あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

初見のメン地下楽曲が全て身体に染み込んでいた体験談

【最初に】

『メン地下(メンズ地下アイドル)』って言葉は本来好きじゃないから使いたくないんですけど、伝わりやすいのでつい使ってしまいすみません。あと一応該当グループに直ぐに行き当たらないようにふわっとしてます。嘘は書いてません。

 

 

某月某日、都内某所。

私は緊張していた。

 

思えば2020年2月。推していた女の子アイドルのグループが解散した。通ったのは9ヶ月ほどの短い間であったが、出逢ってからのその時間は楽しい思い出しかない。推しメンも出来て他の子もいい子で、友達はできなかったけど私なりに楽しく通っていた。何より楽曲が良くて、その子たちのパワフルで全力を尽くしステージで命を燃やすようなパフォーマンスが好きだった。女ひとりでひょこひょこと変なトークイベントにまで足を運んだ私に、推しは『なんでここまで来たの?』と問うた。『君が好きだから』と私は答えた。世界で一番過不足がない美しい問答だったと思う。

 

それはさておき、解散ライブの前『正体不明の流行病が海の向こうで跋扈してるらしい』くらいの温度感だったのに、解散ライブ前くらいで結構怪しくなってきててギリギリライブやれてよかったな、それだけは救われた。結局この解散が契機となって私は長年続けてきた女子アイドルのおたくを廃業した。……………………何だかんだで1年と少し経ったらメンズアイドルに出会わされてまさかのその日に、そのうちのひとりを見初めてしまった。女子アイドルのおたく廃業したら、今度は男子アイドルのオタクへまさかの転向。若い男はかわいいなあとフラフラと踊りながらついて行く道中、ウッカリもうひとり若い男と目が合ってしまい、同時に左手と右手に若い男を繋ぎ止めながら(言い方な)男子アイドルのおたく開業して1年と少し経ったのが現在地。2023年初夏。

 

冒頭に戻る。私はメンズアイドルライブの対バンイベントに居た。ステージを前に後方で緊張していた。推しのライブもまだだったがそうじゃない。初めて見るグループ、メンバーの名前も顔もよく分からない。なのに私はそのグループをずっと見たかった。メンズアイドルを好きになった時からずっといつか見たい、いや見なくてはとすら思っていた。何故か。

 

見る前から彼らの持ち曲の全てを知っているから______

 

ちょっと待って、頭おかしい感出てるけど行かないで。なんでこんなこと言い出したか知りたくないの?知りたいでしょう???知って!!

 

そうコロナ禍の走りで解散した私の推しグループ、その楽曲たちの全てが色々あってメンズアイドルグループに譲渡されていて。なので私は【メンバーの名前も知らないグループの持ち曲を全て知っている】んです。ナニコレ?こんなことある???現実です。

 

ライブどんな感じなんだろう?謎の緊張に苛まれているうちにOvertureが流れ、ライブスタート。

 

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不思議だったーーーー!!!!!!!

 

当たり前だけどステージにいる人もライブのスタイルも全然知らないのに、楽曲と振り付けが身体に入ってて。動くの、自然と口と腕が。勝手に反応するの。楽曲は解散後もずっと聴いていたからなんの問題もなく当たり前のように馴染んでいて。ステージにいるのは全く違う、性別すら違うのにふつーに受け入れてた。

そう、やってる人が違う~😭みたいな拒否反応は一切なかった。あるかと思ったのになかった。推しメンパートですらそれはなく『あ~推しメン元気かな~?あ、推しメンにこの子達のライブ見たこと報告しよ!!』くらいのライトさで感傷ゼロ。

私が大好きだった彼女たちの全力さやそれから発生するエモーショナルは彼たちのステージにはなかった。でもそりゃあそうなんだよな、って。性別も人数も全く違うから視覚的に引きずられることもない、ただ………嬉しかった。

 

私の愛した彼女たちが一生懸命に大切にしていた、その楽曲たちが今も歌い継がれていることが嬉しかった。

 

あの子たちの楽曲めっちゃ好きだったんだなー。無くなってしまうなら、形が変わってもこうしてどこかで歌い踊られ、それが誰かの目に映り耳に入っている方が断然何倍もいい。誰かの心をかつての私と同じように揺らしてる、その礎を私の推しメンたちも作っていたと思うとめちゃくちゃあの時間も愛しく感じる。

 

始まる前には想像もできなかった、あまりにもスッキリ爽快な気持ちでライブは終了。

 

ちょっと面白かったのは、おたくの肩組み芸がここにも継承されていたこと………それを後ろから見た時が一番びっくりして一番エモーショナルな気持ちになったかもしれない。何故、何故それを私たちがしていたことをあなた達は知ってるの………?という。ちなみにこの一年半くらいいろんなメンズグループのライブ見てきたけど、オタクたちがライブ中に肩組んで揺れてるの他で見た事ないよ!!!

 

結果として見てよかった。愛したものが全く形を変えたけど、何を愛していたのかがよくわかった。これからも頑張ってね!!という気持ちで記念に特典会へ行ってみた。迷ったけど1番ダンスが良かった子がリーダーというので、丁度いいなと思いその子へ。

 

リーダー『はじめまして!』

私『はじめまして!私、このグループの前の女の子たちのおたくしてまして…』

り『エッ!!』

私『だから、曲全部知ってて笑』

リ『そうなの?どうだった?』

私『すごい楽しかったです~』

リ『今日はなんで来たんですか?』

私『~~というグループを見に来たら一緒に出るから楽しみにしてて』

リ『ありがとうございます、また見に来てくださいね!!ちなみにその前の時はなんていう子を推してたんですか?』

私『~~ちゃんと言う子です!ダンスが好きで…。~くんのダンスも良かったので今日来ました』

リ『嬉しいです✨また来てね!』

 

こんな感じで爽やか朗らかに特典会終わっ………たんですけど、それはいいんだけど、ツーショがね……急な肩組まれてヒエッてなりました………接触アリなんか…………無理してしなくていいんだよ………。若干つらい気持ちで終わりました。彼は別に悪くなくて、そこではこれくらいのボディタッチ普通なんだよね。私が行ってるところはそれは無いので(ひとつは未だにアクリルあるくらいなので)カルチャーの違いを突きつけられて帰郷となりました。