福島県立いわき総合高校『知らない体温』に触れて
いわきの高校生が浜辺で踊るのを見るために、あなたの5分をください。
いわき総合高校の芸術·表現系列(演劇)では、毎年3年生が卒業作品として演劇公演の発表を行なっている。それらを経て、それら全てを含め、今だけの映像を撮り続けた17期生による新たな作品。原作・出演
『知らない体温』 歌:福島県立いわき総合高校 芸術·表現系列(演劇)第17期生
作詞:edda、池田 亮
作曲:edda
積み上げていた 配色は
光とまじわることもなく
話せば⻑くなるよって不貞た
今日との小さな秘密
好きな嘘で嫌いな弱さを歪ませて
合う?合わないや、の世界線
ここからそれらを連れて 一緒に
物語の結末が 僕らを拒んでも
不細工なままの足跡も歌になる
だから届け、届け!知らない体温まで
やっと歩き出せたなら優しい 答えをくれよ
ここからそれらを連れて 一緒に
空回りの足取りも不確かに踊り出す
見失うなんて嫌だ
間違って笑おうぜ
だから届け、届け!知らない体温まで
コロナ禍、イン、マイマイン③【罹らないための備えといっても特に何もなかった編】
『罹らないためにしていること』と書き始めてみたけれど、前のブログにも書いたくらいのごく普通のことをごく普通にしかしてない。大前提としての鉄則はあるが、年齢も体力も既往症も環境も違うから、気をつけるポイントも人それぞれ。もちろん基本的なことは自分なりに徹底しているつもりだが、如何せん相手は見えないのでそれの効果があるのか、充分なのかはわからない。「今日も大丈夫だった」朝起きてそう思うことだけが、自分の行動が間違っていなかったことの答え合わせって感じ。虚しい。
虚しさに苛まれていると他人の行動がどうしても目につきがちだけど、負担だなって思ったら今は即離れるほうがいいみたい。それが正義だとしても、自分にとって負担になるなら今は手放す時なのかなと思う。
私は毎日電車に乗って通勤をしている。テレワークができないので一般的な通勤時間に電車に乗り、都心と自宅を行ったり来たり。買い物にも自分で行くしかない。職場環境も良くないし、まあまあ高リスク。毎日何人の人とすれ違っているのだろう。
自宅外では食事以外マスクをし、都度手を洗い、都度消毒をし、帰宅したら即風呂に入る。なるべく人混みには行かないし、行く時は上記に加えてマスク交換を増やしたりする(いつもはお昼時に交換。ずっとそうしてたんだけど、マスク不足で中断。また安めの不織布マスクが手に入るようになったので出勤時は再開した)。なるべく栄養バランスよく食べ、ちゃんと寝る。インフルエンザに効果があるので冬場は緑茶と紅茶をしっかり飲む。乳酸菌も。夜更かしに気をつけるようになった。あ~、急にスピるけど去年の秋にいつもお参りに行く神社で、無病息災の輪っかくぐりをした!!
去年から友達に会った回数なんて、全部空で言える気がする。むなしい(2度目)。
そう、このむなしさとかやるせなさにいかに蓋をするかがすごい大切な気がしている。メンタルの調子を崩すと影響が身体にも出るのは経験済みで、メンタル由来だと立て直すのに時間がかかることも知っている。メンタルをなるべく崩さないように。これこそ個人差だと思うけど、すごく怒ったりすごく悲しんだりすごく心配したりすると私はダメになりがちなので気をつけている。自分ではどうしようもなく崩れていくこともあるが、改善できるなら持ち直した方がいい。自分ではどうにもできないと思うほど崩したらすぐに病院へかかるのが一番だが、服薬しても治るまである程度時間を要するので軽く考えない方がいいと思う。これは体験談として。
身体症状が出なくてもメンタル弱(よわ)になると、上記にあげたような「健やかに過ごせるように生活に気をつけよう!」という気持ちが弱くなってしまうのが1番だめな気がする。他人にも優しくなれない。持ち直そうという気持ちがわかなくなる。誰しも経験があると思うけど、あの状態って今みたいな状況では自分に致命傷を与えかねない。よくおたくが言う「推しのおかげで免疫力アップ!!」って、侮れない気がすごくしている。嬉しかったり楽しかったり、何かを心から「好き!!!!!!!!!!」って思うことは、多分自覚してるより何倍もパワーを使うし、そのかわりもたらす自浄作用もかけがえのないものだと思う。
では、メンタルの調子を保つためにどうしているのか。これ、長くなりそうなので次回にします。今回は虚しさに支配されてしまった。次は萌え語ります(予告)。
コロナ禍、イン、マイマイン②【備えあれば憂いなし編】
コロナ禍、イン、マイマイン①
こんなことを書くのは、万が一罹患した時に「あんなこと言ってて~フラグかよw」ってなりそうで正直気が進まないのですが、こういう実のない事こそ今は記録として残しておくべきなのではと思うのと、ぼんやりとした不安を吐露することで気持ちを軽減する効果を期待して記録しておきたい。というか正直もう、そこそこ限界なのかもしれない。元気そうに振舞ってるけど。健気だなあ、私ったら。
推敲せずに思いつくままの文章なので、いつもにも増して文章が下手且つ着地点が不明です。あくまで私一個人の記録。特に為になる話はないと思います。
困ったなあコロナ、怖いなあコロナ。そう怯えながら生活し始めてもうじき1年が経つ。自分の場合「これは最早逃げようがない現実問題なのだ」と思い知らされた日が良くも悪くも非常に明確だ。忘れもしない、忘れることが出来ない2020年2月26日。令和の226事件である。数か月前から楽しみにしていたPerfumeの東京ドーム公演が、当日開始3時間ほど前に中止になった。退勤時間即ダッシュしないと開演時間に間に合わない事態だったので、チケット記載の入場ゲートに合わせて前々日に職場からドームまでシミュレーションしたくらい楽しみにしていた。それなのに。あまりのショックな報せに、仕事中に涙が堪えられなかった。今でもあの日の記憶はそこで途切れていて、本当に思い出せない。一生涯忘れられない日なのに。
そもそも私はここ10年程、ライブを見に行ったり、推しとの特典会をひたすらに楽しみに生きてきた。なので体調管理もオタクの嗜み・オタ活の一環と思っていて、普段から初夏~夏場以外は基本マスク装着の生活をしていた(本当に今考えても真意が謎だが、予防でマスクしてると「なんでしてるの?」と謎の非難めいた言葉を浴びせてくる人がいたので、職場で仕方なく外したりはしていた)。インフルエンザの予防接種をし、外から出入り後と食事前は手洗いを励行。除菌ウエットティッシュや手指の消毒用アルコールも持ち歩いていた。現状から見たらその意識は全然薄かったけれど、この辺の行動は基本的に変わっていない。…というとものすごくきっちりした人ととられそうですが、ただチケットを無駄にしたくない、ライブを見たいと思っていただけなので別に褒められたことではない。しかし結果的に、その習慣のおかげでマスクや消毒スプレーの備蓄は常にあったのでマスクやらが品薄の時期もギリギリ乗り越えられた。マスクをするという行為に慣れていたし、その延長で手洗いスマホ消毒の頻度を上げるのも苦にならなかったのはよかった。「オタク行為となすびの花は万に一つの無駄もない」とはこのことですな。そんな日本語はありませんが。
コロナ以降というか、今だって絶賛継続中で全然終焉が見えないけれど便宜上そう呼ぶけれど、生活習慣にマスク手洗いスマホ除菌も組み込まれていたので自然と頻度が強化された。それに加えての変化ということなら、帰宅したら基本すぐに風呂場へ直行するようになった。お風呂が苦手で、本当に面倒くさがりなので入るまで延々心の中でヤダモンヤダモンと暴れながらぐーたらし続ける(もちろん結局はちゃんと入る)のが常だったのに、帰宅即風呂場が習慣になった。汚れと菌を洗い流して、スッキリとして安心してご飯を食べたり、ダラダラするようになった。シャワーの時は帰宅したら直ぐに浴びれて楽だったけど、寒くなりお風呂を貯める時も、その待ち時間でダラダラしないように腰を下ろすのを自分に禁じている。ただ立ってるだけではもったいないので、洗い物や洗濯などの家事をして待つようになった。小腹を満たすために何か飲んだりつまむ時も、座らない。お湯が張れたら即入る。これは本当に良い習慣で、除菌という側面もあるけど洗い物も溜まらなくなったし、お弁当箱も忘れず洗えるし、何より先に風呂に入ることで残りの時間がすごく自由になる。今まで、風呂に入ることを渋る時間がいかに無駄だったのか知ることになった。今後もこれは継続したいな~と心から思っている。
