきいきとしない。高校生のリアルな話し方を大切にしたい。

・伴奏をどうやって組み立てていくか
「ここで音を入れて下さい」「うるさいからやめてください」とかやってたらこうなった。
弾きながらやっているイメージがあったから、そうやりたかった。
オーディションで楽器経験を聞いたけれど、楽器が元から出来る人は少ない。

・衣装にこだわりはあるか?
僕はこだわりはないが、衣装さんが決めてくれた。
シャツは3年前の人達の忘れ形見!!!!
制服は揃いなので、どうやって癖を出すかを考えている
腰の位置が高くなっているので、踊りで回った時にふわっとなってかわいいなと思っている(アイドルネッサンス的な感じですよ!!!伝われ!!!!)


・舞台上の男女のコミュニケーションについて
女子が箇条に「キモイ」とか邪悪な部分を増長させる。
時折強烈にDISったりしている。
前回は男子一人だったが、中性感あふれる男子だったのでそんなに気にならなかった
今回は男子っぽい男子で、協力しながら女子に虐げられている。前回よりもクラス感が出た。

・前回はスピカがいたが、今回はいないというのはいつから
最初の方に2014年版をやってみたが、スピカに収まる人がいなかった。
スピカ不在でやってみて、しっくりきた。
今回はスピカという存在を誰かが代わりを担うという話にしてみた。
オーディションのときとか考えていなかった。





これは今日見た中では最大のネタバレな気がするのだが、前回物語の中心にいたスピカが今回は登場しない。
登場しない、とはいないとは違う。いるけれど、その役に該当する人がいないようなのだ。
ようなのだ、とはまあ最初の30分くらいしか見れていないからだ。これがどういう形になるのか全容はわからない。
このことについて柴さんは「2014年版のわたしの星を今回のメンバーで演じてみた。が、スピカに合う人がいなった」と述べていた。
!!!!!
これって、前作のスピカに対する最大の賛辞だよなあ…。
いや、それより「物語の主軸に沿う人をオーディションで選ばなかったんかい!」という突っ込みが正しいのか?

あと、前作では「スピカ」という絶対的な大きな星(引力を持つ者の象徴)が大きく、ストーリーを通して各キャラクターに光も当たるけれどどうしても「スピカとナナホ」の関係に引きずられがちだったが、チラ見したところ今回はその引力の矢印が多くなっている様子。
男の子が複数いることが大きいとも思う。
人間関係の矢印が多いのは散逸な印象を招く危険もあるけれど、でもこれは期待していいんじゃないかな~と感じた。
とにかくこの点にも注目していきたい。

SR サイタマノラッパー~もうひとつのマイクの細道:元アイドルとアイドルおたくと

前クールテレビ東京の真夜中にやっていた「SRサイタマノラッパー~マイクの細道~」というドラマがあった。
これは2009年公開の入江悠監督「SRサイタマノラッパー」という三作にわたる映画シリーズの続編で、初作公開から実に8年もの時を経て、今回ドラマとして続きが描かれたのであった。
映画三部作をこよなく愛していた私にとって、この報せは生きる力になったといっても過言ではなかった。というのも、当時大好きなアイドルグループの推しが卒業してしまい、推しの卒業という初めての経験に私は心にぽっかりと穴が開いた気持ちで毎日を過ごしていた。
そのドラマの肝となるライブシーンの撮影を込めた特別ライブイベントが開催されると聞いて、わくわくしながらチケットを取った。
出演者は作品のオープニングを歌うライムスターを筆頭に全員ラップグループである。作品に縁のある出演者を中心に、私でも見たことがある人たちや名前を知っている人しかいなくて、撮影も勿論のことだがライブも心から楽しみにしていた。
 
ドラマの中に使われるライブ撮影も、その後のライブも本当に楽しかった。SHO-GUNG(作中のHIPHOPグループ)を初めて生で見て感激し泣いてしまった。いろんなスタイルのプロのステージは、ラップに詳しくない私も心から楽しめて、満足ではちきれそうになりながら、私と友人は帰る準備をして出口へ向かった。
その途中で、スタッフがひっそりと「このあと朝まで残れる方いたら、エキストラお願いしま~す」という募集をしていて、私は友人と顔を見合わせた。どうする?(友人もこの作品のファン)短い話し合いの結果、お互い暇だったので、揃ってエキストラ参加することにしたのだった。何よりまだ見ていたかった。この愛すべきドラマの世界を。
 
