あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

わたしの星 2019年に寄せて①

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2014年以降、私にとって夏とは二分される季節となった。

「わたしの星」のある夏と、ない夏だ。

2014年、2017年、そして2019年。

今年もまた、「わたしの星」がある夏がやってきた。

 

https://www.ytv.co.jp/watashinohoshi2019/ 

 

 「わたしの星」とは何かと簡単に説明すると、劇団ままごとの柴幸男が書いた現役高校生の為の戯曲上映プロジェクトである。キャスト全員と制作をサポートするスタッフを担う現役高校生をオーディションで集め、夏休みに10日間ほど上演される。2014年が初の試みとなり、2017年にも上演された。(一度台湾でもこのプロジェクトは行われている)

 国内での過去二回は東京の三鷹で上演、そして今年、初めて大阪で行われることとなった。

 

 2014年、たまたま本編の前の「公開稽古」の見学に行った私は、短い時間ですっかりその魅力にやられてしまい、予定では一回のところを数回、千秋楽の8/31には(当時は夏休み最終日8/31の設定のお芝居を8/31に千秋楽として上演していたんです。これを見ずして他に何を見ろというんですか!) 当日券を求めて朝から並ぶというハマり振りだった。

 2017年も勿論公開稽古から見学し、2014年との違いにも期待が膨らんだ。記憶では7回?ほど劇場へ足を運び、夏を燃やしてもらった。

 そして2019年、休み取得や予定やら諸処の兼ね合いで大阪へ行くのは諦めようと思っていた。上演が終わるまで情報を遮断しやり過ごそうとしていたところ、急に前日になって全ての段取りを整えて弾丸で大阪遠征を決めた。普段、ライブだって遠征は渋るのに、何も知らない(情報を遮断しているので)高校生の演劇を見るために大阪へ行ってしまった。あの時の決断力と行動力は自分のものではないと我ながら思う。

 

 

 「わたしの星」脚本は毎回設定がゆるやかに変わるけれど、描かれているテーマと大筋は変わらない。

 とある未来の地球の日本。温暖化で地球から火星への移住が進んでいるため、全校生徒が10人ほどの高校が舞台だ。夏休みの高校生が文化祭の準備を進めていく中で、いろいろな人間関係が見えてくるというストーリーだ。

 

【人と人との間の引力】がテーマで、ステージではいろいろな形で引き合う人間関係が描かれる。エンタメなので映し出されるエピソードに濃淡はあれど上下はない。どの関係にも理由があり、迷いがあり苛立ちがあり憧れがある。特別な悩みなんてない。いつの時代も、似た様な惑いを感じたと思い出せることばかりだ。

 でもそのどれもが「誰もが通るよね」なんて言葉で片付けたくないと思ってしまう。似ていても、それは現在進行形で誰かの「リアル」だからだ。

 作中で描かれるいくつもの引力は、いずれもスッキリと解決はしない。どこかにまだ余白を残したまま物語は終わる。そこがリアルな人生という気がして私は好きだ。現実はいつだって全てに白黒がつくものではないのだと、頭ではなく実感を伴って肌で知り始めるのが高校生なのかもしれないと思う。

 

 2014年、2017年と大きく2019年版が変わっていたのは、舞台上に異質な視点を持つ存在(メイ)が登場していたことだ。基本的には二人一組の関係性に関するエピソードが折り重なり、抱えている葛藤を解決することで物語は進んでいく。その輪の外から来る存在として、ヒカリという存在は異質だが、メイはそのヒカリとも大きく異なっていた。メイは2019年の女子高生。舞台となる未来の女子高生と同じ制服を身につけてはいるものの、その存在は誰にも(正確には感じることが出来るキャラもいるが)見えない。いわゆる「狂言回し」のような立場ではあるが、誰かに影響したり物語を大きく進行させるようなことはほとんどない。主にステージ脇の楽器が置かれた場所から、高校生たちの成り行きをずっと見守っている。時に鍵盤ハーモニカで伴奏し、ステージで展開される物語に感情を寄せているこの子はなんなのだろうかとずっと引っかかる存在だった。最後の最後に、霊感のあるモモだけが彼女に激しく反応する。「わたしたちを見て簡単に『かわいい』なんて言わないで」正確な台詞回しは忘れたが、モモは強く苛立つ。「わたしたちは今、これで一生懸命なのだ」と。モモの放つ台詞は、メイに投げられたように見せかけて、そのまま場外への私たちにぶつけられる。私こそが、この舞台に奮闘する高校生たちを「かわいい」という言葉で消費していなかっただろうか? 高みの見物をしていたのではないか? 「かわいい」「青春だ」という言葉で簡単に名前をつけることが出来るけれど、その裏で演じている高校生たちにはこれがリアルなのだ。名前をつけてカテゴライズして処理したつもりになるな、そう言われた気持ちになった。ここへ踏み込んだ理由を、いつか柴さんへお聞きしたいなと思う。

 

 変化といえば、おやと思ったのが火星からの転校生ヒカリだ。ヒカリは体が弱く、余命幾ばくもない。そんな娘を思い、故郷のようなものだからという親の提案で地球へ越してきた。言ってしまえば、ヒカリは地球へ死にに来たのだ。しかし、前作まではそんな強い表現はなかったと記憶している。もう治らないから死ににきたのかな…となんとなく読み取る程度の、いうぼんやりしたものだった。しかしヒカリの独白で、この先ヒカリがどのような状況になるのかが具体的に語られる。このあたりの表現は、確か意図的に避けているという話があったように思うので、どのような変化が起こったのかと気になった。

 

 折り重なる様々なペアの中でも、その中心にいるのが主演のスピカと親友のサラだ。この脚本は基本的に本人の名前をもじられているが、スピカとヒカリだけは毎回変わらない。突然のスピカの転校騒動に巻き込まれる中で、個々のペアの葛藤が噴出していく。

 スピカは学校でもいつもみんなの中心にいるような人気者だ。先輩にも後輩にも好かれ、チャーミングを振りまいて生きているように見える。スクールカースト上位にいるスピカと、対照的に物静かなサラ。物語に散りばめられた沢山の歯車をまとめ、大きく動かしていくのがスピカの役どころだ。なので、スピカはいつも相手役の子を優しく包むような、包容力のある安定したいい子のキャラだったように思う。今回のスピカも基本的にはそれに沿っていたが、今までのスピカよりもダイレクトに感情をサラへぶつけていた。持て余すジレンマをぶつけてくるサラに、自分も正面からサラへぶつけていた。その意地悪な部分も素直に演じられていて、それがとても腑に落ちた。ああ、私の中での理想のスピカがいたなと感じた(他のスピカと比べてというわけではなく、あくまで私の理想で)。今回はこの子の引力で、私は大阪まで飛んできてしまったのだと思った。

 

 メイという異質な存在をいれた2019年版は、そのために各ペアの抱えるエピソードにより濃淡が生まれたなと感じた。最初はそこがさみしいなという気持ちが拭えなかったが、2度見てそれでよいのだと思えた。全ての関係をフラットに描き出すのが本質ではない。観客それぞれが肩入れしたくなる子がきっとそこにいるし、いない人はメイと肩を並べて群像劇を見守ればいい。むしろ濃淡をつけることで、一度しか見ない観客の焦点はより合いやすくなるのだろう。

 

 幸い2回見るチャンスに恵まれたので、個々のキャラに関する感想も別に書き留めておきたいが、自分の中で大きく感じたことを述べただけで結構な長文になってしまった。また別途、ブログにしたいなとは思います。

 

 とにかく今年も見応えのある、大変によいものを見させていただきました。大阪まで行って良かったです。ありがとう。

 

 そして今年も、わたしはこの言葉を噛み締め夏を終わりにしました。

 

 

星に引力があるように人にもきっと引力がある。

たとえどれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星。

 


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追記:

これは舞台とは直接関係がないが感じたことなので正直に付け加えておくと、今回は公演中どの回もソールドということは無かった。その一因として、チケット代の値段があるのではないか。私は大阪の舞台事情は全くわからないが、「現役高校生によるひと夏の舞台」と聞いて興味をそそられても、3800円はなかなかに高額ではないだろうか…。私だけですかね…。そこそこ小劇場系の舞台に通っていたこともあるので、舞台がどうしても相場的にそのくらいはかかるということは承知している。この世界観にハマって東京からはるばる足を運ぶ私が言っても説得力に欠ける気がするが、衝動で飛び込むにはハードルが高い値段設定だった。例え地元でやったとしても、普段舞台を見ない人に、私のレコメンドを信頼して3800円出して!とはなかなか言いにくいなと思ったのは正直なところでした。三鷹はちなみに一般前売りで2500円でした(当時)。公共のホールなどの環境に助けられている部分は大いにあると思うのですが、本当にありがたいことだなと心から思ったのでした…。三鷹ふるさと納税したいという感情でいっぱいです…。

とあるアイドルの【神対応】

  先日、とあるアイドルのライブ後特典会に並んでいた時のこと。特典会と一口に言ってもその内容は現場により千差万別なので軽く説明しておくと、そこはメンバー個別のツーショット撮影のみ。各メンバーがずらりと横並びし、その前にオタクが列を作り自分の番を待つという形でした。


 撮影したあとにメンバーと話せる時間があるレギュレーションなので、まあまあ時間がかかるのですがひたすらに待つ。だんだん自分が並んでる子が近づいてきたのですが、今並んでる子を見つめるのはなかなか恥ずかしく、ガン見すると他のオタクに対しても申し訳なさもあるので、隣のレーンの子をそれとなく見てた時のこと。
 
 隣の子はグループでも上位人気メンで、可愛いけど中身がさっぱりしてて媚びないし、笑顔振りまく~!って感じのタイプではない自然体な子で。あ~今日も可愛いなーなんて見てたら、その時に接触してたオタクの男性が背中しか見えなくてもめちゃめちゃ緊張してるのがわかった。シャイなのか、女性慣れしてないのか、会話は聞こえないけれど、ぶっちゃけ全然盛り上がってないのが傍目から見てもわかる。いたたまれなくなったのか、どんどん下向いていく男性。そんなんじゃせっかく順番が回ってきたのが無駄になっちゃうよ!(時間的にループ無理)頑張れ!!って、推しの名前が書かれたTシャツの背中が丸まっていくのをうっすら見守っていた。
 
  その内に新衣装の話にでもなったのか(話の内容までは聞こえなかったし失礼なので耳を澄ますとかはしてない)、彼女がオタクをまっすぐ見て自分のことを指すような素振りを見せて「かわいい?」って聞いた。不思議とそれだけハッキリ聞こえて。そこで彼は顔を上げてこくっと頷いて「……かわいい」って言えたのかな、彼女が満足そうにありがとーってニコニコしているのが見えた。それでその後ふたり多分笑いあってて(私からはオタクの顔は見えない)それ見ててうわああああなんだこれめちゃめちゃいいなあ………………って。
 
 私たちは列の先にいる子に、「可愛いよ」「好きだよ」って言うために並んでるんだよな~って改めて思った。でも「可愛い」ってめちゃくちゃ全身で思っててもその一言を言えない人もいて。そんなシャイな人から自然に「可愛い」を引き出してるそのアイドルちゃんのこと、尊敬した。短い時間だけど真剣に、自分の列に並んでくれるオタクをちゃんとひとりの人とみて、気持ちを汲んでくれて。本当の【神対応】って、こういうことなんじゃないかなって思ったのでした。
 
 特典会の対応って派手な話ばかり語られがちけど、こういうささやかだけど涙が出ちゃうようなふたりだけの幸せな瞬間が、会場のあちこちで起きてるのかなって思うとめちゃくちゃ愛しい。
 
 

JABBA DA FOOTBALL CLUBの #住み込んじゃってすいませんf(^^;に参加しちゃってすみません

■まえがき

 すみません。と、謝罪から入ります。JABBA DA FOOTBALL CLUBに対して詳しくも無いニワカの自分がこんなの書くのもな~って正直思うんですけど、きっとこれを読んだら友人が二人くらい圧に負けてチケット買うんじゃないかな~って気がしているので、予感がしているので、やや確信に近いものがあるので書きました。理由はなんにしろ、チケットが売れたらそれはいいことだと思うので、読んだら勇気を出してチケット買おう。そうしたら非難されても私は生きていけるので宜しくお願いします。あとはいつもの老後への備え、自分の為の記録です。

 尚、可能性が薄いとは思いますが、普段の他エントリとは文体が全く違うとお気づきの方もいるかもしれません。気にしないでください、全部自分が書いてます。

 では、腰をめちゃくちゃ低くしたところからはじめます。

 

■JABBA DA FOOTBALL CLUB とは?

