あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

極私的「同人女の感情」のようなもの

これは『女子アイドルとバンドのおたくがコロナ禍で突然数年前のアニメにハマり、そのままの勢いで二次創作を漁りはじめ、人生で初めて「これは絶対に欲しい!!」と思った同人誌を手に入れた話』です。これは私の身の上に起きた実話ですが、私の視点からの一方的な話なのと、相手が特定されないようにぼやかしています。何よりこちらの方面に私が詳しくないのでそのあたりは何卒ご寛恕ください。 
 
同人女の感情」という作品は同人誌(主に原作ありきの二次創作本)を書いたり読んだりしている女性たちの様々な人間ドラマが連作で描かれている漫画で、最初目にしたときはへえ~おもしろーい!こういう世界もあるのね…で終わった。それを今読むと、まるで我が事のように感情移入してしまうようになった、このひと月ほどの話を綴っておきたい。

最初にも触れましたが私は女子アイドルとバンドのオタクをしていて、大体月に10回くらいはライブへ行き、長時間薄暗いライブハウスに佇むという生活をしていました。仕事でもないのに。しかし突然のコロナ禍により、私のそんなオタク活動の日々は急停止せざるを得なくなりました。
 
今振り返っても、まるでライブハウスでウイルスが発生しているかのような、みんなの不安を紛らわせるための攻撃の矢面に立たされた報道には首をかしげるところもありますが、現実として余暇のほぼ大半を費やしていたことを急に取り上げられてしまいました。暫くは次々に投下されるアーティストたちの過去のライブ配信などを見て過ごしていましたが、世情はいよいよ厳しくなるばかり。そんな折、以前から布石はあったとあるきっかけから、本格的にアニメ声優沼へGO TOキャンペーンにより入沼(存在しない日本語)することになったのでした。
 
今は様々な配信サービスがあるので、ステイホーム期間中の有り余る時間も自宅でアニメを視聴することでめちゃくちゃ充実して過ごせました。好きな声優さんがチラチラできたのでその人の過去出演作を追いかけたり、勧められた作品を見たり。時間系列も様々な作品を縦横無尽に走り続け、ステイホームで有り余るはずの時間はむしろ足りないくらいのみっしりした時間を過ごして居るうちに、私は数年前のとある作品に出会ったのでした。
かわいく楽しく笑いもあるその作品をひと通り見ていくうちに、その世界観に妙にハマってしまいました。しかしそんな数年前の作品を見ている人は周囲に勿論いません。ああ、あの可愛さ癖になる独特のユーモア面白さについて誰かと分かち合いたい………。でも今更SNSでそういう繋がりを求めるのもめんどくせえ~~~~。そもそもそのコンテンツ終わって久しいし、今頃ハマってもどうしたらいいの~!と思いながらWikipediaやブログなどを見たりしているうちに気づいたのです。"二次創作"という世界に。
 
知っている人にとっては説明不要のカルチャーなのでしょうが、私にとっては右も左もわからぬ未知の世界。いや、言葉というか概念として知ってはいたのですが、自分から手を伸ばしてみたのは初めてで。使い方もわからないそのサイトを、右も左もわからないなりに夜な夜な徘徊する毎日が始まりました(ちなみに本当にわからなかったので、友人にSOSを出して軽くレクチャーしてもらった)。
イラスト、漫画、小説……。オリジナルもあるけれど、原作ありきの二次創作と呼ばれるものたちの多種多様さ。内容もほのぼの系からガッツリとボリュームのあるもの、R18まで何でもある。ほんとに何でもある。ほんとに何でもある!!(大事なことなので2回叫んだ)。人気の作品は毎日どんどん投稿され……なるほどこれは全部見るのは無理なのだと早々に悟る。そしてかなりの人たちはそのサイトで発表するだけでなく即売会で販売したり、同人誌を扱うショップに委託して販売しているようでした。
 
余談ですが私は何も知らないティーンの頃に、当時大好きだったとあるバンドのいわゆるナマモノのBL(覚えてないけどR18的な内容だったんだと思う)を押し付けられて以来、BL特に二次創作というものには嫌悪感と抵抗がありました。大人になるにつれ嫌悪感は無くなったけど、二次創作への精神的な抵抗はめちゃくちゃあったのです。一生そちらに自ら手を伸ばすことはないと思っていたので、自分でもこれは異例の事態でした。  生活様式だけで飽き足らず、私の身体まで変えるなんて…………コロナ、絶対に許さねえからな!!!!(?)
 
