あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

2015/7/25リリカルスクールワンマンライブ「datespot」atZeppダイバーシティ

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「ねえ、ここでずっと笑っていたい」

リリカルスクール、初めての全国ツアー最終日をとうとう迎えた。

ツアーの中でどんどん体力がつき、歌う場所が与えられている喜びを知り、輝いて顔つきが変わっていくリリスクは頼もしいの一言に尽きた。
昨日のタワーレコード新宿のリリースイベントなど、仮設のステージで全力でパフォーマンスが出来ないにも関わらず、歌と表情でそれを補い余りあるステージを見せた。
あまりにもはまっていたので、もう、リリスクは明日解散してしまうのではないかというくらいの気持ちの昂りに襲われてしまい、昨日はそういう意味で上手く楽しめなかった。
「ワンダーグラウンド」の歌詞の内容とリンクしてしまい、楽しくて!楽しいことがなにか良くないことの予兆に思えてしんどくなって来てしまったのだ。
余りにも死んだ顔をしていたので、いろんなひとに心配される始末。
逆を言えばそのくらい、リリスクは必死でこのステージのためにやっていたし、ひとりでも多くの人を集めたいとステージ外でも最後まで足掻いていた。
今までにこんな必死にしていたっけ?
明日はどうなっちゃうんだろう。
不安と期待を両手に抱えたまま朝を迎えた。

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リリスクメンバーmeiによる自筆セットリスト。

スクリーンの映像から、ライブは始まった。
よくあるお約束の、可愛らしいメンバーの表情などほぼ出てこない。淡々と世界観を伝えるだけの映像。
閉園後の遊園地。そこで働く彼女たちは、時間をひととき止めて警備員の目を盗んで夜の遊園地をジャックして…。

その映像そのままに、赤いキャップに水色のワークシャツを着こなしたメンバーが、手にした懐中電灯を会場に向けながら登場。
映像を抜け出して、ここを「ワンダーグラウンド」に塗り替えるのだな?
そんな予感を沸き上がらせて、ライブはスタートした。
 
I.D.O.L.R.A.P.
「なんでもありのこの世の中でアイドルがラップするからよく聞け」
力強いでもなく、優しいでもない。
勿論並々ならぬ決意が込められてはいたが力みはない、なんだか日常の延長のような歌いかただと思った。
この感覚はライブを通じて常につきまとい、そして最後にそれが何故だかぼんやりとわかったのだった。
それは一旦置いておいて。
MCまでは立て続けに、シングルで出された曲が繋がれていく。

今日聞いたら泣いちゃうかもな、なんてほのかに思っていた「maybelove」も、こんな歌いかたができたんだ?なんて思えるくらい、切なさにふりきれるわけでもなくかといって情緒に欠けると言うこともなく、ただ素直に「ああ、いい歌だな」とその歌の世界を確かに伝えてくる。

表現者としてのステージが上がっているようだった。

ワンダーグラウンドのカップリング曲「Avec summer」ゆったりとした夏の空気で会場を満たしたあと、まさかちょっとホーリーで冬のような雰囲気の「Sing Sing」へ繋がり、切り替えも滑らかに会場の気持ちを手放さずに移行したのは舌を巻いた。

歌と表情で、ステージの季節まで変えていけるしなやかさ。

「ひとりぼっちのラビリンス」のように、ステージにしつらえられた階段を使い、敢えてダンスを放棄して上下の空間を思いきって使う歌も随所にあり、ステージを横にだけでなく高低差も上手く取り込んでいた。
多分「P.S.」だと思うけど(違うかも?)、イントロとアウトロを一列に壇上で横並びして微動だにせず、静かにただ上からライトで照らし出されたところのお人形感!!
息をのむような美しさでした。
どんな気持ちで、客席を見ていたのだろう。
久し振りに聞いたこの曲は、あみゆみのファストラップが聞きどころのひとつでもある。
そこでふたりがすっと下の群れを抜けて、一段上で背中を合わせる形で唄ったとき、背筋がぴんと伸びるほどの美しさを感じた。
ふたりとも余すことなく言葉を吐ききり、そしてその一言一句がくっきりと吐き出されていた。
単純にスキルが上がっている。
難しい歌いどころを任された緊張や気負いが全くなかった。

シリアスな歌たちに続いて、抜け駆けなどの可愛らしい曲たち。
一見セトリだけみると、緩急が目につくような気がするが、彼女たちはそれで会場の気持ちを一言で手放すような真似はしなかった。
くっきりしているのに、大きなうねりのような統一感で会場を照らしていく。
だから安心して、こちらもとにかく楽しさを享受できる。優先できる。

ライブだから、ワンマンだから、Zeppダイバーシティだから。
そんな特別なスパイスも、演出も、魔法も不要。
物語性の強いセットリストすら、いらない。
素材(曲)の力を、シンプルな「魅力」というかたちでステージから提供できる。

無理にエモーショナルにする必要はない。
自分達に出来る最高のステージをやるだけ。

そういいながら歌っているような心地だった。
今回満員にはならなかった会場だけど、力みなくこのレベルのライブが出来ると知れば次は絶対に満員に出来る。
だけど、Zeppダイバーシティすらも通過点。
あのこたちのゴールは、きっとまだまだ先だから。


私がブログを書かなかった、いわきと名古屋。
理由はちゃんとある。
どちらも、リリスクのステージ以外の魅力の要素が強かったから。
いわきはひなちゃんの出身地であり、屋外の素敵なステージという絶好のロケーション。
名古屋はツアー中唯一のソールドアウト。
Avecsummer途中に機材トラブルがあり、アカペラで歌うという波乱を鮮やかに乗りこなすプチトラブル。
こういう底上げを必要としない、まっすぐ不器用なくらいステージにこだわっても勝負できるようなしなやかさ。
これを見たかった。
それがまさか、リリスク史上一番の晴れ舞台で味わえるなんて。

新曲「ワンダーグラウンド」を本編ラストとアンコールラストに二度組み込むという謎のセットリストだったけど、最後のワンダーグラウンドは振り付けもほぼなく自由で、メンバー全員が心配になるくらい晴れやかでいい顔をしていたのでなにもいうことはない。
ステージが一番輝いていてくれればそれで文句はない。

photographであんな全員いい顔で振り返られたら、もうファンでいて良かったって思うしかない。

今回は途中で衣装チェンジもあり、次の大きな告知もあり。おたくのきもちを汲み取ること満点だったよということもつけ加えておきたい。
ああ、可愛かった!!
そして。

リリカルスクールに出逢えて本当に良かった。
ワンダーグラウンドに連れてきてもらえて感謝しかない。
ありがとう。
私が見たリリスクのステージで、間違いなく最高だった。
なんの余計な嵩ましもいらない。
力みなくあれだけ輝くステージが出来るのだから。

だから私は言いたい。

「次は絶対に最高で満員のZeppダイバーシティが見たい」



「ワンダーグラウンド」でファンからのサイリウムプライズ企画があった。
フォーメーションの都合で一人だけ先に顔をあげたあみちゃん、6色に彩られた客席を見て目を輝かせた。
あの顔、素直な感動に瞳が塗り変わっていく嬉しそうな顔。絶対に
一生忘れない。