 すみません。再度謝罪からはじめますけど、私も知ってからひと月弱のニワカなので説明できません。日々学習し知り進めている最中です。

 だもんで、さっくりオフィシャルHPから抜粋しておきますね。

 

2014年結成。オマケクラブ所属。 結成後、すぐに1st Album「QUEST」を500枚限定で発売し即完売。自分たちの居場所をつくるためのレギュラーパーティー「NEW VACANT STORE」の開催や、ジャンルを問わないイベントへの出演で精力的に活動。2nd Album「OFF THE WALL」 発売。Spotify2017年注目の新人への選出・全国ツアーの成功・サマーソニックやベイキャンプなどの大型フェスへの出演を果たし、バンドシーン・ヒップホップシーンの垣根なく活動する無二の存在となる。
最新EP「FUCKING GOOD MILK SHAKE」はタワレコメンに選出され、認知度・実力ともに急上昇中のヒップホップグループ。
全員の体型が分かりやすく異なっているところがポイント。ROVIN(チビ)・BAOBAB MC(デブ)・ASHTRAY(ガリ)・NOLOV(中肉中背)ドタバタと騒がしい4人をどうかよろしく。

jbfc.jp

 

■「#住み込んじゃってすいませんf(^^;」とは何か?

  そもそも、JABBA DA FOOTBALL CLUBという名前とアー写は知ってまして、でも音源にタッチするところまで行かなかった間柄でした。それが5/30のexpop!!!!で邂逅を果たしまして。とにかくめちゃくちゃライブが楽しかった。ステージの隅々から陽の気に溢れた彼らはメジャーデビューを数日後に控えており、来月からはワンマンツアーを周ると言う。そうなんだ~とニコニコと聞いていると、不意に彼らはわけのわからないことを言い始めた。

 

「チケットが売れてなくて、東京がホームなので名古屋と大阪が弱い」→わかる

「なので、メンバーが1ヶ月宿無しで大阪と名古屋に住み込んで手売りすることにしました」→わからない

「ひとりは山篭りして曲を作ります」→・・・まあわかる

「場所は国分寺です」→山じゃねえ!!

「その模様をDVDにして、チケット前売り買ってくれた人にライブで配ります!!」→???????

  意味わからないですよね。自分はわかりませんでした。わからない時、笑って受け流すのは自分の悪い癖で。まあ笑って流しました。その後もどのグループもめちゃくちゃ楽しくて、いいイベントだな~って私は特に何も買わず、物販にいるメンバーを横目に、早速今見たばかりの各グループの音源をサブスクでチェックしつつ、帰途へつきました。サブスクってほんと便利。一生世話になりたい。

 それとともに、なんとなくMCで言ってたのが引っかかっていたんですよね。SNSって便利です。ふとのぞいたのが決定打でした。・・・私が説明するよりこっちのがわかりやすいので見て?

 

 

 

 ということで。
 毎日企画の為に更新される、各種SNS追いかけてたらすごく楽しくなっちゃったんですよね。勢いに巻き込まれたというか。メンバーがそれぞれ、毎日の出会いとか未知の地での発見を新鮮な気持ちで教えてくれるのってすごい。心の緩急が手に取るようにわかってしまうのは怖い面もあるよなって私なんかは怖気づくけど、それどころじゃないメンバーの頑張り見てると、一回しかライブ見てないのにすごく親近感が湧いてしまい。そのライブは間違いなく良かったので、じゃあ折角だし私も企画参加しちゃおっかな~手売りチケット買おうかな!毎日楽しませてもらってるしな~という安易な気持ちで乗り気になりまして。じゃあ東京で手売りしてるノルオブくんにコンタクトを取るぞ・・・というところで、ふと気づいた。

 


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「話したことも無い人に連絡するの、めちゃくちゃ怖くない・・・?しかもアー写、なんかいかつくて怖い!!!!」(ひとみしりの極み乙女)

充分怖いです(左の金髪の人が東京担当のノルオブくん)・・・。

そもそも、手売りで道端でチケットを買うって、結構レア体験ですよね。ハードルが高い。でも私は実はその経験がありまして・・・・・・、その時手売りでチケット売ってくれたバンドマンの画像がこれなんですけど。

 



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SANABAGUN. &The Throttleの高岩遼さんですね、当時25歳

ドーーーーーン!!


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メジャーデビュー当時のアー写。お、お、おっかね~~~!!!!

  あれ?でも、どうみてもこっちのバンドのアー写のが怖い!!じゃあ平気じゃん。この人から買えたんなら平気じゃん。命はとられない。


 なんとなく腑に落ちた自分がいたので、このテンションが下がらないうちにと即連絡(私はツイッターのDMにしたけど、インスタでもOKなので各自好きな方でいこう)。

即レス。
マジで即レスだった~!!

 ノルオブくんは毎日、稼働時間と大体の場所をSNSで提示してくれてるのだけど、少しはみ出させて貰いまして、私は吉祥寺にしました。理由があって、吉祥寺のタワレコはジャバを熱心に応援していて、フリーペーパーまで独自に作ってると。6/16に新宿タワレコでインストアイベントがあるので本当はそこに行きたかったのですが、用事があり行けないので、それならば熱意のあるお店で買いたいな~と思っていたのでした。
 ノルオブくんと時間のすり合わせをしつつ、店舗へ電話して初回限定盤をお取り置きしてもらう手回しのよいオタク。無事に確保でき、仕事終わりに吉祥寺で回収しつつ待ち合わせの約束をしまして・・・・・・え、仕事終わりに異性と待ち合わせって、それってそれってデートじゃん!!!!!やば!!!!!笑
 まあ、そんな冗談でも言わないとやってられない程度には緊張してました。数回交わしたノルオブくんからのDMからは勢いと元気が溢れてました。

 

 恙無く仕事を終え、吉祥寺に赴きCDを購入。余談ですけど、貰おうと思っていたフリーペーパーはお取り置きの時点で自動的にセッテイングされてました・・・お気遣いありがとうございます。

 ここでふと気づいたのは、細かい場所を決めてなかったってことです。え、バカなの。駅に向かえばいいのかなあ・・・と思いつつビルを出たあたりで、ノルオブくんから連絡が。「タワレコの方まで行きますよ!!」とのこと。ありがてえ・・・お気遣いが半端ねえ・・・。その方が人も少ないしわかりやすい!と思い、お言葉に甘えて待つことに。10分ほどで無事にお会いできました。

 チケットを受け取って終わり~って思っていたのですが、めちゃくちゃお話してくれて30分くらいいろんな話をしました。初めて見たライブがとてもよかったと言う話を聞いてもらい、おまえそれくらい知ってろよってなことも聞いてしまったかも知れないけれど、丁寧に一生懸命話してくれました。初対面なのに!CDとチケット買っただけなのに!!アイドルの特典会だったら長くて1分くらいなのに!!笑

 私は先日のexpopでジャバのライブを初めて見てめちゃくちゃ楽しかったので、今回ライブへ行こうと思いましたと伝えたら、本人たちもすごく手応えがあったライブだったそうで、「あれ見て好きになってもらえたの嬉しい!!」って喜んでくれました。ちなみにですが、ノルオブくん、会話の最後全てに!!付く感じです。

 「チケット買ってくれるって本当にすごい。自分も見に行っていいなと思ってもすぐには買わないと思う。チケットを買ってくれるって本当にすごくありがたいし、特別なことです。だから絶対にいいライブにします!!今はexpopが最高だったけど、ワンマンはもっといいライブにするから来てくれて嬉しい!!」みたいなことを言われ・・・。こんなに喜んでくれるのかと。いや、全ての演者さんがもしかしたらみんなこんな気持ちでいてくれてるのかもしれないけど、それってわかんないじゃないですか。それが、本人から直接言われるのは貴重だなあって・・・めちゃくちゃじーんとしました。本当に期待してます!というと、「勿論!・・・でも俺ら、意気込みが空回るところが・・・」と、急に何かを思い出したのか弱気になるノルオブくんに、つい「え、そんなんじゃダメ!最高を見せてくれなかったら、そしたら次(のライブへ行くのが)がなくなります!!」とおたくの本音を漏らしたところ、「ハッ、それはそうだ!絶対にそうさせないんで!!これで最後にさせないから、絶対に!!!!」と言われて。めちゃくちゃきゅんとしました。その率直さに。

 

 ファンは・・・結局これが言われたいんだな・・・って気づいた・・・。別にライブで失敗してもかっこわるくてもそんなんで嫌いには多分ならなくて。ただ、その時点での最高の本気の全力を見せて欲しいんだなって・・・・・・なんか・・・・・・本気って強いなって。人を動かすのはいつだって本気だなと(いろいろ思い出している様子)。

 

 この企画はめちゃくちゃ荒唐無稽な力技だけど、演者とファンの距離が近づく。ライブ来てねー!という言葉が自分に降り注ぐ。巻き込まれる。毎日のメンバーの動向を知りたくなり、大丈夫かなあと心配する。どんどんこの企画の、当事者になっていく。顔を合わせるってすごいパワーなんだなあと感じた。もしかしたらステージに立つ人も、自分たちを好きって言って応援してくれる人がどんな人か知りたいのかもな・・・って思いました。顔が見えたら変わることってきっと思ったよりも沢山あって。ステージに立つ人も、SNSの向こう側の人も、みんな生きてる人間なんだよって・・・話が大きくなってきたけどそんなことを改めて感じた。未知の地でひと月奮闘した他のメンバーは、絶対にその土地と出会った人に愛着が生まれるだろうし。なんてピースフルなんだ・・・・・・。この陽の気で台風の一個くらい散らせるのでは?

 

 この話をした友人がまたチケットを買いに行ったり、インストアイベント行ってチケットも買ったりしてて、自分のように知ったばかりの人も急激に好きになるチャンスがある企画だったな~って思うので、残りあと数日ですがどうですか参加してみようよこのイベントに!って数名の友人を思い浮かべながらこのブログを書いた次第です。もう6月も終わるし企画も終わっちゃうよ~!

 

 ライブって、チケット買った時点から始まってるって思っていたけど、それをよりいっそう感じたのでした。

 本当に楽しみだな~。

 

■メンバーへの連絡方法

各メンバーのSNSへ、勇気をだして連絡だ!

・ノルオブ(東京公演)

@jiro_no_musukoノルオブ / 山田大介 (@jiro_no_musuko)さんをチェックしよう https://twitter.com/jiro_no_musuko?s=09

https://instagram.com/handsome_kanemochi?igshid=1dl9miapu9m95

バオバブ(東京公演)

🅱🅰🅾🅱🆎Ⓜ️©️™ JBFC (@BAOBABMC)さんをチェックしよう https://twitter.com/BAOBABMC?s=09

・アシュトレイ(名古屋公演)

ASHTRAY(アシュトレイ) (@ASHTRAY_JBFC)さんをチェックしよう https://twitter.com/ASHTRAY_JBFC?s=09

https://instagram.com/ashtray_jbfc?igshid=on31wv0lgs4a

・ロビン(大阪公演)

https://instagram.com/jabba_rovin?igshid=1nklip0k3j6x8

 

 

■追記

  前売り買うとワンマンで貰える特典映像の情報がチラリと出ました~!!!!わー!!楽しみすぎるー!!理由なんだろう…

 


『新世界』(full ver.) - JABBA DA FOOTBALL CLUB - YouTube

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■おまけ

 

 

That's what I call Shiggy Jr. に寄せて

natalie.mu

 

That's what I call Shiggy Jr.

