あなた以外は風景になる

その人以外見えなくなった時のことを書き留めたい

福島県立いわき総合高校『知らない体温』に触れて


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 いわきの高校生が浜辺で踊るのを見るために、あなたの5分をください。

 

www.youtube.com

 

いわき総合高校の芸術·表現系列(演劇)では、毎年3年生が卒業作品として演劇公演の発表を行なっている。
2020年、公演へ向けてリモート稽古を行うも、新型コロナウイルス感染症の影響により公演の中止が決まる。
 
それらを経て、それら全てを含め、今だけの映像を撮り続けた17期生による新たな作品。
 
原作・出演
福島県いわき総合高校 芸術·表現系列(演劇)第17期生
 
 とはいえ、これが本編ではない。これは作品のあくまで一部。もしMVを見て少し興味がわいたなら、本編も観てほしい…と普通ならお勧めするが、今回はちょっとそれも難しい。というのも、このMVからは想像できない作品だからだ。
 
 この作品のことを知ったのは、劇団ゆうめいの演出・池田亮さんのツイートだ。現時点で私は劇団ゆうめいの公演を見たことは無いが、とあるインタビューきっかけで劇団ゆうめいと池田亮さんの存在を知った。そして絶対に1度見てみたいなと思った。合う合わないが絶対にあり、そして見てみないとわからないのが舞台だと思う。合うかどうかはわからないけど、絶対に1度は触れたいと思うインタビューだった。コロナ禍が落ち着いたら、是非足を運びたいと思いながら、その存在を忘れないためにTwitterをフォローしていた。
 
 その池田さんがいわきの高校生の卒業公演に関わるとツイートで見かけたが、その後コロナ禍の影響で上演ができなくなり、代わりに創られた作品が一般公開をすると知った。
 
 とはいえ、その作品がどんなものなのかは全然知ろうともしないままMVも見ないまま。「公開された」というツイートを見てまず再生手続きをすませ、スマホを風呂場へ持ち込んだ。「手続き」と書いたのは、これは無料で誰でも見られる作品だがパスワードを取るために個人情報を送らないといけないからだ。丁度仕事が地獄の繁忙期を迎えており、腰が砕けそうなのを少しでも回復するべく毎日しっかり湯につかりたかったので、その時間のお供にこの得体の知れない作品でもいっちょ見てみるかなと考えた。
 
 演劇が始まりそうな導入部から一転、何の説明もないまま不思議な映像が展開していく。再生し暫くはぼんやりと画面を見やっていたが、不意にあることに気づく。私、この子達のことを何だか好きになってるぞ。全然知らない子達なのに。そして一通り見終えて風呂から上がる頃には疲弊した体に不思議な元気が宿り晴れ晴れとし、これを作ったいわきの知らない高校生達の幸せを祈っていた。
 
 「知らない体温」の感想を話したい!でもこれ、誰に勧めたらいいの?演劇でも映画でもない、不思議な感触の映像作品。ダメもとで友人にLINEを送る。まあちょっと時間があれば見てみてよ。んじゃ飯食いながら見てみるわ。芝居でも映画でもないという私の拙い説明に友人もあまり反応はよくなかった。が、小一時間ほど経った頃、スマホが着信を告げた。開口一番「おもしろかったよ」と明るい声がした。
 
 この作品の性質上、余り仔細に内容を触れない方が良いのだろう。すごく不思議なのが、映画でもなく、ましてや舞台の映像化でもないのにこの作品には不思議と演劇っぽさが色濃く残っている。妙な肉体性がある。友人は「本来なら見えてはいけない人(カメラ)が見えているけど、見えていないことにする気持ちが演劇っぽい」といっていた。なるほど確かに。この作品ではカメラが黒子のように「見えているけど見えていない」ことになったり、顔のないモブとして影響を与え合ったりしている。それが映像作品なのに映画ではない、不思議な共犯関係を生んでいるのかもしれない。
 
 
 3月の終わり、彼らの卒業とともにこの作品は公開を終える。皮肉にもコロナが無ければ生まれなかった作品。コロナはこの子達から沢山のものを奪った。高校生でこういう学科のある高校を選んだ子たちだから、卒業発表の舞台のためにきっと3年間(もしかしたら入学前から)努力し続けてきたのではないかと思う。高校生活の総仕上げとなる餞の舞台を奪われたことで生まれた不思議な作品を、いわきから遠く離れたなんのゆかりも無い私が味わわせてもらった。卒業後の進路は様々なようだが「表現したい」というその気持ちはすごく幸せな力であり、うまく伝播すれば全くの他人の心を震わせ元気を渡すことが出来るものだ。それはこの作品を見た私が証拠です。どんな形であれいくつになっても持っていていい気持ちのひとつだと思います。不思議な元気をどうもありがとう。どうか、これからあなたたちが進む道が幸せでありますように。1秒前まで知らなかった人の表現に触れて、その人が「知らない体温」の持ち主ではなくなっていること。こんな気持ちを届けてくれてありがとうという感謝と幸せを願う気持ち。表現する人に対する第一の敬意やこちらから返せるものってこういうことなのかも知れないなと強く思った体験だった。

 

『知らない体温』 歌:福島県いわき総合高校 芸術·表現系列(演劇)第17期生

作詞:edda、池田 亮

作曲:edda

積み上げていた 配色は

光とまじわることもなく

話せば⻑くなるよって不貞た

今日との小さな秘密

好きな嘘で嫌いな弱さを歪ませて

合う?合わないや、の世界線

ここからそれらを連れて 一緒に

物語の結末が 僕らを拒んでも

不細工なままの足跡も歌になる

だから届け、届け!知らない体温まで

やっと歩き出せたなら優しい 答えをくれよ

ここからそれらを連れて 一緒に

空回りの足取りも不確かに踊り出す

見失うなんて嫌だ 

間違って笑おうぜ

だから届け、届け!知らない体温まで

 
ありがとう、無事に届きました。知らない体温まで。
 

コロナ禍、イン、マイマイン③【罹らないための備えといっても特に何もなかった編】

 『罹らないためにしていること』と書き始めてみたけれど、前のブログにも書いたくらいのごく普通のことをごく普通にしかしてない。大前提としての鉄則はあるが、年齢も体力も既往症も環境も違うから、気をつけるポイントも人それぞれ。もちろん基本的なことは自分なりに徹底しているつもりだが、如何せん相手は見えないのでそれの効果があるのか、充分なのかはわからない。「今日も大丈夫だった」朝起きてそう思うことだけが、自分の行動が間違っていなかったことの答え合わせって感じ。虚しい。

 

 虚しさに苛まれていると他人の行動がどうしても目につきがちだけど、負担だなって思ったら今は即離れるほうがいいみたい。それが正義だとしても、自分にとって負担になるなら今は手放す時なのかなと思う。

 

 私は毎日電車に乗って通勤をしている。テレワークができないので一般的な通勤時間に電車に乗り、都心と自宅を行ったり来たり。買い物にも自分で行くしかない。職場環境も良くないし、まあまあ高リスク。毎日何人の人とすれ違っているのだろう。

 自宅外では食事以外マスクをし、都度手を洗い、都度消毒をし、帰宅したら即風呂に入る。なるべく人混みには行かないし、行く時は上記に加えてマスク交換を増やしたりする(いつもはお昼時に交換。ずっとそうしてたんだけど、マスク不足で中断。また安めの不織布マスクが手に入るようになったので出勤時は再開した)。なるべく栄養バランスよく食べ、ちゃんと寝る。インフルエンザに効果があるので冬場は緑茶と紅茶をしっかり飲む。乳酸菌も。夜更かしに気をつけるようになった。あ~、急にスピるけど去年の秋にいつもお参りに行く神社で、無病息災の輪っかくぐりをした!!

 

 去年から友達に会った回数なんて、全部空で言える気がする。むなしい(2度目)。

 

 そう、このむなしさとかやるせなさにいかに蓋をするかがすごい大切な気がしている。メンタルの調子を崩すと影響が身体にも出るのは経験済みで、メンタル由来だと立て直すのに時間がかかることも知っている。メンタルをなるべく崩さないように。これこそ個人差だと思うけど、すごく怒ったりすごく悲しんだりすごく心配したりすると私はダメになりがちなので気をつけている。自分ではどうしようもなく崩れていくこともあるが、改善できるなら持ち直した方がいい。自分ではどうにもできないと思うほど崩したらすぐに病院へかかるのが一番だが、服薬しても治るまである程度時間を要するので軽く考えない方がいいと思う。これは体験談として。

 

 身体症状が出なくてもメンタル弱(よわ)になると、上記にあげたような「健やかに過ごせるように生活に気をつけよう!」という気持ちが弱くなってしまうのが1番だめな気がする。他人にも優しくなれない。持ち直そうという気持ちがわかなくなる。誰しも経験があると思うけど、あの状態って今みたいな状況では自分に致命傷を与えかねない。よくおたくが言う「推しのおかげで免疫力アップ!!」って、侮れない気がすごくしている。嬉しかったり楽しかったり、何かを心から「好き!!!!!!!!!!」って思うことは、多分自覚してるより何倍もパワーを使うし、そのかわりもたらす自浄作用もかけがえのないものだと思う。

 

 では、メンタルの調子を保つためにどうしているのか。これ、長くなりそうなので次回にします。今回は虚しさに支配されてしまった。次は萌え語ります(予告)。

コロナ禍、イン、マイマイン②【備えあれば憂いなし編】

 都内の1日のコロナ感染者数が1000人を超えてしまったのはかなりのショックだった。私はライブハウスのオタクなので、感染者数をライブハウスのキャパで例えると「あのくらいの人数が???」と急に具体的に、肌感覚として落とし込める。バンドやアイドルは「リキッドルームを埋められるかどうか」(キャパ800を超えて動員が4桁見込めるかどうか)がターニングポイントになったりするが、コロナの動員もこのあたりから急に伸びたように感じる。そして瞬く間に、コロナはZeep(キャパ2400)をソールドアウトさせたのには正直絶句した。ゼップだけに(ここは笑うところです)。
 
おいコロナ、私が長年応援してるバンドの動員をぽっと出の新人バンドが抜くんじゃねえ!!!!(※コロナはバンドではない)
 
 そして同時に覚悟をした。ここまで持ちこたえてきたけど、そろそろ自分も本格的に感染した時に備えなくてはならないのではないか。
 
 備えなくては。その気持ちが芽生えてしまうと無視できない。どうしたらいいのかわからないけど、どうにかしなくてはという焦りが生じると不安が増殖された。私は一人暮らしだし、若いとも言えないし、頼れる人がいない。最低限の備えはしておかねば。
 
 「備え」といっても数パターンがあり、中でもとりあえず考えたのは「コロナに罹患した」時のパターン。
 
 
・罹患して入院もしくはホテルなど、自宅外での隔離・療養生活
 
 現実的に考えて、特に若くもないが持病もないごく平均的な体力の自分が罹患したとして、即重篤になるというのはやや考えにくい。今の巷の状況から考えて、入院は必要があってもなかなか難しそう。となるとホテル療養だが、これも日々の情報から都内では罹ったからといってすぐ移るのも難しいものとなっているらしいと聞く。しかも入院より、ホテル療養の方がなかなかその生活が想像しにくい。
 
 それでも罹患して実際にホテル療養を経験した人が、SNSなどで状況を教えてくれているのはかなりありがたい。入ったホテルにより多少の差はあれど、参考になる。大体10日くらいの期間を過ごすことになり、食事を取りに行く以外は部屋を出られない。誰にも会えない。洗濯もできない。などなど。
 
 あってよかった物など、持ち物リストみたいなものを作ってくれている人もいた。なるほどと思うが、だからって旅行じゃないから予め荷造しておくのも気が進まない~。でもいざとなったらとてもじゃないけど気が回らないかもしれない。頼れる人もいない。
 
 ぐるぐる考えているうちにメンタルに影響が出たので、この問題については考えるのをやめにした。どちらにしろ、一人暮らしの私が自宅外で療養できるのかといえば可能性は低いだろう。なのでいざというときの持ち物リストを手帳に書き出すに留めることに。そのかわり、空のキャリーケースはすぐ使えるように出しておくこと、そして持ち込むもので一番の割合を占めるであろう衣類(寝巻とタオル)はこまめに洗濯して片づけることを心がけ、洗面道具やスキンケアも軽くまとめておくなどし、万が一荷物をまとめる時は朦朧とした頭と体でもスムーズにできるようにしようと誓うことで手打ちとした。
 
  ・罹患して自宅療養 
 
 これがめちゃくちゃ現実的に一番濃厚なパターン…。そして一番困る…。何が一番困るかといえば、心細さだと思う。未知のしんどさに見舞われても誰にも助けを求められない状況、今まで陥ったことがないから怖い。急に悪化して死に至ることもあると聞くし怖い。 しんどさも未知数なのに心細さも未知数ってどうしたら。具合が悪いのに自分で全てを処していかねばならないなんて、何その地獄。
 
 自力でやり過ごすしかないとして、その備えはいかにすればいいんでしょう。今は幸いにも通販があるし出前やウーバーイーツもあるから、スマホがあれば足りないものは入手できる。とは言え、一番しんどい時にそんなことできるんか…?初期消火の備えは必要ですが、何を用意すればいいのやら。しかしこれも、経験者が語ってくれているブログ何かが多いので、ちょっとググればいろいろ出てきます。ありがたいなあ。
 