話を戻して、アニメを見てハマったいくつかの作品のタグを打ち込んではサイトを巡るのが日々習慣化してしまうほど二次創作サイトを楽しんでしまうようになったので、私もそう遠くない未来、いつかは薄い本を買うだろうと思うようになりました。読むだけなら、大部分はサイトで無料で楽しめます。しかし読むごとに湧き上がる作家さんたちへの【感謝】の気持ち。あなたたちが脳内で丹念につくりあげたモノを更に手間暇をかけ「形」として出力し、楽しませてくれたお礼に私ができることは、この薄い本を買うことしかないのです。ただせっかくなのでその最初の1冊は「作品もテーマも絵柄も内容も全部、心から納得した1冊にしたい」という欲張りな気持ちがありました。その運命の一冊を探しているような、そんなある日。ついに出会いは訪れたのです。
 
サイトを巡るのにもだんだんコツを掴んできた私は、いわゆる「カップリング」での検索もするようになっていました。それはなんぞや?といわれるとまだうまく説明ができないのですが、より二次創作の世界を楽しむための暗号・呪文……みたいなものです。広大な海を無策で漕ぎ出しても、目的地へは到達できません。できたとしてもそれは単なるラッキーに過ぎないのです。確実に自分が求めるときめきへ到達するための地図、目印としてそういうタグがあるのです。要は「コ◎ンくんと灰◎哀の話が読みたい」のならそういう呪文を唱えれば良いし「工◎新一と毛◎蘭」がいいならその呪文を唱えればいいのです。便利だ!!一瞬で彼の地へ飛べるルーラみたいなイメージ。そしてその呪文はとても細かく細かく細分化されています。より自分の性癖…………好みへ到達するための呪文はかなりはっきりとしていて、だからこそひとつの作品の中で人気の呪文もあればマイナーなものもあります。
どうやらここには、投稿している人の数だけ呪文があるようだな…?そういう理解をしつつあった私は、ある日今まで見たことがない新しい呪文を見つけました。めちゃくちゃマイナーや異端というわけではないけど、そこでは他に人気の呪文がいくつかあるし~、失礼ながらそこまで需要あるの?と正直思った呪文です。今まで注意を払ったことがなかった全くのNO琴線だったその呪文を何気なく唱え、出てきたサムネイルをスワイプしていくうちに「わ、絵がきれいだな~」と目に付いた作品を何気なくタップしたら。
 
 
衝撃だった。
 
 
なにこれ!!!!!!!!!!!
 
 
元の作品では描かれてない(それはそう)(二次創作なので)ふたりの思慕が、くどくなくそれでいて納得できるバックボーンを持って丁寧に描かれていた。紙面から感じる説得力。作品を読んでいくうちに、ふわりとその余白が立ち上がったような感覚。R18のマークがついていたけど、描かれているのは多少えっちでも目に行くのはそこではなくて、ふたりを取り巻く細やかな感情のやりとり……。動揺しつつそのままその作家さんのページを開くと、他にもいくつかその関連の作品を見つけた。サンプルで載せているものも含めて全てひと通り読みつくし、ベッドに大の字に倒れることしばし。放心状態からまた最初の作品を読んでみる…。短いその作品を何度読んでも、読む度にわーーーって口に手をやるような気持ちになるし、読んでない時も思い出しては胸が苦しくなり。絵柄も綺麗で、オリジナリティもあって凄く好きだった。これじゃない?私が手にするべき人生最初の二次創作本はこれじゃないの???買っちゃお!!!も~~~~~~同人誌買っちゃお!!!(エンジンかかった時のオタク特有のフッ軽)
 
ところがここで問題勃発。この作家さんのプロフィールにリンクが貼られていた通販サイトを見てみると現在は稼働していなかったのです。「忙しい時は閉めています」というメッセージ…。商品一覧を見ると何種類も置いてあるけれど、それが果たしてただお店を閉じてるだけなのか、もう在庫が無いのかまではわからず……。
しかも私が欲しいのは5年前の本。ないの?あるの?ないの?あるの?どっちなのーーーーーー!!!!!
 
初めてのことに勝手もわからず悩んだけれど、居てもたってもいられなくなったの私は再度プロフィールへ戻ります。この方はありがたいことにTwitterアカウントと連動していたので、そちらを覗いてみると……。書き込みが動いている!じゃあここから連絡を取れば…!?でもいきなり知らんアカウントからメッセージ来たら怖いよね?と逡巡していると、この方は匿名メッセージアプリを設置していることが判明。これならワンクッションある感じだしいいかも!と、早速メッセージをしたためました。興奮していたので内容はよく覚えてないけれど「あなたの◎◎の作品を読んで感動しました。全然気づかなかったふたりの魅力を教えて下さりありがとうございます!!実は御本を購入したく思ったのですが、今は閉められていらっしゃるのですね。もし状況が落ち着いて通販を再開される暁には是非購入させていただきたいです」みたいな内容だったと思います。私はよくファンレターを書くタイプのおたくなので、ここで今までのスキルが生かせました。「なすびの花とオタ活には、万に一つの無駄もない」とはこのことか。
 
メッセージを送ったその翌日か翌々日にそっとその方のTwitter見に行ったら「めちゃくちゃ嬉しいメッセージを貰ったので通販再開しました!早速ご注文もいくつかいただいてて、ありがとうございます~」とのツイートが。えっ??????マジ???慌ててサイトへ走る。わ!わ!ほんとだ再開してる!!でも欲しかった本は在庫無し………そりゃそうか5年前のだもんな…。残念。でも神絵師(以下、神)のお気持ちめちゃくちゃ嬉しいでは無いか!よーーし買うぞ!!もうこの人の本を私は買う!!!!!!決めた!!!!!!!
 