  直訳すると「それが私がShiggy Jrとよぶものだ」

 

  この2週間ずっと迷ったけれどいつものように文字に残そうと思う。前例を踏まえ、例えそれが辛いきもちでも残しておいた方が自分は結局良かったと思えたからだ。
  とはいえ内容がセンシティブだから多分自分の気持ちそのままを書くことは出来ないし、それでも誰かを傷つけるかもしれないのでやめたほうがいいのかとも考えたけれど、この生々しい傷口もいつかはかさぶたになって輪郭がぼやけてしまうのなら、それは大切な思い出のひとつが消えていくことと同じだから、やはり残しておこうと思います。自分のために。

 

 

 

  2019/6/5、Shiggy Jr.からバンドの解散が伝えられた。

 

  この時に限って私のスマホはツイート通知を上手く拾ってくれなくて、シギー友達からのLINEでバンドから重要な報せがあったことを知った。急いで公式のツイートを開く。

 

 

  一呼吸置いて、メンバーコメントを読もうとしたが気が動転したのか、すぐそこにあるリンクがなかなか探せなかった。メンバー個人からもツイートがあったのでひとつずつ目を通す。でもどこにも、私が望んだ言葉は無かった。


  2019年9月7日に、Shiggy Jr.が解散します。

 

  言葉にしたらこれだけのことだけど、喉の奥がカッと熱くなって小石が詰まったかのような重みがとれないままだ。
  斜に構えた言い方に聞こえてしまうけど、予兆はあった。Vo.池田さんのずっと動いてきたツイートが、動かなくなったからだ。好きになってから彼女はバンドのフロントマンとして沢山の想いを綴り、時にリプライで時にいいね!でファンを愛してくれた。その動きが止まりひと月近くなった頃、(これは・・・)という思いが過ぎったのは確かで、ひっそり事務所のHPを見に行ったりした。
  そこからまたひと月も経たず、こういう報せを受け取るかたちになったのですが。

  メンバーからのコメントはどれも本人の声で再生できるような、自分で一生懸命に想いを、言葉を伝えたい相手をしっかり思い浮かべて書いたような文章だった。この期に及んで四者四様の「らしさ」に満ちていて、泣きながらこういう真面目で真摯な4人が大好きなのだと再確認した。文面には感謝も謝罪も、無念も決意も全部が載っていて、バンドとしてのこの7年、大切な人生のひとときに自分も寄り添えたんだなと思えた。きっと、思い浮かべたファンの中に自分はいるんじゃないかなと言う驕りのような確信。バンドの歴史全てを見ていた訳では無いけれど、インディーズ時代からメジャーデビュー、移籍から今に至るまでこの5年弱は見守っていた自分にとっても本当に濃い時間でした。今回の報せを受けて、こうすればよかったな~という後悔も自分にはないです。ずっと好きで大切な存在でいてくれて本当にありがとう。

 

  ファンと演者は絶対に同じステージに立てないし、本当のことなんて何にもわからない。それでいいんだろうとも思う。彼らが見せてくれるのはステージの上の世界で、彼らの心や人生は見世物ではないのだから。そう基本的には思ってはいるものの、どうして?と思う自分もいるというこの矛盾。でもどこかで、丁寧に見ていると何かが嗅ぎ取れてしまうこともあって。SNSというツールのおかげも大きいけれど、ライブへ足を運び、インタビューなどのメディア露出に触れ、日々作品を本人たちを大切に思う気持ち。そんなことを重ねていくうちに、言葉に出来ない思いや変化を汲み取れる人間の繊細さを感じずにはいられない。偶然、じゃないんだろう。すぐ隣にいるわけでもない人のことを慈しみ、思いやることでも人は親しくなれるのではないだろうか。それを愛と呼んでも許して欲しい。

 

  出会ってから約5年弱って正確にはまだ終わってないけど、いろんなところに連れて行ってくれて、いろんな景色をこちらからも見せてもらいました。びっくりするほど大勢の人の前で立っていた姿も、笑っちゃうほどお客さんがいなかったイベントも、なんのこっちゃわかんない催しも、全部いつだって真摯に取り組む4人は、最高を更新してくれました。何より「POPとは強くないと出来ない」という新しい価値観と、いつだってキラキラした楽曲で人生に彩りを添えてくれてありがとう。………こんな言葉を差し出すのはまだ早い。口が上滑りしている気がする。あんなに素敵なステージを、あと1回しか見られないという実感がないのが本音で。今はそれしか思いつかない。まとまらない。

 

  最後までしっかり見届けそして見つけます。「That's what I call Shiggy Jr.」を。すごくいいタイトルだなって思う。前向きだ。

  報せを受けてからずっと怖くて聴けなかったシギーの曲を、今日はゆっくり聴こうと思います。

 

  当日は少しでも多くの人が、赤坂の餞のステージへ足を運んでくれることを全力で祈ります。少しでも気にかかるなら行こ!!最後なんだから。

 

 

   最後に。
  本当は解散ライブなんてしなくても自由なのに、それでも最後の姿をファンに焼き付けさせようと決めてくれたこと。その場を設けてくださった事務所他、シギーを支えている周りの方にも心から感謝をしています。最後のステージはあって当たり前とは思っていないので・・・。最後まで細やかな愛情をメンバーにもファンにも注いでいただいてありがとうございます。ここに書いても届かないですけど。万が一にでも。

 

 

 

 

 

 


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mol-74「Morning Is Coming」ツアーat.赤坂マイナビブリッツ 2019/06/07


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 初めてmol-74のワンマンへ行くことにした。メジャーデビューアルバムを携えた全国ツアーの最終日。
ライブは一度だけ、3マンイベントで見たことがあった。音源はその前から聞いていたことがあり、そのイベントもよかったのでワンマンへ行ける機会を窺っていた。二階席を譲っていただいたので、しっかり座って堪能できると期待。

 

 ところでこのバンド名、初見では読めないですよね。「モルカルマイナスナナジュウヨン」だそうです(以下、モルカル)。

 

 最初に謝らなくてはいけないのは、初めて見るワンマンライブなのに私の精神状態が全くフラットではなかったことがある。この2日ほど前に、自分の中で数年にわたり大切にしていた存在のバンドが解散することを発表した。無関係と言われてしまいそうだが、実はモルカルのライブを見たきっかけが、そのバンドとの3マンであったので、どうしてもその頃のことを思い出してしまう。非常にナイーブで不安定な状態でライブを見るのは気が進まない部分が正直あった。全く誰にも責任は無くて私だけの問題なのは承知だが、やや辛い気持ちで二階席に着席した。

 定刻を少し回ったころ、吸い込まれるように光が落ちていく。ほのかな、最小限ともいえそうな光源に照らされたステージから、ゆっくりと音が零れてくる。ずっとライブのみの演奏で、この度のメジャーデビューアルバムに収録された「あいことば」からライブがスタートした。

 曲が終わっても楽器たちが余韻を引いて音を奏で続けているので、あの「エイプリル」のイントロの輪郭に気づいた時びっくりしてしまった。びっくりして、あの曲で一番好きなイントロのドラム聴き逃したのは大変悔やまれる。なんとなくだけど、もっとあとにやるのだと思って完全に油断していた。美しい曲と歌詞。この歌を生で聴きたいな、と思ったのが足を運んだ理由の8割を締めていたので、噛み締めるように聴いた。まさか2曲目でスカートが濡れるほど泣くとは思わなかった(着席で見ていたので)。

 

 涙が出たことで余計な気持ちも一緒に出たのか、そこからはよりステージに集中できた。

 

 モルカルはライブ中、ほぼずっと照明を落とし気味だった。少なくとも2階席からは、あまり表情は見えない。
 MC以外は、曲間でも音が途切れることがなかった。曲と曲が繋がっているように繊細な余韻を残していく。全部の曲がまるでひと繋ぎになっているかのよう。なので、拍手をするタイミングがあまり無い。じっとステージを見守る観客。息を潜めて文字通り「見て」「守る」聖域という印象。でも観客はどこかで自分の存在がステージの上に影響をもたらしているのをわかっている。こういう相互関係もいいな。余白が信頼で満たされている。それが心地よかった。会場に集まった人の大切な場所を覗かせてもらってる気がした。

 我を忘れるような熱狂は無い。しかし、痛いほどに繊細な静けさの中に祈りにも似た感情が満ちていた。そして上の席から見ていると、一見変化の無い観客の中に、あわだつような変化を感じた。暗いとわかっているのに、眼を凝らしてしまうのは何故だろう。視覚的な変化があまり無いせいか、音に集中できる。ぼんやりとした暗闇に、これまた全身黒い服を着たメンバーが立っている。黒にも強弱があるのだ、と気づいた。


 そう、髪色も衣装も黒だし、ステージも基本暗いのだけど、最後に不意に朝日が昇ったような照明になり(なるほど「Morning Is Coming」)と気づく。黒を味方にした4人は、強く照りだした朝日に負けないくらい強くしなやかにステージに立っていた。


 印象的なMCとしては、「Saisei」を出した時、これで何も変化が無かったら解散だって思って、誰の意見も入れずに自分たちのかっこいいと思うものを追求した。そしてこの作品がメジャーデビューに繋がったという話をしていた。そういう覚悟がある人達だから強いんだなって思う。この話からの「□(StarT)」の静謐な空気感、ちょっと忘れられない。熱心なファンらしい隣席の人の肩が、イントロで跳ねた。

 あとアンコール明けに、トーク下手というリズム隊が出てきて一生懸命MCしてて、ドラムの坂東さんがカンペ読み上げてるのに二階席からも見えるほど手が震えてて和やかな笑いを誘っていた。

 

 初めて見られたモルカルワンマン、いいものを見ました。終わった直後より、何故か今の方が印象が強いライブだった。

 

 

 生で聴いても一番好きだった曲を置いておきます。MVもすてき。彼氏目線の女の子はこんなにもかわいいのか。途中のとあるシンプルな【仕掛け】も好きです。


mol-74 - エイプリル【MV】

 

【極私的会場メモ】※立ち寄りの際の情報と個人的な感想なので、現状と変わっているところなどあるかと思いますが、ご参考まで。

待機場所は外(階段)。隣は劇場なこともあり、スペース広め。赤坂サカズなど付近(赤坂駅)にお店アリなので、会場前にトイレも使える。場内バーカンひとつ。ロッカースペースわりと広いし、通路外なので使い勝手よい。

 場内最後方(段の上)は、二階席がわりと低めに迫っているので人によっては圧迫感感じるかも。

SANABAGUN.「son of SNB.」2019/1/12 at.下北沢ガレージ 

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  半年も前のことをあたかも先日かのごとくしれっとブログにしてますが、どうして?などの疑問は受け付けませんし、自分も謎に思っています。あまり体裁も整えていませんし、ツイッターのレポから貼ってます。備忘録。 あと万が一、関係者のどなたかがこれを見たら思い出して欲しいのです。見てくださいこの看板。「Channel 378主催」というこの冠を・・・!!

 

 サナバワンマンのOAを決めるためのイベント!と銘打って開かれたイベント。観客はそれしか知らされておらず、当日入場するとステージ前にステージに向かって椅子とテーブルが審査員席(メンバー席)として置かれており、その後ろに観客は立つ形。
ステージの上には楽器がセッテイングされていたので、どんなコピバンがくるのかな~と楽しみにしていたところ、司会進行の大熊Mに続きメンバー、そして一組目が登場。演奏が終わり、メンバーも真剣に一人ずつ感想を述べる。じゃあ二組目の登場です!二組目は・・・・・・・・・いませんでした~!!!と大熊さんが言い終わらないうちに、メンバー全員でズコーッ!!!(ご丁寧に全員コケてた。練習したのか?)