 
エキストラとして集められた私たち(私と同じように飛び入りの人と、前もって集められていたスタッフさんの知り合い?のような人たち)は、いくつかの撮影に駆り出された。エキストラには詳細な場面説明はほぼない(ある場合もあった)。私はその日初めて会った女の子と、真夜中のチッタ前を歩くように指示された。カメラの焦点は私たちの遥か先にいる役者さんである。映るか映らないかでいったら『映らない』だろうと踏んで、私は安心してカメラの先を見ることに集中した。そこには私の大好きな役者さんがいる。役者さんなんていってるけど、心の中では『アユムが!アユムがいる!!』って大変だった。そりゃそうだ、何度も見た作品の愛着のあるキャラクターを生で見られるのだ。表情も見えないしセリフも聞き取れない距離でも、アユムとして動いているのを見るだけで嬉しかった。

『こっちに来た方が映りますよ』と声をかけられた。ペアになった綺麗な女の子だ。視線をアユムに固定したまま私は答える、いいんです映らなくて…と。その答えに不思議そうにした彼女に、私はこの作品のファンであること。シリーズのどれも何度も見ていて、生で見られていることに感動していること。なりゆきでエキストラには参加したものの映りたくはないのだということを伝えると、彼女は納得してくれた。そして私が彼女に『役者関係のお仕事をされているのですか?』というようなことを聞き返すと、彼女は目指しているし勉強中で、入江監督の才能はすごいと思い、知り合いに紹介されてエキストラとしてここに来たんですというようなことを返した。なるほど、確かに綺麗な女の子だ。スタイルも歩き方も綺麗。アイドルおたくでもあった私は急に嬉しくなる。無銭でこんなかわいい女の子とお話しできるなんて!!役得!!(違います)

それからもポツポツと彼女は気を使って話しかけてくれた。ライブに来てたなんてHIPHOPが好きなんですか?と聞かれ、HIPHOPが好きなのではなくてラップしてたアイドルが好きで…という話をしたら、なんとなく空気が変わった。急に熱心にどんなアイドルなのかということを聞かれて、私は聞かれるままに答えた。四年半好きだった子が卒業したばかりなこと。わりと若いアイドルよりも二十歳を越えたくらいの女の子が好きなこと。推しの話……推しのどこが好きだったのか、卒業と言われてどんな気持ちがしたか、見送っての今の気持ち……夜中ということもあり、聞かれるままに私は答えた。聞かれたから答えたものの、こんなこと聞いてもこの子は困るのではとはたと気づいたとき、彼女はポツッと言った。
 

『実は私、アイドルをしていたんです』


息が止まった。
少しだけの短い間でしたが…と続ける彼女に、申し訳ないけれどグループ聞いてもいい?と訊ねると、

知ってる!ていうか見たことある!ていうか事務所大手じゃないすか!!別グループだけど某とか某よく行ってました!!!!
ということを熱量を下げて答えると(熱くなっても申し訳ないため)、もう事務所もやめてしまったのですがといいなから、いろいろまた彼女はお話ししてくれた。○○というグループの○○ちゃんは友達なんです~えー!知ってるー!とかまあそんな話。○○ちゃんいい子なんで応援して欲しいです!なんて彼女は無邪気に話してくれた。
私もおたくのはしくれで、だからこそ逆にこんなとき積極的に何を話題にしていいのかわからなかった。
そんな中で彼女はふと、さっき話してた推しの子と本当に仲良かったんですね。握手とかでそんなに話せたんですか?と疑問を口にした。
うむ。そうじゃな…あなたがいたような大手では考えられないとは思いますが、私が応援してたところでは握手やチェキやサインの他にもクリスマスパーティとかバスツアーとかBBQとかいろいろあって、結構緩く話せたりすることもあってな……というのを説明するのも憚られたので(わかってもらえる自信もなく怖じ気づいた)、私は手紙とかもよく書いてて~~と笑ってごまかした。そう、でも嘘ではなく手紙は折に触れよく書いていたし…と、そんな手紙関係の話をしていたら、彼女は凄く優しい顔で『手紙、その子本当に嬉しかったと思いますよ』と言ってくれた。

『私もね、アイドルの時に貰った手紙は今でも大事にとってあるんです。たまに読み返しますよ。凄く嬉しかったから。だからその子も同じだと思います。励みになったと思うし、嬉しくてずっと忘れないと思いますよ』

泣いてしまうかと思った。
こんなことが、こんなことがあるんだ。
おたくとしてやりたくてやっていたことが、それを受け取っていた側からこんなに肯定してもらえて、お墨付きをもらえて、私の推しがどう思っているかはわからないけれど、まるでそれは私の推しからの言葉だった。