めあての本は数種類在庫があって、よくわからなかったけれど両方買うことに。だってわざわざお店を開いてくれたそのお気持ちが嬉しいじゃない。サイトの仕組み?もよくわからんけどとにかく在庫のある内にと注文を済ませ、その後にまた匿名メッセージにて「先日メッセージさせていただきました者です。通販再開してくださりありがとうございます。残念ながら一番最初に拝見した本は在庫無しとのことでしたが、他の本を購入させていただきました(その最初に惹かれた作品の感想を綴る)。私にとって初めての同人誌です。とにかく楽しみにしていますー!!」という旨を綴って送信。
 
ひと仕事を終えた充実感に満足しフワフワして気づかなかったのですが、ふと通販のメールを見たところ(ちなみに匿名で売買できるシステム)「大変失礼ですが、匿名メッセージを2度送っていただいた方ですか?ご迷惑でなければ教えて下さると嬉しいです」という返信が。えー!!!神が私を探している………???
 
再びぎゃー!!!となりつつも、隠すことでもなかったので慌ててカミングアウトの返信をすると、翌朝、神から長いメッセージが来ておりました。
 
神曰く、メッセージとても嬉しくてどうしても直接お礼を伝えたかった。長く同人活動をしているけど、1番長く大切にしたカップリングだということ。過去の作品は今見ると技術とか稚拙で恥ずかしくて消したくなる時もあるけれど、あなたのように誰かに今刺さるということもあるなら上げていてよかった。初めて手にしたいと思った同人誌が私の本ということが嬉しい!というような事が丁寧に綴られておりました。
 
神ーーーーー!!!!!😭
 
その方が結構長く活動されているのかな?ということは、サイトの投稿日時を見てなんとなく察していたことでした。活動の規模まではわからないけれど、ある程度の年月を同人活動にいそしまれていたのなら(私がひとめぼれしたのだから、過去にもそう言う人は居ただろうし)、きっと今までもたくさんの誉め言葉をいただいていることだろうと思ったのですが…。それでも通りすがりに投げかけたこちらの気持ちに、こんなにも心寄せてくださったとは。感激。
 
その後すぐに発送のお知らせが来たので、私の返信を待って送ってくれたことにも優しさを感じまして。私もまた自分語りを織り込んだクソデカ感情を長文にして感想を送りつけ、今日届く本を楽しみにしてますね!とか書いたりして。改めて自分が送ったクソデカ感情長文を読み返して恥ずかしくなっていたところ、商品が届いたので即開封!!
 
丁寧に水濡れ防止の梱包された本を取り出したら……なんとお手紙がついていて………。写真見せたいくらい、かわいいそのキャラのイラストが封筒に!!
もうこれ実質あれじゃん、噂に聞く"スケブ"(即売会で同人誌買ったら、持参したスケッチブックに絵をねだってもいいみたいなオタ仕草)では!?!?慌てて封を開けると、中にも丁寧なお手紙が。え~~~~~~~もうこれスケブ超えてない???ちょろっと同人誌買っただけでこんなに感謝をいただいていいの????
 
 
しかしここで話は終わらない。
 
 
お手紙を早く読みたい気持ちと、早く本を読みたい気持ちで手紙を読みながら梱包をといたら、ら、
 
 
頼んでない本も入っていた。
 
 
そう。私が一番最初に触れた神の作品。心臓がギュとなって、内容覚えるくらい読みに行った、人生で初めてこの同人誌が欲しいと思った、でも在庫がなかった作品。ありがたいことに今は全編をウェブに上げてくれているから、上げてくれている限りはいつでも読めるからと思った作品。連作なので2冊。それが入っていたんです…………。「サークル保管分で読んだりしたので綺麗なものでは無いですが、お手元に置いてください」というメッセージと共に。
 
 
か、神ーーーーーーーーー!!!!!!?????😭😭😭😭😭
 
 
こんなのされたら、好きになってしまいます!!!!!神!!!!!!神!!!!!
 
 
昼間っから泣いたよね………そりゃあ泣くでしょこんなサプライズ。だって私たち、出会ったこともないのですよ?私はこの方にほんの少しのお金と引き換えに、素敵な作品ととんでもない大きな愛情をいただいてしまったのですが??????えええ????夢?夢ならば覚めないで……と願いましたが、見事に夢ではなかったのでその本は今でも私の手元にあるのです。
 
宝物が一気に3つも増えてしまった。買った本と(もちろんこれも本当に装丁含め素敵だった…)、頂いた本と、大きな愛情。
 
これが私の、極私的「同人女の感情」ストーリーでした。
 
現実にはここからまた少し続きもあるのですが、それはまたいずれ何かの機会があれば…。
 
ご清聴ありがとうございました。
 
 
 
タイトル(勝手に)お借りした「同人女の感情」はこちらから読めます!

www.pixiv.net

単行本化も決定!ってすごい~!!