あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

嫌いだけど愛してる、睡眠

 人生において、ある一つの事象やモノ、もしくは人物に対して「大嫌い」と「大好き」という相反する気持ちを持つことがたまにある。
「嫌いだけど愛してる」というこの状態は、物凄く厄介だ。
大きく捉えれば両面とも大きな感情、執着なので質が悪い。

とまあ、大きな風呂敷を広げてみたものの、今回はその「執着」の中でもごくごく小さなものの話。「睡眠」について。

寝るのが好きか?と問われたら「好きです」と答える。間違いなく。では、暇さえあれば寝たいかといわれると答えはNOだ。寝るのは好きだし二度寝はもっと好きだけど、それ以上に起きて好きなことをしている時間を愛している。とはいえ、活動的とも少し違う。なにもしなくてもいい、横たわり空を見つめ、ほぼ寝ていても意識がある方がいい。

多分自分は、人生に対して恐ろしく他力本願な貧乏性なのだろう。終電を超えて「今日は一晩飲もうぜ!」って盛り上がったものの、午前2時くらいにやってくるどうしようもないまったりした空虚な時間。一応みんなでどうでもいい話をしながら、もう一度「今夜はオールで!!」ってなったあの瞬間の盛り上がりがもう一度来るのを待っている時間。あの待ちの時間が人生においてめちゃくちゃ長いのだ。基本的に野比のび太並みに寝つきが恐ろしくよく、中途覚醒もほぼない。一度寝たら起きないし、二度寝が大好き。なのに寝ぐずりをしている中年が私だ。身体は中年なので恐ろしく疲れやすいが、年の割に寝つきもいい。なのに寝ぐずる。寝れば楽になるのに、寝れるのに、身体の芯がまだ寝たくないよとぐずる。私が3歳児ならさぞ毎晩泣き叫んだことでしょう。寝かしつける人を大いに弱らせたことでしょう。よかったわ、中年で。自分で自分をなだめて寝かしつけるしかない。

「嫌いだけど愛してる」睡眠。避けては通れない事象である。今宵もまた、ぎりぎりまで目をつぶるのを拒み続け、意を決して消灯したら気絶の如く寝るのだろう。恐ろしくバカオロカだと自分でも心底思う。寝ればいいのに。全くその通りだ。


「寝つきが悪い」という悩みを持つ人は世の中に存外いるようで、その対策は検索すれば沢山出てくる。「寝つきはいいけど寝ぐずる大人のなだめ方」は誰も提唱してくれない。目をつぶるまでをスムーズに執り行う方法があれば教えて欲しい。