涙を堪えながら『だといいんですけどね~』と暗闇に紛れ笑ってごまかした私を真っ直ぐに見て、『絶対そうだと思います』と自信たっぷりに微笑んでくれた彼女は綺麗だった。

この子のおたくたちにこの話を伝えたい。アイドルとしての活動は短かったというが、その間彼女を懸命に支えた、きっと今も遠くから支えてる見知らぬおたくたち。あなたたちの思い出は、あなたたちの気持ちは、今も彼女の中に生きていて支える力になっているんだよ……すごい。
いい子を好きになりましたね。羨ましいです。一生自慢の推しじゃないですか。

「SRサイタマノラッパー」このドラマは『夢を叶えるために進んでいく』という話ではなかった。むしろ夢を諦めるために、夢の期限を自分でつけるために、最初で最後のステージに立つストーリーだった。自分に才能は多分ないと思いながら、でもこれしか好きなことがないという気持ちでステージを目指す主人公たちの話。
 
そんな中で、きっと私が思う以上に紆余曲折ありながらも夢に向かっていく女の子とひとときながら出会えたこと。このドラマと彼女を重ねるのは失礼とは思うが、なんだか不思議な縁を感じずにはいられなかった。
 
そのシーンの撮影が終わり、彼女は知り合いの輪に戻る。そしてエキストラ終わりに「今日はありがとう。これからも頑張ってね」と短く伝えるとにこっと笑って返してくれた。
 
今日のことは多分一生忘れない。ドラマ以上にドラマティックなことが現実にはあるのだと噛み締めながら夢の続きのような始発電車に乗り込んだのだった。

松村早希子個展『原宿アイドル標本箱』

f:id:yurivsky:20170710202429j:image

もう先月の話になりますが、松村早希子さんの個展『原宿アイドル標本箱』へ行きました。
早希子さんとはアイドル現場で知り合いました。どこの現場で誰に紹介されたのかはもうよく覚えていません。めちゃめちゃ現場が被るわけでもないけどさして遠くもなく、時折顔を合わせてはアイドルについて話をするという仲です。
彼女が絵を描く人というのはTwitterを見ていればすぐにわかることでした。彼女が描く女の子は写実的というよりは少女漫画的、ですがどこかリアルでただ可愛いだけではない棘も含まれています。


正直、ちょっと怖いという気持ちもありました。


そんな彼女の個展は今まで断片的に覗かせて貰っていた絵を一度に沢山眺めることができて密度が濃い場所でした。
壁に沢山貼られただけでなく、アイドル標本箱のタイトルそのままに、標本箱に入った沢山の絵を、ピンセットで摘まんで見ることが出来るという試みは、当たり前ですが初めての体験でなんだかいけないことをしている気持ちになりました。


f:id:yurivsky:20170710202457j:image

それはピンセットで摘まむという『非日常』のせいもありますが、文字通り作品の裏側を覗き見ることも出来る興奮もあったと思います。こちらも普段では出来ない体験で、絵を平面として捉えるのではなく摘まむことで関わりを持ち、紙の裏側まで見てペンの跡などから立体的に体験できるのは不思議でした。


そうして並べられた標本箱のひとつに私は釘付けになりました。
そこには今年の二月の終わり、アイドルとしての活動を終えた私の大好きな子の作品が数枚納められていました。
それは見たことがあったものでしたが、実際に手にしてみると不思議な感覚に捕らわれました。
出逢ってから四年半、大好きで夢中になった女の子が、早希子さんの目と手を通して紙の上にいます。私の大好きな笑った表情で。よく知っている表情なのに、初めて見るような気持ちにもなります。
もう更新されることはきっとないんだろうと思っていたあの子の記憶が、またひとつ増えたように感じ、胸の奥がきゅうっとして目の奥が少しじんとしました。


f:id:yurivsky:20170710202518j:image

ここには現役でステージに立っている子も沢山いるけれど、私の推しのようにアイドルとしての活動を終えた子達も沢山いました。その子達の輝いていた時間の断片を標本箱に閉じ込めておける、そんな早希子さんの頭の中にそっとお邪魔させて貰った…それが一番の【非日常な体験】だった気がします。


f:id:yurivsky:20170710202544j:image
f:id:yurivsky:20170710202601j:image
f:id:yurivsky:20170710202617j:image

f:id:yurivsky:20170710202632j:image

男性はゆっきゅんしかいなかった…?

「みんな、音楽は好き?」

「音楽は好きですか?」
知らない人に突然こう尋ねられたら、あなたはどう返しますか?