 ちなみに私がぼやっと用意しているのは以下。
 
・タオル(こまめに洗濯)
・寝巻(こまめに洗濯)
・レトルトおかゆ、スープ、ゼリー、パックご飯など
・水とかスポドリ
・パックご飯
・鎮痛剤
・冷えピタ
・アイス(でも食べちゃう)
ティッシュとウエットティッシュとトイレットペーパー(万一切れたらきついからストック注意してる)
・みかんとかバナナとかプチトマトとか、なんかそのまま食べられる野菜果物
・体温計(探したら2本出てきた)
・ゴミ袋と使い捨て手袋
 
全部普段から使うものなので、ストックに注意しつつ買い足してます。
 
 本当はこれも欲しいなと思ってるのが「パルスオキシメーター」。何ぞや?という方はこれを見てください。

www.konicaminolta.com

 備えで買っておいてもいいかなと思うけど、今は通常より需要が高まっていて5000円くらい相場から値上がっているとのことなので、万が一感染したら通販するか…という気持ち。そういえば体温計も非接触のとか検討したけど、外でアレで計られた数値が納得いったことがないので購入をためらっています。まあ、普通のが壊れたら考えればいいか。
 
 あとお守り代わりのヴェポラップ!

brand.taisho.co.jp

 これは以前、風邪ひいた後に咳だけ残って辛かった時に、友人から「ヴェポラップを足裏に塗って靴下履いて寝な」といわれ、半信半疑で試したらめちゃくちゃ即効性があったし効き目抜群だったので。子どもが胸に塗るものと思っていたけど、大人にも効くし、足裏だとべとべといても靴下でカバーしてくれるのでめちゃくちゃいい。風邪の時は会社でも塗ってました。今って、風邪で咳き込むのもめちゃくちゃ気まずいから、その時にも有効だなと。  
 
 
 次回のコロナ、イン、マイマインは「罹らない為の備え編」です!(予告)

コロナ禍、イン、マイマイン①

 こんなことを書くのは、万が一罹患した時に「あんなこと言ってて~フラグかよw」ってなりそうで正直気が進まないのですが、こういう実のない事こそ今は記録として残しておくべきなのではと思うのと、ぼんやりとした不安を吐露することで気持ちを軽減する効果を期待して記録しておきたい。というか正直もう、そこそこ限界なのかもしれない。元気そうに振舞ってるけど。健気だなあ、私ったら。

 推敲せずに思いつくままの文章なので、いつもにも増して文章が下手且つ着地点が不明です。あくまで私一個人の記録。特に為になる話はないと思います。


 困ったなあコロナ、怖いなあコロナ。そう怯えながら生活し始めてもうじき1年が経つ。自分の場合「これは最早逃げようがない現実問題なのだ」と思い知らされた日が良くも悪くも非常に明確だ。忘れもしない、忘れることが出来ない2020年2月26日。令和の226事件である。数か月前から楽しみにしていたPerfumeの東京ドーム公演が、当日開始3時間ほど前に中止になった。退勤時間即ダッシュしないと開演時間に間に合わない事態だったので、チケット記載の入場ゲートに合わせて前々日に職場からドームまでシミュレーションしたくらい楽しみにしていた。それなのに。あまりのショックな報せに、仕事中に涙が堪えられなかった。今でもあの日の記憶はそこで途切れていて、本当に思い出せない。一生涯忘れられない日なのに。


 そもそも私はここ10年程、ライブを見に行ったり、推しとの特典会をひたすらに楽しみに生きてきた。なので体調管理もオタクの嗜み・オタ活の一環と思っていて、普段から初夏~夏場以外は基本マスク装着の生活をしていた(本当に今考えても真意が謎だが、予防でマスクしてると「なんでしてるの?」と謎の非難めいた言葉を浴びせてくる人がいたので、職場で仕方なく外したりはしていた)。インフルエンザの予防接種をし、外から出入り後と食事前は手洗いを励行。除菌ウエットティッシュや手指の消毒用アルコールも持ち歩いていた。現状から見たらその意識は全然薄かったけれど、この辺の行動は基本的に変わっていない。…というとものすごくきっちりした人ととられそうですが、ただチケットを無駄にしたくない、ライブを見たいと思っていただけなので別に褒められたことではない。しかし結果的に、その習慣のおかげでマスクや消毒スプレーの備蓄は常にあったのでマスクやらが品薄の時期もギリギリ乗り越えられた。マスクをするという行為に慣れていたし、その延長で手洗いスマホ消毒の頻度を上げるのも苦にならなかったのはよかった。「オタク行為となすびの花は万に一つの無駄もない」とはこのことですな。そんな日本語はありませんが。


 コロナ以降というか、今だって絶賛継続中で全然終焉が見えないけれど便宜上そう呼ぶけれど、生活習慣にマスク手洗いスマホ除菌も組み込まれていたので自然と頻度が強化された。それに加えての変化ということなら、帰宅したら基本すぐに風呂場へ直行するようになった。お風呂が苦手で、本当に面倒くさがりなので入るまで延々心の中でヤダモンヤダモンと暴れながらぐーたらし続ける(もちろん結局はちゃんと入る)のが常だったのに、帰宅即風呂場が習慣になった。汚れと菌を洗い流して、スッキリとして安心してご飯を食べたり、ダラダラするようになった。シャワーの時は帰宅したら直ぐに浴びれて楽だったけど、寒くなりお風呂を貯める時も、その待ち時間でダラダラしないように腰を下ろすのを自分に禁じている。ただ立ってるだけではもったいないので、洗い物や洗濯などの家事をして待つようになった。小腹を満たすために何か飲んだりつまむ時も、座らない。お湯が張れたら即入る。これは本当に良い習慣で、除菌という側面もあるけど洗い物も溜まらなくなったし、お弁当箱も忘れず洗えるし、何より先に風呂に入ることで残りの時間がすごく自由になる。今まで、風呂に入ることを渋る時間がいかに無駄だったのか知ることになった。今後もこれは継続したいな~と心から思っている。


 あと換気。あまり湿度というものに頓着がないので特に加湿などにこだわっていないが、都度換気をしたり気を回すようになった。室内干しで湿度はどうにかなっていると信じている。


 そして単純に睡眠時間が増えた。ライブやイベントがなくなり、友人に会う機会も激減し在宅時間が増えた。余裕ができたことに加え、何より「寝ることもコロナ対策」と大義名分を振りかざして寝るようになった。それでも平日はどうしても夜更かししてしまうのだけど(だって仕事と家の往復って何も刺激がないんだもの)。それでも以前よりははるかに寝ている。敷き毛布をかわいい柄のに新調した。本当は毛布も買い替えたかったが、ヒートテック?のを迷っていたら買い逃した。


 ごくごく質素な自炊は基本的にしていたが、きちんと八百屋で季節の野菜や果物を意識して買うようになった。時間ができたので新しいレシピに挑戦してみて、備えている調味料も少し増えた。お薦めはチューブ調味料。今はいろいろなものが出ていて、安価で楽しめるので本当にお勧め。基本のワサビやショウガ、柚子胡椒(好き)に加え、梅や刻みレモン・バジルペースト・しそなどがラインナップに加わった。自分の味付けに飽きた時もこれでだいぶ助けられた。栄養を取ってすやすやと寝る。おかげさまでこの一年、風邪もひかずに元気に過ごしている(気圧頭痛や生理痛など避けられないものはあるにせよ)。以前は予防していても年に2回くらいは風邪ひいていたのに。

 

 ものぐさなので運動は特にしていないけど、職務内容的にテレワークができないので出社しているのでそこそこ最低限の運動量は稼げている。とは言え、やはり確実に動きは鈍っているので、仕事後にライブハウスで何時間も佇んでいた体力はさすがになくなってしまった。最近は思い出したらストレッチとスクワットをしてるけど…。運動不足は今後の対策が必要だなあ…確実に肥えてるし。ここの改善が今後の課題だなあと思う。 

2020ベスト映画7


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   お恥ずかしい話ですが、私は映画館へ行く習慣があまりありません。映画館どころか、家で映画を見る習慣もほぼありませんでした。映画館は大きなスクリーンで集中できるけど、周りの他人に気を遣うし。かといって家では集中力が散らかりがちになるからです。でも今年はコロナ禍の影響で家で時間を潰さなくてはいけない日々が続きました。いえ、現在も続いています。ありがたいことにアマプラ・ネトフリなどの配信が充実していて、家でも無限に時間が潰せてしまう昨今。うっかりアニメ・声優沼へ入沼(存在しない日本語)したため、一番使った配信サイトは「Dアニメ」でしたが、それでも今年は人生で一番映画を見た年だったと言って間違いはありません。

 そして変な話ですがこんなご時勢だからこそ、映画館へも多く足を運びました。仕事の関係で平日に使える時間が増えたこと、また映画館が感染症対策を様々講じてくださり、平日の空いた時間ならばむしろ安心して劇場へ足を運べたからです。今までは冬に映画を見たくても、隣の人がゴホゴホしていると集中できないことも多々ありましたが、寒いくらいのよく効いた換気、おまけに1席空けの状況は、劇場側には本当に申し訳ないけれど見やすく快適でした。

 

 余談が長くなりましたが、そんなこんなで今年助けられた映画という娯楽。その中で琴線に触れたものを書き残しておこうと思います。配信で自宅で見たのも含まれているので、今年公開というよりはあくまでも【今年、私が見た作品】の中で、尚且つ【順不同】で挙げています。とはいえ、それでも最初に挙げた二つは甲乙つけがたいほどに私の中に焼き付いた作品なので、敢えてベストをといわれたらこの二つのどちらかになるなと思います。

 

・『初恋』

hatsukoi-movie.jp

 タイトルからさぞ純粋な作品なのでは?と思いがちですが、ヒロインは見た目こそ純情可憐ですがヤク中の援交女子。悪い人が沢山出てきて、沢山悪いことをして、人が山のように死にます。特に最後のユニディでの殺し合いシーンはすごくて、ユニディの可能性の強さに感動すら覚えました。

 全ての役者さんのキャラが立っていて一人一人について言及したいのですが、特に感動したのがベッキーです。私の中の理想のベッキーがいました!!!強くてかっこよくて怒るとヤクザすら手が付けられないほどの暴れ者が、大好きな人の前ではめちゃくちゃかわいくてその落差に目を離せなくなりました。恋人を殺された復讐に我を忘れたベッキーは悪魔に取りつかれたような形相を惜しみなく出しまくり、全ての場面が名場面という取れ高の高さなのですが、中でも「車のドアが開いてベッキーが降りてくる際、まずバールがアスファルトを擦る『チリッ』という音がする」というシーンが最高に好き!!!!!!!!!!あんなにかっこよく、惜しみない殺意を背負った登場シーンある??????日本映画史に残るシーンだと思います!!!!!!!!見終えると、自分の細胞という細胞の免疫が高まっているのを内側から感じ、直ぐにおかわり初恋してしまいました。ほんと最高!!!!!!!!!!丁度、コロナの走りで公開になった不運な作品ですが、これがあったからこそコロナ禍を走り抜けることが出来ました。また見たいです。免疫上がるので。

 

・『佐々木、イン、マイマイン』

sasaki-in-my-mind.com

 12月になって、ここにきてこんなに心に迫る作品に出会えるとは思いませんでした。全然ノーマークだったんですけど、信頼のおける友人から「すごく好きな作品に出会ったけど、正直勧めていいのかわからない……」という連絡が来たのでノリで行ってみました。前情報ゼロの状態で見に行き……劇場を出る時には「佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!」と全面的に佐々木に気持ちを支配され、口を開けば佐々木コールしか出ない状態。最初のシーンが最後に繋がるのですが、もう全然見えるものが違うんです……。全てのひっかかりに意味がある、無駄なシーンがない作品でした。佐々木、わけわかんないんですよ。粗野だし突飛だし。でも作中で少しずつ佐々木が紐解かれていくうちに、佐々木の心のひだに触れるたびに佐々木のことが好きになる。自分にとっての佐々木と向き合いながら作品を味わうような気持ちです。身近過ぎる『憧れ』って逆に印象は薄いけど、いつになっても心に鮮明に焼き付いてるものなのかもしれません。

 基本的に、エンタメは個人の好みだから好き嫌いはあると思っていて。万人に好かれる・支持されるものなんてこの世にはなく、自分が大好きなものでも、誰かには受け入れてもらえない・拒否されることもあって当然…と思っているのですが、この作品は「好き嫌いは仕方ないけど…でも否定されたくない……かなしくなるから」って気持ちです。


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あと、とにかくひたすらこのビジュアルがいいです。最高です。佐々木、永遠にインマイマインしたい。

 

・『君の名前で僕を呼んで

phantom-film.com

 気になってはいたものの劇場で見るチャンスを失っていたので、アマプラで鑑賞。……ときめきで死んでしまうかと思いました。主人公の青年、そして彼の過ごしたひと夏が、どこをとっても揃って瑞々しく美しい。美しいと美しいのマリアージュで苦しいほどです。タイトルの意味も…思い出してもため息。あとは何といってもエンドロール。こんなに美しいエンドロール、初めて見た気がします。

 

・『もち』

mochi-movie.com

 岩手の食文化保存の映画らしいのですが、限りなくノンフィクションに近いフィクションということで、キャストはすべて芝居経験のない現地の人。自然豊かな、言ってしまえば自然以外何もないように見える場所で、食文化という生活に一番密接なのに形に残しにくいものを作品として焼き付けています。廃校になっちゃう中学校の最後の一年を描いてるんですけど、もうね、もうね、淡い恋物語が!!!!!たまんねえっ!!!!思い出すとこちらが照れてしまう。特に祭りの前に浴衣着て、縁側で誰にも見られないように急いで鏡も見ずにリップを塗るシーンが……刺さりました。短いけれどこの上なくリアルで美しいシーン。いつかあったけれど、もう訪れることはない感情を思い出して心がぐちゃぐちゃになりました。「誰かのために装い、唇を初めて染めた日」のことを覚えていますか…?