あと換気。あまり湿度というものに頓着がないので特に加湿などにこだわっていないが、都度換気をしたり気を回すようになった。室内干しで湿度はどうにかなっていると信じている。
そして単純に睡眠時間が増えた。ライブやイベントがなくなり、友人に会う機会も激減し在宅時間が増えた。余裕ができたことに加え、何より「寝ることもコロナ対策」と大義名分を振りかざして寝るようになった。それでも平日はどうしても夜更かししてしまうのだけど(だって仕事と家の往復って何も刺激がないんだもの)。それでも以前よりははるかに寝ている。敷き毛布をかわいい柄のに新調した。本当は毛布も買い替えたかったが、ヒートテック?のを迷っていたら買い逃した。
ごくごく質素な自炊は基本的にしていたが、きちんと八百屋で季節の野菜や果物を意識して買うようになった。時間ができたので新しいレシピに挑戦してみて、備えている調味料も少し増えた。お薦めはチューブ調味料。今はいろいろなものが出ていて、安価で楽しめるので本当にお勧め。基本のワサビやショウガ、柚子胡椒(好き)に加え、梅や刻みレモン・バジルペースト・しそなどがラインナップに加わった。自分の味付けに飽きた時もこれでだいぶ助けられた。栄養を取ってすやすやと寝る。おかげさまでこの一年、風邪もひかずに元気に過ごしている(気圧頭痛や生理痛など避けられないものはあるにせよ)。以前は予防していても年に2回くらいは風邪ひいていたのに。
ものぐさなので運動は特にしていないけど、職務内容的にテレワークができないので出社しているのでそこそこ最低限の運動量は稼げている。とは言え、やはり確実に動きは鈍っているので、仕事後にライブハウスで何時間も佇んでいた体力はさすがになくなってしまった。最近は思い出したらストレッチとスクワットをしてるけど…。運動不足は今後の対策が必要だなあ…確実に肥えてるし。ここの改善が今後の課題だなあと思う。
2020ベスト映画7
お恥ずかしい話ですが、私は映画館へ行く習慣があまりありません。映画館どころか、家で映画を見る習慣もほぼありませんでした。映画館は大きなスクリーンで集中できるけど、周りの他人に気を遣うし。かといって家では集中力が散らかりがちになるからです。でも今年はコロナ禍の影響で家で時間を潰さなくてはいけない日々が続きました。いえ、現在も続いています。ありがたいことにアマプラ・ネトフリなどの配信が充実していて、家でも無限に時間が潰せてしまう昨今。うっかりアニメ・声優沼へ入沼(存在しない日本語)したため、一番使った配信サイトは「Dアニメ」でしたが、それでも今年は人生で一番映画を見た年だったと言って間違いはありません。
そして変な話ですがこんなご時勢だからこそ、映画館へも多く足を運びました。仕事の関係で平日に使える時間が増えたこと、また映画館が感染症対策を様々講じてくださり、平日の空いた時間ならばむしろ安心して劇場へ足を運べたからです。今までは冬に映画を見たくても、隣の人がゴホゴホしていると集中できないことも多々ありましたが、寒いくらいのよく効いた換気、おまけに1席空けの状況は、劇場側には本当に申し訳ないけれど見やすく快適でした。
余談が長くなりましたが、そんなこんなで今年助けられた映画という娯楽。その中で琴線に触れたものを書き残しておこうと思います。配信で自宅で見たのも含まれているので、今年公開というよりはあくまでも【今年、私が見た作品】の中で、尚且つ【順不同】で挙げています。とはいえ、それでも最初に挙げた二つは甲乙つけがたいほどに私の中に焼き付いた作品なので、敢えてベストをといわれたらこの二つのどちらかになるなと思います。
・『初恋』
タイトルからさぞ純粋な作品なのでは?と思いがちですが、ヒロインは見た目こそ純情可憐ですがヤク中の援交女子。悪い人が沢山出てきて、沢山悪いことをして、人が山のように死にます。特に最後のユニディでの殺し合いシーンはすごくて、ユニディの可能性の強さに感動すら覚えました。
全ての役者さんのキャラが立っていて一人一人について言及したいのですが、特に感動したのがベッキーです。私の中の理想のベッキーがいました!!!強くてかっこよくて怒るとヤクザすら手が付けられないほどの暴れ者が、大好きな人の前ではめちゃくちゃかわいくてその落差に目を離せなくなりました。恋人を殺された復讐に我を忘れたベッキーは悪魔に取りつかれたような形相を惜しみなく出しまくり、全ての場面が名場面という取れ高の高さなのですが、中でも「車のドアが開いてベッキーが降りてくる際、まずバールがアスファルトを擦る『チリッ』という音がする」というシーンが最高に好き!!!!!!!!!!あんなにかっこよく、惜しみない殺意を背負った登場シーンある??????日本映画史に残るシーンだと思います!!!!!!!!見終えると、自分の細胞という細胞の免疫が高まっているのを内側から感じ、直ぐにおかわり初恋してしまいました。ほんと最高!!!!!!!!!!丁度、コロナの走りで公開になった不運な作品ですが、これがあったからこそコロナ禍を走り抜けることが出来ました。また見たいです。免疫上がるので。
・『佐々木、イン、マイマイン』
12月になって、ここにきてこんなに心に迫る作品に出会えるとは思いませんでした。全然ノーマークだったんですけど、信頼のおける友人から「すごく好きな作品に出会ったけど、正直勧めていいのかわからない……」という連絡が来たのでノリで行ってみました。前情報ゼロの状態で見に行き……劇場を出る時には「佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!」と全面的に佐々木に気持ちを支配され、口を開けば佐々木コールしか出ない状態。最初のシーンが最後に繋がるのですが、もう全然見えるものが違うんです……。全てのひっかかりに意味がある、無駄なシーンがない作品でした。佐々木、わけわかんないんですよ。粗野だし突飛だし。でも作中で少しずつ佐々木が紐解かれていくうちに、佐々木の心のひだに触れるたびに佐々木のことが好きになる。自分にとっての佐々木と向き合いながら作品を味わうような気持ちです。身近過ぎる『憧れ』って逆に印象は薄いけど、いつになっても心に鮮明に焼き付いてるものなのかもしれません。
基本的に、エンタメは個人の好みだから好き嫌いはあると思っていて。万人に好かれる・支持されるものなんてこの世にはなく、自分が大好きなものでも、誰かには受け入れてもらえない・拒否されることもあって当然…と思っているのですが、この作品は「好き嫌いは仕方ないけど…でも否定されたくない……かなしくなるから」って気持ちです。
あと、とにかくひたすらこのビジュアルがいいです。最高です。佐々木、永遠にインマイマインしたい。
・『君の名前で僕を呼んで』
気になってはいたものの劇場で見るチャンスを失っていたので、アマプラで鑑賞。……ときめきで死んでしまうかと思いました。主人公の青年、そして彼の過ごしたひと夏が、どこをとっても揃って瑞々しく美しい。美しいと美しいのマリアージュで苦しいほどです。タイトルの意味も…思い出してもため息。あとは何といってもエンドロール。こんなに美しいエンドロール、初めて見た気がします。
・『もち』
岩手の食文化保存の映画らしいのですが、限りなくノンフィクションに近いフィクションということで、キャストはすべて芝居経験のない現地の人。自然豊かな、言ってしまえば自然以外何もないように見える場所で、食文化という生活に一番密接なのに形に残しにくいものを作品として焼き付けています。廃校になっちゃう中学校の最後の一年を描いてるんですけど、もうね、もうね、淡い恋物語が!!!!!たまんねえっ!!!!思い出すとこちらが照れてしまう。特に祭りの前に浴衣着て、縁側で誰にも見られないように急いで鏡も見ずにリップを塗るシーンが……刺さりました。短いけれどこの上なくリアルで美しいシーン。いつかあったけれど、もう訪れることはない感情を思い出して心がぐちゃぐちゃになりました。「誰かのために装い、唇を初めて染めた日」のことを覚えていますか…?