 しかしイベントは終わらない。メンバーがステージに上がり、トークショーがスタート。新年らしく今年の抱負などから始まり、メンバーへの質問コーナー(急に)。書初め大喜利大会を挟みビンゴ大会(明らかにサナバ夏祭りの残り)。そして最後はミニライブ(ビンゴの一等賞がサナバに今やる曲をリクエスト!!豪華!!)で終わる。気がつけば2時間以上楽しませてくれたサナバ。無料イベントなのに!!


 サナバのサービス精神を煮詰めたようなイベントでした!笑った……時間めいっぱい楽しませて貰いました。

 

 

以下、自分のメモツイートより抜粋

 

 

・サナバガン大喜利大会一番盛り上がったお題がこちら

  ぺーちゃんの理由が一番面白かったんですけど、ノンノンツイート令が発令したので言えません。とにかく、お兄ちゃんたち全員泰平くんが大好きなんだと思えるエピソード満載でした。

 

・質問コーナー、いろいろあったけどこんな話題が(ベボベのこいちゃんの影響・・・・・・?)

 

 

 

 

 紘一くんの妄想恋バナトークタイム、面白すぎました。

 
・質問コーナー、私が聞いてみた質問の答え『ライブでやりたくない曲は?』

 

 

 

 

  好きな曲は聞かれてそうなのであえて逆を聞いてみたけど、答えもそれぞれ個性的でした。

 


・最後のミニコピバンライブ

 ビンゴで一番乗りしたのは友人でして、路上からサナバ見ている人なので白盤からいくつかリクエストした中で「カマドウマ」メンバー全員苦笑い。そして「ワーニング」これはさっきのコンテストで演奏された曲!!コピバンと本家のメンバーが入り混じり、大いに盛り上がってイベントは終了。

 

 

 

 なんてサービス精神満天なバンドなんだ・・・。
大好き。かっこいいだけでも充分に勝負かけられるのに(「むしろわかりやすくかっこいい方が人気が出るのではとわかっているけど、でも俺たちはこうやりたい」遼くん談)これでもかとユーモアを提供してくれる。サナバのいいところって、この両面の魅力のバランスなんですよね。かっこよくキメるのもおふざけも全力。だから飽きないし、ずっと見ていたくなる愛しさ。どこから入っても結局はバンドを愛してしまう。
 

 コピバン大会なんだからコピバンで終わるのもすごく良くて。出場した学生さんと楽しそうに演奏しているのを見て(これがやりたかったのかな~)って思いました。ベースの子が上手く音が出せなくても、俊樹と遼くんが『音は(間違ってても)なんでも出てればいいから!やれるから!!』って言ってて、そういう敬意をきちんと払えるところ、ステージに乗っちゃえば仲間じゃん!というところが大好き。そう思えたイベントでした。

 

 

 


なんの流れでこの話になったのかは忘れたけど、これは後世に伝えて行きたい。

 

【結論】
謎イベントは這ってでも行け。

 

【極私的会場メモ】※立ち寄りの際の情報と個人的な感想なので、現状と変わっているところなどあるかと思いますが、ご参考まで。

・下北沢garage キャパ200人 アクセス 下北沢駅徒歩6分

待機場所は階段上(路上)住宅街なので注意。付近にローソン。

隣の「侍」というカレー屋さん美味しいです。並ぶけど。

ロッカー会場内に数個。ソールドの時はクローク受付あるかも?

バーカン、缶や瓶の提供。ステージは会場の広さにしては高さは普通。特に見えにくい場所もなし。

トイレは男女共用でひとつしかない!!!!!頻尿の人は気をつけて。御武運を祈ります。

 

 

高岩遼トークイベント【DIVE INTO MUSIC. 2019 WINTER】at.ディスクユニオン立川店 2019/02/17


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 立川ディスクユニオンにて行われた、 高岩遼さんのトークショーへ。


 レジ前にシンプルな設えのステージ。店内どこにいても聞こえてしまうアットホームなトークで、たまたま来店した人も少し話を聞いていたりトークで出てきた名前に反応していたりが見え、ほのぼのした雰囲気がとてもよかった。進行してくださった方も補足フォローや高岩遼さんの作品への理解がきちんと伝わって心地いひと時だった。


 イベントの主旨は、遼くんが選んできた10枚の盤からお気に入りの曲を紹介しつつ愛 を語る形式。よくある企画ではあるがその場で音源もじっくり聞け、時間もたっぷりで濃厚な時間でした。
 イベント90分くらいあったということからも、どのくらい濃密だったかおわかりいただけるのでは・・・。これはここにいる人だけじゃ勿体無いから配信しましょうよ~ って何度も思いました・・・。 遼くんが好きなものを大切に語るその言葉から、そのバッグボーンも好きなものへの愛情の深さも自身の活動に込めた思いも汲める内容だった。とにかく濃厚で、 これが無料で聞けるありがたさよ・・・。

 
 私は友達、まあ知らない誰かでも、誰かが好きなものについて熱をこめて語っているのを聞くのは好きだ。 その「好き!」という熱に浮かされている様子を見るのが好きなのかもしれない。ましてや好きな人が好きを語っている姿を目の当たりに出来るのは、聞いていて涙が出るほど嬉しい時間だった。


 ミュージシャンに対する触れやすい話題でもあるので、今までにいろんなメディアで語られていたこともあるし、ある程度追いかけていたら知っていることも勿論ありました。 でも声のトーンや話す時の姿勢、目線まで知れる機会は少ないので新鮮だった。何かメディアに記録されるわけでもない場所で、本人の声とリズムで、時間に追われるわけでもないのでせかされることがほぼなく。ライブハウスでもイベントスペースでもない「 ディスクユニオンの店内」という場所もあいまってとてもよかった・・・。学生時代、実際にディスクユニオンで琴線に触れる一枚を探していた遼くんの姿を想像できた気がします。


 うろ覚えですが紹介していた内容をざくっと。覚えているところを。
・VITAMIN X「AGE OF PARANOIA
~スロットルのマネージャーさんがメタルバンド? をしてて対バンしたのを見に行った。意外と聞きやすい。
スコーピオンズ
~ハードロックなのにドイツ人の真面目さが出てて心地よい。 日本人と相性がいい気がする。
・クイーン
~母親がクイーンの熱心なファンで、その影響で子供の頃から聞いていた。 二十歳の頃、母の大切なレア盤を持ち出してきた。
・ウィル・スミス
~ウィル・スミスのスターとしている姿勢が好きだという話( 下ネタは言わないとか)
レイ・チャールズ
レイ・チャールズの歌に感化され『レイ・ チャールズがいなければ俺はここにいない』 と語る遼くんが選んだのが、レイチャールズが唄っていない盤なの が面白かった。
憧れが募り、レイドバックという、リズムが深くて遅く聞こえるジャズの唄い方を一生懸命練習したと話してい た(もしかしたら、 シナトラのところで話していたのかもしれない…)
フランク・シナトラ
~「どんなに真似てもシナトラにはなれない」

スティービー・ワンダー
~「涙をとどけて」を小学生の時に聞いて涙した。 歌いたいけれど歌えないので、母親にカタカナで書いてもらった。 そのディズニー柄のメモが沢山溜まっていた。 このエピソードが好き過ぎる。
・キャロル
矢沢永吉も大ファンだけど、矢沢栄吉の前に、キャロルがある。 だから好きならばそっちも知らなくてはいけない。「涙のテディ・ ボーイ」がかっこいいのでイチオシ。
本田竹広
~通っていた高校の校歌を作曲された方。 この日聞かせてくれたのは、 その校歌と仰げば尊しをミックスしてアレンジした曲だった。 かっこよかった。


あとひとつなんでした?思い出せません…

 

 自分の活動内容や、リリースしたソロアルバム『10』についての製作トークも。

 参加して貰ったオカモトショウくんのことに少し触れた遼くんの話し方から、ショウくんのこと大好きなんだなあと伝わってきた。 同世代で自分と同じくらいシナトラ愛が深いのが嬉しいのかな。

 今の時代かっこよさだけを出した方が売れるのはわかっているけど、それはしたくない。自分はやはりユーモアを出したい。それはサナバもスロットルもそう。だからソロアルバムにもinterludeを入れてみた。 Yaffleのアイデアで、アレがあるから面白みが出て作品のいいクッションになったという話から、やはりエンターティナーだなあとしみじみ。


 遼くんが持つ憧れとか尊敬の念は、ジャンルを越えている。それが彼の持つ多面性だし、面白さに繋がってるから耳が飽きない。 そして彼は美学がある人が好きなんだと思った。それぞれに対して、 好きな音だけじゃなくてその人そのものにもとても興味があって、その対象が持っている美学に共鳴している。最初は作品から入っても、その後にしっかりとその人を好きになっているところが多いように感じた。そういうマニア・ オタク気質なところも親御さんから受け継いだんだろうなと話を聞いて思った。


 今後は暫くソロ製作の予定はない。じっくりと時間をかけて作ったので『10』を聞き込んでくれたら嬉しい。サナバもスロットルも今年は沢山動いていきます。俺はいよいよ体が二つに割れてしまうのではないかと、そんなことちっとも思っていないように頼もしく笑っていた。なのでどうぞ宜しくお願いします!とイベントは締めくくられた。(わかりましたついていきます!!!!!! !!好きです!!!!!)

Laika Came Back 「立冬の砌 」at.東京 日本基督教団 根津教会 2018/11/23


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 いつもの足取りで彼は入室してきた。そう、私たちがよく知るあの軽やかな足取りで。片手にギターを携えて。


 進むだけで空気を切り取るような、背筋が気持ちよく伸びた背中。文字通りの意味で顔色を伺う、心配そうな顔たちへ向けて、ちょっと照れくさそうにしつつ小振りのアコギを抱える。元から色白だけど今日は一段と白いな、というのが正直な感想だった。


 深くしなやかなお辞儀と共に、一曲目が始まる。

 

 彼の演奏は「ひとり」だ。弾き語りではなく、ギターひとつで全てのパートを奏でる。弾き、こすり、叩き・・・この手元から生まれる音はもしかしたら無限なのかなあと思うくらい幽玄で多彩だ。足元に置かれたルーパーエフェクターを器用に使い、演奏していく。その日その時の音は車谷さんだけでなく私たちの息遣いまでも取り込めるような気さえして、いつも息を潜めて耳をすませてしまう。


 一曲ごとに、足元の機材を少しいじる間、拍手もせずに彼の準備を待つ時間が発生するのだけれど、この日はなんだかいつも以上に静謐で輪郭が濃いように思えたのは、そこが教会という神聖な場所だったからだろうか。段上には分厚い聖書が置かれ、白い壁によく映えていた。傍らに百合を中心に白い花ばかり活けられた大きな花瓶。花瓶の前で生まれる音の波動で空気が振動するのか、演奏中に時折強く百合が薫るのが印象的だった。

 

 ライカとしての持ち曲はほぼ演奏したのではないだろうか。手元に置かれたセットリストには、びっしりとタイトルが書かれていた。少ないMCの中で何度も「今日は僕の少ない親友たちの協力で開催することが出来た」と愛しそうに繰り返し「予定通り、削ることなく全て演奏することができました」と嬉しそうに笑う顔がまぶしかった。急病で直前のライブをキャンセルしたことについては一言も触れなかったが、ファンが心配しているのを知らないわけがない。その一言が全てを伝えてくれたと思う。

 

 オリジナル楽曲はいつものごとく素晴らしいけれど、今回は「この歌が好き過ぎて歌えなかった」とやや緊張気味に披露した、サイモン&ガーファンクル『スカボロー・フェア』、そして『アメイジング・グレイス』のカバー二曲に胸を打たれなかった人はいないのではないか。どちらもあまりに有名な曲であり、思い出や思い入れのある人もいるかも知れない。しかし、どこまでもまっすぐに高い天井へ吸い込まれるように伸びていく声は、車谷さんの平和への祈りと感謝の気持ちが痛いほどに伝わってきた。ただ彼のことを思い、今日この日を迎えられた幸せに感謝する気持ちで全身が満たされた。

 

 カバー曲を含め、圧倒的な空気にただ身を任せるしかなかったが、本編最後の『天空の彼方』、そしてアンコールの最後を締めた『駿馬』で涙を堪え切れなかった。なんて優しさに満ちた歌、そして場所なんだろう。