 

・「2分の1の魔法」

www.disney.co.jp

 父親を亡くして、母親一人に育てられた兄弟。その兄弟が魔法を会得し、お父さんを1日だけ復活させようと奮闘するストーリー。お兄ちゃんはかろうじてお父さんの記憶があるんですけど、弟はないんです。自分も会いたいけど弟のためにもお父さんを復活させたいお兄ちゃん、いい奴なんだけどいかんせんバカなんですよね…。周りのみんなにバカにされてるお兄ちゃんと、そんなお兄ちゃんにやや嫌気がさしている弟。そんな二人の大切な一日の冒険。兄弟愛といえば今年は何といっても鬼滅の刃の炭治郎なんでしょうけど、バーリーは炭治郎みたいなかっこよくて頼れるお兄ちゃんじゃないけど、こっちのお兄ちゃんもやっぱりお兄ちゃん、なんですよね…。

 

・『ギブン』

given-anime.com

 友人に勧められてTVアニメシリーズを見て、その流れで劇場版も鑑賞。自分、一応バンギャの端くれなので、作中に出てくるライブハウスも見知ってるし、街並みも見覚えがあって。コロナ禍で既になくなってしまったライブハウスもあって、その意味でも切ない気持ちになりました。

 アニメの高校生チームの話もよかったけど、映画の大学生たちの話の方が好きで。ベースの春樹がけなげで、自分以外のメンバーが天才なのに、自分は凡人だと悩むところとかめちゃくちゃ共感してしまいました。ベースは…バンドの良心なので……。

 雨月と秋彦の、クッソ面倒くさくて現実なら絶対に嫌なんだけど、大好きで大切だからこそ傷つけあって距離を置かなくては立ち行かなくなる感じ、切なくて共感してキャパオーバーになりました。

 

【番外編】

・『泣き虫しょったんの奇跡

shottan-movie.jp

 藤原竜也さんが好きです(唐突な告白)。一時期は舞台にもこまめに通っていましたが、ふと検索してみたら映画出演作もほぼ観ていました。折角時間があるのだから、じゃあ出演作コンプリートしようかな!と思い、いろいろ見ていたその中のひとつです。

 正直、この作品に藤原竜也さんは友情出演でほんの3秒くらいしか出てこないんですけど、映画がすごく良かった。将棋はどうぶつしょうぎくらいしかできないのですが、何故か将棋の話、特に奨励会の話にどうしようもなく惹かれることが多くて。しょったんは実在の方をベースに描かれていますが、人間臭くてすごくよかったです。将棋って、一人じゃ強くなれないのがすごい面白い。

 

 細かいネタバレにある程度気を付けつつ、感想を書くのって難しい。特に映画の感想など書かないから多分魅力を伝えることが出来ないと思うけど、でもこれは自分の記録として残しておこうと思います。映画、面白いなあ。早く鬼滅の刃無限列車も2回目の乗車したいです。

 

【すきぴブログ】みんな伊之助のママになる~前知識なしで「鬼滅の刃劇場版」を見てコミック全巻予約の巻~


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 これは先日ガチャで一発自引きした伊之助です!!我が家に来たからには大切にするね♡ってつぶやいたら、友人から「それはリアルママの感情だよ」ってDM来ました。これがイノシュケのママ活か…(このブログはこのテンションにてお送りしています。ご了承ください)

 

【あらすじ】タイトルが全てで、それ以上もそれ以下もないです。ネタバレはしないように書きましたが(そもそもストーリーの話をしていない)、ネタバレセンシティブな方は読むのはおやめください☆※鬼滅の刃を全く知らない人でも読めます※

 

 

 

 10月半ば。予定より少し早く突入した繁忙期。トイレも行けない、ご飯も食べる時間がない。神経を使う業務がガッツリ増え、どこかでミスをしてはいないかと不安があるせいか、休日には家でただ横になるしかなかった。何かしようと思っても、逆に何もせず寝ようと思っても、バックグラウンドアプリのようにずっと脳裏で神経が動いている感覚がしてしまい全然疲れが取れない。寝ても起きても本を読んでもテレビを見てもSNSをいじってもその感覚は薄まらなかった。

 

 ……無理やりにでもどうにか一旦シャットダウンしたい。

 

 普段ならばライブへ行けば外からシャットアウトされステージに夢中になって、その後顔馴染みの友人たちと会話でもすれば一発で気分転換できるが、今この状況ではそれも叶わない。どうしたものかと困っているときに、TLを見てふと思いついた。

 

「劇場版:鬼滅の刃」を見に行こうかな~!

 

 世間は空前の鬼滅のブーム。コミックなのかアニメなのか知らないが、みんないつの間にか当たり前の顔をして「鬼滅の刃」を履修していた。公開初日を狙って見に行った人、いつ行くかワクワクしている人が我がTLという狭い世間でも沢山おり、ワクワクが満ちていた。いいな、なんか楽しそう。いつもなら流行りものに疎く初動が遅い(行動全般が愚鈍)ので気づいたころにはブームは過ぎていたり、変に斜構ってブームはスルーしてしまうことが多いが、こんなに一つのアニメ作品で老若男女が騒いでいるのは久し振りだなとさすがに思わざるを得ない祭り状態だった。「劇場版を見に行こう!」とは思ったものの、勿論、原作コミックもアニメも未履修。私がこの時点で鬼滅の刃について知っていたことは以下の通りである。

・主人公は炭治郎

・口に竹筒?を咥えた女の子は禰豆子(東京女子流新井ひとみさんがコスプレしていたのを見た)

・子供向けなのに残虐描写がある、らしい

下野紘さんが甲高い声の役をやっている

・泣ける

つまりはほぼ何も知らないに等しい状態だ。(予告だけは映画館でしつこいほど見させられた)

 

 どうやら劇場版はアニメの続きであるらしく、原作もしくはアニメを見ていくのが筋のようだったが今そんな余裕は一切ない。まあジャンプ連載漫画だし、子供が見ているのだから白紙状態でもなんとかなるのではないだろうか。今行かないと多分一生見ないままだ。それでも別に困らないけれど、こんなに疲れているのにせっかく重たい腰が浮きかけたのでこのまま劇場へ行くべきでは?

 

 念のため、私のことをよく知っている友人たちへ聞いてみると「行っちゃえ」とのことだったので、ええいままよとばかりに支度をして家を出た。東京の上映館では狂ったように上映回数が多いので、とりあえず電車に乗ってから間に合う時間を予約した。平日の昼間だったのでめちゃくちゃ空いていた。

 

めっちゃ面白かった!!!!(拍手)

 

 よくある「冒頭でさらっと世界観や登場人物の説明」みたいなプロローグはなかったが、見ているうちにストーリーに差し支えない程度に把握できた。知らない用語も出てくるが、そこは往年のジャンプ読者だったので難なくクリア。確かに残酷描写というものもあったが、特にしんどさは感じなかった。面白いじゃん。みんな号泣すると言っていたが、まあ自分は思い入れもないので泣かんよと思っていた。煉獄さんが本当に格好よく美しく潔く涙がにじんだ。そして追加で最後にまんまと泣かされてしまった、伊之助に。

 

 そう伊之助。泣かされはしたものの劇場を出るときには「伊之助、マジ意味わからん。マジ何なんだ?」という気持ちでいっぱいだった。何故かイノシシのお面をかぶって二刀流で戦っている剣士。最初はああいう造形の半獣キャラなのかと思ったが、作中のとあるセリフひとつでそうではないと気付けるのもうまいなと思った。劇場版で伊之助は特に目立つような活躍はしていない。初めて乗るのだろうか、汽車の中で他の乗客お構いなしにはしゃぎまわる伊之助に冒頭から正直引いてしまった。そもそもイノシシ頭だし、上半身は何故か裸。汚い声でギャアギャアはしゃぐ。注意されてもお構いなし。戦闘も自由。常識が通じない。言動全てが5歳児。落ち着きがなくて怖い。……正直好きにはなれないな、と思った。最後の伊之助のセリフには泣かされたものの、そのイメージは払しょくされることがないまま私は帰路についた。途中で用事があってタワレコによると、鬼滅の刃グッズがワゴンセールされていた。無限列車乗車前の私には風景だったそのワゴンは、乗車後の私にははっきりと風景から立ち上がっていた。気が付くと私は「意味わからん」「なんなんだ」「ないわ」と思っている伊之助のグッズを吟味し、ふたつ購入していた。

 

 そこからすぐにDアニメで鬼滅の刃全26話を履修。伊之助、本当の君を知りたいのとばかり伊之助の登場をひたすら心待ちにしながら見続けた。メインキャラの気がしたので直ぐに出てくるのかと思いきや、伊之助はなかなか出てこない。11話でやっと出てきたときには浴室で見ていたのだが思わず拍手してしまった。

 

 伊之助はアニメでもなかなかに謎だった。印象は劇場版を見た最初からほぼ一貫して変わらない。ずっと「意味わからん」と今でも思っている。しかしそれを遥かに凌駕して「かわいい」。伊之助は、かわいい。一生懸命生きていてかわいい。まっすぐでかわいい。わからないことに全力でわからながっていてかわいい。一度に一つの感情しか持てなくてかわいい。まるでティンカーベルではないか!!

 

 基本自信家で全力で猪突猛進していくのに、自信がなくなるときまでもまっすぐで全力だ。今まで知らなかった気持ちに触れた時も、その気持ちにまっすぐで胸が痛くなる。伊之助から目が離せない。純真キャラともまた違う、ちゃんと保身しずる賢いところもある。そこがまさに5歳児だと思う。自分を省みて反省をし、落ち込み、ごめんと謝る伊之助。えらすぎる。伊之助ができていることで私ができることがいくつあるだろうか。伊之助はまだまだ成長中、そう頑張ってる途中!!伊之助はエビ中イズムの体現者なのだ。

  

 こうして私は伊之助の魅力に侵食されていったのだが、そのツイートを見た友人たちから我も我も伊之助の女である…という反応があった。めちゃくちゃあった。なんだ~~~~みんな伊之助のママだったんか~~~!!!!

 

 映画を見てわけがわからない伊之助を知りたいと思いアニメを視聴したが、アニメを見ても伊之助はわけがわからないままだった。伊之助のことを理解なんてできないのかもしれない。伊之助は宇宙であり、ただこちらは伊之助を受け入れるのみ。伊之助のありのままを受け入れ成長を寿ぎ、応援するしかない……。アニメを見終えて私はコミックを探してみた。噂には聞いていたが本当に売ってなくて笑った(転売はあった)。電子コミックならば即入手できるが、スマホで長時間読むのがどうにも苦手なので迷いに迷った末、コミック完結全巻セットを予約した。最終巻までのまるっとセットだ。新品のコミックを23巻、一気に買い込むことなんて人生初めてである。発売日までひと月以上あるのに……今年のクリスマスコフレはこれに決めた!!!!!!伊之助と出会って9日目のことであった。

 

 

 もしかしたら発売すぐには届かない雰囲気なのですが(人気過ぎて)、まあそれも仕方ない。会うまでの時間も伊之助への想いを育てる期間と思えば苦ではない。好きな男からの返信がないとめちゃくちゃイラつく気質なのに、伊之助のことならいくらでも「全然オッケ~待つね☆」という優しい気持ちになれる。早く我が家に伊之助来ないかな~~~~♡伊之助と過ごす初めてのクリスマス、本当に楽しみ!!!!