・「2分の1の魔法」
父親を亡くして、母親一人に育てられた兄弟。その兄弟が魔法を会得し、お父さんを1日だけ復活させようと奮闘するストーリー。お兄ちゃんはかろうじてお父さんの記憶があるんですけど、弟はないんです。自分も会いたいけど弟のためにもお父さんを復活させたいお兄ちゃん、いい奴なんだけどいかんせんバカなんですよね…。周りのみんなにバカにされてるお兄ちゃんと、そんなお兄ちゃんにやや嫌気がさしている弟。そんな二人の大切な一日の冒険。兄弟愛といえば今年は何といっても鬼滅の刃の炭治郎なんでしょうけど、バーリーは炭治郎みたいなかっこよくて頼れるお兄ちゃんじゃないけど、こっちのお兄ちゃんもやっぱりお兄ちゃん、なんですよね…。
・『ギブン』
友人に勧められてTVアニメシリーズを見て、その流れで劇場版も鑑賞。自分、一応バンギャの端くれなので、作中に出てくるライブハウスも見知ってるし、街並みも見覚えがあって。コロナ禍で既になくなってしまったライブハウスもあって、その意味でも切ない気持ちになりました。
アニメの高校生チームの話もよかったけど、映画の大学生たちの話の方が好きで。ベースの春樹がけなげで、自分以外のメンバーが天才なのに、自分は凡人だと悩むところとかめちゃくちゃ共感してしまいました。ベースは…バンドの良心なので……。
雨月と秋彦の、クッソ面倒くさくて現実なら絶対に嫌なんだけど、大好きで大切だからこそ傷つけあって距離を置かなくては立ち行かなくなる感じ、切なくて共感してキャパオーバーになりました。
【番外編】
・『泣き虫しょったんの奇跡』
藤原竜也さんが好きです(唐突な告白)。一時期は舞台にもこまめに通っていましたが、ふと検索してみたら映画出演作もほぼ観ていました。折角時間があるのだから、じゃあ出演作コンプリートしようかな!と思い、いろいろ見ていたその中のひとつです。
正直、この作品に藤原竜也さんは友情出演でほんの3秒くらいしか出てこないんですけど、映画がすごく良かった。将棋はどうぶつしょうぎくらいしかできないのですが、何故か将棋の話、特に奨励会の話にどうしようもなく惹かれることが多くて。しょったんは実在の方をベースに描かれていますが、人間臭くてすごくよかったです。将棋って、一人じゃ強くなれないのがすごい面白い。
細かいネタバレにある程度気を付けつつ、感想を書くのって難しい。特に映画の感想など書かないから多分魅力を伝えることが出来ないと思うけど、でもこれは自分の記録として残しておこうと思います。映画、面白いなあ。早く鬼滅の刃無限列車も2回目の乗車したいです。
【すきぴブログ】みんな伊之助のママになる~前知識なしで「鬼滅の刃劇場版」を見てコミック全巻予約の巻~
これは先日ガチャで一発自引きした伊之助です!!我が家に来たからには大切にするね♡ってつぶやいたら、友人から「それはリアルママの感情だよ」ってDM来ました。これがイノシュケのママ活か…(このブログはこのテンションにてお送りしています。ご了承ください)
【あらすじ】タイトルが全てで、それ以上もそれ以下もないです。ネタバレはしないように書きましたが(そもそもストーリーの話をしていない)、ネタバレセンシティブな方は読むのはおやめください☆※鬼滅の刃を全く知らない人でも読めます※
10月半ば。予定より少し早く突入した繁忙期。トイレも行けない、ご飯も食べる時間がない。神経を使う業務がガッツリ増え、どこかでミスをしてはいないかと不安があるせいか、休日には家でただ横になるしかなかった。何かしようと思っても、逆に何もせず寝ようと思っても、バックグラウンドアプリのようにずっと脳裏で神経が動いている感覚がしてしまい全然疲れが取れない。寝ても起きても本を読んでもテレビを見てもSNSをいじってもその感覚は薄まらなかった。
……無理やりにでもどうにか一旦シャットダウンしたい。
普段ならばライブへ行けば外からシャットアウトされステージに夢中になって、その後顔馴染みの友人たちと会話でもすれば一発で気分転換できるが、今この状況ではそれも叶わない。どうしたものかと困っているときに、TLを見てふと思いついた。
「劇場版:鬼滅の刃」を見に行こうかな~!
世間は空前の鬼滅のブーム。コミックなのかアニメなのか知らないが、みんないつの間にか当たり前の顔をして「鬼滅の刃」を履修していた。公開初日を狙って見に行った人、いつ行くかワクワクしている人が我がTLという狭い世間でも沢山おり、ワクワクが満ちていた。いいな、なんか楽しそう。いつもなら流行りものに疎く初動が遅い(行動全般が愚鈍)ので気づいたころにはブームは過ぎていたり、変に斜構ってブームはスルーしてしまうことが多いが、こんなに一つのアニメ作品で老若男女が騒いでいるのは久し振りだなとさすがに思わざるを得ない祭り状態だった。「劇場版を見に行こう!」とは思ったものの、勿論、原作コミックもアニメも未履修。私がこの時点で鬼滅の刃について知っていたことは以下の通りである。
・主人公は炭治郎
・口に竹筒?を咥えた女の子は禰豆子(東京女子流の新井ひとみさんがコスプレしていたのを見た)
・子供向けなのに残虐描写がある、らしい
・下野紘さんが甲高い声の役をやっている
・泣ける
つまりはほぼ何も知らないに等しい状態だ。(予告だけは映画館でしつこいほど見させられた)
どうやら劇場版はアニメの続きであるらしく、原作もしくはアニメを見ていくのが筋のようだったが今そんな余裕は一切ない。まあジャンプ連載漫画だし、子供が見ているのだから白紙状態でもなんとかなるのではないだろうか。今行かないと多分一生見ないままだ。それでも別に困らないけれど、こんなに疲れているのにせっかく重たい腰が浮きかけたのでこのまま劇場へ行くべきでは?