 

遠い日の涙 すっと流れた 運命が見えた

天空の彼方 天空の彼方 天空の彼方へ(天空の彼方)

 

もうそんなに もうそんなに 悲しまないで 

そうだほら その調子 

もう少しそのまま もう一息 

そうだ このまま進め(駿馬)

 

 思わず胸に手をあてていた自分に、そうかと気づく。この歌もまた祈りなのだ。

 

 拍手で送り出した後も、心がなかなか現実に戻れなかった。それは自分だけでなかったようで、会場のあちこちでも放心したように座っている人や、「現実に戻りたくない・・・」という声も聞こえた。

 激しいリズムや大きな音はなくても、耳目を集めることが出来るということをライカは教えてくれると思う。大きな声で放たれたメッセージは、強いパワーで確かに伝わりやすい。しかしそうではない手法だってあるはずだと、過不足なく手元まで届けられる音楽で、彼は言ってくれている気がする。車谷さんの手の中で生まれては消えていくはかない音へ集中し、彼の気持ちへそっと寄り添い寄り添われるような感覚。音楽を挟んで、演奏家と観客が近しい存在になれると感じる。完全にわかりあうことは出来なくても、音楽が間にあるときは同志になれるような、心地。こんな時間が持てるなら、世界はきっと少しは変わるのではと信じられるようなひとときだった。

 


 最後に買ったCDにサインを入れてもらい、最後に握手と「また逢いましょう」という言葉を貰った。人生の大半という長い間ずっと憧れている人と再会を約束できることの幸せな重みと、同じ時代を生きて巡り合えたことにまた感謝せずにはいられなかった。


 必ず、生きて、また逢いに行きます。

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」at. LIQUIDROOM 2018/11/10


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  自分にとって4回目のDATSワンマンライブへ行ってきた。

yurivsky.hatenablog.com

 WWWからWWW-X、そして前回は今年の5月にリキッドルーム。前回のワンマンと同じステージに挑む彼ら。ステージからはどう見えたのかはわからないけれど、客席からは変わったものと変わらないものがはっきりと見えたように思う。


 今回は「Digital Analog Translation System Tour 2018」と銘打たれたツアーで、アルバムを携えて東名阪を巡った。そのラストが、前回のワンマンと同じステージだ。奇しくも、それが決まったときには予想もしなかった大きな変化がある。メンバーチェンジとそれに伴うポジションチェンジ。このワンマンに先駆けて行われた、AAAMYYYとのツーマンフリーライブでもボーカルのもんじょーくんが言っていたけど、新しいDATSのお披露目の意味が強くあった。自分たちのホームである東京でのワンマン、期待と気合が高まっているのはステージに現れた時のメンバーの表情から充分に伝わった。

 

 結果からいうと、またすごくDATSを好きになれるライブだった。新曲だけでなく、既存の耳馴染んだ曲たちからも、足元から静かに興奮が駆け上るような瞬間があった。あ、今「かっこいい」を更新したと何度も思った。一曲目『Mobile』のイントロが鮮やかに空気を変えていった。今までよりもドラムが強く出て、一打毎に鼓動が高まる。何度もライブで聞いている曲なのにまだこんなにドキドキできるのかと、DATSの楽曲の強度に改めて驚くばかりだった。

 

 当然アルバムの曲を中心にライブは進んでいくけれど、既発曲も新曲も差がなくフラットに新鮮に受け取れたのは、全ての曲をこのメンバーで改めてイチから作り上げたからだろう。それは想像がつかないくらい大変で努力と覚悟がいる作業だったと思うけれど、それが『格段にパワーアップしたと思う』と胸を張って言える自信に繋がってて頼もしく、同意しかなかった。過去の否定ではない、そこにはこのDATSという場所を絶対に残したいという懸命な想いの跡が見えるようだった。

 

 本当はもっとウエットな気持ちになるかと心配していたけど杞憂だった。きっと名古屋と大阪の反応がよくて、本人たちも不安よりも手応えを感じていたからじゃないだろうか。過去のワンマンで「目の前のあなたにいいねと言って貰いたい」と話していた言葉がよみがえる。改めてワンマンというかたちでファンへ挨拶できた喜びに溢れててよかった。

 

 今回は入場した時から場内が矢鱈暗くて、始まった時も客入れの延長からするりと始まった気がした。はける時もアンコールの時も、何もかもが地続きだった。客席もステージも継ぎ目がないようだった。そして、誰か一人にスポットが当たることもほとんどない。記憶の限りではメンバー紹介でソロをやった時くらいだ。四人がほぼ同列に並び、同じ明るさで照らされているのは、それがメンバーがDATSであろうとしている意思のように思えたし、客席もみんな、この集合体がDATSなんだといってくれているようだった。私が思うDATSの一番好きなところは集合体としてDATSであろうとしているところだ。だからライブでも踊らせてくれるというよりも、踊ることを選ばせてくれるように感じる。もしかしたら、そこに物足りなさを感じる人もいるかもしれないけれど、強引にエモーショナルに引きずり込まずに、観客に選択肢を与えてくれるのも、優しさであり『らしさ』なのではないか。ダンスミュージックだからって、踊ることを強制されなくていいし、考えることを放棄しなくていいのだ。「ここまでは連れて行くよ、ここから先は自分で考えて決めて。よかったら一緒に行こう」といってくれているようで心地がいい。


 今までは緻密に織り上げた布を纏わせる様な、みっしりとした音源をきちんとステージの上で再生することに努め、会場をきっちり満たすような印象だったのに、今回はかなり人の手・遊びの部分を感じる。ツアー&アルバムタイトル通り「デジタル」と「アナログ」を行き来しつつ、観客との空気を読みながらライブを作ることに喜びを感じているのではないか。だから前は打楽器のセッションタイムが凄く特別なアトラクションに感じたけど、今回はそこへ入るのがとても自然に思えた。どちらにしろ最高に心躍る時間なのは間違いない。なんであんなに心地いいんだろう、あの時間。ドラムの大井くんが芯となり、他のメンバーも次々と呼応していくシーンはライブの山場であり、個性が垣間見えて心に残った。


 DATSいいバンドだなーと再確認するようなワンマンだった。あっという間だった。かっこよくて、スタイリッシュで、熱い。ダンスミュージックなのに、丁寧。デジタルなダンスサウンドから、アコースティック…アナログの面が強くなっているのを感じた。ベースが強くなった。大井一彌くんのドラムが凄すぎた。あんなに多彩な音が出せるのか。手元を見ているだけで全然飽きない。近くにいても耳が痛くならない、バランスをすごくとられているのではと思う。

 アンコールでやった新曲、テンポの速いビートとそれを追いかけるギターが疾走感を生んでて気持ちよかった。「お前が世界を覗き込む時、誰かもお前を覗き込んでいる」って歌詞が印象的だった。リズムも強いけど、ギターがすごく映える曲。反り返るギターの吉田くんと、ベースのはやぴを交互に見てしまった。

 

 まだ余韻が体から抜けていかない、幸せな時間だった。

 

細かい感想をいくつか思うままに羅列。
・大井くんが「Dice」でシンバル外してスネアに直置きして叩いて、そのあとBメロでシャン!と音を出してシンバルを投げ捨てた時ひええええって声が出た。出るわ。
・もんじょーくん『おねがいします』を噛んでしまい『大事なところできめきれない…』と苦笑してるのも微笑ましかったな。もんじょーくんは素直でありのままでいるフロントマンで、その自然体なところが魅力的。

・「TOKYO」やらなかったな~。大阪・名古屋もしなかったようだ。聞きたかった。試聴会で「この歌が好き。東京の人間が作る東京の歌が他にないから」と話していたたくやくんと、それを聞いて照れ笑いしていたもんじょうくんを思い出した。

 

ナタリーの記事、写真も綺麗でかっこいいです。

セットリストもこちらから抜粋させていただきました。

新曲、早くタイトル知りたい。

natalie.mu

DATS「Digital Analog Translation System Tour 2018」2018年11月10日 LIQUIDROOM セットリスト

01. Mobile
02. Memory
03. JAM
04. Netflicks
05. Alexa
06. Dice
07. Run
08. Health
09. 404
10. Interude
11. Session
12. 新曲(1)
13. 新曲(2)
14. Pin
15. Heart
16. Message
<アンコール>
17. 新曲(3)
18. Jane

各メンバーのツイート↓

 

 

 

 

www.youtube.com

King Gnu 1st ONE-MAN “Tokyo Rendez-Vous” @ WWW  2018/01/28


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 2017年9月。よくある数バンド出る平日の対バンイベントで、たまたま見たのがきっかけだった。セッティングで拡声器が運び込まれて目を引かれ、音を出したらそのかっこよさに度肝を抜かれた。あまりにびっくりし演奏中にトイレに行って心を落ち着かせたのをよく覚えている。すぐにまた見る機会があり、そこで完全に好きを確信する。翌月アルバムが発売されるとのことでそれを心待ちにしつつ、Play musicで配信されていた2曲を繰り返し再生。そうして待ち焦がれたアルバムに度肝を抜かれ、もう抜かれるものが無くなった頃にワンマンのチケットを取った。ワンマンが即日完売して、その追加公演すらも取り合いになった状況で迎えたワンマンライブ。期待しかない状況で当日を迎えた。もう取られるものはなにもない、あとは魂くらいかなどと思いながら向かう。

 

 個人的に大好きなハコWWWは、近くでは11月にDATSのワンマン公演(ソールドアウト)を見た場所。ここをワンマンで埋めるバンドはもれなくかっこいいと確信しているので(個人の感想です)、わくわくしていた。番号はそこそこ早かったので入場すると、段上と最前で半々くらい。自分も段上で見ることにする。ステージと高さが一緒で凄く好きな場所だ。目線の高さが同じだから演者を一層好きになれる。

 

 ステージには暗幕が下がり「KING GNU」のロゴが映し出されて、電車のアナウンスが流れている。高揚していたのでぼんやりしていたが、暫くするとこのアナウンスは山手線なのだと気づく。私たちは走り出した外回りの山手線に乗り込んでいるのだ。山手線は一周約1時間。オープンからスタートまでも1時間。成る程、電車はWWWのある渋谷を目指し、電車が渋谷に着くとライブが始まるのだなと気づく。では今日の一曲目はあの曲?という予想も。

 

 流石のソールドは伊達ではなく、時間を追うに連れて場内は混雑していく。足の踏み場もない満員電車のような場内は、まるであのMVのよう。でも決定的に違うのは、ここにいる人たちの期待と熱気だ。満員電車でそれを感じたことは今までに一度もない。

 

 そうこうしている内に私たちを乗せた山手線は渋谷へ到着した。ついに幕が上がる。

 

 期待をますます煽るようなオープニングを経て、予想通り「Tokyo-Rendez-Vous」のイントロへそのまま突っ込む。ワッと場内の温度が上がるのを肌で感じる。そのまま「FLASH!!!」(アルバム収録曲ではないけれどライブで披露している曲)、「Mc.Donald Romance」へと突入。「Catct!!!」もアルバム収録曲ではないけれど、ライブで以前やっていた(と思う、うろ覚え)。

 そして「あなたは蜃気楼」この歌が好き。超好き。打たれた。サビに入る前の「あなたが蜃気楼 に見えたの」の音節区切り方の部分がいつも鳥肌が立つような期待感を抱かせてくれる。多分アレンジは変わっている気がするけれど、この曲を初めて聴いたときのことを思い出した。きっとこの先聞くたびにあの日のロフトを思い出す。

 

 レコ発ワンマンライブとはいえ、持ち曲少ないのにどうするのかなと思ったが、Srv.Vinciの曲をや更に新曲を惜しげもなく出していく。ステージや客席の緊張を緩めるのんびりしたMCを挟みながら、ライブは中盤、ギターもベースもそれぞれアコギとウッドベースに持ち替えてセッション&アコースティックコーナーへ。ここがライブならではの楽しみがつまってて良かった…。スキルとリアルタイムに展開していくドキドキ感が楽しくて、拳を握ったり開いたりした。楽しすぎて記憶が一番薄い。