 

2017年5月2日、連休前日の夜。最早連休の入り口といっても差支えが無い時間。私は仕事上がりで渋谷のライブハウスにひとりいた。
完全圧巻の趣味の時間を満喫するためである。
その日は3組のバンドと弾き語りが別ステージで交互に行われるという趣向で、私はその中の一組を目当てに足を運んでいた。
仕事が忙しい時期で目当て以外のバンドをチェックする暇も無いまま、とはいえ私はわりといつもそうで、前知識無しでアイドルやバンドを見るのが結構好きなところもあり、期待しながら向かった。
ライブハウスに入るともう一組目が始まっていた。はっきりとした段差が特徴のハコなので、最下段のフロアには下りずに二段目の段上の隙間からステージを眺める。正直そこそこ空いていたので、見るほうとしては楽な気持ちで楽しめた。初見だけれど楽しく体が揺れるようなバンドだった。
程なくして一組目が終わると、客の入れ代わりが生じる。場内にやや人も増えてきた。このライブハウスなら断然二段目で見るのが好きなので(ステージの高さと同じところで見ることが出来るから)待っていると、運よく場所が空いたので手すりを取る。あ~やっぱりこの場所で見るのが好きなんだよな~~!!
ステージ上では次のバンドがセッティングを進めている。次も初見のバンドだ。静かに眺めていると、どうやら私の隣の大学生くらいの若いカップルはそのバンドのファンらしい。あまり普段はしないけど連休前で浮かれていた私は、つい彼らに声をかけてしまった。「このバンドはどんな感じなのですか?」と。
彼らは突然話しかけられても気さくな笑顔で「どのバンドを見に来たんですか?」などと応じてくれた。私は最後の出番のバンドを見に来たことを告げ、で、このバンドはどんな感じなのですかと尋ねると、突然男子がこう言ったのだ。

 

「音楽は好きですか?」

 

えっ。

 

この時の正直な感想を正直に述べるとこの一言に集約される。
聞き間違いかな?と正直思った。ので、私は申し訳ないけれどもう一度質問を繰り返した「どんなバンドなのですか?」と。
想定される答えはいくつかあるでしょう。何人組の…という編成かもしれないし、音楽性かもしれないし、何年くらい活動しててとかいう活動歴や最近はどこでライブをしたとか今後はどこでするとかさあなんかそういうの思い浮かべるじゃんすか。じゃんすかってなんだ。でもじゃんすか!
でも彼はもう一度笑顔で繰り返してきた。デジャヴュかと思った。「音楽は好きですか?」そう聞いてくるのだ。質問に質問で答えてくるのだ。スラムダンク桜木花道に「バスケは好きですか?」って聞いてくる赤木晴子さんより唐突だ。例え古いですか。じゃああれだ、Suchmosのヨンス。ヨンスはライブ中に急に「みんな、音楽は好き?」って問いかけてきた。あの時も急すぎてみんな戸惑ってた。えええ想定外。えええ困る。


真面目に考えてみる。「音楽は好き?」と問われて自分はどうなのかと。
ん~まず「嫌い」ではない。興味関心はある方だと思う。
まずあれですよね、こんな連休前夜にひとりでこんなとこ来てる時点で、普通「音楽なんて嫌い」はありえないです。

じゃあ「好き」なのか?

これは困る。正直、のべつ幕無しに音に囲まれていたいとは思わないたちだ。
囲まれていても苦にはならないが、無くてもいいという感じ。電車とかでイヤホン無くても基本は困らない。街中で音楽を聞きながら歩くことはあまりしないし、部屋でひとりでも常に流れているわけではない。
聞くジャンルにこだわりもあまりない代わりに、広く興味があるわけでもない。楽器や音楽の知識など皆無に等しい。音楽雑誌なんかもほぼ読まないし、フェスは基本行かないし、そこまで音源も購入しているわけでないし、おんなじCDを積み上げたことはある!まあ数十枚くらいだけどけどこれって世間一般の音楽好きには入らないでしょ…?(震え声)
ライブは好きだけど、月に10回~程度だ。私のTLには20くらい平気で足を運ぶ人たちで満ちている。勿論遠征含みだ。とてもじゃないけど敵わない。

 

えっ。好きなの?自信持っていっていいの?えっ。わかんない。

 

混乱した私は苦みばしった顔で「ええと・・・まあまあ、ですかね・・・」と小さい声で答えるのが精一杯だった。
まだ大学生くらいのその男子は拍子抜けした顔で、そしてその私の答えには一切触れずにそのバンドの説明をはじめたのだった・・・。

なんだったの。なんでこんな質問したのかマジでわかんないんですけど???
ていうかこの質問必要だった・・・カナ???

