あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

めいせいたんしおり製作日記 前編

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「ユリさん、ちょっと相談があるんです。手伝ってもらえませんか?」
芽依生誕委員のYATさんにこう切り出されたのが全ての始まりでした。

彼は鞄から紙の束を取り出してきました。
ひとつは、私も持っています。芽依ちゃんの自筆による旅のしおり。リリスクバスツアーでは、これが配られるのが恒例になっています。
そしてもうひとつは。
それを模して作られた「芽依生誕」のしおりの台割りでした。
鉛筆でざっくりと走り書きされたそれは同じサイズで作られており、内容を見せていただくと、原典を踏まえながらも生誕祝い用にアレンジされておりました。
内容はYAT/YNG両氏が話し合って考えたとのこと。
驚きながらめくっていると、静かな決意をもってこう言われました。
「これ、ユリさん、書いてもらえませんか?」
思ってもみない誘いでしたが、私の目はページの片隅を捉えていました。そこには、芽依ちゃんは恐らく書いていたのにコピー範囲をはみ出して欠けてしまったページ数の切れ端までも鉛筆できちんと再現されていたのです。
下書きの時点でこれまで再現しているところに、彼らの本気を痛いほど感じました。

やります!やろう!

そう答えました。
本当はYNGさんが書こうとしていたのですが、やはり男の字になってしまうということで、女の私に白羽の矢が立ったそうです。
こうして、生誕委員ではない私もサプライズの片棒を担がせていただくことになったのでした。


たまにではありますが「ユリさんの字、芽依ちゃんに似ているね」と言われたことがあります。
多分、使っている筆記用具が同じなのと、文字の力の入れ方が似ているのかもしれません。
それはさておき。
これは、今、それを活かす時ではないのか!
念入りにイメトレを重ね、決行前日は手首に負担をかけないように箸より重いものは持たぬよう努めました。

そして当日。
渋谷某所に集合し、まずはご飯を食べました。
腹を満たしたあと、いよいよ作業開始。
YATさんが丁寧に、書き起こしの注意事項や体裁について説明してくれます。
実は、芽依ちゃんのしおりはよくよく見てみると定形外の不思議なサイズになっているとのこと(少しだけA5からでかい)
なので、特別に断ち切りトンボが振られた用紙が用意されていました。
YATさん・YNGさんと頭を付き合わせながら、どうやって書いたら良いか相談しながら目安の線を引いていきます。
ここで、段落ごとにこういう感じで書いていけば似るのでは?という打ち合わせも同時に進めていきます。
そして、とうとう本番の「芽依文字書き」がスタート。
勿論、完璧にコピーは出来ません。が、なるべく近寄れるように一文字ずつ一文字ずつ…。芽依ちゃんの癖を感じながら、文字を綴ります。
その間、YNGさんはまた別のデータまとめ作業を。
一頁目が一番時間がかかったのではないでしょうか。物凄い緊張感でしたし、私に持てるすべてをぶつけました。過言ではなく。
どきどきしながら、書き終えた原稿を原典(芽依ちゃん作しおりのことです)と照らし合わせてみます。

あれ?

意外といけるのではなかろうか…?

そんな感触のまま、また作業に戻ります。
繰り返し繰り返し、バランスを考えて目安の線を引いてもらい、私が書き、それを二人が見守る…。
やはり緊張するので集中も途切れますし、見守るしかないお二人はもっと疲れたと思いますが、とにかくやるしかないんだ!
しかし、緊張はしましたが、気持ちは不思議と高揚感で満たされていくのです。
白い紙が文字で埋まっていくにつれ、どんどん芽依ちゃんに近づいていくような感覚。
こんにちは、スピリチュアルな世界にようこそ!
写経というのは、仏の言葉を己に取り入れ、より深く感じるために行う行為(多分)。
ということは!

芽依ちゃん手作りのしおりを書き写すことは、これ即ち芽依ちゃんをより深く理解し、芽依ちゃんの思考や言葉を己の中に取り入れることなのだ!!!!

実際に書いてみると、よくわかります。
芽依ちゃんの筆跡の癖。
芽依ちゃんの文字のリズム。
文字からも喜びが伝わってくるような勢い。
あ、この辺でちょっと疲れたのかな、芽依ちゃん。
線が曲がっても、もういいやって強行している芽依ちゃん。
ごまかすように、線を重ねる芽依ちゃん。
あれ?この漢字よく見ると違うなあ・・・?間違ってる・・・。

YNG「違いません。いいですか、今はこれ(原典)が正解です」

そうだよね!誰も異議を唱えるものはありません。

文字を書いているだけなのに、自然とこれを書いているときの芽依ちゃんの気持ちや、表情までもが自然と浮かんでくるのです。
浮遊感。
芽依ちゃんと同化している自分と、それを俯瞰で見ている自分が交互に訪れます。
それを何度か繰り返すと、

「うっわーーーーーー芽依ちゃんかーわいいなーーーーーーーーー!!!!!!!!」(もちろん口に出ている)

脳髄が震えるような快感に支配されます。
これが、功徳を積むということか。

この気持ちの高まりを抑え切れなくて、見守りの二人に伝えると、二人も神妙な顔で「そうですね」「最高です」と返してくれるのです。
仲間がいるとは、なんと素晴らしいことでしょう。
おんなじキモチで芽依ちゃんを感じられる人が、世の中に少なくとも二人はいるのです。
さみしくないよ!

そうこうしながら夕方まで正味5時間ほど作業に費やしましたが、終わらずタイムアップ(私がハイパーヨーヨのライブに行くため)。
翌日は大宮ステラタウンに集合して、アイドルネッサンスを見ながら作業を進めることとなりました。

とはいえ、もう写経部分はほぼ終わっていたので、ステラでは後ろのQ&Aは私の字でサクサクと気楽に書いていけばよかったので…したが、もう昨日の事があるので、いちいちこの質問に答えてる芽依ちゃんの口調や表情が浮かんでしまい、書きながらまたもや「可愛い」「絶対こーいう表情してるはずだ」といいながら…。
魂のステージではなくて、単にテンションがおかしくなってるだけのような気もしましたが、敢えて無視して下書きは無事に終了と相成ったのでありました。

続く