 

 

 本編ラストは「サマーレイン・ダイバー」。この曲、ホーリーな気持ちになれるから好き。Vo.井口が一緒に歌ってほしいといい、観客も声を出し一緒に歌った。耳触りだけでなく、声に出した時にとても気持ちいい曲なのだとよくわかる。Gt&Vo.常田がインタビューで「一緒に口ずさめる曲にしたい」というようなことを言っていたのを思い出す。バンドとして大衆的な存在になりたいという気持ちは、こういうところにも表れているのかもしれない。

 

 アンコールは「Vinyl」。前も感じたのだが、この曲のイントロがかかると、観客の期待が急上昇し、熱を帯びるのが非常によくわかる。待ってました!感が段違い。こういうアンセムとして受け入れられる曲を持っているバンドは強いよなあと思う。観客の熱狂の山場をどこへ持っていくかがコントロールできるのは凄い武器だ。そして今回は、最後に一番の山を持ってきたのだと思う。

 

 思ったよりも長くやってくれ、バンドとしても今の全てを出し尽くしたという印象だった。初めてここまでの長尺のステージを見て感じたのは、どこか普通のバンドの常識から外れてるところが面白い。ファーストワンマンを即完売して、おまけに追加公演まで即完しているのだから、これからの決意表明とかそういうかっこいいMCのひとつもありそうなのになかった。そういうのがあると場が締まるし、観客も演者に感情移入しやすいから、軽い肩透かしと思ったのも正直なところだけれど、本当にステージでありのままで立っているのだなと思う。そしてこれが「らしさ」なのかもしれない。

 ライブではこういう時にこうして、こういうかっこいいことを言ってとか、そういうテンプレに乗っからない姿勢。というよりも、あまりそういうのを知らないのかもしれない。アンコールで物販のTシャツを着るか着ないかでもめた(というか、B新井がやる?と提案したら、新井以外が全員「そんなことしないでしょ~!」と否定して終わったらしい)というエピソードも、本当に他のバンドがそんなことしているなんて知らないんだろう。それも自然体すぎて面白い。

 

 ステージをどんどん踏んでこれから変わるかもしれないけれど、それは恐らく本人たちがそうしたくなったからするんだろう。終わった直後は、かっこよかったけど、でももっと夢中にさせることが出来るひとたちだよなあと思ったのも正直なところだった。でも、そういうステージングはこれからライブを沢山重ねる中で自然と磨かれていくだろうし、そんな変化までこれから目の当たりにできるなんて贅沢な瞬間に立ち会えてるんだなと思った。もうこのひと月で既に変わっているかもしれない。変わっている。アルバムの曲たちだって、どんどん育って別の曲みたいなのだから。これからどれだけ武器増やしてくんだろうかと、楽しみしかない。

 

 

ほんとに「今が焼きついた」凄くかっこいい写真ばかりでした。

絵になるバンドだなあ。リンクも貼っておきます。

 

eyescream.jp

 

本文中から、セットリスト抜粋させていただきます。

-セットリスト-
1.オープニング
2.Tokyo Rendez-Vous
3.FLASH!!!
4.McDonald Romance
5.Catch!!!
6.あなたは蜃気楼
7.Haroine
8.PPL
9.Hitman
10.It’s a small world
11.Diving to you
12.破裂
13.ロウラブ
14.Teenager forever
15.サマーレイン・ダイバー
-アンコール-
16.Vinyl

 追加公演も楽しみ。どんな変化を見せてくれるんだろう。

 

 最後に「あなたは蜃気楼」のMVが一足早く公開された。

曲のイメージとは違ってびっくりしたけど、大きなスクリーンで見られて嬉しかった。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 【ハミダシ】

 仕事が繁忙期で時間がなくてなかなか書けず、記憶がそのうち曖昧になってしまったから事実と違うところもあるかもしれません。後悔。

以下、自分の為の細かい覚書。

 

・印象に残ったほのぼのMC・アライグチハウス編

井口『今朝、気合いをいれる為に外で鬼殺しを浴びた』
新井和輝さん『理が鬼殺しの瓶を持って出てったのをドアの覗き窓から見てたら、腕にちょろちょろってかけて終わりにして戻ってきた』
井『だって!思ったより臭くて、あれ浴びてたら(wwwの)三段目くらいまで臭くなったと思う!!』

井口『(観客へ)今朝は何食べました…?俺はタコライスを食べました。昨日の残りの』
新井和輝さん『あれねー!俺がリクエストしたら作ってくれたんですよ、理の作るタコライス、俺好きで』

 

・新曲良かったなあ。早くもっと聞きたい。惜しみなく出してくる感じ挑戦的ですごくいい。「ダンスなんて踊れないけどあなたとなら踊りたい あなたのいる世界で私は生きていくの」みたいな歌詞の歌が残った。井口くんの声ってなんであんなにシームレスなんだろう。いろんな声域自由に動けて、辛そうじゃない。境目が滑らか。ちょっとウエットな部分を、対照的な常田くんの声で緩和というか均してて、そのバランスもいい。声が全く違うからいい、って何かのインタビューでも言っていた。

せきくんのドラムは自由。あんなに立ち上がってしまう人を知らない。でもドラムは座って叩くべきって誰が決めたの?自由で、椅子の上に立って煽ったりしたって良いんだよね。新しい可能性をどんどん教えてくれてありがとう。あんなキュートを煮詰めたドラマー知らないよ~

・セッションはあるでしょうと期待していったけど、リズム隊のセッション楽しすぎてこの時間よ永遠なれ…と願った。新井和輝さんのベースソロがかっこよすぎてかたまってしまい、終わってからも暫くライブへ戻って来れなかった。覚悟していた3倍はかっこよかった。あとウッドベースを抱えた姿が神々しかった。表情含めて焼き付けようと目を凝らしたが、背後の照明がモロにぶつかる高さの為あまり見えなかったのが悔やまれる。しかしこれは直視したらよくないという神の采配なのかもしれない。ただ脳裏にはシルエットが焼きついている。新井和輝さんはベースだけでなく、MCアシストやステージ進行まで任されていた。バンマス。リズムを保ちながら低音を弾き分けつつ、バンド全体に指揮を出しているのは素晴らしい…。ステージの重心であり、いると演奏もトークも締まる…。KING GNUみんな演奏技術も素晴らしいけど、それをステージという場所へ載せる時にちゃんと客席へ届くように采配している……えらくないですか………えらいです……!!!!

 

DATS「Application Tour」at.WWW 2017/11/19

natalie.mu

全くDATS詳しくないのに、ノリでワンマンチケットを買ってしまった。しかも先行予約で。友達の猛プッシュにより、6月にやついフェスで初めて見てからイベントやフェスで3回ほど見た。かっこいい~センスあるなあ!とぼんやりした感想を抱いている程度なのに、ソールドしたワンマンへ行っていいのか。若干の申し訳なさを感じながら足を運んだ。

 

「Application」リリースを携えてのツアーなので、収録曲を中心に据えたステージ。サラウンドシステムを導入したという音響は、WWWでこんなにいい音聞こえるの?ということにびっくり。三段目にいたのに音圧が凄い。この日は風邪気味で耳の調子が悪かったので、ライブ用の耳栓をしてちょうどいい具合だった。

 

それと共に目を引いたのが照明。WWWで今まで沢山ライブは見てきたけれど、こんなふうに使える場所なのかと初めて知った。凝っている訳ではないのに印象に残る。メンバー4人の内誰かを際立たせるような演出ではなく、同じように照らし出し同じように闇に沈めるその照明は、DATSというバンドがひとつの共同体だと言外に伝えているようだった。そして何度も同じ明るさで客席も照らしだし、客席までも地続きなのだといわれてるような気がした。

 

音響と照明をきちんと味方につけた彼らは本当にかっこよかった。

 

とはいえ、アコースティックバージョンのアレンジの披露、そしてもんじょーくんがアコギを抱えて一人で唄ったり、ドラムのかずやくんが突然のスキル見せつけタイムを発動してきたりと、メンバーに焦点を当てて魅力を教えてくれるコーナーもあって楽しかった。早川くんとたくやくんも次は何か挑戦を見せてくれそう・・・今後に期待・・・!(他の場所では披露したのかな?)

 

もんじょーくんが「今までは不特定多数の人の共感を得ようとしてきたけど、今目の前にいるあなたにいいね!といってもらいたい」と話していたが、それはきっと言葉通りの意味ではなくて。今ここにいて彼らの目に映る客の奥に、その何倍ものお客さんがいること、それが見えている気がした。ツアーを通してツイートする言葉に熱が帯びていたのは、いろんな場所で出会った観客の熱が伝播していったのではないかと思う。

 

あとアンコールで「新しい目標が出来ました。DATSで武道館に立ちたい。ここにいる人と行きたい。(武道館に)立たせてください」と吐き出したそのまっすぐさに心を打たれた。クワトロでもリキッドでもない、この生の声が届く規模の会場をワンマンで埋めたバンドのかっこよさとか、決意のピュアさってなんでこんなに胸を打つのだろう。はたから見たらあちこちのフェスに呼ばれまくって海外も行って、順風満帆なバンドだって思っていたけど、苦しみながら真面目に向き合って、壁を越えて、メンバーみんながきちんとステージから客席を見渡すようになった。いいバンドだなと素直に思える。手弾が少ないのは発売が発表された新譜で補えるし、次が楽しみだ。

 

ロングセット全然見たことがないので細かい感想については言えないというか正直夢中で覚えてないのだけれど、単に今まで「クールでかっこいい音を鳴らしてるバンド」だったのに、この一時間半くらいで急に距離が縮まったように感じさせてくれるワンマンだった。こういうかっこいい音を出しているバンドはきっと他にも沢山ある、でもこの曲たちはDATSがやるから意味があると思わされ、気がつくと次回ワンマンのチケットを手にして帰路へついた。

YAJICO GIRL「黒い海」(EP『沈百景』収録)


YAJICO GIRL - 黒い海 [Official Music Video]

 

このところずっと、毎日繰り返して聞いているのがYAJICO GIRL「黒い海」。ヤジコガール、と読みます。
『沈百景』というEPの一番最後に収録されているこの曲にハマってしまい、最近こればかり繰り返し聞いてる。
聴きたいアルバム沢山あるし他のも勿論聞くけど、気が付けばこれをまた一曲リピート再生している。
一曲に執着して何度も聞く人は依存症の気があると聞いたので、ここで気持ちを成仏させるために好きな理由を書いてリセットしたい。

多分この曲を最初に聞いたのは、9月のフェスのステージだったと思うけれど、その時はここまでハマらなかった。
メロディがさみしげなのにどこか明るくて、いい曲だな。くらいだった。
そのあと発売されたEPに収められて、聞いた時もそのくらいの熱量だった。
しかし先月末に行われた台風の日のインストアイベントで、ボーカルの四方くんがぼそぼそと話し出した「高校生の時の友達で組んだバンドが大きくなって、このまま友達が将来の仕事仲間になることについて悩んでいた」という話を聞いて、この日は演奏されなかったこの曲に一気に引き寄せられた。
帰り道に沈百景を再生して、うん、間違いなくあの話はこの曲に繋がってるよなあ…と腑に落ちた。

そして、この曲がEPの最後にある理由も。


そこからずっとと魅入られたように繰り返して聴いている。何十回も繰り返しても、褪せない強度がある曲だなと思う。
途中でもう終わりかな?と思うくらい長く続くたっぷりとした間奏が好きだ。
タイトルのように、海辺にいるような気持ちになれる。静かな、黒い海に。
 

歌詞を読んだ。
美しいから是非、通して読んでほしいなと思う。
高校の友達で組んだバンドが、大学生になって本格的に活動してみて、オーディションに勝ち進んで、事務所に所属して。
でもまだ学生だから、恐らくそこまで劇的に世界が変わるような環境の変化がある訳でもなくて(想像ですが)。
その希望と不安とに挟まれたその心情を、難しい言葉もなく素直に綴っている。
関西の学生としての生活は、ある意味できっと彼らを守っているけれど、それでもゆっくりとじわじわと変わっていく時の流れは、実は残酷なまでに彼らに不安として焼き付いているのではないか。

