2020ベスト映画7
お恥ずかしい話ですが、私は映画館へ行く習慣があまりありません。映画館どころか、家で映画を見る習慣もほぼありませんでした。映画館は大きなスクリーンで集中できるけど、周りの他人に気を遣うし。かといって家では集中力が散らかりがちになるからです。でも今年はコロナ禍の影響で家で時間を潰さなくてはいけない日々が続きました。いえ、現在も続いています。ありがたいことにアマプラ・ネトフリなどの配信が充実していて、家でも無限に時間が潰せてしまう昨今。うっかりアニメ・声優沼へ入沼(存在しない日本語)したため、一番使った配信サイトは「Dアニメ」でしたが、それでも今年は人生で一番映画を見た年だったと言って間違いはありません。
そして変な話ですがこんなご時勢だからこそ、映画館へも多く足を運びました。仕事の関係で平日に使える時間が増えたこと、また映画館が感染症対策を様々講じてくださり、平日の空いた時間ならばむしろ安心して劇場へ足を運べたからです。今までは冬に映画を見たくても、隣の人がゴホゴホしていると集中できないことも多々ありましたが、寒いくらいのよく効いた換気、おまけに1席空けの状況は、劇場側には本当に申し訳ないけれど見やすく快適でした。
余談が長くなりましたが、そんなこんなで今年助けられた映画という娯楽。その中で琴線に触れたものを書き残しておこうと思います。配信で自宅で見たのも含まれているので、今年公開というよりはあくまでも【今年、私が見た作品】の中で、尚且つ【順不同】で挙げています。とはいえ、それでも最初に挙げた二つは甲乙つけがたいほどに私の中に焼き付いた作品なので、敢えてベストをといわれたらこの二つのどちらかになるなと思います。
・『初恋』
タイトルからさぞ純粋な作品なのでは?と思いがちですが、ヒロインは見た目こそ純情可憐ですがヤク中の援交女子。悪い人が沢山出てきて、沢山悪いことをして、人が山のように死にます。特に最後のユニディでの殺し合いシーンはすごくて、ユニディの可能性の強さに感動すら覚えました。
全ての役者さんのキャラが立っていて一人一人について言及したいのですが、特に感動したのがベッキーです。私の中の理想のベッキーがいました!!!強くてかっこよくて怒るとヤクザすら手が付けられないほどの暴れ者が、大好きな人の前ではめちゃくちゃかわいくてその落差に目を離せなくなりました。恋人を殺された復讐に我を忘れたベッキーは悪魔に取りつかれたような形相を惜しみなく出しまくり、全ての場面が名場面という取れ高の高さなのですが、中でも「車のドアが開いてベッキーが降りてくる際、まずバールがアスファルトを擦る『チリッ』という音がする」というシーンが最高に好き!!!!!!!!!!あんなにかっこよく、惜しみない殺意を背負った登場シーンある??????日本映画史に残るシーンだと思います!!!!!!!!見終えると、自分の細胞という細胞の免疫が高まっているのを内側から感じ、直ぐにおかわり初恋してしまいました。ほんと最高!!!!!!!!!!丁度、コロナの走りで公開になった不運な作品ですが、これがあったからこそコロナ禍を走り抜けることが出来ました。また見たいです。免疫上がるので。
・『佐々木、イン、マイマイン』
12月になって、ここにきてこんなに心に迫る作品に出会えるとは思いませんでした。全然ノーマークだったんですけど、信頼のおける友人から「すごく好きな作品に出会ったけど、正直勧めていいのかわからない……」という連絡が来たのでノリで行ってみました。前情報ゼロの状態で見に行き……劇場を出る時には「佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!」と全面的に佐々木に気持ちを支配され、口を開けば佐々木コールしか出ない状態。最初のシーンが最後に繋がるのですが、もう全然見えるものが違うんです……。全てのひっかかりに意味がある、無駄なシーンがない作品でした。佐々木、わけわかんないんですよ。粗野だし突飛だし。でも作中で少しずつ佐々木が紐解かれていくうちに、佐々木の心のひだに触れるたびに佐々木のことが好きになる。自分にとっての佐々木と向き合いながら作品を味わうような気持ちです。身近過ぎる『憧れ』って逆に印象は薄いけど、いつになっても心に鮮明に焼き付いてるものなのかもしれません。