ちなみに桜木花道にバスケは好きかと問うた赤木晴子さんは、兄の在籍するバスケ部への勧誘が目的であったし、音楽が好きかと問うたヨンスはこの後、自らが感じ信じる音楽の力について話したのだった。ちゃんと問いが本意に結びついている。

 

混乱したまま見たせいもあり、正直その彼らお勧めのバンドの記憶は薄い・・・。そして私のイチオシのバンドはちょっと見て、彼らは途中で消えた。お互いに好みではなかったんだろう。そう、音楽は嗜好品。別に全てを肯定し全てを好きである必要なんて一ミリも無いのだ。もしかしたらこの先、またどこかで好きになるかもしれないし。巡りあわせだ。

ただこの日からずっと私の中でもやもやし続けているのだ。
私は誰かに問いたくて仕方が無い。


「音楽は好きですか?」

田上良地ラストステージ ザ・スロットル 5/31ロッカールーム

これを書くことで親しい誰かが傷ついたりするんじゃないかと思っていたが、記憶はどんどん消えてしまう。消えてしまうのが哀しいので率直に書いておく。わかりやすくはない。自分用のメモである。

 

ザ・スロットルのベースを務めていた田上良地が、5/31を持ってバンドを脱退した。
えらく直前のお知らせで動揺した。
予兆が無かった、といえば正直嘘になる。
ここには書かないけれど、足繁く通っていた私の周囲ではほんのりとそんな気配を感じていた。
不安を口にしたことも、ある。
それでも杞憂だと信じていたかった。

そしていつだって【その日】は突然やってくるのだ。

最後のステージは自主企画ではあったけれど、3マンだから持ち時間はそんなにないのは明白だった。
気持ちをどう持っていけばいいのか迷っているうちに、スロットルのステージが始まってしまった。
そこからはあまり記憶が無い。いつも通りに夢中になる、いつも通りのスロットルだった。

ただひとつ、良地くんのラストステージということを除いては。

どうしても常にその気持ちはつきまとう。意識してしまう自分がいるのが嫌だった。
最後くらいはワンマンで、いつかの下北沢ガレージみたいにスロットルを求めるお客さんでひしめきあいたかった。熱を届けたかった。

拍子抜けするほどあっさり、本編は終了。
アンコールの前にキーボードが用意され、期待を込めて待つ。

すっとステージにひとり進み出たのは良地くんだった。
真剣な空気が会場を支配する。
良地くんは神妙な客席を隅々まで柔らかい視線を投げた後、ゆっくりと口を開いた。
今回このようなことになった経緯、というほどでもない簡単な状況説明。でもそれは簡素だけれどどこまでも良地くんだった。自分の言葉で、ありのままを、飾ることなく恐れることなく語ってくれた。短いその時間の中で一番印象に残っているのは「俺が辞めたからって明日からスロットルが急に売れることも無いし自分の人生が急に成功するわけでもないんだ。だから明日からも地道に真面目に生きていく」という言葉だ。それは真実そうであるし、彼の嘘偽り無い正直な気持ちなのだろう。だから物凄く刺さった。こんなに真面目に地に足をつけているのに、ステージではロックを鳴らしているそのアンバランスさ、それが彼の魅力だと強く思った。

話を続けながらキーボードの前に座ったのは、遼くんではなくて良地くんだった。それは少なくとも私ははじめて見る光景。

そして良地くんが、スロットルのこれからの成功には俺の名前はいらないんだ。だから…といいながら柔らかくキーボードを鳴らした。

『だからさ、俺の噂はするなよ』

そう言って唄い始めたのは『噂はするなよ』だった。
私の肩の辺りから、友達の嗚咽が聴こえた。
私は泣かなかった。ただひたすら、良地くんが唄う姿を見ていた。最後にベースではなく、キーボードを、いつものようにまっすぐに伸ばした背筋のままで弾くのを、朗々とよく響く声で歌う姿を焼き付けたいと思った。
そして、この曲が終わらなければいいなと。
そのあとも良地くんがボーカルをとる曲を披露し、賑やかに彼はステージを去った。

いつもどおり歓声に応えてまっすぐに上げた手で、チャーミングに柔らかくみんなの涙を拭って。

この一年で一番ライブを見たバンドだから、正直さみしい。ただたださみしい。
もうあの自分で生み出したリズムに上品にノる姿が見られないことがさみしい。
新体制のバンドへの期待はしっかりあるのだけれど、それとはまた違うベクトルで存在している。

良地くんのいないステージ、どんななんだろうな。

最後にお別れの言葉を直接言えなくて哀しかったけど、顔を合わせたら泣き言を言ってしまったかもしれないからよしとしよう。
お手紙を書いたから読んでもらえていたらいいな。そして、いつも幸せとあなたが愛した音楽が傍にいますように。


"噂はするなよ
俺去りしあと

ヘイハニー
人の気持ちは

人の生きる道は変わる

そうだね?

忠告さ

噂はするなよ

俺去りしあと

ヘイフレンズ

思い出すのも辛く悲しいぜ

何故なら俺はいい男

これ投げキッスこれが最後のキス

 

幸せになれよ"

 

 


噂のひとつくらい多目に見てくれるよね?