念のため、私のことをよく知っている友人たちへ聞いてみると「行っちゃえ」とのことだったので、ええいままよとばかりに支度をして家を出た。東京の上映館では狂ったように上映回数が多いので、とりあえず電車に乗ってから間に合う時間を予約した。平日の昼間だったのでめちゃくちゃ空いていた。
めっちゃ面白かった!!!!(拍手)
よくある「冒頭でさらっと世界観や登場人物の説明」みたいなプロローグはなかったが、見ているうちにストーリーに差し支えない程度に把握できた。知らない用語も出てくるが、そこは往年のジャンプ読者だったので難なくクリア。確かに残酷描写というものもあったが、特にしんどさは感じなかった。面白いじゃん。みんな号泣すると言っていたが、まあ自分は思い入れもないので泣かんよと思っていた。煉獄さんが本当に格好よく美しく潔く涙がにじんだ。そして追加で最後にまんまと泣かされてしまった、伊之助に。
そう伊之助。泣かされはしたものの劇場を出るときには「伊之助、マジ意味わからん。マジ何なんだ?」という気持ちでいっぱいだった。何故かイノシシのお面をかぶって二刀流で戦っている剣士。最初はああいう造形の半獣キャラなのかと思ったが、作中のとあるセリフひとつでそうではないと気付けるのもうまいなと思った。劇場版で伊之助は特に目立つような活躍はしていない。初めて乗るのだろうか、汽車の中で他の乗客お構いなしにはしゃぎまわる伊之助に冒頭から正直引いてしまった。そもそもイノシシ頭だし、上半身は何故か裸。汚い声でギャアギャアはしゃぐ。注意されてもお構いなし。戦闘も自由。常識が通じない。言動全てが5歳児。落ち着きがなくて怖い。……正直好きにはなれないな、と思った。最後の伊之助のセリフには泣かされたものの、そのイメージは払しょくされることがないまま私は帰路についた。途中で用事があってタワレコによると、鬼滅の刃グッズがワゴンセールされていた。無限列車乗車前の私には風景だったそのワゴンは、乗車後の私にははっきりと風景から立ち上がっていた。気が付くと私は「意味わからん」「なんなんだ」「ないわ」と思っている伊之助のグッズを吟味し、ふたつ購入していた。
そこからすぐにDアニメで鬼滅の刃全26話を履修。伊之助、本当の君を知りたいのとばかり伊之助の登場をひたすら心待ちにしながら見続けた。メインキャラの気がしたので直ぐに出てくるのかと思いきや、伊之助はなかなか出てこない。11話でやっと出てきたときには浴室で見ていたのだが思わず拍手してしまった。
伊之助はアニメでもなかなかに謎だった。印象は劇場版を見た最初からほぼ一貫して変わらない。ずっと「意味わからん」と今でも思っている。しかしそれを遥かに凌駕して「かわいい」。伊之助は、かわいい。一生懸命生きていてかわいい。まっすぐでかわいい。わからないことに全力でわからながっていてかわいい。一度に一つの感情しか持てなくてかわいい。まるでティンカーベルではないか!!
基本自信家で全力で猪突猛進していくのに、自信がなくなるときまでもまっすぐで全力だ。今まで知らなかった気持ちに触れた時も、その気持ちにまっすぐで胸が痛くなる。伊之助から目が離せない。純真キャラともまた違う、ちゃんと保身しずる賢いところもある。そこがまさに5歳児だと思う。自分を省みて反省をし、落ち込み、ごめんと謝る伊之助。えらすぎる。伊之助ができていることで私ができることがいくつあるだろうか。伊之助はまだまだ成長中、そう頑張ってる途中!!伊之助はエビ中イズムの体現者なのだ。
こうして私は伊之助の魅力に侵食されていったのだが、そのツイートを見た友人たちから我も我も伊之助の女である…という反応があった。めちゃくちゃあった。なんだ~~~~みんな伊之助のママだったんか~~~!!!!
映画を見てわけがわからない伊之助を知りたいと思いアニメを視聴したが、アニメを見ても伊之助はわけがわからないままだった。伊之助のことを理解なんてできないのかもしれない。伊之助は宇宙であり、ただこちらは伊之助を受け入れるのみ。伊之助のありのままを受け入れ成長を寿ぎ、応援するしかない……。アニメを見終えて私はコミックを探してみた。噂には聞いていたが本当に売ってなくて笑った(転売はあった)。電子コミックならば即入手できるが、スマホで長時間読むのがどうにも苦手なので迷いに迷った末、コミック完結全巻セットを予約した。最終巻までのまるっとセットだ。新品のコミックを23巻、一気に買い込むことなんて人生初めてである。発売日までひと月以上あるのに……今年のクリスマスコフレはこれに決めた!!!!!!伊之助と出会って9日目のことであった。
届くのひと月先だけど………クリスマスコフレ、予約しちゃった❄☃🎅🎁💕🎄🎂✨ pic.twitter.com/jqxjQ1WmJ9
— ユリ (@yurivsky) 2020年11月7日
もしかしたら発売すぐには届かない雰囲気なのですが(人気過ぎて)、まあそれも仕方ない。会うまでの時間も伊之助への想いを育てる期間と思えば苦ではない。好きな男からの返信がないとめちゃくちゃイラつく気質なのに、伊之助のことならいくらでも「全然オッケ~待つね☆」という優しい気持ちになれる。早く我が家に伊之助来ないかな~~~~♡伊之助と過ごす初めてのクリスマス、本当に楽しみ!!!!
【続】極私的「同人女の感情」のようなもの
こちらのブログを公開してから、ひと月が経ちました。
従来ならばライブやイベント後の御飯タイムで披露して終わるような話題のはずが、コロナ禍で友人に会えないから報告代わりにブログにまとめよ~っと思いついた記事でした。友達へあてて書いたものが、こんなにもたくさんの人の目に触れたことがとにかくびっくりです。このブログを開設して数年、コツコツと重ねてきたPVと同じ、いやもう恐らくそれを超える数になりました。自分の書いた文章がこんなに読んでもらえたことが人生で初めてで。縁がなさ過ぎて存在すら知らなかった「はてなのコール」という通知が来て(…これはなんぞ?)と首を傾げたり。一番笑ったのは友人の職場の方が読んでたという報告で、一番青ざめたのは昨日いただいた、たま~にお仕事を頂いている方からのブログ読みました報告ですね…。LINE見て白目を剝きました(失われる社会的信頼)。
しかしこれだけ多くの人の目に触れると、却って反応が怖い……と思ってしまうのは私が長くTwitterという薄暗い場所に棲みすぎたせいでしょうか(でしょうね)。それでなくても全く馴染みのないジャンルの話を書いてしまったので、そちらの界隈の方にどう受け止められているのか予想もつかず、こわごわとブクマやRT先をそっと見に行くと……え~~~嘘!!そこはめちゃくちゃ好意的な感想で溢れていました。"神"の優しさを褒めてくれた人が大半で、そのお言葉にうんうんほんとそうなの、私の大切な人を褒めてくれてありがとうございます!!と目に入る度にリアルで声に出してお礼を言いました(「推しが褒められたらまずお礼」の精神)。自分もそういうことあったよ~という思い出ツイートにはその優しい世界に思いを馳せたり、自分も誰かにこういう気持ちになってもらえたら……と書いている同人活動されている方の幸せを祈ったり。
あとお恥ずかしながら、私の文章を褒めてくれた方もいらっしゃって…んも~~~めっちゃ嬉しかった~!!!!!!(クソデカボイス)ぶっちゃけもういい大人なので、普段生きてても全く褒められないので素直に素直に嬉しかったです。でもって「あなたも同人誌書いちゃいなYO!」って書いてる人もちらちらいて…なんで同人創作好きな人はす~ぐ書かせようとするんだい?😂
残念ながら全部は見れなかったけど……ってそんなに反応を貰えることがそもそもすごいことです。私はライブハウスのオタクなので「えっ!RT数が日比谷野音超えた!!!やべ~~~~東京国際フォーラム見えてきた!!」などとライブハウスのキャパに例えて喜びつつ、嬉しいのでいいね!したい気持ちをぐっと堪えて沢山感想をスクショしました(根暗)。サイレントいいね!ですね……。そしてもしかしたら私の”神”も私のメッセージをこんなふうに思ってくれたのかな~と、気持ちを共有できた気もしました。
そう私と”神”(こう呼ぶのもどこか気が引けますが、便宜上こう呼ばせていただきます)ですが、送っていただいたお礼のメッセージのあともやりとりをしています。というのは……実は”神”は既にいわゆる「ジャンル移動」をされており……。この表現が適切なのか私にはわかりかねるのですが、今は新たな作品を推し増しされていまして。それは最初に”神”のTwitterを覗いた時にわかっていました。なのでこちらの気持ちをそのままぶつけるのはご迷惑なのでは?と思い、初手は匿名メッセージを使ってコンタクトを取った次第だったのでした。
話を戻しますが、もう私は”神”のことがだいぶ好きになってしまったのですが(そりゃあこんなお気持ちでくるんでもらえたら好きになるでしょう。詳細は前ブログをご参照ください)、描きたいなというお気持ちはあるそうですが、そのきっかけの作品の新作はすぐには望めないでしょう。しかし、こんなに素敵なお気持ちを頂いたお礼がしたいという気持ちは膨らむばかり。”神”を応援したい。もちろん”神”の過去作はこれからも大切にしていくつもりですが”神”の未来も愛したい。だって私はもう”神”を推しているので……。そう、推してしまったんですよね。私は経験があるので知っていますが、推しは卒業しても推しなんですよ。一度推してしまったら、環境が変わっても応援したい、幸せを願いたいのがおたくという生き物。じゃあこういう場合はどうしたらいいの……?????
