あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

""壁になりたい""と初めて願った日~~朗読劇『佐々木と宮野』を見た


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『ふたりを見守る壁になりたい』

 

”ある種の嗜好” を持つ女性たちがこう言うのを聞いたことがありますか? 私はあります。理論(?)としては理解しつつ、その意味が実感としてはずっとわかりかねていました。そもそも” ある種の嗜好”を私が避けていたというのもありますが、紆余曲折を経てこの度ここに明言したく存じます。

 

『佐々木と宮野を見守る壁になりたい』


これはそんな、とある壁記念日。そう心から願った日の記録です。

 


過日のことになりますが朗読劇『佐々木と宮野』へ行きました。原作は漫画で、2021年冬にアニメ化が決定した作品。内容はタイトルの通り、佐々木と宮野という男子校へ通う二人の学生生活を中心にした男子高校生たちの日常を描くボー イズライフストーリー。 漫画はアニメに白井悠介さんが出演するとの報を受けて購入してはいたものの、 タイミングを逃し続けて朗読劇の3日前くらいから読み始め即読了。読みながら何度も、私はこのまま死んでしまうのかなと思いました…………ときめきすぎて………。出てくる男子高校生たちがものすごくかわいらしく、これをオリジナルストーリーで上演する朗読劇なんてどんなふうになるのだろうと素直に楽しみに。 朗読劇自体も馴染みがない世界でしたし、何よりも私が人生で初めて「この声優さんを応援したい!」と思った白井さんが出演なさるのでとても楽しみにしていました。動く白井さんを初めて見られる!ライブやイベント・ トークは映像で拝見したことがありましたが、朗読は初めてです。


会場は初めて行くホールでしたが完全に一席飛ばし。運よく友人がかなり前方の席を当ててくれていたので(感謝しかない)肉眼でもしっかり楽しめそう。


定刻が来て暗転されると、スクリーンにデカく漫画の胸キュンシーンが流れ出しました。確かに、 ここにいるのはおそらくほぼ全員原作漫画を読んでいるであろうとは言え……ナニコレ恥ずかしい!! みんなで半ば強制的に同時多発胸キュンしてるのなんか恥ずかしい !!!!言葉を誰も発していないのにホール上空の空気が桃色に染まるのがわかる。スモークなど炊かれていないのに、天井が霞んでいるような幻覚に襲われる。「見て、 あれはときめきだよ」と、天井を指さす誰かの声がする。同時に背筋を伝う不穏な汗……一瞬で自意識を葬らなかったのが今でも悔やまれる。いいのに。今日はときめきをしにわざわざ所沢まで来たんだからときめいてい いのに!!!!ときめき勝ちだよこんなものは!!!!(混乱)

 

まず、主演のおひとり斉藤壮馬さんが登場。斉藤壮馬さんがちょこんと中央の椅子に座り(斉藤壮馬さんも初めて見ましたが、まさに『ちょこん』としか言い様のない所作だった)優しい声で朗読を始めると、 より一層強めに染まるホールの空気。わ、声がかわいい!宮野がいる! !でも照れる!!無理!!!誰か今すぐ殺してくれ!!!! 頼む私の自意識を!!!!

 

あまりに宮野な斉藤壮馬さんに喰らわされていると、 ワンパート遅れてもう一人の主演、白井悠介さんが登場。………生きている……(それはそう)。白井さんが生きている!! 私は下手側の最端に座っていたため、上手にいる白井さんは丁度真逆の反対側。実は結構前方の座席にいたのですが、さすがに反対側だと表情見にくいな~。よし!!双眼鏡を覗いてみよう!こういうこともあろうかと持参した慣れぬ双眼鏡をそっと覗いたら、 ピントが白井さんではなく斉藤壮馬さんに合っていてびっくりしました。手に取れる位置に宮野いる!こっわ!!!

 

今回は佐々木役の白井さん、宮野役の斉藤壮馬さん、そして宮野の友人の暮沢役の新井良平さんの3名がステージに立ち、 平沢役の松岡さんは音声での出演でした。音声での出演って何? と思っていましたが、なんと電話で暮沢との会話劇。予想外でしたが面白かった。暮沢役の新井さんは存じ上げなかったのですが、新井さんはアフタートークでふざけすぎる白井さん笑いすぎる斉藤壮馬さんを制しつつ、司会進行をチャキチャキとしっかり進めていた。朗読も暮沢の気遣いが過剰なほど行き届いていて高校生らしくないそっのなさがある感じ、 やもすれば堅くなってしまうところを丁度いい温度で演じられていた。 特に佐々木との会話がすごくよかった〜〜!!