ありがとう。

君と出会ってからずーっと幸せだったよ。

君こそ幸せになってくれよな。

自由を拡張していくためのワンマンツアー  パノラマパナマタウン「リバティーvsリバティー」at.下北沢SHELTER



f:id:yurivsky:20170412204311j:image

(すみません、スマホからは上手くツイートが貼れなかったのですが、公式Twitterアカウントから画像拝借いたしました)

 

 ■2017/4/6 パノラマパナマタウンワンマンツアー「リバティーvsリバティー」at.下北沢SHELTER

 

 

神戸で結成された4人組バンド「パノラマパナマタウン」の初めてのワンマンツアー東京編が下北沢シェルターで開催された。名古屋を皮切りに下北沢を巡り、ラストは彼らのホーム神戸という全三ヶ所のワンマンツアー。その二ヶ所目の下北沢シェルターで、パノラマパナマタウン(以下、パノパナ)のワンマンを見てきた。


神戸の大学生で結成されたパノパナは、数多のバンドコンテストで入賞して全国のフェスにも多数呼ばれる注目株。だが今までは軸足がどうしても神戸にあったため、東京で見られるチャンスが少なかった。私も彼らに出会った事の発端は「MASH FIGHT」というコンテストで、決勝へ進む最終予選のステージだった。
そこでがっつりと捕まれたものの、そのあとはなかなか都合が合わず、配信などで追い続けてはいたが少し熱は落ちていた。しかし『PROPOSE』リリースのタイミングで某ラジオ番組のイベントで久し振りにライブを見ることが出来、アルバムも好みだったため私のなかで再び弾みがつき始める。そうしてここ下北沢シェルターで行ったリリース記念の自主企画2マンへ行ったのだが、14曲ほど叩き出された長いステージは素晴らしい内容だった。

 

あのツーマンで見せた屈託のない真っ直ぐさ。どちらかというと楽曲は捻くれているというか、癖があり予想がつかない動きを見せるのに、ステージは驚くほど屈託がなく素直だった。楽しい、今が本当に楽しいとバンド全体が弾むような伸びやかさを見せていた。

そのツーマンに高揚した私は、彼らを支える重要な大人のひとりであるライターの鹿野さんを会場で捕まえて思わず話しかけてしまった。普段なら絶対にしない。そのくらい誰かに感想を伝えたくて仕方なくなる熱いライブだったのだ。余談終わり。

 

 あれから約半年。同じステージを今度はワンマンとして踏む姿を見届けたくて下北沢へ足を運んだ。

  

私が会場に入ると、もう既にかなりの観客が待ちわびていた。客層は若い女子が多い。こういう小さなライブハウスへ縁がない人も多いようで「こんなに近くで見られるなんて」という期待を込めた声も聞こえる。そういう客をここへ引き込んできた彼らの魅力と、沢山のフェスに呼ばれてステージを踏んできた地道な努力に思いを馳せているうちに定刻になった。

照明が落ちると、静かな期待がステージを取り囲むように満ちていく。

パノパナ初めてのワンマンのステージを飾る一曲目は「SHINKAICHI」。彼らの出身である神戸の地名を冠したその歌は、同時に「新たに開いた地」という意味も併せ持つ。神戸というパナマから来た彼らの挨拶がわりの一曲であり、今日からここが、東京が自分達の軸足を置く新しい場所になるという意味も込められていたのではないか。そう思うとこの曲ほどここに相応しいタイトルもない。

続いて「パノラマパナマタウンのテーマ」「MOMO」「シェルター」と彼らを代表する楽曲が次々に続く。えっ、ここでこんなに続けちゃって大丈夫?と思わず言いたくなるような惜しみのなさ。前のツーマンではセトリに散らばしていたこれらを、この日は初手から畳み込むように連発するのを聴いて、彼らがどれほど今日のステージに自信があるのかがわかった。核となる曲を惜しみ無く披露しても大丈夫と言える自信があるのだ。

 

そしてこの予感は外れることがなかった。

 

ボーカルの岩渕がMCで、四人揃って無事に大学を卒業したこと、バンドをやっていこうと決めたこと。そして揃って上京したこと、今日からここをホームとしていくということを改めてファンへ報告する。ドラムの田村とふたりで「なんかすげえ静か」と混ぜっ返していたが、改めて目の前で大切な決意を報告されたら、わかってはいてもなんとも言えない神妙な気持ちになった。

 

そんな気持ちを崩すように「ホワイトアウト」からまた演奏が再開。ここから数曲はパノパナ特有の急な転調(ホワイトアウトは途中で急に盆踊りみたいなリズムがぶちこまれたりする)が顕著な曲が続く。このワンマンで初めて披露した新曲『エンターテイネント』では、初めてでも体を跳ねさせる楽しさが詰まっていた。