歌詞に「不安」なんて一言も出てこないのに、こんなに瑞々しく不安を綴れるワードセンスは凄い。
曲も他のものと比べて落ち着いていて、魅力のピカピカしているポップなギターも聞こえない。
でも、ちゃんと他の曲と地続きだなあと感じる。
全体的に落ち着いていて、でも安易に不安に振り切れず、ちゃんと希望も描かれている。
だから何度も聴きたくなるんだろう。
 
今この時期にしか描けない絶妙なバランスだなあと思いながら、明日もまた再生してしまうのかもしれない。

 
MVも好き。自主制作とのことなので、是非。
 
『沈百景』に収録されている「サラバ」のこのMVが好き。かわいいので最後まで見てほしい。
やりたいことがすごくわかるMVはいい。
 
 
 

 

黒い海

黒い海

  • YAJICO GIRL
  • J-Pop
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

沈百景

2017/9/4 GOMESS FREESTYLE LIVE「ゴメスの誕生日」at,下北沢THREE

 
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■「俺はラッパーになる、なった」GOMESS23歳の正にその一歩目を目撃した

 

GOMESSの誕生日イベントに行き始めて今年で三回目になる。

前回まではトークイベント(とはいえ、様々なジャンルからのゲストによるセッション有)だったが、今年は90分フリースタイルライブをやるという。

春のワンマンライブの感動もまだ焼き付いているので、期待を胸に会場へ向かう。

 

時間前に到着すると、すでに熱心なファンの人たちが並んでいた。しばし待って入場開始。入場時に謎のカセットテープが渡される。先着何名かで限定配布とのこと。

中身が気になるが古いラジカセは処分してしまったんだよなあ…と思いながら場内へ。

 

程よい人入りになってきた頃合いでイベントスタート。ステージの設えはシンプルだ。DJブースにDJ矢車が立ち、GOMESSの背中を見つめている。それだけ。

 

完全フリースタイルライブと銘打たれているとおり、マイクを握りしめたGOMESSは淀みなく言葉を生み出していく。吐き出していく。つないでいく。数曲していつの間にかトラックが止まっていることに気づく。表情が柔らかくなる。しかし言葉は止まらない。そうかここはMC部分なんだなと気づく。ビートに乗って繋がっていく言葉が気持ち良すぎて、言葉を追っているのに見失うことがしばしばあった。申し訳ないと内心恥ずかしく思っていたのだが、彼自身が「ディズニーは音楽が良すぎて、聞いているとただいい音楽だと思って涙が出ることがある」という話をしていて、ああこれでいいんだな思う。彼が吐き出し繋ぐ言葉は、大きなうねりとなって音に乗り、それこそが音楽なんだ。彼の世界に触れようと、必死に言葉の意味を追うのもいいだろう。でも、言葉をRAPを声を一つの【楽器】としてそれを楽しむのもまた正解なのだ。

 

序盤早々でテンションが上がったのか「今日は90分の予定だったけど楽しいから120分やる!」と宣言したとおり、全部で120分の長丁場だった。最後ステージを降りて客の中でマイクを握るGOMESSは叫び続けた「今は死にたいとか苦しいとか暗い歌ばかり歌っているけれど、いつか俺はお前の為に、お前たちの為に俺はRAPをする。お前は、お前が、変えるためのお前だ。お前はお前のためのお前だ。お前が見ている俺はお前の為に生かせ」確かに文字に起こしたら意味が伝わらないが、あの日あの会場にいた全員が、正しく彼の意図を汲めたのではないかと思う。大きな声ではっきりと、畳みかけるように何度も叩きつけられた「お前は」という言葉、吐き出されるたびに不思議と自分が肯定されていくきもちがした。

そんな風にGOMESSに集中していたら、言葉の終わりと同時にステージからドラムの音が叩きつけられたので死ぬほど驚いた。いつの間にか、ステージにはさっきまでなかったキーボードとドラムセットが運び込まれ、シケイダの二人が座っていた。まんまと思う壺にはまった…が、そのあと楽器をバックに嬉しそうにRAPするGOMESSを囲んで、終演を迎えたのだった。

 

フリースタイルだとどんなところがよかったかな説明するのが難しいけれど、GOMESSの神髄はその類稀な言葉のセンスとRAPスキルだと思っていたけれど、もしかしたら何よりも自己演出の才能のがあるのではと思わせるライブだった。思い返せば、春に二年ぶりに行われたワンマンライブでは、普段とは全く違う「自分は動かず、手にした本を朗読する態でライブをしていく」という演出でもその才能に驚いたのだった。

とにかく「情景」に関わった様々な演者がかわるがわるステージに出てくる中、静謐なシーンでもバタバタと場を踏み抜いていくのが中尾有伽だった。私は彼女のことが嫌いではないのに、この日は彼女の挙動にひどくイライラさせられた。たくさんのゲストの中で、彼女だけが不協和音、バグに感じて仕方なかった。ゲストは出ては引っ込んでいくのに、中尾だけは繰り返し出てきては場を踏み抜いていく。動かないGOMESSと対照的な動きを見せる。しかしライブの終盤で不意に腑に落ちた。今日の中尾は【GOMESS】なのだと。敢えて動きを封じたGOMESSの依り代としての中尾なのだと。これが演出意図のうえなのかどうかはわからないが、自然とそう思えた。必要だから自分の動きを制御し、その代わりのものを配置する。ライブを通じて芝居のようなまとまりを見せたこれが全て計算なのだとしたら、自分が意図した見せたい世界を客へ正しく届ける力、これこそが才能だと思ったのだった。

 

話が横道にそれたけれど、また新しい可能性を引き出している、23歳の門出に相応しいライブだった。

新しいアルバムの制作に着手するという計画も話に上がり、ますます楽しみだという気持ちでいっぱいになった帰り道だった。

 

最後に私がこの日持ち帰った言葉たちの中で、一番印象に残ったものを記しておく。

「たのしいことにつまんねえことを持ち込むな」

 

 

 

舞台「わたしの星」公開稽古見学記録


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こんばんは。「わたしの星」大好きベテラン女児(優しい比喩)です。
来たね、とうとう帰ってきたね「わたしの星」!!そう叫びながら三鷹のウキウキ通りを爆走したい。勿論そんな名前の通りはない。
しかし三鷹星のホールへ続く長い一本道を私はそう呼びたい。あの道は、幸せへ続く一本道なのだから。

まずは「わたしの星」とは何か?
http://www.mamagoto.org/wh2017.html

夏、未来、宇宙。

火星移住が進み、過疎化した地球に残された高校生たちは文化祭の準備に明け暮れていた。
夏休み最終日、スピカはたったひとりの同級生に転校を告げ、姿を消す。

片思い、叶わぬ夢、帰れない場所。
オーバー・ダビングされた思い出たちが宇宙の片隅で再生される。

星に引力があるように人にもきっと引力がある。
たとえどれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星

劇団ままごとが中心となり、現役高校生を集めて演劇の公演を打つというプロジェクトだ。
なんだ要するに高校演劇か、そう思った人ちょっと待って。
高校生が演じるから高校演劇なのだけど、プロの劇団が全面的にそれに関わり、三鷹市がサポートし、お金を取って一般公開する。
商業演劇と高校演劇どちらにも属さないちょっと不思議な所に立つ存在と言える。

高校演劇?商業演劇??と思った人はそこは重要ではないのでさくっと読み飛ばしてください。

とにかく、オーディションでキャストもスタッフ(厳密にはスタッフは演出と制作)も高校生を募り、夏の終わりに10日間の公演を打つ。
それが今月の半ばから終わりにかけて公開される。高校生たちがひと夏をかけた集大成の舞台が始まる。

これに私が撃ち抜かれたのが、三年前2014年の夏。

ままごとの芝居を見たのをきっかけに、このプロジェクトを知った。ままごとの芝居は初めて見てその演劇でしか出来ない表現方法が面白く、情報を追いかけていた。なので、情報が出た時点で「面白そうだし絶対に見よう」と決めていた。そんな時、公開稽古の情報をツイッターで見つけた。
たまたまその日何の予定もなかったので、軽い気持ちで公開稽古を見学し、そのままこの世界にずぽっとハマって何度も観劇しその日々を追いかけたのが3年前。
そんな思い出深い作品が再演されると聞いて喜ばないわけがない。ワクワクしながら赴いた。

公開稽古と銘打たれているが、特に何をしているという説明はない。
演出の柴幸男さんが中心となって、いつもの稽古風景を観客は見せてもらっているだけ。
場面の説明もない。
でもそれがすごく面白い。
見せてはもらえないところ、をそっと覗かせてもらっている感覚。
でも演者はむしろ今までは空っぽの客席へ向けて演じていたわけで、人が入った劇場はよい緊張感で満たされていた。
柴さんは勿論細かい芝居も見ているのだろうが、しきりとテンポを気にしている様子。
足音にまで指示を出していた。確かに演奏も入る劇なので、足音も演出の一部として使っているのはよくわかる。
柴さんが「いつもと(演技が)全然違う。このポテンシャルをいつも出してほしい」と笑いながら言っていた。やはり観客が入れば演者の気合も変わるのはどのジャンルも変わらないのだろう。

止めては繰り返す試行錯誤な前半部分の練習を見た後、休憩を挟んで軽い準備運動、冒頭から30分くらい通して見せてもらう。
いいところでストップがかかる。このチェザー動画(動画ではない)ずるい…ここまで来たら全部見たいよう…。
そして少しだけお客さんから募って質疑応答。

今回はないのかな…と私がおしりをもじもじしかけた瞬間、
「あ、RAPしてないや!しよう!!」という柴さんの一声。待ってました!!と拍手する私。
前回もしていたのですが、芝居のエチュードの一環として「自己紹介RAP」を個人で作り、発表していたのです。
前回はもちろんこんな試みを知らず、公開稽古で見せられて思い切り心つかまれたので本当に嬉しかった…!!
(ちなみに柴さんから提案されたキャストの反応は、前作の時のキャストと全く同じ反応で笑ってしまった)


ここまでが公開稽古の主な流れ。
以下は少々のネタバレを含む、公開稽古を見学しての感想と質疑応答のメモ。
観劇の邪魔になるものではないと思うけれど、観劇予定の方で少しも予備知識がいらないという方は読むのはやめとこう!