 

【朗読劇】とはその名の通り朗読であり、普通の芝居のような大きな場面転換も身振りもない。ご時世柄、 隣にいる会話のシーンでも実際にはかなりの距離がとられている。でもそれを感じさせない声の投げ方、親密さの出し方が印象的で。 見ているこちらも想像力で補わなくてはいけないところもたくさん あるはずなのに、それを上手に誘導してくれていたと思う。逆に要素が多くない分、丁寧に会話に集中できたのかも。 漫画が原作でもシナリオはオリジナルだったのもよかった。

 

斉藤壮馬さんは朗読劇なのにセリフ覚えてるんですか? ってくらい相手の方をしっかり熱をもって見ているのが印象的だった。それがご本人の芝居の癖なのか、演技プランなのかわからないけど、宮野っぽい真摯さをステージに満たしていたと思う。


白井さんは近くにいる設定でも実際には距離を置いて座っているのに、ふとした時にすごく宮野の近くにいる、隣にいるような感じが物凄く伝わってきて。白井さんが手を伸ばしたら、本当に宮野に触れるのではないかという空気感。特に三幕の水族館に行く話では「ああ……今ふたりはこんな角度でこんな距離感で歩いているんでしょうね………」としみじみと思わせられたのでした。細かく余白に色をつけるような演技がお上手で、口に何かをほおばってもぐもぐしてる演技も自然すぎて、わ~~~~って思っているうちに時間は過ぎ去り正直白井さんのことを一番よく覚えていないのが死ぬほど悔やまれます。

 

初手で自意識を捨てきれなかったのがなかなか尾を引いていたけれ ど、 第三幕の水族館へ行く話を見ているときに突如しみじみと納得したのです。


これが、これが噂に聞く「壁になりたい」という感情か。そうか、私は 『佐々木と宮野を見守る壁になりたい』と今思っているのかと。


ヘレンケラーがサリバン先生に何度も水を手につけられ、急に「ウォーター!!」と理解したように、私も90分ほど濃密にときめきを直脳で受け続けた結果「 ウォール!!」とやっと理解したのです。 もう恥ずかしくありませんでした。 ラストの方の今回の朗読劇最大の見せ場のセリフも、しっかりと心に刻むことが出来たのです。めでたしめでたし。


白井さんはそれまでアニメもあまり見ず、 声優さんの名前なんて数える程しか知らない私をこの一年半走らせた人でし た。『ヒプノシスマイク』の曲にしか興味がなかったのに、ふと気が向いて再生した中の人たちのライブと朗読の短い動画。 特に興味もなかったキャラなのに、キャラがまるで生きているように振舞っている姿に目を奪われてから、白井さんが出られてたアニメをまず見ている内に興味が湧いて、様々なコンテンツを見るようになりました。コロナで生で姿を見るチャンスは諦めていたけれど、もしいつか生のお姿を拝見できるなら、1番最初はライブやイベントよりも朗読がいいな〜と思っていたので、その希望が叶ってとても嬉しかった!!! しかも今回は、私が白井さんによりアニメ・ 声優沼に入沼(存在しない日本語)したのと同じ時期に、斉藤壮馬さんにより入沼した友人と一緒に見に行けたのも嬉しかった。それぞれの推しが同じ作品で、 二人ともタイトルロールを背負うことなど残りの人生でもそうそうないと思うので 、その意味でもとてもよい思い出になりました。隣の席にいたのに、きっと私たちが見ていた景色は違うことでしょう。 終わった後語れる時間も場所もなかったのが悔やまれますが、もしあったとしても私たちはただ無言で座っていた気がしてなりません 。

 

 

 

アフタートーク内でティザー映像が流れているとき、 舞台袖の浅いところにいた二人が暗闇でなんかきゃあきゃあしてた のが大変かわいかった。白井さんは胸に両手を当てて胸キュン! ポーズをしていた~~~~~~ナニアレかわいかったナ~~~~! !!!アニメも楽しみ!!!!!!