んんん~~~~!!じゃあもう【”神”の現ジャンル】に私が行けばいいんじゃ~~~~~ん!!!!!ハイ、解決~~~~~~~~!!!!!!(フッ軽オタクの脳を通さない脊髄反射)
というわけで。私は”神”を追いかけて”神”の現ジャンルを履修しはじめました!!そう…私の故郷の村では【推しの推しは私の推し】という教えがあります。そうよ、私がそっちへ行けばいいのよ。その作品はアニメだけでも何シリーズもあり、劇場版もあるかなりのボリュームのある作品です。普通ならいくら私が暇でも躊躇しますが、好きな声優さんが出演してるから一緒に履修していいよという友人の後押しもあり、共にゆっくりと鑑賞しております。アニメのサブスクめっちゃ便利~~~!!ありがて~~~~!!何より今の私には、”神”のお気持ちに報いることがこれくらいしかない!!ので!!愛の重たいおたくの愛し方がこれだよ!!ごめんね!!でもこれしか推し方知らないのでごめんね!!!!それが例え一般の方でもこれが私の愛し方だから!!!!あきらめて!!!!好かれた時点で事故だと思ってあきらめてくれよな!!!!
………というようなこの話を神へ恐る恐るメッセージしたところ、めちゃくちゃ喜んでいただけたのでよかった。有り余るおたくの行動力にドン引かれなくてほんと良かった~~~~😂器がデカい~~~~!!(ひと通り見終えたら、"神"の作品をまた楽しみにできるのかな~。えへへ。楽しみだなあうっふふ~)
このご時勢ではなかなかリアルな即売会に行くのも難しそうですが、たくさんの人が心を掴まれ情熱を走らせ感情を揺らしている「同人創作の世界」に少しだけでも触れられてよかった。コロナは私から日常を、ささやかな支えとなる楽しみを奪ったけれど、代わりに新しい世界を見せてくれました。是非いつか即売会に行ってみたいな~。
余談:タイトル勝手にお借りした「同人女の感情」改め「私のジャンルに神がいます」のコミック、まだ私は買えてなくて…。まさか売り切れるとは。油断してました。私の好きなおけパ中島さんが活躍しているらしいので読みたい~。特典欲しかったのですが無理かも~😢予約すべきでした~くやし~~~!!
余談2:最近は急に沼落ちした「伊之助のママ活」に勤しんでおります。新ママの記録も残しておきたいな~未来の自分のために。
という感じで、人生で初めての感情ばかり味わっています!!ではまた!!
極私的「同人女の感情」のようなもの
最初にも触れましたが私は女子アイドルとバンドのオタクをしていて、
パノラマパナマタウン『PPT Online Live「On the Road」』2020/08/16at.新宿ロフト(Streaming+)
【 Thanks!Online Live!】
— パノラマパナマタウン (@pano_pana) 2020年8月16日
PPT Online Live「On the Road」
ご視聴頂きありがとうございました!
ここからまた一歩。これからのパノラマパナマタウンも是非お見逃しなく!
本日の配信は8/23(日)までアーカイブ配信となります。1週間いっぱい振り返ろう!
photo by @masound #PPTOL pic.twitter.com/M8woMY9QZH
バンドにとっての「試練」というものがあるならば、それはそのままイコールでファンにとっても試練なのだと思う。身に降りかかる全ての事を見せてくれているとはこちらも思っていないが、不思議なことに、丁寧に隠したつもりの不安でも何となくかぎ取れてしまうことだってある。
2020年はきっとほぼ全てのバンドマンたちにとって「試練の年」だと思う。リリースベースで活動している人たちですら、全く影響がないとは言えないだろう。ましてや、ライブ活動に大きな比重を置いて活動していたら大打撃といっても過言ではない。そしてその状況は残念ながら現在も大きく好転はしていないのが正直なところだ。
それに加えてというか、実際に順序は逆になるが、パノラマパナマタウンには年明けの1月半ばに行った恵比寿リキッドルームでのワンマン公演を境に大きな出来事が二つもあった。ボーカル岩渕の喉の手術と、メンバーの脱退。
どっちか一つだってかなりの深刻な出来事なのに、続けて二つも報告されたこちらとしては重くて大きい事実にあらあらというしかなかった。最初から自分に出来ることなんて何もないのだけれど、ただまたバンドとしてステージに立つその日を静かに待つしかなかった。
再出発のステージは4月の日比谷野音になるはずだった。失礼を承知で言えば、ちょっと大きすぎるのでは…とも思った大きなステージ。でもそれは、彼らを支える人たちが彼らに託す願いの大きさだったのだと思う。再起のステージに花を添えるべく集まってくれたゲストのバンドたちもきっと同じで。そんな新しい旅へ出る餞のステージでもあったライブも残念がららコロナ禍で中止になってしまった。
大層落胆したのかと思いきや(したとは思うけど)、そこからメンバーたちが始めたのは配信だった。記憶が曖昧だが、最初は雑談のインスタライブ的なものだったと思う。誰もがしているそこからいつしか、配信は曲を作る過程を見せていくという確固とした目的があるものへシフトした。デモの状態の曲を観客に聞かせ、どれが良かったか聞き、次回はまた少しアレンジを加えたものを聴かせる。それを繰り返して曲が磨かれ仕上げていく様を見られるのは新鮮で貴重な時間だった。本人たちはもしかしたら「どうせなら毎週やっている成果を見せられれば」くらいのきっかけだったのかもしれないけれど、見ているこちらとしては自然と曲へ愛着が湧いていく時間だった。普通なら「新曲です!」と完成した曲がライブで差し出され、何度も披露されている内にこちらにも情がわき、本人たちもアレンジを加えたり演奏に慣れたりして曲がこなれていく。その育っていく過程が配信で味わえたのは面白かった。この日の配信ライブで初めて披露されたいくつかの新曲たちが、耳馴染みがあり愛着がある形で出てくるのは不思議な体験だった。
前置きが長くなってしまったけれど、そんな変化と試行錯誤を越えて、越えてないな。抱えて挑んだ配信ライブがパノラマパナマタウン『PPT Online Live「On the Road」』だったと思う。
新宿ロフトのステージではなくフロアに向き合うように並べられたバンドセットが映し出され「SHINKAICHI」からスタートした。この日のために用意されたかのような曲だと思った。新しい場所へ踏み出す曲。この曲から始まる印象的なライブが前にもあったような気がする。その時も「今日にふさわしい曲だな」と思ったけれど、この日もまた、この曲以外にないなという気持ちでいっぱいになった。節目をいくつ迎えても、聞くたびに背筋が伸びるような曲があるのは強いなと思う。いつものことだけど、ドラムへ向けて三人が集まって弾いているところを見て胸が跳ねた。これがすごく好きだ。客席からは窺い知ることができない、ドラムだけが見られる顔。
1曲目からフレームアウトするほどの勢いはそのまま曲を繋げていく。「Top of the Head」の”思いもよらぬほど素晴らしい明日が俺らには待っているはずだろう”という歌詞が深く説得力を持って刺さる。その後の「フカンショウ」も凄味すら感じるほどだった。激しいのに安定感がすごい、全体の重心が低く感じる。一音一音が踏みしめられているかの如くしっかりとした重さを持って画面の外へ届いてくる。新曲と既存曲を挟んでも勢いが落ちない。不安がない。ここには今、本気の人しかいないのだ。照明も音響もカメラも全て味方にしているのを見て、部屋に一人なのに自然と言葉が漏れていく。
この日一番私が聞きたかったのは「ラプチャー」だった。事前のリクエスト企画でもこれを出した。はじめてのアニメ主題歌だったり思い出もあるし、歌詞も曲も凄くいいのに、ちょっと雰囲気がありすぎてセットリストのどこへ入れるか座りの難しい曲だなあという感じがして、最近あまりお目にかかれていない気がしたからだ。なのでイントロが流れてきたときはめちゃくちゃ興奮したが、それをごりっと抑えて集中して見入った。紅い照明に均等に照らされた四人を息をつめて見た。この曲が聞きたかった。激しさと強弱、サビ前の印象的なベースのフレーズ。2番に行く前のギターもすごくかっこよかった。
今まで見た中で一番のラプチャーが更新され、というかもっと評価されていい曲では…こんなエンジンを積んだ曲なのかと改めて感じた。凄い。曲が進化しているというか、深度を増している様に思った。
聴きたいと熱望した曲が聞けたので脱力しそうになりつつ、間髪入れずに「Rodeo」が始まる。楽しそう!ハイカロリーな曲だけど、自由に好きな感じで楽しんでいるのが伝わる。と思ったら「テーマ」で急に手綱を緩めたり。緩急がすごい。あちらからはこっちは見えていないはずなのに、反応がわかっているかのようだ。