基本的に、エンタメは個人の好みだから好き嫌いはあると思っていて。万人に好かれる・支持されるものなんてこの世にはなく、自分が大好きなものでも、誰かには受け入れてもらえない・拒否されることもあって当然…と思っているのですが、この作品は「好き嫌いは仕方ないけど…でも否定されたくない……かなしくなるから」って気持ちです。
あと、とにかくひたすらこのビジュアルがいいです。最高です。佐々木、永遠にインマイマインしたい。
・『君の名前で僕を呼んで』
気になってはいたものの劇場で見るチャンスを失っていたので、アマプラで鑑賞。……ときめきで死んでしまうかと思いました。主人公の青年、そして彼の過ごしたひと夏が、どこをとっても揃って瑞々しく美しい。美しいと美しいのマリアージュで苦しいほどです。タイトルの意味も…思い出してもため息。あとは何といってもエンドロール。こんなに美しいエンドロール、初めて見た気がします。
・『もち』
岩手の食文化保存の映画らしいのですが、限りなくノンフィクションに近いフィクションということで、キャストはすべて芝居経験のない現地の人。自然豊かな、言ってしまえば自然以外何もないように見える場所で、食文化という生活に一番密接なのに形に残しにくいものを作品として焼き付けています。廃校になっちゃう中学校の最後の一年を描いてるんですけど、もうね、もうね、淡い恋物語が!!!!!たまんねえっ!!!!思い出すとこちらが照れてしまう。特に祭りの前に浴衣着て、縁側で誰にも見られないように急いで鏡も見ずにリップを塗るシーンが……刺さりました。短いけれどこの上なくリアルで美しいシーン。いつかあったけれど、もう訪れることはない感情を思い出して心がぐちゃぐちゃになりました。「誰かのために装い、唇を初めて染めた日」のことを覚えていますか…?
・「2分の1の魔法」
父親を亡くして、母親一人に育てられた兄弟。その兄弟が魔法を会得し、お父さんを1日だけ復活させようと奮闘するストーリー。お兄ちゃんはかろうじてお父さんの記憶があるんですけど、弟はないんです。自分も会いたいけど弟のためにもお父さんを復活させたいお兄ちゃん、いい奴なんだけどいかんせんバカなんですよね…。周りのみんなにバカにされてるお兄ちゃんと、そんなお兄ちゃんにやや嫌気がさしている弟。そんな二人の大切な一日の冒険。兄弟愛といえば今年は何といっても鬼滅の刃の炭治郎なんでしょうけど、バーリーは炭治郎みたいなかっこよくて頼れるお兄ちゃんじゃないけど、こっちのお兄ちゃんもやっぱりお兄ちゃん、なんですよね…。
・『ギブン』
友人に勧められてTVアニメシリーズを見て、その流れで劇場版も鑑賞。自分、一応バンギャの端くれなので、作中に出てくるライブハウスも見知ってるし、街並みも見覚えがあって。コロナ禍で既になくなってしまったライブハウスもあって、その意味でも切ない気持ちになりました。
アニメの高校生チームの話もよかったけど、映画の大学生たちの話の方が好きで。ベースの春樹がけなげで、自分以外のメンバーが天才なのに、自分は凡人だと悩むところとかめちゃくちゃ共感してしまいました。ベースは…バンドの良心なので……。
雨月と秋彦の、クッソ面倒くさくて現実なら絶対に嫌なんだけど、大好きで大切だからこそ傷つけあって距離を置かなくては立ち行かなくなる感じ、切なくて共感してキャパオーバーになりました。
【番外編】
・『泣き虫しょったんの奇跡』
藤原竜也さんが好きです(唐突な告白)。一時期は舞台にもこまめに通っていましたが、ふと検索してみたら映画出演作もほぼ観ていました。折角時間があるのだから、じゃあ出演作コンプリートしようかな!と思い、いろいろ見ていたその中のひとつです。
正直、この作品に藤原竜也さんは友情出演でほんの3秒くらいしか出てこないんですけど、映画がすごく良かった。将棋はどうぶつしょうぎくらいしかできないのですが、何故か将棋の話、特に奨励会の話にどうしようもなく惹かれることが多くて。しょったんは実在の方をベースに描かれていますが、人間臭くてすごくよかったです。将棋って、一人じゃ強くなれないのがすごい面白い。
細かいネタバレにある程度気を付けつつ、感想を書くのって難しい。特に映画の感想など書かないから多分魅力を伝えることが出来ないと思うけど、でもこれは自分の記録として残しておこうと思います。映画、面白いなあ。早く鬼滅の刃無限列車も2回目の乗車したいです。