 

MCを挟んでまたがらりを空気を変える『真夜中の虹』岩渕が出身の北九州市シャッター街を歌ったというその歌は、緊張感があるメロディで切なくシリアスに歌われるこの曲はこのステージのアクセントであり聞き所のひとつだった。

その空気を引き継いで『パン屋の帰り』『Gaffe』とどっしりとした重さのある曲に継いで『ロールプレイング』というこれまた核になる芯のある曲が続く。この日の『Gaffe』岩渕の「手を挙げろ!」「跳べ!」という煽りは印象に残った。いつも自由に楽しんでくれという、ゆるっとした雰囲気ばかり見ていたので、ああこういう側面もあるのかと新しい発見を……する暇もないまま、観客を巻き込みラストスパートに突入していく。ギターの浪越、ベースの田野も楽曲に集中していて今までに見たことがない横顔が覗いていた。気づいたら鳥肌が立っていた。

 

「四人が初めて作った曲は、曲になっているのかもどうかもわからなかった」「四人で楽しんでいたがらくたが、いつのまにかいろんなひとを楽しませるようになった」という、バンド発足から今までの足跡を素直に話す岩渕と、黙ってそれを聞いている他のメンバーの表情が同じだった。全員が同じ気持ちでステージにいること。どうかこれからもそのままで進んでいけるようにと願わずにはいられなかった。

 

その静寂を破るように最終パートは『いい趣味してるね』から始まり、ゆるっとしたメンバー紹介の『PPT』、ツアータイトルにも絡んでいる『リバティーリバティー』、そして『世界最後になる歌は』で本編が終了した。まだ燃焼するのかと胸が熱くなり記憶が薄くなるような濃縮された時間だった。

実際ここの記憶が曖昧になるくらいステージに夢中になっていて、気づいたら岩渕が観客を割りPA卓に登っていた。満員のフロアを愛しそうに眺めながら『世界最後になる歌はこんなものでは伝わらないかもしれない』と噛み締めるように唄われ、割って入る楽器の音が心臓を直接掴むような気持ちになった。初めてパノパナを見た日からこの曲は本当に名曲だって思っていたけれど、いつの間にかこんな説得力を備えるようになっている成長を目の当たりにして、その素晴らしさにただ見ているしかできなかった。

 アンコールに選ばれた一曲は「オデッセイ」。オデッセイには「長い冒険」という意味もあるらしい。その名の通り、ここから彼らの新しい冒険が始まるのだろう。そしてそれはひと時のものではなく、きっと明るい未来へ続いている。そうあって欲しいと素直に願えるライブだった。
今回のセットリストはひとつのうねりとして完璧できちんとした意思を感じる。まるでこれ自体が美しいストーリーのようだ。

 

「リバティーvsリバティー」というこのツアーのタイトルは、同じ【自由】を意味していても、フリーダムとリバティーでは違うというバンドの姿勢を示しているような気がした。大学のサークルでコピーバンドとして出会い、やっとの思いで初めて作った曲が、思いがけず他人に評価されて拡がっていく喜びと戸惑い。「おれたちだけのガラクタが、悪ふざけが、こんなに沢山のひとに受け入れられた」というその言葉の通り、四人だけのパノラマパナマタウンが少しずつ拡張している。自由に楽しむためにただ与えられたものを享受するばかりではなく、自分たちで動くことで自由を勝ち取り掴むことを知っている彼らは、これからは東京という新境地でまた自由を求めて【拡張】していくのだろう。というよりももう足がかりは充分に出来てるように感じた。ここからまたスタートをきったパノラマパナマタウンの快進撃を素直に期待したい。

 

 

 

natalie.mu

ro69.jp

 

 【MV紹介~コメントは全て公式HPより抜粋】


パノラマパナマタウン / SHINKAICHI(MV)

全編新開地ロケのほぼ白黒短編映画MVとなってます。こだわり満載なので最後まで観てくれよ。

 


パノラマパナマタウン / いい趣味してるね(PV)

 パノラマパナマタウンが世に送るスーパーロックンロールチューン。イワブチにジョン=○ノンが見え隠れすると遠方で噂に。


パノラマパナマタウン / ロールプレイング(PV)

パノラマパナマタウンのロールプレイングのMVです。パノラマパナマタウンの中では、LIVEで盛り上がる代表曲と認識されています。


パノラマパナマタウン / MOMO(MV)

 


パノラマパナマタウン / シェルター(MV)

 


パノラマパナマタウン / いい趣味してるね(PV)

 

PROPOSE

PROPOSE

 

 

 

SHINKAICHI

SHINKAICHI

 

 