ライブを見終えて一番に思ったのは「こんなセトリでいいの?」だった。新旧織り交ぜて自由に、本当に直前までの自分たちをありのまま投影している。このライブはまるでドキュメンタリー映画のような感覚だった。カメラが映し出しているのは新宿ロフトだけど、これまで立ってきたステージ流れていった風景までも織り込んだ手触りのあるステージだった。どこを切り取っても画に力がある。フロントマンの岩渕くんだけでなく、いやむしろいつもその両隣にいる浪越くんとタノくんの方が滾っているような気さえした。ライブをしたいという本気が満ちていて、「ライブがあってよかった」と一気に吐き出した岩渕くんの言葉に凝縮されていたように、3人はステージを求めていた。ライブという日常を奪われて、枯渇して求め続けることはこんなにもステージへ向かうパワーになるのか。ここに観客がいるいないはなんの作用も及ぼさないと感じた。逆に観客がいないことが却って変にエモーショナルに流されることもなく、3人のただライブが楽しい!というプリミティブな喜びがこちらにダイレクトに伝わってきたのかもしれない。喜びとともに、しっかりと地に足をつけてリスタートを切れたのが、新章へ踏み出せたのが見てとれた。フロアライブで向き合いお互いの顔だけを見、お互いの反応だけを信じて進めていくライブは、迷いがなかった。正にこのライブ中に新しい所へ踏み出したという気がした。
コロナ禍でメンバー同士も顔を合わせることができないまま、生み出された楽曲たちも織り込まれたセットリストだったけれどとても自然だった。むしろ育っている気すらした。生まれるところから見せてくれたから、こちらも親愛の気持ちで迎えることができたのだと思う。コロナ禍がなかったら生まれなかったかもしれない曲たちを愛し育てている気持ちが伝わってきた。
ライブをめぐる環境は正直2月からたいして変わっていないように思うけれど、それでもひとつずつ気持ちや環境を立て直しながら進もうとしている姿を見られたのも嬉しい。こんなに心躍る配信ライブはなかった。そこに私が見たい3人の姿があったからに思う。サポートドラムの大見くんは旧知の仲ということもあり息もばっちり合って自然だった。岩渕くんの喉に関しては本当に忘れるほど何も不安がなかった。余計な迷いがない頼もしさに溢れていたステージを目撃出来て、この夜は深く眠ることが出来た。生の感動へ及ばないのはわかっているが、それでもしみじみと余韻の残るいいライブを目撃出来たという幸福感に全身を満たされて。
【セットリスト】
1.SHINKAICHI
2.Top of the Head
3.フカンショウ
4.C’mon Future
5.いい趣味してるね
6.Dogs
7.ラプチャー
8.Rodeo
9.パノラマパナマタウンのテーマ
10.ロールプレイング
11.SO YOUNG
12.エイリアン
13.俺ism
14.MOMO
ようやく、一歩目。おつかれした!!
— 岩渕 想太 (@perrrrbuwa) 2020年8月16日
途中、カメラの向こうの何百の顔が見えた気がするわ、ほんとうにありがとう。
撮影 @masound pic.twitter.com/t5MdA75VtO
昼過ぎに起きて、ご飯食べる前に昨日のライブ映像をチラッとみてみようと思ったら最後までみてた。
— タノ アキヒコ / パノラマパナマタウン (@do10tano) 2020年8月17日
すごくよく撮っていただいているなーと感動して見終わるととてもお腹が空いた
今週いっぱいアーカイブ販売中なのでぜひみてほしいです
ほんとたのしいライブだったな〜https://t.co/vo9xgrf9sA pic.twitter.com/lE7CHUtk6w
脱ぐ必要は全くなかったけど、昨日はほんとに良いライブだった。
— 浪越 康平 / パノラマパナマタウン (@Hermajesty202) 2020年8月17日
見てくれたみんな本当にありがとう、やれてよかった。
まだチケット買って見れるので、何回でも見てほしい!https://t.co/OfjmUGrNYN pic.twitter.com/U9so7pzKab
【余韻】を噛み締める~4ヶ月振りに推しのライブへ行った話
このブログが世に公開されているということは、
7月も終わりに近づいたある日、
奥の方へ進むと顔見知りの人たちが数名いたので声をかけ、
「ライブへ行く」
CBCラジオ:BOYS BAR(S)で白井悠介さんがセレクトした曲まとめ
・NIRGILIS「SNOW KISS」※
【期間限定フル公開】UNISON SQUARE GARDEN「桜のあと(all quartets lead to the?)」
・ROCKY CHACK「リトルグッドバイ」※
宮川純・荒田洸・新井和輝セッションライブ 2020/1/6 at.Jazz Live Alfie
新年あけましておめでとうございます(と、言っていいのか微妙な時期になってしまいましたが)。このブログを開設して早4年、年々減り続ける記事数に「自分の著しいブログ離れ」を感じずにはおれません。趣味なのでいいんですけど。
どうも自分はブログに対してすごく真面目に取り組みたいと思っている節があるようで、何度も読み返して推敲して、且つ気が乗らないと上げない。なので下書きに死んだ記事が累々と並んでいる。それでこのレベル?と言われると素直に謝るしかないがとりあえず今はほっといてくれ。それでも書くのは何故かと言うと、気持ちが動いた瞬間を忘れたくないからだ。年々本当にあっという間に記憶が薄れていく。幸せなことに日々新たな刺激があり、心を動かされる。それに気を取られているうちに、忘れたくないと思うことすらも忘れてしまう。
それはあんまりじゃないか、ということで2020年は行ったライブの感想くらいはブログに残そうという目標を立てた。簡単でいい。人から見たら分かりにくくても仕方ない。ツイッターに流したことの再構築でもいいから自分の為にログを残そうと思う。きっかけがあれば記憶を呼び起こす手助けになる。未来の自分の為にちょっと頑張ってみようと。
長い言い訳は以下の本題の前置き。本題はあっさりです(当社比)、すいません。さて、謝ったので堂々と本題へ行きます。
2020年が始まり、今年の弊社仕事初めは1/6でした。仕事初めであり、且つ同日に迎えることとなった推し事初めは六本木のJazzバーAlfieにて、宮川純・荒田洸・新井和輝のお三方によるJazzセッションでした。
普段は「汚ねえライブハウス」by.Yonce に生息している、実年齢が社会経験に比例しないタイプなので、相変わらずJazzバーって勝手がわからずド緊張するのですが、推しのいるところに行けるなら行くだけという身上なので緊張は押し隠してしれっと向かう。受付して先に精算を済ませ、席へ案内された。薄暗い店内は酒ビンが立ち並ぶバーカウンターと、椅子の並ぶフロア。最奥にグランドピアノとドラムセット、ウッドベースがセッティングされている。一段高くなった場所にもカウンターや椅子が並び、40~50席くらいは用意されていた感じでした。私はカウンターに案内されたのですが、その奥に結構しっかりとしたPA卓があり。目の前でバーテンダーさんたちが美しい所作でひとつずつ丁寧にドリンクを作っていくのを眺めたりなどしていると開演。
本日は2ステージ制で、それぞれ45分程度のステージの間に30分休憩という構成。
ピアノ、ウッドベース、ドラムという組み合わせで、1ステージ目は静かなバラードの印象が強めの4曲演奏。休憩挟んで2ステージ目は、今回はボーカルレスかと思いきやドラムの荒田さんがボーカルをとりながら叩いたり、あと飛び入りゲストが沢山で対照的に賑やかに。荒田さんいわく「新年会!」というくらい、レアで新鮮なセッションが繰り広げられてたのでした。
WONKのドラムの荒田洸さん、ジャジーなのにどこかポップなドラムでびっくりした。専門用語はわかりませんが、ジャズでドラムって撫でるように叩く時あるでしょ(伝わるかな…)。あの時もポップで楽しい感じ。
宮川純さんのオリジナル曲よかったー!ピアノの人が作るから当たり前なのかもだけど、ピアノが後ろからふわーっと現れてくっきりしてまたすっと空気に馴染んでいくみたいな。わからないですよね。そんな自在に操る存在感が印象的でした。
そしてベースの新井和輝さん。King Gnuとは違う新井和輝さんすごくよい~。荒田さんの繊細なハイトーンボイスと優しく並走する新井さんの低音ウッドベース最高~!!縁起物~!!ボーカル有り無し、どっちも一度のステージで聞き比べができて贅沢だった。ずっとそれをしてみたいと思っていたので、叶って嬉しかった。
ボーカルは荒田さんもだけど、遊びに来ていたWONKの長塚さんShunske'Gさんが飛び入りで歌ってくれたのでこれも贅沢。いろいろな声とのハーモニーの聴き比べが出来、幸せなひと時でした。近いので、ボーカルにふわっとウッドベースが寄り添う感じが超わかって気持ちよかった…。ボーカルレスで、テクとテクで殴りあってる感じも好きですけど!!