【続】極私的「同人女の感情」のようなもの

 こちらのブログを公開してから、ひと月が経ちました。

yurivsky.hatenablog.com

 従来ならばライブやイベント後の御飯タイムで披露して終わるような話題のはずが、コロナ禍で友人に会えないから報告代わりにブログにまとめよ~っと思いついた記事でした。友達へあてて書いたものが、こんなにもたくさんの人の目に触れたことがとにかくびっくりです。このブログを開設して数年、コツコツと重ねてきたPVと同じ、いやもう恐らくそれを超える数になりました。自分の書いた文章がこんなに読んでもらえたことが人生で初めてで。縁がなさ過ぎて存在すら知らなかった「はてなのコール」という通知が来て(…これはなんぞ?)と首を傾げたり。一番笑ったのは友人の職場の方が読んでたという報告で、一番青ざめたのは昨日いただいた、たま~にお仕事を頂いている方からのブログ読みました報告ですね…。LINE見て白目を剝きました(失われる社会的信頼)。

 

    しかしこれだけ多くの人の目に触れると、却って反応が怖い……と思ってしまうのは私が長くTwitterという薄暗い場所に棲みすぎたせいでしょうか(でしょうね)。それでなくても全く馴染みのないジャンルの話を書いてしまったので、そちらの界隈の方にどう受け止められているのか予想もつかず、こわごわとブクマやRT先をそっと見に行くと……え~~~嘘!!そこはめちゃくちゃ好意的な感想で溢れていました。"神"の優しさを褒めてくれた人が大半で、そのお言葉にうんうんほんとそうなの、私の大切な人を褒めてくれてありがとうございます!!と目に入る度にリアルで声に出してお礼を言いました(「推しが褒められたらまずお礼」の精神)。自分もそういうことあったよ~という思い出ツイートにはその優しい世界に思いを馳せたり、自分も誰かにこういう気持ちになってもらえたら……と書いている同人活動されている方の幸せを祈ったり。

 

    あとお恥ずかしながら、私の文章を褒めてくれた方もいらっしゃって…んも~~~めっちゃ嬉しかった~!!!!!!(クソデカボイス)ぶっちゃけもういい大人なので、普段生きてても全く褒められないので素直に素直に嬉しかったです。でもって「あなたも同人誌書いちゃいなYO!」って書いてる人もちらちらいて…なんで同人創作好きな人はす~ぐ書かせようとするんだい?😂

 

 残念ながら全部は見れなかったけど……ってそんなに反応を貰えることがそもそもすごいことです。私はライブハウスのオタクなので「えっ!RT数が日比谷野音超えた!!!やべ~~~~東京国際フォーラム見えてきた!!」などとライブハウスのキャパに例えて喜びつつ、嬉しいのでいいね!したい気持ちをぐっと堪えて沢山感想をスクショしました(根暗)。サイレントいいね!ですね……。そしてもしかしたら私の”神”も私のメッセージをこんなふうに思ってくれたのかな~と、気持ちを共有できた気もしました。

 

 そう私と”神”(こう呼ぶのもどこか気が引けますが、便宜上こう呼ばせていただきます)ですが、送っていただいたお礼のメッセージのあともやりとりをしています。というのは……実は”神”は既にいわゆる「ジャンル移動」をされており……。この表現が適切なのか私にはわかりかねるのですが、今は新たな作品を推し増しされていまして。それは最初に”神”のTwitterを覗いた時にわかっていました。なのでこちらの気持ちをそのままぶつけるのはご迷惑なのでは?と思い、初手は匿名メッセージを使ってコンタクトを取った次第だったのでした。

 

 話を戻しますが、もう私は”神”のことがだいぶ好きになってしまったのですが(そりゃあこんなお気持ちでくるんでもらえたら好きになるでしょう。詳細は前ブログをご参照ください)、描きたいなというお気持ちはあるそうですが、そのきっかけの作品の新作はすぐには望めないでしょう。しかし、こんなに素敵なお気持ちを頂いたお礼がしたいという気持ちは膨らむばかり。”神”を応援したい。もちろん”神”の過去作はこれからも大切にしていくつもりですが”神”の未来も愛したい。だって私はもう”神”を推しているので……。そう、推してしまったんですよね。私は経験があるので知っていますが、推しは卒業しても推しなんですよ。一度推してしまったら、環境が変わっても応援したい、幸せを願いたいのがおたくという生き物。じゃあこういう場合はどうしたらいいの……?????

 

 

んんん~~~~!!じゃあもう【”神”の現ジャンル】に私が行けばいいんじゃ~~~~~ん!!!!!ハイ、解決~~~~~~~~!!!!!!(フッ軽オタクの脳を通さない脊髄反射)

 

 

 というわけで。私は”神”を追いかけて”神”の現ジャンルを履修しはじめました!!そう…私の故郷の村では【推しの推しは私の推し】という教えがあります。そうよ、私がそっちへ行けばいいのよ。その作品はアニメだけでも何シリーズもあり、劇場版もあるかなりのボリュームのある作品です。普通ならいくら私が暇でも躊躇しますが、好きな声優さんが出演してるから一緒に履修していいよという友人の後押しもあり、共にゆっくりと鑑賞しております。アニメのサブスクめっちゃ便利~~~!!ありがて~~~~!!何より今の私には、”神”のお気持ちに報いることがこれくらいしかない!!ので!!愛の重たいおたくの愛し方がこれだよ!!ごめんね!!でもこれしか推し方知らないのでごめんね!!!!それが例え一般の方でもこれが私の愛し方だから!!!!あきらめて!!!!好かれた時点で事故だと思ってあきらめてくれよな!!!!

 

 ………というようなこの話を神へ恐る恐るメッセージしたところ、めちゃくちゃ喜んでいただけたのでよかった。有り余るおたくの行動力にドン引かれなくてほんと良かった~~~~😂器がデカい~~~~!!(ひと通り見終えたら、"神"の作品をまた楽しみにできるのかな~。えへへ。楽しみだなあうっふふ~)

 

 このご時勢ではなかなかリアルな即売会に行くのも難しそうですが、たくさんの人が心を掴まれ情熱を走らせ感情を揺らしている「同人創作の世界」に少しだけでも触れられてよかった。コロナは私から日常を、ささやかな支えとなる楽しみを奪ったけれど、代わりに新しい世界を見せてくれました。是非いつか即売会に行ってみたいな~。

 

余談:タイトル勝手にお借りした「同人女の感情」改め「私のジャンルに神がいます」のコミック、まだ私は買えてなくて…。まさか売り切れるとは。油断してました。私の好きなおけパ中島さんが活躍しているらしいので読みたい~。特典欲しかったのですが無理かも~😢予約すべきでした~くやし~~~!!

 

余談2:最近は急に沼落ちした「伊之助のママ活」に勤しんでおります。新ママの記録も残しておきたいな~未来の自分のために。

 

という感じで、人生で初めての感情ばかり味わっています!!ではまた!!

 

 

 

 

 

極私的「同人女の感情」のようなもの

 これは『女子アイドルとバンドのおたくがコロナ禍で突然数年前のアニメにハマり、そのままの勢いで二次創作を漁りはじめ、人生で初めて「これは絶対に欲しい!!」と思った同人誌を手に入れた話』です。これは私の身の上に起きた実話ですが、私の視点からの一方的な話なのと、相手が特定されないようにぼやかしています。何よりこちらの方面に私が詳しくないのでそのあたりは何卒ご寛恕ください。 
 
 「同人女の感情」という作品は同人誌(主に原作ありきの二次創作本)を書いたり読んだりしている女性たちの様々な人間ドラマが連作で描かれている漫画で、最初目にしたときは「へえ~おもしろーい!こういう世界もあるのね…」だった。それを今読むと、まるで我が事のように感情移入してしまうようになってしまった、このひと月ほどの話を綴っておきたい。

 最初にも触れましたが私は女子アイドルとバンドのオタクをしていて、大体月に10回くらいはライブへ行き、長時間薄暗いライブハウスに佇むという生活をしていました。仕事でもないのに。しかし突然のコロナ禍により、私のそんなオタク活動の日々は急停止せざるを得なくなりました。
 
 今振り返っても、まるでライブハウスでウイルスが発生しているかのような、みんなの不安を紛らわせるための攻撃の矢面に立たされた報道には首をかしげるところもありますが、現実として余暇のほぼ大半を費やしていたことを急に取り上げられてしまいました。暫くは次々に投下されるアーティストたちの過去のライブ配信などを見て過ごしていましたが、世情はいよいよ厳しくなるばかり。そんな折、以前から布石はあったとあるきっかけから、本格的にアニメ声優沼へGO TOキャンペーンにより入沼(存在しない日本語)することになったのでした。
 
 今は様々な配信サービスがあるので、ステイホーム期間中の有り余る時間も自宅でアニメを視聴することでめちゃくちゃ充実して過ごせました。好きな声優さんがチラチラできたのでその人の過去出演作を追いかけたり、勧められた作品を見たり。時間系列も様々な作品を縦横無尽に走り続け、ステイホームで有り余るはずの時間はむしろ足りないくらいのみっしりした時間を過ごして居るうちに、私は数年前のとある作品に出会ったのでした。
 
 かわいく楽しく笑いもあるその作品をひと通り見ていくうちに、その世界観に妙にハマってしまいました。しかしそんな数年前の作品を見ている人は周囲に勿論いません。ああ、あの可愛さ癖になる独特のユーモア面白さについて誰かと分かち合いたい………。でも今更SNSでそういう繋がりを求めるのもめんどくせえ~~~~。そもそもそのコンテンツ終わって久しいし、今頃ハマってもどうしたらいいの~!と思いながらWikipediaやブログなどを見たりしているうちに気づいたのです。"二次創作"という世界に。
 
 知っている人にとっては説明不要のカルチャーなのでしょうが、私にとっては右も左もわからぬ未知の世界。いや、言葉というか概念として知ってはいたのですが、自分から手を伸ばしてみたのは初めてで。使い方もわからないそのサイトを、右も左もわからないなりに夜な夜な徘徊する毎日が始まりました(ちなみに本当にわからなかったので、友人にSOSを出して軽くレクチャーしてもらった)。
 
 イラスト、漫画、小説……。オリジナルもあるけれど、原作ありきの二次創作と呼ばれるものたちの多種多様さ。内容もほのぼの系からガッツリとボリュームのあるもの、R18まで何でもある。ほんとに何でもある。ほんとに何でもある!!(大事なことなので2回叫んだ)。人気の作品は毎日どんどん投稿され……なるほどこれは全部見るのは無理なのだと早々に悟る。そしてかなりの人たちはそのサイトで発表するだけでなく即売会で販売したり、同人誌を扱うショップに委託して販売しているようでした。
 
 余談ですが私は何も知らないティーンの頃に、当時大好きだったとあるバンドのいわゆるナマモノのBL(覚えてないけどR18的な内容だったんだと思う)を押し付けられて以来、BL特に二次創作というものには嫌悪感と抵抗がありました。大人になるにつれ嫌悪感は無くなったけど、二次創作への精神的な抵抗はめちゃくちゃあったのです。一生そちらに自ら手を伸ばすことはないと思っていたので、自分でもこれは異例の事態でした。  生活様式だけで飽き足らず、私の身体まで変えるなんて…………コロナ、絶対に許さねえからな!!!!(?)
 
 話を戻して、アニメを見てハマったいくつかの作品のタグを打ち込んではサイトを巡るのが日々習慣化してしまうほど二次創作サイトを楽しんでしまうようになったので、私もそう遠くない未来、いつかは薄い本を買うだろうと思うようになりました。読むだけなら、大部分はサイトで無料で楽しめます。しかし読むごとに湧き上がる作家さんたちへの【感謝】の気持ち。あなたたちが脳内で丹念につくりあげたモノを更に手間暇をかけ「形」として出力し、楽しませてくれたお礼に私ができることは、この薄い本を買うことしかないのです。ただせっかくなのでその最初の1冊は「作品もテーマも絵柄も内容も全部、心から納得した1冊にしたい」という欲張りな気持ちがありました。その運命の一冊を探しているような、そんなある日。ついに出会いは訪れたのです。
 
 サイトを巡るのにもだんだんコツを掴んできた私は、いわゆる「カップリング」での検索もするようになっていました。それはなんぞや?といわれるとまだうまく説明ができないのですが、より二次創作の世界を楽しむための暗号・呪文……みたいなものです。広大な海を無策で漕ぎ出しても、目的地へは到達できません。できたとしてもそれは単なるラッキーに過ぎないのです。確実に自分が求めるときめきへ到達するための地図、目印としてそういうタグがあるのです。要は「コ◎ンくんと灰◎哀の話が読みたい」のならそういう呪文を唱えれば良いし「工◎新一と毛◎蘭」がいいならその呪文を唱えればいいのです。便利だ!!一瞬で彼の地へ飛べるルーラみたいなイメージ。そしてその呪文はとても細かく細かく細分化されています。より自分の性癖…………好みへ到達するための呪文はかなりはっきりとしていて、だからこそひとつの作品の中で人気の呪文もあればマイナーなものもあります。
 
 どうやらここには、投稿している人の数だけ呪文があるようだな…?そういう理解をしつつあった私は、ある日今まで見たことがない新しい呪文を見つけました。めちゃくちゃマイナーや異端というわけではないけど、そこでは他に人気の呪文がいくつかあるし~、失礼ながらそこまで需要あるの?と正直思った呪文です。今まで注意を払ったことがなかった全くのNO琴線だったその呪文を何気なく唱え、出てきたサムネイルをスワイプしていくうちに「わ、絵がきれいだな~」と目に付いた作品を何気なくタップしたら。
 
 
衝撃だった。
 
 
なにこれ!!!!!!!!!!!
 