今回は前作とまずステージと客席の設えが大きく変わっていた。
中心に長方形のステージを据え、その長辺に当たる部分の両脇に客席が配置されている。
短辺の部分には上映中ずっとキャストが控えている。そして必要に応じて(見ていた限りでは全員がステージに乗っている時以外ずっと?)どこかしらで何かしらの楽器が鳴っている。ずっと曲を奏でているというわけではない。流れている曲に沿って、どこかで生音が鳴っている時間が多いと感じた。
だから、控えているキャストはステージを下りたからといってぼんやりとはしていられない。左右で視線を交わし、合図をし、ステージの上と呼吸を合わせて音を出す。
音楽劇といえばそうなのかもしれない。けれど、今まで見たことのある音楽劇のどれとも違う。
バンドのセッションに近いと思った。
バンドが演奏中、お互いの動きを見て兆しを掴んだり視線で会話しているような瞬間を見るのが大好物なアナタ(わたしのことです)にはお勧めです。見逃せない。
上映時間ずっとこの調子なのだとしたら、これはすごい。幕が開いたら気を抜ける瞬間がない。キャストの松尾くんが「フルマラソンを走っているよう」ってコメントしてたけど、正にそれ!これはスタミナ勝負だよなあと思うし、これを任せてみようと柴さんが思ったのだから、体力と胆力のある子たちなんだろうなと思う。

基本的には高校生の元気さを出している明るい舞台なので、前半は勢いよく笑いもあふれる。疾走感。いや、文字通りステージのキャストは走る。大人になったらこんなに誰かのために必死に走ること、なくなるよなあ。そう気づいて胸が少し痛む。鮮やかなスカートの裾が上品に翻るたび、その躍動感が高校生のリアルだったんだなあと遠い自分に思いを馳せる。

とにかく、いっぺんでキャストの子もスタッフの子も好きになってしまえる、応援したくなる公開稽古でした!最高!!夏最高!!!!「わたしの星」帰ってきてくれてありがとう!三年間ずっと待ってたよ。前作が好きすぎて今回はどうなのか正直不安があったけど、大丈夫。今回も絶対にいい舞台になるし、どっちがどうとかじゃなくて別の作品としてめちゃくちゃ愛せて記憶に残る舞台になると思います。
期待できるし、前作を見てないひとにもお勧めしたい。全身全霊で。
普段芝居を観ない人も、高校生たちのひと夏の10日間しかない世界を一度くらい共有してみてもいいんじゃないかなと思うのでした。




ここから下は更なるネタバレなので、とはいえ私だって今日さわりの部分をちらっと見ただけ。なのでどうなのかわからない推測を含めた部分。
これを知ったから印象が変わるのかっていわれたら大したことないと思うけど、まあ、ネタバレビタイチ嫌な人は以下の部分は回避してほしい。


まず、主な質疑応答のメモ。

・台詞は台本にあることだけを言っているのか
台本にあることを言っていて、演じていて良い台詞があれば台本に足して…を繰り返す。
台本通りやってもいきいきとしない。高校生のリアルな話し方を大切にしたい。

・伴奏をどうやって組み立てていくか
「ここで音を入れて下さい」「うるさいからやめてください」とかやってたらこうなった。
弾きながらやっているイメージがあったから、そうやりたかった。
オーディションで楽器経験を聞いたけれど、楽器が元から出来る人は少ない。

・衣装にこだわりはあるか?
僕はこだわりはないが、衣装さんが決めてくれた。
シャツは3年前の人達の忘れ形見!!!!
制服は揃いなので、どうやって癖を出すかを考えている
腰の位置が高くなっているので、踊りで回った時にふわっとなってかわいいなと思っている(アイドルネッサンス的な感じですよ!!!伝われ!!!!)


・舞台上の男女のコミュニケーションについて
女子が箇条に「キモイ」とか邪悪な部分を増長させる。
時折強烈にDISったりしている。
前回は男子一人だったが、中性感あふれる男子だったのでそんなに気にならなかった
今回は男子っぽい男子で、協力しながら女子に虐げられている。前回よりもクラス感が出た。

・前回はスピカがいたが、今回はいないというのはいつから
最初の方に2014年版をやってみたが、スピカに収まる人がいなかった。
スピカ不在でやってみて、しっくりきた。
今回はスピカという存在を誰かが代わりを担うという話にしてみた。
オーディションのときとか考えていなかった。





これは今日見た中では最大のネタバレな気がするのだが、前回物語の中心にいたスピカが今回は登場しない。
登場しない、とはいないとは違う。いるけれど、その役に該当する人がいないようなのだ。
ようなのだ、とはまあ最初の30分くらいしか見れていないからだ。これがどういう形になるのか全容はわからない。
このことについて柴さんは「2014年版のわたしの星を今回のメンバーで演じてみた。が、スピカに合う人がいなった」と述べていた。
!!!!!
これって、前作のスピカに対する最大の賛辞だよなあ…。
いや、それより「物語の主軸に沿う人をオーディションで選ばなかったんかい!」という突っ込みが正しいのか?

あと、前作では「スピカ」という絶対的な大きな星(引力を持つ者の象徴)が大きく、ストーリーを通して各キャラクターに光も当たるけれどどうしても「スピカとナナホ」の関係に引きずられがちだったが、チラ見したところ今回はその引力の矢印が多くなっている様子。
男の子が複数いることが大きいとも思う。
人間関係の矢印が多いのは散逸な印象を招く危険もあるけれど、でもこれは期待していいんじゃないかな~と感じた。
とにかくこの点にも注目していきたい。

SR サイタマノラッパー~もうひとつのマイクの細道:元アイドルとアイドルおたくと

前クールテレビ東京の真夜中にやっていた「SRサイタマノラッパー~マイクの細道~」というドラマがあった。
これは2009年公開の入江悠監督「SRサイタマノラッパー」という三作にわたる映画シリーズの続編で、初作公開から実に8年もの時を経て、今回ドラマとして続きが描かれたのであった。
映画三部作をこよなく愛していた私にとって、この報せは生きる力になったといっても過言ではなかった。というのも、当時大好きなアイドルグループの推しが卒業してしまい、推しの卒業という初めての経験に私は心にぽっかりと穴が開いた気持ちで毎日を過ごしていた。
そのドラマの肝となるライブシーンの撮影を込めた特別ライブイベントが開催されると聞いて、わくわくしながらチケットを取った。
出演者は作品のオープニングを歌うライムスターを筆頭に全員ラップグループである。作品に縁のある出演者を中心に、私でも見たことがある人たちや名前を知っている人しかいなくて、撮影も勿論のことだがライブも心から楽しみにしていた。
 
ドラマの中に使われるライブ撮影も、その後のライブも本当に楽しかった。SHO-GUNG(作中のHIPHOPグループ)を初めて生で見て感激し泣いてしまった。いろんなスタイルのプロのステージは、ラップに詳しくない私も心から楽しめて、満足ではちきれそうになりながら、私と友人は帰る準備をして出口へ向かった。
その途中で、スタッフがひっそりと「このあと朝まで残れる方いたら、エキストラお願いしま~す」という募集をしていて、私は友人と顔を見合わせた。どうする?(友人もこの作品のファン)短い話し合いの結果、お互い暇だったので、揃ってエキストラ参加することにしたのだった。何よりまだ見ていたかった。この愛すべきドラマの世界を。
 
 
エキストラとして集められた私たち(私と同じように飛び入りの人と、前もって集められていたスタッフさんの知り合い?のような人たち)は、いくつかの撮影に駆り出された。エキストラには詳細な場面説明はほぼない(ある場合もあった)。私はその日初めて会った女の子と、真夜中のチッタ前を歩くように指示された。カメラの焦点は私たちの遥か先にいる役者さんである。映るか映らないかでいったら『映らない』だろうと踏んで、私は安心してカメラの先を見ることに集中した。そこには私の大好きな役者さんがいる。役者さんなんていってるけど、心の中では『アユムが!アユムがいる!!』って大変だった。そりゃそうだ、何度も見た作品の愛着のあるキャラクターを生で見られるのだ。表情も見えないしセリフも聞き取れない距離でも、アユムとして動いているのを見るだけで嬉しかった。

『こっちに来た方が映りますよ』と声をかけられた。ペアになった綺麗な女の子だ。視線をアユムに固定したまま私は答える、いいんです映らなくて…と。その答えに不思議そうにした彼女に、私はこの作品のファンであること。シリーズのどれも何度も見ていて、生で見られていることに感動していること。なりゆきでエキストラには参加したものの映りたくはないのだということを伝えると、彼女は納得してくれた。そして私が彼女に『役者関係のお仕事をされているのですか?』というようなことを聞き返すと、彼女は目指しているし勉強中で、入江監督の才能はすごいと思い、知り合いに紹介されてエキストラとしてここに来たんですというようなことを返した。なるほど、確かに綺麗な女の子だ。スタイルも歩き方も綺麗。アイドルおたくでもあった私は急に嬉しくなる。無銭でこんなかわいい女の子とお話しできるなんて!!役得!!(違います)

それからもポツポツと彼女は気を使って話しかけてくれた。ライブに来てたなんてHIPHOPが好きなんですか?と聞かれ、HIPHOPが好きなのではなくてラップしてたアイドルが好きで…という話をしたら、なんとなく空気が変わった。急に熱心にどんなアイドルなのかということを聞かれて、私は聞かれるままに答えた。四年半好きだった子が卒業したばかりなこと。わりと若いアイドルよりも二十歳を越えたくらいの女の子が好きなこと。推しの話……推しのどこが好きだったのか、卒業と言われてどんな気持ちがしたか、見送っての今の気持ち……夜中ということもあり、聞かれるままに私は答えた。聞かれたから答えたものの、こんなこと聞いてもこの子は困るのではとはたと気づいたとき、彼女はポツッと言った。
 

『実は私、アイドルをしていたんです』


息が止まった。
少しだけの短い間でしたが…と続ける彼女に、申し訳ないけれどグループ聞いてもいい?と訊ねると、

知ってる!ていうか見たことある!ていうか事務所大手じゃないすか!!別グループだけど某とか某よく行ってました!!!!
ということを熱量を下げて答えると(熱くなっても申し訳ないため)、もう事務所もやめてしまったのですがといいなから、いろいろまた彼女はお話ししてくれた。○○というグループの○○ちゃんは友達なんです~えー!知ってるー!とかまあそんな話。○○ちゃんいい子なんで応援して欲しいです!なんて彼女は無邪気に話してくれた。
私もおたくのはしくれで、だからこそ逆にこんなとき積極的に何を話題にしていいのかわからなかった。
そんな中で彼女はふと、さっき話してた推しの子と本当に仲良かったんですね。握手とかでそんなに話せたんですか?と疑問を口にした。
うむ。そうじゃな…あなたがいたような大手では考えられないとは思いますが、私が応援してたところでは握手やチェキやサインの他にもクリスマスパーティとかバスツアーとかBBQとかいろいろあって、結構緩く話せたりすることもあってな……というのを説明するのも憚られたので(わかってもらえる自信もなく怖じ気づいた)、私は手紙とかもよく書いてて~~と笑ってごまかした。そう、でも嘘ではなく手紙は折に触れよく書いていたし…と、そんな手紙関係の話をしていたら、彼女は凄く優しい顔で『手紙、その子本当に嬉しかったと思いますよ』と言ってくれた。

『私もね、アイドルの時に貰った手紙は今でも大事にとってあるんです。たまに読み返しますよ。凄く嬉しかったから。だからその子も同じだと思います。励みになったと思うし、嬉しくてずっと忘れないと思いますよ』

泣いてしまうかと思った。
こんなことが、こんなことがあるんだ。
おたくとしてやりたくてやっていたことが、それを受け取っていた側からこんなに肯定してもらえて、お墨付きをもらえて、私の推しがどう思っているかはわからないけれど、まるでそれは私の推しからの言葉だった。

涙を堪えながら『だといいんですけどね~』と暗闇に紛れ笑ってごまかした私を真っ直ぐに見て、『絶対そうだと思います』と自信たっぷりに微笑んでくれた彼女は綺麗だった。

この子のおたくたちにこの話を伝えたい。アイドルとしての活動は短かったというが、その間彼女を懸命に支えた、きっと今も遠くから支えてる見知らぬおたくたち。あなたたちの思い出は、あなたたちの気持ちは、今も彼女の中に生きていて支える力になっているんだよ……すごい。
いい子を好きになりましたね。羨ましいです。一生自慢の推しじゃないですか。

「SRサイタマノラッパー」このドラマは『夢を叶えるために進んでいく』という話ではなかった。むしろ夢を諦めるために、夢の期限を自分でつけるために、最初で最後のステージに立つストーリーだった。自分に才能は多分ないと思いながら、でもこれしか好きなことがないという気持ちでステージを目指す主人公たちの話。
 
そんな中で、きっと私が思う以上に紆余曲折ありながらも夢に向かっていく女の子とひとときながら出会えたこと。このドラマと彼女を重ねるのは失礼とは思うが、なんだか不思議な縁を感じずにはいられなかった。
 
そのシーンの撮影が終わり、彼女は知り合いの輪に戻る。そしてエキストラ終わりに「今日はありがとう。これからも頑張ってね」と短く伝えるとにこっと笑って返してくれた。
 
今日のことは多分一生忘れない。ドラマ以上にドラマティックなことが現実にはあるのだと噛み締めながら夢の続きのような始発電車に乗り込んだのだった。