他にもものんくるの角田さん、MELRAWの安藤さん、WONK江崎さんも加わっての贅沢セッション。Sax入ると急に華やかになる。宮川さんと江崎さんの連弾セッション、音が細かく感じた。やってる2人がはちゃめちゃに楽しそうで夢中で、見てて体が動く感じでした。
新井さん「ここは初めてライブやるんですけど、エレベの師匠がよくライブしてて。高校生の時にそれについてきて、何かトラブル起きたら対応できるように(ステージ前の)カウンターの下に入ってよく見てたので、ここに立てて嬉しい」というような話をしていた。
そのあとセッションで角田さんにベース譲ったあと、一旦客席後方に下がったんだけど、途中でスッと移動してカウンターの前で座ってて。私からは座ってるのは後ろ頭少ししか見えなかったけど、10年前の新井和輝さんと同じところに座った新井さん見たかったな………今その場所からはどんな風にステージ見えたのかな…………と、King Gnuになるずっと前の新井少年のことを想ったりしたのでした。
新年早々、レアで賑やかで楽しいライブ。贅沢な気持ちで一日を終えることが出来た最高のライブ初め推し事初めでした!!
Shiggy Jr.「That’s what I call Shiggy Jr.」at.赤坂マイナビBLITZ 2019/09/07
<Shiggy Jr. LAST LIVE -That's what I call Shiggy Jr.->無事終幕‼️🎉✨ご来場頂きました皆様、そしてこれまでShiggy Jr.を応援して頂きました全ての皆様、ありがとうございました‼️‼️👨👨👧👦 pic.twitter.com/VXGePCDPwa
— Shiggy Jr. (@ShiggyJr) September 7, 2019
2019年を振り返って、どうしてもこれを残さないと終われないと思ったことがある。5年弱、すごく大切で愛情を注いだバンドが、場所が無くなってしまった話だ。
↓解散を受けて書いたブログ。
2019年6月5日バンドの解散を知ってから、
切ないのに、絶対にさみしくなるのに、
ライブのTシャツを買って即トイレで着替えるなんて、
フロアの密度は増すばかりでいつドアが閉まるのかと思っていると
そしてついに、照明が落ちた。最後の時間が始まった。
今を噛み締めて
夢のような時を
二度と戻れない
一度きりのクルーヴで
こんなに後ろなら絶対にメンバーにはわからないから、
愛情。沢山のステージから、リリースしてくれた楽曲から貰った愛情。
ライブの後のいつもより丁寧に世界を見たくなるような気持ち。
でも最後までずっとメンがーが真摯でいてくれたから、池田智子・原田茂幸・森夏彦・諸石和馬の4人みんなが”Shiggy Jr.”であろうとしてくれたから、ずっと好きでいられた。そこが一番嬉しくて、大好きなところでした。だから、ずっと好きなまま永遠になりました。ありがとう。
【セットリスト】
Suturday night to Sunday morning
Summer time
D.A.Y.S.
誘惑のパーティー
GHOST PARTY
day trip
TOWN
スタート
baby I love you
二人のストーリー
your my girl
looking for you
Beautiful Life
ホットチリソース
oh,yeah
Juuuump!!
お手上げサイキクス
~スペシャルセッション~
TUNE IN!!
恋したらベイベー
LISTEN THE MUSIC
ピュアなソルジャー
(アンコール)
約束
Keep on rainning
サンキュー
(Wアンコール)
Beat goes on
サマータイムラブ
Shiggy Jr. ラストライブ、無事に終わりました。いろんな気持ちが渦巻いていてうまく言葉に出来ないけど、みんなと出会えたことが私の人生の宝物です。今日来てくれたみんな、遠くから想いを馳せてくれたみんな、本当にありがとう。今日まで、たくさんの愛をありがとうございました。大好きです。
— tomoko ikeda (@ikemoco_) 2019年9月7日
今日は本当にありがとう!🎸
— Harada Shigeyuki (@shigeyukiband) 2019年9月7日
Shiggy Jr.は永遠になりました!🎙
またいつか会える日まで頑張って生きようと思う!💪
伝え切れない事があまりにも多いからまたどっかに書こうかな📝
またね!
ありがとう!楽しかった!そして未来へ🤗本当にいいね。 pic.twitter.com/obAt05HgxF
— 森夏彦 (@natsuhisu) 2019年9月7日
Shiggy Jr. これにて終了
— もろいし (@mokka522) 2019年9月7日
本当にありがとうございました!
沢山の愛と笑顔に支えられてきました
愛してきた音楽、大好きなもの、この先もずっと、ずっとやっていくよ
新しい挑戦もめちゃくちゃするぞ!