 
 元の作品では描かれてない(それはそう)(二次創作なので)ふたりの思慕が、くどくなくそれでいて納得できるバックボーンを持って丁寧に描かれていた。紙面から感じる説得力。作品を読んでいくうちに、ふわりとその余白が立ち上がったような感覚。R18のマークがついていたけど、描かれているのは多少えっちでも目に行くのはそこではなくて、ふたりを取り巻く細やかな感情のやりとり……。動揺しつつそのままその作家さんのページを開くと、他にもいくつかその関連の作品を見つけた。サンプルで載せているものも含めて全てひと通り読みつくし、ベッドに大の字に倒れることしばし。放心状態からまた最初の作品を読んでみる…。短いその作品を何度読んでも、読む度にわーーーって口に手をやるような気持ちになるし、読んでない時も思い出しては胸が苦しくなり。絵柄も綺麗で、オリジナリティもあって凄く好きだった。これじゃない?私が手にするべき人生最初の二次創作本はこれじゃないの???買っちゃお!!!も~~~~~~同人誌買っちゃお!!!(エンジンかかった時のオタク特有のフッ軽)
 
 ところがここで問題勃発。この作家さんのプロフィールにリンクが貼られていた通販サイトを見てみると現在は稼働していなかったのです。「忙しい時は閉めています」というメッセージ…。商品一覧を見ると何種類も置いてあるけれど、それが果たしてただお店を閉じてるだけなのか、もう在庫が無いのかまではわからず……。
しかも私が欲しいのは5年前の本。ないの?あるの?ないの?あるの?どっちなのーーーーーー!!!!!
 
 初めてのことに勝手もわからず悩んだけれど、居てもたってもいられなくなったの私は再度プロフィールへ戻ります。この方はありがたいことにTwitterアカウントと連動していたので、そちらを覗いてみると……。書き込みが動いている!じゃあここから連絡を取れば…!?でもいきなり知らんアカウントからメッセージ来たら怖いよね?と逡巡していると、この方は匿名メッセージアプリを設置していることが判明。これならワンクッションある感じだしいいかも!と、早速メッセージをしたためました。興奮していたので内容はよく覚えてないけれど「あなたの◎◎の作品を読んで感動しました。全然気づかなかったふたりの魅力を教えて下さりありがとうございます!!実は御本を購入したく思ったのですが、今は閉められていらっしゃるのですね。もし状況が落ち着いて通販を再開される暁には是非購入させていただきたいです」みたいな内容だったと思います。私はよくファンレターを書くタイプのおたくなので、ここで今までのスキルが生かせました。「なすびの花とオタ活には、万に一つの無駄もない」とはこのことか。
 
 メッセージを送ったその翌日か翌々日にそっとその方のTwitter見に行ったら「めちゃくちゃ嬉しいメッセージを貰ったので通販再開しました!早速ご注文もいくつかいただいてて、ありがとうございます~」とのツイートが。えっ??????マジ???慌ててサイトへ走る。わ!わ!ほんとだ再開してる!!でも欲しかった本は在庫無し………そりゃそうか5年前のだもんな…。残念。でも神絵師(以下、神)のお気持ちめちゃくちゃ嬉しいでは無いか!よーーし買うぞ!!もうこの人の本を私は買う!!!!!!決めた!!!!!!!
 
 めあての作品は数種類在庫があって、よくわからなかったけれど両方買うことに。だってわざわざお店を開いてくれたそのお気持ちが嬉しいじゃない。サイトの仕組み?もよくわからんけどとにかく在庫のある内にと注文を済ませ、その後にまた匿名メッセージにて「先日メッセージさせていただきました者です。通販再開してくださりありがとうございます。残念ながら一番最初に拝見した本は在庫無しとのことでしたが、他の本を購入させていただきました(その最初に惹かれた作品の感想を綴る)。私にとって初めての同人誌です。とにかく楽しみにしていますー!!」という旨を綴って送信。
 
 ひと仕事を終えた充実感に満足しフワフワして気づかなかったのですが、ふと通販のメールを見たところ(ちなみに匿名で売買できるシステム)「大変失礼ですが、匿名メッセージを2度送っていただいた方ですか?ご迷惑でなければ教えて下さると嬉しいです」という返信が。えー!!!神が私を探している………???
 
 再びぎゃー!!!となりつつも、隠すことでもなかったので慌ててカミングアウトの返信をすると、翌朝、神から長いメッセージが来ておりました。
 
 神曰く、メッセージとても嬉しくてどうしても直接お礼を伝えたかった。長く同人活動をしているけど、1番長く大切にしたカップリングだということ。過去の作品は今見ると技術とか稚拙で恥ずかしくて消したくなる時もあるけれど、あなたのように誰かに今刺さるということもあるなら上げていてよかった。初めて手にしたいと思った同人誌が私の本ということが嬉しい!というような事が丁寧に綴られておりました。
 
神ーーーーー!!!!!😭
 
 その方が結構長く活動されているのかな?ということは、サイトの投稿日時を見てなんとなく察していたことでした。活動の規模まではわからないけれど、ある程度の年月を同人活動にいそしまれていたのなら(私がひとめぼれしたのだから、過去にもそう言う人は居ただろうし)、きっと今までもたくさんの誉め言葉をいただいていることだろうと思ったのですが…。それでも通りすがりに投げかけたこちらの気持ちに、こんなにも心寄せてくださったとは。感激。
 
 その後すぐに発送のお知らせが来たので、私の返信を待って送ってくれたことにも優しさを感じまして。私もまた自分語りを織り込んだクソデカ感情を長文にして感想を送りつけ、今日届く本を楽しみにしてますね!とか書いたりして。改めて自分が送ったクソデカ感情長文を読み返して恥ずかしくなっていたところ、商品が届いたので即開封!!
 
 丁寧に水濡れ防止の梱包された本を取り出したら……なんとお手紙がついていて………。写真見せたいくらい、かわいいそのキャラのイラストが封筒に!!
もうこれ実質あれじゃん、噂に聞く"スケブ"(即売会で同人誌買ったら、持参したスケッチブックに絵をねだってもいいみたいなオタ仕草)では!?!?慌てて封を開けると、中にも丁寧なお手紙が。え~~~~~~~もうこれスケブ超えてない???ちょろっと同人誌買っただけでこんなに感謝をいただいていいの????
 
 
しかしここで話は終わらない。
 
 
お手紙を早く読みたい気持ちと、早く本を読みたい気持ちで手紙を読みながら梱包をといたら、ら、
 
 
頼んでない本も入っていた。
 
 
 そう。私が一番最初に触れた神の作品。心臓がギュとなって、内容覚えるくらい読みに行った、人生で初めてこの同人誌が欲しいと思った、でも在庫がなかった作品。ありがたいことに今は全編をウェブに上げてくれているから、上げてくれている限りはいつでも読めるからと思った作品。連作なので2冊。それが入っていたんです…………。「サークル保管分で読んだりしたので綺麗なものでは無いですが、お手元に置いてください」というメッセージと共に。
 
 
か、神ーーーーーーーーー!!!!!!?????😭😭😭😭😭
 
 
こんなのされたら、好きになってしまいます!!!!!神!!!!!!神!!!!!
 
 
 昼間っから泣いたよね………そりゃあ泣くでしょこんなサプライズ。だって私たち、出会ったこともないのですよ?私はこの方にほんの少しのお金と引き換えに、素敵な作品ととんでもない大きな愛情をいただいてしまったのですが??????えええ????夢?夢ならば覚めないで……と願いましたが、見事に夢ではなかったのでその本は今でも私の手元にあるのです。
 
 宝物が一気に3つも増えてしまった。買った本と(もちろんこれも本当に装丁含め素敵だった…)、頂いた本と、大きな愛情。
 
これが私の、極私的「同人女の感情」ストーリーでした。
 
現実にはここからまた少し続きもあるのですが、それはまたいずれ何かの機会があれば…。
 
ご清聴ありがとうございました。
 
 
 
タイトル(勝手に)お借りした「同人女の感情」はこちらから読めます!

www.pixiv.net

単行本化も決定!ってすごい~!!

 

 
 
 

パノラマパナマタウン『PPT Online Live「On the Road」』2020/08/16at.新宿ロフト(Streaming+)


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バンドにとっての「試練」というものがあるならば、それはそのままイコールでファンにとっても試練なのだと思う。身に降りかかる全ての事を見せてくれているとはこちらも思っていないが、不思議なことに、丁寧に隠したつもりの不安でも何となくかぎ取れてしまうことだってある。

 

2020年はきっとほぼ全てのバンドマンたちにとって「試練の年」だと思う。リリースベースで活動している人たちですら、全く影響がないとは言えないだろう。ましてや、ライブ活動に大きな比重を置いて活動していたら大打撃といっても過言ではない。そしてその状況は残念ながら現在も大きく好転はしていないのが正直なところだ。

 

それに加えてというか、実際に順序は逆になるが、パノラマパナマタウンには年明けの1月半ばに行った恵比寿リキッドルームでのワンマン公演を境に大きな出来事が二つもあった。ボーカル岩渕の喉の手術と、メンバーの脱退。

どっちか一つだってかなりの深刻な出来事なのに、続けて二つも報告されたこちらとしては重くて大きい事実にあらあらというしかなかった。最初から自分に出来ることなんて何もないのだけれど、ただまたバンドとしてステージに立つその日を静かに待つしかなかった。

 

再出発のステージは4月の日比谷野音になるはずだった。失礼を承知で言えば、ちょっと大きすぎるのでは…とも思った大きなステージ。でもそれは、彼らを支える人たちが彼らに託す願いの大きさだったのだと思う。再起のステージに花を添えるべく集まってくれたゲストのバンドたちもきっと同じで。そんな新しい旅へ出る餞のステージでもあったライブも残念がららコロナ禍で中止になってしまった。

 

大層落胆したのかと思いきや(したとは思うけど)、そこからメンバーたちが始めたのは配信だった。記憶が曖昧だが、最初は雑談のインスタライブ的なものだったと思う。誰もがしているそこからいつしか、配信は曲を作る過程を見せていくという確固とした目的があるものへシフトした。デモの状態の曲を観客に聞かせ、どれが良かったか聞き、次回はまた少しアレンジを加えたものを聴かせる。それを繰り返して曲が磨かれ仕上げていく様を見られるのは新鮮で貴重な時間だった。本人たちはもしかしたら「どうせなら毎週やっている成果を見せられれば」くらいのきっかけだったのかもしれないけれど、見ているこちらとしては自然と曲へ愛着が湧いていく時間だった。普通なら「新曲です!」と完成した曲がライブで差し出され、何度も披露されている内にこちらにも情がわき、本人たちもアレンジを加えたり演奏に慣れたりして曲がこなれていく。その育っていく過程が配信で味わえたのは面白かった。この日の配信ライブで初めて披露されたいくつかの新曲たちが、耳馴染みがあり愛着がある形で出てくるのは不思議な体験だった。

 

前置きが長くなってしまったけれど、そんな変化と試行錯誤を越えて、越えてないな。抱えて挑んだ配信ライブがパノラマパナマタウン『PPT Online Live「On the Road」』だったと思う。

 

新宿ロフトのステージではなくフロアに向き合うように並べられたバンドセットが映し出され「SHINKAICHI」からスタートした。この日のために用意されたかのような曲だと思った。新しい場所へ踏み出す曲。この曲から始まる印象的なライブが前にもあったような気がする。その時も「今日にふさわしい曲だな」と思ったけれど、この日もまた、この曲以外にないなという気持ちでいっぱいになった。節目をいくつ迎えても、聞くたびに背筋が伸びるような曲があるのは強いなと思う。いつものことだけど、ドラムへ向けて三人が集まって弾いているところを見て胸が跳ねた。これがすごく好きだ。客席からは窺い知ることができない、ドラムだけが見られる顔。

1曲目からフレームアウトするほどの勢いはそのまま曲を繋げていく。「Top of the Head」の”思いもよらぬほど素晴らしい明日が俺らには待っているはずだろう”という歌詞が深く説得力を持って刺さる。その後の「フカンショウ」も凄味すら感じるほどだった。激しいのに安定感がすごい、全体の重心が低く感じる。一音一音が踏みしめられているかの如くしっかりとした重さを持って画面の外へ届いてくる。新曲と既存曲を挟んでも勢いが落ちない。不安がない。ここには今、本気の人しかいないのだ。照明も音響もカメラも全て味方にしているのを見て、部屋に一人なのに自然と言葉が漏れていく。

 

この日一番私が聞きたかったのは「ラプチャー」だった。事前のリクエスト企画でもこれを出した。はじめてのアニメ主題歌だったり思い出もあるし、歌詞も曲も凄くいいのに、ちょっと雰囲気がありすぎてセットリストのどこへ入れるか座りの難しい曲だなあという感じがして、最近あまりお目にかかれていない気がしたからだ。なのでイントロが流れてきたときはめちゃくちゃ興奮したが、それをごりっと抑えて集中して見入った。紅い照明に均等に照らされた四人を息をつめて見た。この曲が聞きたかった。激しさと強弱、サビ前の印象的なベースのフレーズ。2番に行く前のギターもすごくかっこよかった。

今まで見た中で一番のラプチャーが更新され、というかもっと評価されていい曲では…こんなエンジンを積んだ曲なのかと改めて感じた。凄い。曲が進化しているというか、深度を増している様に思った。

 

聴きたいと熱望した曲が聞けたので脱力しそうになりつつ、間髪入れずに「Rodeo」が始まる。楽しそう!ハイカロリーな曲だけど、自由に好きな感じで楽しんでいるのが伝わる。と思ったら「テーマ」で急に手綱を緩めたり。緩急がすごい。あちらからはこっちは見えていないはずなのに、反応がわかっているかのようだ。

