あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

コロナ禍、イン、マイマイン④【なるほど、今年の方がしんどいな編】

 毎年2月は繁忙期なのだが、今年は殊更にえぐかった。突然濁流に巻き込まれ、息もできないまま目の前に差し出されるものをとにかく捌くしかなかった。捌けてるのかどうか確かめる余裕すらなかった。1月下旬から3月半ばまでの記憶がない。敗戦処理を終えてやっと心地が付いたら桜が散っていた。

 

 仕事がひと心地ついても、世の中の状況は全く変わっていなかった。一旦向上してからの転落は、落差でむしろ以前よりも悪くなった気さえする。そしてこれはもう何度目かの記憶で、なんでこう学習できないんだろう……というガッカリが、余計に心を疲弊させる。

 

 相変わらず日常から楽しみは奪われっぱなしだ。ライブはもう諦めていたが、映画館すら許されない状況はなかなかにしんどかった。仕事から気持ちを切り替えることが出来ないまま迎える朝は、身体の疲れ以上に心を重く感じさせた。でもここでコロナに罹るわけにはいかない…その気持ちひとつでなんとか体調も崩さずやり過ごせたのだけはよかった。いろいろと注意力が散漫になっていたと思うが、自分が思うより意外と体が丈夫なのかもしれない。

 

 ようやく時間の余裕ができて、じゃあ今まで後回しにしていた楽しみをゆっくり…と思ったのに、何も手につかなくなってしまった。やりたいこと見たいもの読みたいものをリストにしてみると、永遠か?と思うくらい連なっているのに何も手を伸ばせないままリストは増えるばかり。転がってリストを眺めてみる。心がときめかない。どうしたんだ。

 

 私にとってのエンタメは主にライブだった。それが奪われてからのこの1年、今は仕方ないなという諦めから新しい楽しみを見つけることが出来た。なのに、今はそれすらも億劫なのは何故だろう。「束の間の非日常」だと思った時間が、「もしかしたら今後はこれが日常」ということに気づいたから、かもしれない。

 

 その事実が、日ごとまた増え行く感染者数速報よりも重くしめやかに私の心にのしかかる。気づきたくなかったなあ。そしてまた今年も、予定がないGWがやってくる。

 

 「やりたいことリスト」は一旦破いた。