また会う日まで!!本当にありがとう!!愛してる!!またね!!!! pic.twitter.com/yQzMAtSrQp
それじゃまたね。
わたしの星 2019年に寄せて①
2014年以降、私にとって夏とは二分される季節となった。
「わたしの星」のある夏と、ない夏だ。
2014年、2017年、そして2019年。
今年もまた、「わたしの星」がある夏がやってきた。
https://www.ytv.co.jp/watashinohoshi2019/
「わたしの星」とは何かと簡単に説明すると、劇団ままごとの柴幸男が書いた現役高校生の為の戯曲上映プロジェクトである。キャスト全員と制作をサポートするスタッフを担う現役高校生をオーディションで集め、夏休みに10日間ほど上演される。2014年が初の試みとなり、2017年にも上演された。(一度台湾でもこのプロジェクトは行われている)
国内での過去二回は東京の三鷹で上演、そして今年、初めて大阪で行われることとなった。
2014年、たまたま本編の前の「公開稽古」の見学に行った私は、短い時間ですっかりその魅力にやられてしまい、予定では一回のところを数回、千秋楽の8/31には(当時は夏休み最終日8/31の設定のお芝居を8/31に千秋楽として上演していたんです。これを見ずして他に何を見ろというんですか!) 当日券を求めて朝から並ぶというハマり振りだった。
2017年も勿論公開稽古から見学し、2014年との違いにも期待が膨らんだ。記憶では7回?ほど劇場へ足を運び、夏を燃やしてもらった。
そして2019年、休み取得や予定やら諸処の兼ね合いで大阪へ行くのは諦めようと思っていた。上演が終わるまで情報を遮断しやり過ごそうとしていたところ、急に前日になって全ての段取りを整えて弾丸で大阪遠征を決めた。普段、ライブだって遠征は渋るのに、何も知らない(情報を遮断しているので)高校生の演劇を見るために大阪へ行ってしまった。あの時の決断力と行動力は自分のものではないと我ながら思う。
「わたしの星」脚本は毎回設定がゆるやかに変わるけれど、描かれているテーマと大筋は変わらない。
とある未来の地球の日本。温暖化で地球から火星への移住が進んでいるため、全校生徒が10人ほどの高校が舞台だ。夏休みの高校生が文化祭の準備を進めていく中で、いろいろな人間関係が見えてくるというストーリーだ。
【人と人との間の引力】がテーマで、ステージではいろいろな形で引き合う人間関係が描かれる。エンタメなので映し出されるエピソードに濃淡はあれど上下はない。どの関係にも理由があり、迷いがあり苛立ちがあり憧れがある。特別な悩みなんてない。いつの時代も、似た様な惑いを感じたと思い出せることばかりだ。
でもそのどれもが「誰もが通るよね」なんて言葉で片付けたくないと思ってしまう。似ていても、それは現在進行形で誰かの「リアル」だからだ。
作中で描かれるいくつもの引力は、いずれもスッキリと解決はしない。どこかにまだ余白を残したまま物語は終わる。そこがリアルな人生という気がして私は好きだ。現実はいつだって全てに白黒がつくものではないのだと、頭ではなく実感を伴って肌で知り始めるのが高校生なのかもしれないと思う。
2014年、2017年と大きく2019年版が変わっていたのは、舞台上に異質な視点を持つ存在(メイ)が登場していたことだ。基本的には二人一組の関係性に関するエピソードが折り重なり、抱えている葛藤を解決することで物語は進んでいく。その輪の外から来る存在として、ヒカリという存在は異質だが、メイはそのヒカリとも大きく異なっていた。メイは2019年の女子高生。舞台となる未来の女子高生と同じ制服を身につけてはいるものの、その存在は誰にも(正確には感じることが出来るキャラもいるが)見えない。いわゆる「狂言回し」のような立場ではあるが、誰かに影響したり物語を大きく進行させるようなことはほとんどない。主にステージ脇の楽器が置かれた場所から、高校生たちの成り行きをずっと見守っている。時に鍵盤ハーモニカで伴奏し、ステージで展開される物語に感情を寄せているこの子はなんなのだろうかとずっと引っかかる存在だった。最後の最後に、霊感のあるモモだけが彼女に激しく反応する。「わたしたちを見て簡単に『かわいい』なんて言わないで」正確な台詞回しは忘れたが、モモは強く苛立つ。「わたしたちは今、これで一生懸命なのだ」と。モモの放つ台詞は、メイに投げられたように見せかけて、そのまま場外への私たちにぶつけられる。私こそが、この舞台に奮闘する高校生たちを「かわいい」という言葉で消費していなかっただろうか? 高みの見物をしていたのではないか? 「かわいい」「青春だ」という言葉で簡単に名前をつけることが出来るけれど、その裏で演じている高校生たちにはこれがリアルなのだ。名前をつけてカテゴライズして処理したつもりになるな、そう言われた気持ちになった。ここへ踏み込んだ理由を、いつか柴さんへお聞きしたいなと思う。
変化といえば、おやと思ったのが火星からの転校生ヒカリだ。ヒカリは体が弱く、余命幾ばくもない。そんな娘を思い、故郷のようなものだからという親の提案で地球へ越してきた。言ってしまえば、ヒカリは地球へ死にに来たのだ。しかし、前作まではそんな強い表現はなかったと記憶している。もう治らないから死ににきたのかな…となんとなく読み取る程度の、いうぼんやりしたものだった。しかしヒカリの独白で、この先ヒカリがどのような状況になるのかが具体的に語られる。このあたりの表現は、確か意図的に避けているという話があったように思うので、どのような変化が起こったのかと気になった。
折り重なる様々なペアの中でも、その中心にいるのが主演のスピカと親友のサラだ。この脚本は基本的に本人の名前をもじられているが、スピカとヒカリだけは毎回変わらない。突然のスピカの転校騒動に巻き込まれる中で、個々のペアの葛藤が噴出していく。
スピカは学校でもいつもみんなの中心にいるような人気者だ。先輩にも後輩にも好かれ、チャーミングを振りまいて生きているように見える。スクールカースト上位にいるスピカと、対照的に物静かなサラ。物語に散りばめられた沢山の歯車をまとめ、大きく動かしていくのがスピカの役どころだ。なので、スピカはいつも相手役の子を優しく包むような、包容力のある安定したいい子のキャラだったように思う。今回のスピカも基本的にはそれに沿っていたが、今までのスピカよりもダイレクトに感情をサラへぶつけていた。持て余すジレンマをぶつけてくるサラに、自分も正面からサラへぶつけていた。その意地悪な部分も素直に演じられていて、それがとても腑に落ちた。ああ、私の中での理想のスピカがいたなと感じた(他のスピカと比べてというわけではなく、あくまで私の理想で)。今回はこの子の引力で、私は大阪まで飛んできてしまったのだと思った。
メイという異質な存在をいれた2019年版は、そのために各ペアの抱えるエピソードにより濃淡が生まれたなと感じた。最初はそこがさみしいなという気持ちが拭えなかったが、2度見てそれでよいのだと思えた。全ての関係をフラットに描き出すのが本質ではない。観客それぞれが肩入れしたくなる子がきっとそこにいるし、いない人はメイと肩を並べて群像劇を見守ればいい。むしろ濃淡をつけることで、一度しか見ない観客の焦点はより合いやすくなるのだろう。
幸い2回見るチャンスに恵まれたので、個々のキャラに関する感想も別に書き留めておきたいが、自分の中で大きく感じたことを述べただけで結構な長文になってしまった。また別途、ブログにしたいなとは思います。
とにかく今年も見応えのある、大変によいものを見させていただきました。大阪まで行って良かったです。ありがとう。
そして今年も、わたしはこの言葉を噛み締め夏を終わりにしました。
星に引力があるように人にもきっと引力がある。
たとえどれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星。
追記:
これは舞台とは直接関係がないが感じたことなので正直に付け加えておくと、今回は公演中どの回もソールドということは無かった。その一因として、チケット代の値段があるのではないか。私は大阪の舞台事情は全くわからないが、「現役高校生によるひと夏の舞台」と聞いて興味をそそられても、3800円はなかなかに高額ではないだろうか…。私だけですかね…。そこそこ小劇場系の舞台に通っていたこともあるので、舞台がどうしても相場的にそのくらいはかかるということは承知している。この世界観にハマって東京からはるばる足を運ぶ私が言っても説得力に欠ける気がするが、衝動で飛び込むにはハードルが高い値段設定だった。例え地元でやったとしても、普段舞台を見ない人に、私のレコメンドを信頼して3800円出して!とはなかなか言いにくいなと思ったのは正直なところでした。三鷹はちなみに一般前売りで2500円でした(当時)。公共のホールなどの環境に助けられている部分は大いにあると思うのですが、本当にありがたいことだなと心から思ったのでした…。三鷹にふるさと納税したいという感情でいっぱいです…。
とあるアイドルの【神対応】
先日、とあるアイドルのライブ後特典会に並んでいた時のこと。特典会と一口に言ってもその内容は現場により千差万別なので軽く説明しておくと、そこはメンバー個別のツーショット撮影のみ。各メンバーがずらりと横並びし、