 

ライブを見終えて一番に思ったのは「こんなセトリでいいの?」だった。新旧織り交ぜて自由に、本当に直前までの自分たちをありのまま投影している。このライブはまるでドキュメンタリー映画のような感覚だった。カメラが映し出しているのは新宿ロフトだけど、これまで立ってきたステージ流れていった風景までも織り込んだ手触りのあるステージだった。どこを切り取っても画に力がある。フロントマンの岩渕くんだけでなく、いやむしろいつもその両隣にいる浪越くんとタノくんの方が滾っているような気さえした。ライブをしたいという本気が満ちていて、「ライブがあってよかった」と一気に吐き出した岩渕くんの言葉に凝縮されていたように、3人はステージを求めていた。ライブという日常を奪われて、枯渇して求め続けることはこんなにもステージへ向かうパワーになるのか。ここに観客がいるいないはなんの作用も及ぼさないと感じた。逆に観客がいないことが却って変にエモーショナルに流されることもなく、3人のただライブが楽しい!というプリミティブな喜びがこちらにダイレクトに伝わってきたのかもしれない。喜びとともに、しっかりと地に足をつけてリスタートを切れたのが、新章へ踏み出せたのが見てとれた。フロアライブで向き合いお互いの顔だけを見、お互いの反応だけを信じて進めていくライブは、迷いがなかった。正にこのライブ中に新しい所へ踏み出したという気がした。

 

コロナ禍でメンバー同士も顔を合わせることができないまま、生み出された楽曲たちも織り込まれたセットリストだったけれどとても自然だった。むしろ育っている気すらした。生まれるところから見せてくれたから、こちらも親愛の気持ちで迎えることができたのだと思う。コロナ禍がなかったら生まれなかったかもしれない曲たちを愛し育てている気持ちが伝わってきた。

 

ライブをめぐる環境は正直2月からたいして変わっていないように思うけれど、それでもひとつずつ気持ちや環境を立て直しながら進もうとしている姿を見られたのも嬉しい。こんなに心躍る配信ライブはなかった。そこに私が見たい3人の姿があったからに思う。サポートドラムの大見くんは旧知の仲ということもあり息もばっちり合って自然だった。岩渕くんの喉に関しては本当に忘れるほど何も不安がなかった。余計な迷いがない頼もしさに溢れていたステージを目撃出来て、この夜は深く眠ることが出来た。生の感動へ及ばないのはわかっているが、それでもしみじみと余韻の残るいいライブを目撃出来たという幸福感に全身を満たされて。

 

【セットリスト】

1.SHINKAICHI

2.Top of the Head

3.フカンショウ

4.C’mon Future

5.いい趣味してるね

6.Dogs

7.ラプチャー

8.Rodeo

9.パノラマパナマタウンのテーマ

10.ロールプレイング

11.SO YOUNG

12.エイリアン

13.俺ism

14.MOMO

 

 

 

 

【余韻】を噛み締める~4ヶ月振りに推しのライブへ行った話

このブログが世に公開されているということは、恐らくあの場所で新型コロナ肺炎のクラスタは発生しなかったということでしょう。非常に安堵している自分が浮かぶ。同時に、好きな人を見に行きその場所で生まれる音楽を楽しみたいだけなのに、何故それが許されないんだろうと非常にやりきれない気持ちに捕らわれる。

7月も終わりに近づいたある日、とあるジャズライブを見にジャズバーへ足を運んだ。4ヶ月振りの生ライブ。日常のひとコマだった「ライブへ行く」という行為が久し振りすぎて前日から謎に緊張した。日本でも有数の、いつもなら人が溢れるその街も雨も手伝ってか人通りは少ない。雑居ビルの小さなエレベーターでバーへ入ると、そこはもう結構な人数の人が開演を待ちわびていた。「結構な」と書いてしまったけれど、実際はそうでもない。店内を歩くのに特に支障はないし、キャパシティを考えれば半分以下での人数である。ただこのくらいの密集度でも「密だ」と感じるように変えられてしまった自分の肌感覚に驚く。人はたかだか数ヶ月でこんなにたやすく感覚が変容するのか。

奥の方へ進むと顔見知りの人たちが数名いたので声をかけ、再会と無事を喜び合う。本名すら定かではないがよく顔を合わせる人たち…だった、数ヶ月前までは。そう、自分が職場以外の人と顔を合わせるのは主にライブハウスという場所だった。待ち合わせをしなくてもライブがあれば自動的に集まる。それが無いだけで、もう永遠に逢わないことも有り得るのだなと改めて思う。

 
楽しみだった、久し振りの生ライブはあっという間に終わってしまった。始まる前は「どんな風になるんだろう。感激して泣いちゃったりするかな~」などとのんきに思ったりしていたがそんなことは微塵も無く、ただ楽しく幸せなうちにライブは終幕した。普通のライブハウスよりもアットホームで、そもそも入場してすぐにライブをする本人と顔を合わせ、何気ないいつもの会話を交わしたおかげか、本当にいつもの楽しいだけのライブだった。ただ暫くライブに行かないうちに「ライブ脳とライブ筋」は著しく衰えたようで、たかが2時間半くらい立っていただけでライブが終わった瞬間から足腰はしんどいし、何をやったかも何を言ったかもほぼ覚えていない。ただ歌う本人が心底嬉しそうに、今世界で一番俺が幸せ~という顔をして大好きなメンバーの名前を何度も紹介し、愛してやまないジャズナンバーを唄っていたことしか思い出せない。なんて幸せな記憶。
 
翌日は仕事がたまたま休みだったのだが、本当に休みでよかった。私は心身共に疲れきりひたすらに横たわって過ごした。フワフワしてるが、静かな熱に満ちていた。これが本当の【余韻】なのでは?と、妙にクリアに納得した。
 
正直どこか気が進まず無観客の配信ライブはあまり見ていないが、どんなに大好きなバンドでも「物足りない」ものだと気がついた。それはライブの出来不出来ではない。確かに、ごく小数であれ観客を目の前にしてライブをしたら、演者の気持ちは盛り上がるだろうし、ステージが帯びる熱量も格段に変化するだろう。でも自分が感じたのはそこではない。完全に観客側の気持ちの問題だ。見られてよかったな!という気持ちは湧いても、それは《体験》にはならない。今まで日常的に得ていた「ライブを見る」快感は、ライブを見たという《記憶》に付随する細かな気持ちや風景があってこそなのだ。記憶が《体験》になるためにはむしろステージ以外の様々なノイズが必要で、でもその余計な情報こそがライブを見たという事実をくっきりと縁取る。

「ライブへ行く」は数時間ライブハウスにいるだけの時間ではなかった。朝、ライブへ行くことを含めて身支度をすること、チケットを確認しながらライブハウスへ向かい、ドキドキしながら開演を待ち、ライブを楽しみ、知り合いがいれば会話を交わし、帰宅する電車の中で気だるい足腰を持て余しながら今日の光景を思い出し、寝る直前まで満たされた気持ちを何度も反芻することまで全部含めてが「ライブへ行く」を指していたのだった。もっといえば、チケットを手にした瞬間からもうライブ体験は始まっているのだろう。家で見る配信ライブがどんなに優れていても、画面を消した瞬間に余韻は確実に遠ざかる。家は自分にとって生活の場所。日常からひと時抜け出して特別な場所に行きたいと思う自分の希望とは重ならない。
 
しかし、これからはきっとこういう気持ちと折り合いをつけていかなければならないのだろう。元の世界には戻らない。戻るとしてもきっと想像よりも長い時間がかかる。逆に当たり前のように配信の環境が整うようになれば、なかなか事情が許さない人であってもライブを視聴することが出来るようになるだろうし、新しい価値新しい体験を生み出すことにも繋がる。むしろ今までの方が不均衡であり、これから均されていくのだとも考えることが出来る。
 
環境や考え方の変化は歳をとるごとになかなか難しくなるけれど、自分の愛した趣味においてはそうも言っていられなくなってしまったなと思う。柔軟に視点を変え、姿勢を変えなければいけないのは、ステージの上も下も同じだ。ステージに立つ人がステージを諦めない限り、きっと自分も愛情を注いでいくだろう。どこに愛情を注ぎ、何を求めていくのか。その取捨選択の基準は変われども、そこに賭ける想いが変わらない限り。

CBCラジオ:BOYS BAR(S)で白井悠介さんがセレクトした曲まとめ

詳細は別のブログにしたためるとして手短に概要を説明します。
コロナ禍における影響で、私の日々の労働及び生きる理由及び人生における最重要事項であるところのライブが、ライブハウスが、まるでウイルスの発生源のように扱われてしまいました。私の日常は一気に味気ないものに…なるはずだったのですが、不思議ですよね。ぽっかり空いた時間と心の隙間を埋めるものが即現れました。人生初、声優さんに急にハマるというオタク人生の緊急事態宣言が出され、空いた時間の全てを費やす勢いでその方の出演作を延々見ておりました。私はこんなブログを書いている通り、音楽を聴いてはライブへ行くことが好きです。アニメはたま~に見てましたが、声優さんの名前を気にしたこともあまりありません。なので今は目の前に広がる果てしない声優沼を前に「……声優さんを応援するってどうしたらいいの?」という気持ちで呆然としてます。女子アイドルとバンドのおたくしてた経験が一切活きないの!手がかりゼロなの!!逆にすごい!!
 
勝手が違うにせよ、その人となりを知るためにはインタビューを読むのがいいなと常々思っていたので今回も検索しました。早速のカルチャーショックです。音楽家に関するインタビューならド定番・ド鉄板の「どんな音楽を聴いてきましたか?」がないんですよ!いや、音楽家じゃないんだからそりゃそうなんですが。でも好みに偏りはあれど音楽ファンの端くれなので、どんなひとでも好きになったら何聞いてるか気になるんです!もはやこれはサガであり業。
 
しかしインタビューでその流れになっても、ガッツリとカットされてるのを見て心が折れておりました。「カラオケでRAPとか歌っていたので、その経験が作品に活きたのかもしれません」そこ!今!何を歌ってたのか聞くところでしょ!!!とスマホ片手に力尽きた私に差し出された一筋の光明。その声優さんが出演しているラジオのブログを見たら、一緒に出演されている寺島さんという声優さんと交互に毎週1曲ずつセレクトして番組内でかけていることを発見!
 
 
これだ。
 
 
というわけでそのブログをざざっと掘りました。見落としもあるかもしれませんが、とにかく掘りました。こんな情報誰が知りたいの?って、私が知りたかったので満足です。掘り出した順番も適当です。白井さんのことはほぼ何も知りません。あ、遅ればせながら今回の沼の発端は、白井悠介さんという方です。「声優沼」のほとりで足首くらいまでつけてキャッキャしてたら、急に引きずりこまれました(心象風景)。
 
繰り返しますが、白井さんのことはまだ何も知りません。それでも45曲並べれば、見えてくるものはあるんですよきっと。仕事で音楽に意識的に接しているわけではない方が、ラジオでかけよう!と思うくらいのものです。一瞬でもきっと琴線にしっかり触れたものなのでしょう。
 
※ヒプマイその他、白井さんご自身が出演してる作品の曲と思われるものもありましたがそれは除外してます。繰り返しますがアニメ詳しくないので、他にもあるかも。
 
※アニメタイアップ曲
 2020/06/17付
 

NIRGILIS「SNOW KISS」

 

ストレイテナー「冬の太陽」
メレンゲ「シンメトリア」
岡村靖幸w小出裕介「愛はおしゃれじゃない」
 
Base Ball Bear「ドラマチック」
斉藤和義「月光」
ブンブンサテライツ「A HUNDRED SUNS」
HOME MADE 家族「少年ハート」
 
HOME MADE 家族「ホームシック」
 
・SouL'd OUT「COZMIC TRAVEL」
・池毅「バーニングラブ」
 
FIRE BOMBER「突撃ラブハート」
 
山形ユキオウイニングラン!-風になりたいー」
 
アジカン「ループ&ループ」
・サザン「Bye Bye My Love」
 
・サザン「クリスマス・ラブ
 
 
 
・シュノーケル「100.000hp」
 
・[Alexandros]「ワタリドリ」
 
レミオロメン「蒼の世界」
 
森山直太朗「星屑のセレナーデ」
 
・MIO「MEN OF DESTINY」※
 
佐々木李子「酩酊」※
 
米倉千尋「10 YEARS AFTER」※
 
 
・DA PUNP「All My Love To You」
 
スキマスイッチ「晴ときどき曇」
 
・FLOW「SUMMER FREAK」※
 
・Gerry And Pacemakers「You’ll Never Walk Alone
 
有坂美香「月迷風影」※
 
Hemenway「Shifting」
 
King Gnu「白日」
・SHO「ボウズにヒゲ」
 
・SHO「ガイシューツはやめろ」
 
新居昭乃「VOICES」
 

ROCKY CHACK「リトルグッドバイ」※

 

・LAST ALLANCE「HEKIREKI」※


【PV】Hekireki Sub Español - LAST ALLIANCE

 
 