推しに語れる言葉が欲しい

アイドルおたくになって10年、初めて推しが卒業しました。

卒業ライブからやっとひと月が経ち、でも私の生活は何処か欠けたまま。

 

このひと月。アイドルもバンドも何でも音楽を聴くのから何となく離れてしまい、家でも流さずに過ごしたり。大好きなライブは平日週末問わずに足を運んでいたのをなんとなく止めてしまいました。それでもカウントしたら数度行ってはいるから充分だけれど、やっぱり気が向かなくて直前でやめた数の方が多いです。

 

音楽から離れて何をしていたかというと、なにもしていません。だらだらと横になり、Twitterを眺め、いつの間にか朝が来て。それで時間が流れていくのは勿体ない以外の言葉が見つからない。

音楽以外の趣味を見つけようと、落語に美術展に読書に食べ歩きと何かしらしてはいるけれど、それは今のところあがいているという意味が強い。楽しんで生活のメリハリやうるおいになるような状態からは遠い生活。

 

不幸ではないけれど、これでいいわけがない。

 

いつかまた推しに逢える日が来るとして。私の推しはとりあえず芸能から完全に足を洗うわけではないようなので、きっとまたいつか逢えるでしょう。その時きっと彼女は『ねえ、今まで何してたの?』『最近どうしてるの?』って訊ねると思います。私よりずいぶん若くて可能性のある彼女は、どんどん変わっていくことでしょう。何より社会人として【仕事を変える】というのは、環境も人間関係も一番大きく変わります。そのなかで今までにない体験をして、未来を恐れずに前向きに生きる推し。

 

一方私は何か起こるのだろうか?

 

なんにも変わらない気がしてならないのです。変わるだろうという予感すら、ない。

 

 

これではあまりにも恥ずかしい。

 

 

いつかまた大好きな推しに逢える日が来たら、その時にお互いの知らない時間の事を報告できる日が来るとしたら、その時は推しに語れる言葉をひとつでもいいから増やしておきたい。

推しのツイート通知が来ないスマホを眺めながら、これがこれからは当たり前の光景、日常になるのかと耐え難い気持ちになります。でもこれが現実。だったら、やっぱり自分であがくしかないんだ。

 

推しの事を考えるだけで少し背筋が伸びる。恥ずかしくない人間でありたいと思う。そう思わせてくれる子を推せてやっぱり幸せです。

 

でもね、やっぱり、さみしいよ芽依ちゃん。

 

 

 

1

2017/2/26

一日全てを後悔したくない。焦りたくない。

怒らない、嫌な気持ちにならない。

で、早く並ぼうってなりまして、リリスク物販8時半から並んでみました。

先頭の人は8時でした。

寒かった!!!!あそこ、陽がささないのな!!!

別に早く並ぶ必要はなかったけど、これも全部後悔しないためです。

待っている間、卒業する三人への最後のお手紙を書きました。

スッキリ!!

 

あとは、

あと一回の今のリリスクを焼きつけるだけ。

楽しみです。うん。楽しみます。沢山泣くと思うけど、それも含めて楽しみたい。

 

いまはそれだけ。

 

メンバーもヘッズもみんな無事に最後までライブが終わりますように。

笑顔で終われますように。

 

2

今日は我慢しないで泣きたくなったら泣こうと思ってた。ライブ中もしんみりしてたけど、それを上回る楽しさがあった。

不意にひめちゃんが両手をグーにして目に押しあてた。

 

あ。

 

さよならを言って出ていく方も不安だけど、さよならを言われて残る方はもっと不安だよね。

ましてやひめちゃんは加入して一年。歳も若い。いつもしっかりしてるし、人気もあるから忘れてるけど、まだ高校生なんだよ。

出ていく方も、新しく入るのも、見送るのも経験することになって、一番辛いのは今かもしれない。

 

 

今日のアイドル甲子園は、リリスクの後のPASSPO☆、バニラビーンズ共にリリスクのことに触れてくれて、餞別の歌を届けてくれました。

 

ありがたくて泣きました。

 

こういう持ち時間の短いイベントで、他のグループのことに触れてくれたこと、セトリに歌という愛を組み込んでくれたこと、感謝しかありません。

リリスクの時も沢山泣きたいけど、泣き顔をメンバーに見せたくなくて、我慢してて、泣くけどでも我慢してて、その行き場のない気持ちをPASSPO☆とバニラビーンズが解してくれてありがとう。

思いっきり泣きました。

思いっきり泣かせてくれてありがとうございます。

終わったあと、いい顔でした。自分。

 

バニビの詩で一番好きかもしれない『ニコラ』今日やってくれました。

 

『そうシアワセはたくさんのありがとをいえることだね』

 

 

とうとう明日です。

あと一回。

沢山のありがとうを伝えたい。