Fire Bomber feat.MYLINETENIUS「MY FRIENDS」※
 
 
・Shiggy Jr.「ピュアなソルジャー」
 
以上になります。
これをブログにしようと思ったのは、このShiggy Jr.「ピュアなソルジャー」が番組で紹介されていたからです。私はこのバンドがとても好きです。残念ながら解散してしまいましたが、今でも自分のとても大事なところにこのバンドはいます。

yurivsky.hatenablog.com

 この曲を白井さんが紹介していまして、たまたま事務所に行ったときにかかっていたのを気に入って調べたそうなんですけど、偶然なのですが白井さんが出演されていた「リルリルフェアリル」という作品のエンディングにシギーは「key of life」という曲を提供をしていたんですよね。初めてのアニメタイアップだったので、めちゃくちゃ嬉しくて女児向けのアニメだったけど見てたなあと当時を思い出して、懐かしさに胸が痛くなりました。そのことを白井さんは今回初めて知ったそうですが、わ~こんなことあるんだな~と。
 
いい楽曲はバンドがなくなっても残るし、それを聞いてまた新しい誰かが「いい曲だ!!」って思ってくれるんだなあと。久し振りに大好きなシギーのことで盛り上がれたので凄く嬉しくて…その喜びの発露がこのようなまとめブログに結実した次第です。だって…応援の仕方わからんのだもの。
 
今後私はこのまま声優・アニメオタクになるのかどうかはわかりませんが、ライブという大好きで大切なエンタメが取り上げられてしまっても、とりあえずは健やかに楽しく生きております。どうかご安心ください。ではでは。
 
余談ですが、まとめてはいませんがラジオの相方の寺島さんのセレクトの方が私の好みに近かった気がします…余談終わり。
 

宮川純・荒田洸・新井和輝セッションライブ 2020/1/6 at.Jazz Live Alfie


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 新年あけましておめでとうございます(と、言っていいのか微妙な時期になってしまいましたが)。このブログを開設して早4年、年々減り続ける記事数に「自分の著しいブログ離れ」を感じずにはおれません。趣味なのでいいんですけど。

 どうも自分はブログに対してすごく真面目に取り組みたいと思っている節があるようで、何度も読み返して推敲して、且つ気が乗らないと上げない。なので下書きに死んだ記事が累々と並んでいる。それでこのレベル?と言われると素直に謝るしかないがとりあえず今はほっといてくれ。それでも書くのは何故かと言うと、気持ちが動いた瞬間を忘れたくないからだ。年々本当にあっという間に記憶が薄れていく。幸せなことに日々新たな刺激があり、心を動かされる。それに気を取られているうちに、忘れたくないと思うことすらも忘れてしまう。

 それはあんまりじゃないか、ということで2020年は行ったライブの感想くらいはブログに残そうという目標を立てた。簡単でいい。人から見たら分かりにくくても仕方ない。ツイッターに流したことの再構築でもいいから自分の為にログを残そうと思う。きっかけがあれば記憶を呼び起こす手助けになる。未来の自分の為にちょっと頑張ってみようと。

 

 長い言い訳は以下の本題の前置き。本題はあっさりです(当社比)、すいません。さて、謝ったので堂々と本題へ行きます。

 

 2020年が始まり、今年の弊社仕事初めは1/6でした。仕事初めであり、且つ同日に迎えることとなった推し事初めは六本木のJazzバーAlfieにて、宮川純・荒田洸・新井和輝のお三方によるJazzセッションでした。

 

 普段は「汚ねえライブハウス」by.Yonce に生息している、実年齢が社会経験に比例しないタイプなので、相変わらずJazzバーって勝手がわからずド緊張するのですが、推しのいるところに行けるなら行くだけという身上なので緊張は押し隠してしれっと向かう。受付して先に精算を済ませ、席へ案内された。薄暗い店内は酒ビンが立ち並ぶバーカウンターと、椅子の並ぶフロア。最奥にグランドピアノとドラムセット、ウッドベースがセッティングされている。一段高くなった場所にもカウンターや椅子が並び、40~50席くらいは用意されていた感じでした。私はカウンターに案内されたのですが、その奥に結構しっかりとしたPA卓があり。目の前でバーテンダーさんたちが美しい所作でひとつずつ丁寧にドリンクを作っていくのを眺めたりなどしていると開演。

 

 本日は2ステージ制で、それぞれ45分程度のステージの間に30分休憩という構成。

 

 ピアノ、ウッドベース、ドラムという組み合わせで、1ステージ目は静かなバラードの印象が強めの4曲演奏。休憩挟んで2ステージ目は、今回はボーカルレスかと思いきやドラムの荒田さんがボーカルをとりながら叩いたり、あと飛び入りゲストが沢山で対照的に賑やかに。荒田さんいわく「新年会!」というくらい、レアで新鮮なセッションが繰り広げられてたのでした。

 

 WONKのドラムの荒田洸さん、ジャジーなのにどこかポップなドラムでびっくりした。専門用語はわかりませんが、ジャズでドラムって撫でるように叩く時あるでしょ(伝わるかな…)。あの時もポップで楽しい感じ。

 宮川純さんのオリジナル曲よかったー!ピアノの人が作るから当たり前なのかもだけど、ピアノが後ろからふわーっと現れてくっきりしてまたすっと空気に馴染んでいくみたいな。わからないですよね。そんな自在に操る存在感が印象的でした。
 そしてベースの新井和輝さん。King Gnuとは違う新井和輝さんすごくよい~。荒田さんの繊細なハイトーンボイスと優しく並走する新井さんの低音ウッドベース最高~!!縁起物~!!ボーカル有り無し、どっちも一度のステージで聞き比べができて贅沢だった。ずっとそれをしてみたいと思っていたので、叶って嬉しかった。

 ボーカルは荒田さんもだけど、遊びに来ていたWONKの長塚さんShunske'Gさんが飛び入りで歌ってくれたのでこれも贅沢。いろいろな声とのハーモニーの聴き比べが出来、幸せなひと時でした。近いので、ボーカルにふわっとウッドベースが寄り添う感じが超わかって気持ちよかった…。ボーカルレスで、テクとテクで殴りあってる感じも好きですけど!!

 他にもものんくるの角田さん、MELRAWの安藤さん、WONK江崎さんも加わっての贅沢セッション。Sax入ると急に華やかになる。宮川さんと江崎さんの連弾セッション、音が細かく感じた。やってる2人がはちゃめちゃに楽しそうで夢中で、見てて体が動く感じでした。

 

新井さん「ここは初めてライブやるんですけど、エレベの師匠がよくライブしてて。高校生の時にそれについてきて、何かトラブル起きたら対応できるように(ステージ前の)カウンターの下に入ってよく見てたので、ここに立てて嬉しい」というような話をしていた。
 そのあとセッションで角田さんにベース譲ったあと、一旦客席後方に下がったんだけど、途中でスッと移動してカウンターの前で座ってて。私からは座ってるのは後ろ頭少ししか見えなかったけど、10年前の新井和輝さんと同じところに座った新井さん見たかったな………今その場所からはどんな風にステージ見えたのかな…………と、King Gnuになるずっと前の新井少年のことを想ったりしたのでした。


 新年早々、レアで賑やかで楽しいライブ。贅沢な気持ちで一日を終えることが出来た最高のライブ初め推し事初めでした!!

Shiggy Jr.「That’s what I call Shiggy Jr.」at.赤坂マイナビBLITZ 2019/09/07

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 2019年を振り返って、どうしてもこれを残さないと終われないと思ったことがある。5年弱、すごく大切で愛情を注いだバンドが、場所が無くなってしまった話だ。
↓解散を受けて書いたブログ。

yurivsky.hatenablog.com

 2019年6月5日バンドの解散を知ってから、9月7日の解散ライブをなんとしても無事に最後まで見届けることを課して過ごしてきた。実際はこのことばかりに日々捕らわれていたわけでもない。ただ、ほぼ5年自分の大切な場所を支えてくれた人たちがいなくなってしまうのは、目を背けられないダメージだった。そして、発表から解散までこの最後の1回しかライブを見ることができないということが、良くも悪くもファンとして腹を括るしかないという覚悟になった。


 切ないのに、絶対にさみしくなるのに、それでもライブが来るのは楽しみだった。いつもシギーのライブのあとは「たのしかった!」という気持ちひとつ抱えて幸せに帰途に着けたからだ。この矛盾した気持ちを抱えながら、万端の準備をして当日を迎えた。


 ライブのTシャツを買って即トイレで着替えるなんて、いつ振りだろう。入場は何時も一緒にライブを並んで見ていた友人たちと連れ合って入るが、中でそれぞれの場所にわかれた。番号が遅かったので、後方しかし中央よりの段上でステージが全て見えるところに行けた。いつも運よく前方で見られていたので、こんな後ろで見るのは初めてだなと思う。更に時間が経つにつれどんどん混み合っていく会場を見ながら、シギーのライブをひとりで見るのは初めてだなと気づく。いつも行きたいライブにはひとりでどこへでも行くけれど、ここでは誘い合わなくてもいつも誰かと一緒だった。


 フロアの密度は増すばかりでいつドアが閉まるのかと思っていると、やや開演時間を過ぎてようやくドアが閉められた。ついに最後のライブがはじまる。はじまったら、終わってしまう。もう、次はない。



 そしてついに、照明が落ちた。最後の時間が始まった。

 

 
 いつも一番最初に飛び込んでくる諸石くんを筆頭に、ほんとうに何時も通りステージへひとりひとり駆け込んでくる。この瞬間がいつだって最高にわくわくした。もうこれが味わえないのかという気持ちをどうしても無視できない。そして一曲目は「Saturday night to Sunday morning」この曲始まりのライブ、今までもたくさんあったなあと思い出す。一番最初に出会ったときもそうだった気がしている。そして正に今は土曜の夜。そして何よりも今日の為のようなこの歌詞に打たれた。
 
今を噛み締めて
夢のような時を
二度と戻れない
一度きりのクルーヴで
 

  こんなに後ろなら絶対にメンバーにはわからないから、今日はもう涙を我慢するのはやめようと思った。泣いて恥ずかしいということも無い、今日で最後なのだから。まばたきする瞬間すらも惜しい。涙を流しながらもまぶたを伏せることはなかった。その時間が勿体無かった。最初で最後の後方から見るシギーは、初めて全体を満遍なく見たような気もした。でも最前で見るのと同じくらい、ずっと集中して見ていたなと思う。

 

 不思議なもので、しっとりとした曲より、明るく爽やかな曲の方が自然と涙腺を刺激された。シギーの曲はどれもキラキラしていて、女の子の跳ね上がるようなワクワク感がいつも心底眩しかった。ベースの森なっちゃんが弾く音にスラップが多いのも、打楽器のような跳ね上がるリズムを重ねることで、そのワクワクした気持ちを加速させていた気がしている。そのキラキラに、現実では味わえない憧れと謎の郷愁を見つけ出していた。なりたかった女の子、それがシギーの曲にはあった。
 
 ライブを通してどれだけ泣いたのかもよくわからないけれど、ずっと泣いていたわけでもない。最初こそどう切り込んで行くか迷っていた池田のMCも、他のメンバーが突っ込んだり混ぜ返したりしてすぐにいつもどおりほのぼのとした空気で場内を笑顔にさせていた。男子メンバー三人も何時も通り。ああそうか。気持ちの整理が付いたんだ。前へ進むと決めた人は強い。
 
 一曲ごとに、その曲に紐づいた思い出が引き出されるのも、どんなにシギーの曲が自分の生活に浸透していたのかを思い知らされた。目の前のステージを焼き付けながらも、同時進行でその思い出にも思いを馳せた。
 
 いつもそんなことはあまりなかった、曲の入りのトチりとかも正直目立った。ああ、だって半年もずっとライブしてなかったもんな…としみじみした。ステージに立ち続けるってそれだけで凄いことなんだ。勿論、そんな失敗なんて流せるくらいすごくいいライブだった。でも本当のこといえば、前回のワンマンを満員の会場でたくさんの人に見て欲しかった。本当に素晴らしく明るく楽しく、完璧ないいものだったから。

 
 
 今回のライブタイトル「That’s what I call Shiggy Jr.」
”私が「シギージュニア」と呼んだもの”
なんだったんだろうな。ずっと考えていた。考えながらステージを見ていた。答えは今日わかるはずだから。正解なんて無いけど、自分なりの答えを持って帰りたかった。
 
私にとってそれは、「愛情」だったのではと思う。
愛情。沢山のステージから、リリースしてくれた楽曲から貰った愛情。

ライブの後のいつもより丁寧に世界を見たくなるような気持ち。
ポップミュージックは強くないとできないということ。
ステージに立つ4人の幸せそうな笑顔と信頼を寄せたまなざし。
ステージの下から勝手に寄せられる親愛のひとつひとつも、きちんと受け取ってくれる器の大きさ。
 
そんなものたち全部が愛情だったなと、今改めて静かに思います。
 
 しげくんがMCで「人はいつか死ぬし、バンドも死ぬ」って言い出した時は今日それ言うの率直過ぎん!?とたまげたけど、でもこの曲たちは残っていくんだよというのは本当だなと思ったし、更に「Shiggy Jr.は永遠になりました」と繋げたことは、そうか、このままずっとシギーを好きでいることは過去への執着ではないって思っていいんだなと、肯定してくれたんだなと受け取ることにしました。都合がいいけれど。
 
  1曲ごとに思い出が溢れるくらい、深く大切にしていた存在がなくなるなんてかなしいしさみしいけど、とにかく実感がない。何度書いても、書き直しても書き足しても全然しっくりこなくて、いくらでも書けるけれどまとまらない。言いたいことはただひとつだから。それは絶対に言えないけれど、もしここまで目を通してくれた人がいるなら伝わることでしょう。
 
 来年の手帳にはもう【Shiggy Jr.】の文字が増えないのが今でも信じられない。
でも最後までずっとメンがーが真摯でいてくれたから、池田智子・原田茂幸・森夏彦・諸石和馬の4人みんなが”Shiggy Jr.”であろうとしてくれたから、ずっと好きでいられた。そこが一番嬉しくて、大好きなところでした。だから、ずっと好きなまま永遠になりました。ありがとう。


【セットリスト】

Suturday night to Sunday morning
Summer time
D.A.Y.S.
誘惑のパーティー
GHOST PARTY

day trip
TOWN
スタート

baby I love you
二人のストーリー
your my girl
looking for you

Beautiful Life
ホットチリソース
oh,yeah
Juuuump!!
お手上げサイキクス
スペシャルセッション~
TUNE IN!!
恋したらベイベー
LISTEN THE MUSIC
ピュアなソルジャー

 

(アンコール)
約束
Keep on rainning

サンキュー

 

(Wアンコール)
Beat goes on
サマータイムラブ

 

 

 

 

 

 それじゃまたね。

わたしの星 2019年に寄せて①

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2014年以降、私にとって夏とは二分される季節となった。

「わたしの星」のある夏と、ない夏だ。

2014年、2017年、そして2019年。

今年もまた、「わたしの星」がある夏がやってきた。

 

https://www.ytv.co.jp/watashinohoshi2019/ 

 

 「わたしの星」とは何かと簡単に説明すると、劇団ままごとの柴幸男が書いた現役高校生の為の戯曲上映プロジェクトである。キャスト全員と制作をサポートするスタッフを担う現役高校生をオーディションで集め、夏休みに10日間ほど上演される。2014年が初の試みとなり、2017年にも上演された。(一度台湾でもこのプロジェクトは行われている)

 国内での過去二回は東京の三鷹で上演、そして今年、初めて大阪で行われることとなった。

 

 2014年、たまたま本編の前の「公開稽古」の見学に行った私は、短い時間ですっかりその魅力にやられてしまい、予定では一回のところを数回、千秋楽の8/31には(当時は夏休み最終日8/31の設定のお芝居を8/31に千秋楽として上演していたんです。これを見ずして他に何を見ろというんですか!) 当日券を求めて朝から並ぶというハマり振りだった。

 2017年も勿論公開稽古から見学し、2014年との違いにも期待が膨らんだ。記憶では7回?ほど劇場へ足を運び、夏を燃やしてもらった。

 そして2019年、休み取得や予定やら諸処の兼ね合いで大阪へ行くのは諦めようと思っていた。上演が終わるまで情報を遮断しやり過ごそうとしていたところ、急に前日になって全ての段取りを整えて弾丸で大阪遠征を決めた。普段、ライブだって遠征は渋るのに、何も知らない(情報を遮断しているので)高校生の演劇を見るために大阪へ行ってしまった。あの時の決断力と行動力は自分のものではないと我ながら思う。

 

 

 「わたしの星」脚本は毎回設定がゆるやかに変わるけれど、描かれているテーマと大筋は変わらない。

 とある未来の地球の日本。温暖化で地球から火星への移住が進んでいるため、全校生徒が10人ほどの高校が舞台だ。夏休みの高校生が文化祭の準備を進めていく中で、いろいろな人間関係が見えてくるというストーリーだ。

 

【人と人との間の引力】がテーマで、ステージではいろいろな形で引き合う人間関係が描かれる。エンタメなので映し出されるエピソードに濃淡はあれど上下はない。どの関係にも理由があり、迷いがあり苛立ちがあり憧れがある。特別な悩みなんてない。いつの時代も、似た様な惑いを感じたと思い出せることばかりだ。

 でもそのどれもが「誰もが通るよね」なんて言葉で片付けたくないと思ってしまう。似ていても、それは現在進行形で誰かの「リアル」だからだ。

 作中で描かれるいくつもの引力は、いずれもスッキリと解決はしない。どこかにまだ余白を残したまま物語は終わる。そこがリアルな人生という気がして私は好きだ。現実はいつだって全てに白黒がつくものではないのだと、頭ではなく実感を伴って肌で知り始めるのが高校生なのかもしれないと思う。

 

 2014年、2017年と大きく2019年版が変わっていたのは、舞台上に異質な視点を持つ存在(メイ)が登場していたことだ。基本的には二人一組の関係性に関するエピソードが折り重なり、抱えている葛藤を解決することで物語は進んでいく。その輪の外から来る存在として、ヒカリという存在は異質だが、メイはそのヒカリとも大きく異なっていた。メイは2019年の女子高生。舞台となる未来の女子高生と同じ制服を身につけてはいるものの、その存在は誰にも(正確には感じることが出来るキャラもいるが)見えない。いわゆる「狂言回し」のような立場ではあるが、誰かに影響したり物語を大きく進行させるようなことはほとんどない。主にステージ脇の楽器が置かれた場所から、高校生たちの成り行きをずっと見守っている。時に鍵盤ハーモニカで伴奏し、ステージで展開される物語に感情を寄せているこの子はなんなのだろうかとずっと引っかかる存在だった。最後の最後に、霊感のあるモモだけが彼女に激しく反応する。「わたしたちを見て簡単に『かわいい』なんて言わないで」正確な台詞回しは忘れたが、モモは強く苛立つ。「わたしたちは今、これで一生懸命なのだ」と。モモの放つ台詞は、メイに投げられたように見せかけて、そのまま場外への私たちにぶつけられる。私こそが、この舞台に奮闘する高校生たちを「かわいい」という言葉で消費していなかっただろうか? 高みの見物をしていたのではないか? 「かわいい」「青春だ」という言葉で簡単に名前をつけることが出来るけれど、その裏で演じている高校生たちにはこれがリアルなのだ。名前をつけてカテゴライズして処理したつもりになるな、そう言われた気持ちになった。ここへ踏み込んだ理由を、いつか柴さんへお聞きしたいなと思う。

 

 変化といえば、おやと思ったのが火星からの転校生ヒカリだ。ヒカリは体が弱く、余命幾ばくもない。そんな娘を思い、故郷のようなものだからという親の提案で地球へ越してきた。言ってしまえば、ヒカリは地球へ死にに来たのだ。しかし、前作まではそんな強い表現はなかったと記憶している。もう治らないから死ににきたのかな…となんとなく読み取る程度の、いうぼんやりしたものだった。しかしヒカリの独白で、この先ヒカリがどのような状況になるのかが具体的に語られる。このあたりの表現は、確か意図的に避けているという話があったように思うので、どのような変化が起こったのかと気になった。

 

 折り重なる様々なペアの中でも、その中心にいるのが主演のスピカと親友のサラだ。この脚本は基本的に本人の名前をもじられているが、スピカとヒカリだけは毎回変わらない。突然のスピカの転校騒動に巻き込まれる中で、個々のペアの葛藤が噴出していく。

 スピカは学校でもいつもみんなの中心にいるような人気者だ。先輩にも後輩にも好かれ、チャーミングを振りまいて生きているように見える。スクールカースト上位にいるスピカと、対照的に物静かなサラ。物語に散りばめられた沢山の歯車をまとめ、大きく動かしていくのがスピカの役どころだ。なので、スピカはいつも相手役の子を優しく包むような、包容力のある安定したいい子のキャラだったように思う。今回のスピカも基本的にはそれに沿っていたが、今までのスピカよりもダイレクトに感情をサラへぶつけていた。持て余すジレンマをぶつけてくるサラに、自分も正面からサラへぶつけていた。その意地悪な部分も素直に演じられていて、それがとても腑に落ちた。ああ、私の中での理想のスピカがいたなと感じた(他のスピカと比べてというわけではなく、あくまで私の理想で)。今回はこの子の引力で、私は大阪まで飛んできてしまったのだと思った。

 

 メイという異質な存在をいれた2019年版は、そのために各ペアの抱えるエピソードにより濃淡が生まれたなと感じた。最初はそこがさみしいなという気持ちが拭えなかったが、2度見てそれでよいのだと思えた。全ての関係をフラットに描き出すのが本質ではない。観客それぞれが肩入れしたくなる子がきっとそこにいるし、いない人はメイと肩を並べて群像劇を見守ればいい。むしろ濃淡をつけることで、一度しか見ない観客の焦点はより合いやすくなるのだろう。

 

 幸い2回見るチャンスに恵まれたので、個々のキャラに関する感想も別に書き留めておきたいが、自分の中で大きく感じたことを述べただけで結構な長文になってしまった。また別途、ブログにしたいなとは思います。

 

 とにかく今年も見応えのある、大変によいものを見させていただきました。大阪まで行って良かったです。ありがとう。

 

 そして今年も、わたしはこの言葉を噛み締め夏を終わりにしました。

 

 

星に引力があるように人にもきっと引力がある。

たとえどれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星。

 


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追記:

これは舞台とは直接関係がないが感じたことなので正直に付け加えておくと、今回は公演中どの回もソールドということは無かった。その一因として、チケット代の値段があるのではないか。私は大阪の舞台事情は全くわからないが、「現役高校生によるひと夏の舞台」と聞いて興味をそそられても、3800円はなかなかに高額ではないだろうか…。私だけですかね…。そこそこ小劇場系の舞台に通っていたこともあるので、舞台がどうしても相場的にそのくらいはかかるということは承知している。この世界観にハマって東京からはるばる足を運ぶ私が言っても説得力に欠ける気がするが、衝動で飛び込むにはハードルが高い値段設定だった。例え地元でやったとしても、普段舞台を見ない人に、私のレコメンドを信頼して3800円出して!とはなかなか言いにくいなと思ったのは正直なところでした。三鷹はちなみに一般前売りで2500円でした(当時)。公共のホールなどの環境に助けられている部分は大いにあると思うのですが、本当にありがたいことだなと心から思ったのでした…。三鷹ふるさと納税したいという感情でいっぱいです…。

とあるアイドルの【神対応】

  先日、とあるアイドルのライブ後特典会に並んでいた時のこと。特典会と一口に言ってもその内容は現場により千差万別なので軽く説明しておくと、そこはメンバー個別のツーショット撮影のみ。各メンバーがずらりと横並びし、その前にオタクが列を作り自分の番を待つという形でした。


 撮影したあとにメンバーと話せる時間があるレギュレーションなので、まあまあ時間がかかるのですがひたすらに待つ。だんだん自分が並んでる子が近づいてきたのですが、今並んでる子を見つめるのはなかなか恥ずかしく、ガン見すると他のオタクに対しても申し訳なさもあるので、隣のレーンの子をそれとなく見てた時のこと。
 
 隣の子はグループでも上位人気メンで、可愛いけど中身がさっぱりしてて媚びないし、笑顔振りまく~!って感じのタイプではない自然体な子で。あ~今日も可愛いなーなんて見てたら、その時に接触してたオタクの男性が背中しか見えなくてもめちゃめちゃ緊張してるのがわかった。シャイなのか、女性慣れしてないのか、会話は聞こえないけれど、ぶっちゃけ全然盛り上がってないのが傍目から見てもわかる。いたたまれなくなったのか、どんどん下向いていく男性。そんなんじゃせっかく順番が回ってきたのが無駄になっちゃうよ!(時間的にループ無理)頑張れ!!って、推しの名前が書かれたTシャツの背中が丸まっていくのをうっすら見守っていた。
 
  その内に新衣装の話にでもなったのか(話の内容までは聞こえなかったし失礼なので耳を澄ますとかはしてない)、彼女がオタクをまっすぐ見て自分のことを指すような素振りを見せて「かわいい?」って聞いた。不思議とそれだけハッキリ聞こえて。そこで彼は顔を上げてこくっと頷いて「……かわいい」って言えたのかな、彼女が満足そうにありがとーってニコニコしているのが見えた。それでその後ふたり多分笑いあってて(私からはオタクの顔は見えない)それ見ててうわああああなんだこれめちゃめちゃいいなあ………………って。
 
 私たちは列の先にいる子に、「可愛いよ」「好きだよ」って言うために並んでるんだよな~って改めて思った。でも「可愛い」ってめちゃくちゃ全身で思っててもその一言を言えない人もいて。そんなシャイな人から自然に「可愛い」を引き出してるそのアイドルちゃんのこと、尊敬した。短い時間だけど真剣に、自分の列に並んでくれるオタクをちゃんとひとりの人とみて、気持ちを汲んでくれて。本当の【神対応】って、こういうことなんじゃないかなって思ったのでした。
 
 特典会の対応って派手な話ばかり語られがちけど、こういうささやかだけど涙が出ちゃうようなふたりだけの幸せな瞬間が、会場のあちこちで起きてるのかなって思うとめちゃくちゃ愛しい。